周変軌道のプラネトロイド

さとう たなか

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わけあって、体は人間だが超人並の破壊力を持って産まれてしまったスイ。現実に異星人やら怪獣やらがいてくれたらこの力も役に立つかもしれないが、複雑な世界情勢に対して暴力は解決にならないし、見える範囲で穏やかな日本では自分が脅威でしか無い。
前にスイがひったくり現場を目撃し、とっさに手持ちの携帯を投げつけた所、ヘルメットを粉砕し余力の時速160キロのスマホが犯人の脳天に直撃、数日間昏睡状態にさせてしまったことがある。
今は意識の戻った犯人だが性格が真逆になってしまい、介護福祉士の資格を取り働くようになってしまった。
今でもそのことを引きずっているスイ。普段も人の迷惑にならないようにと細心の注意を払って生活をしていたのだが、

「もーう、ほら寝てないからぁー」

スイの後ろから、バスケット選手のように脇の下に自身の頭部を抱えたお隣さんが言ったように、力のコントロールがうまくできていないようだった。
お隣さんにそう言われ、落ち込んだ顔をして鼻をすするスイ。
お隣さんは散らかったリビングを見渡し、ちょうど手に届く所にあったティッシュを拾い、スイに差し出す。

「悪い、」

と、スイはティッシュを一枚取り鼻を噛む。

「お前、すぐ首取れるよな」

頭部を再び首に戻したお隣さんを見て言うスイ。

「おかげさまで。君のばかぢからのおかげでデリケートになってるよ」

まだ接着されていないのか両手で頭部の側面を抑え込んでいたお隣さん。

「片付けないとな、」

散らかったリビングに目を向け、倒れていた棚に手を伸ばそうとしたスイの前に
お隣さんはううんと制止させるように手を前に出した。

「今日は寝てなよ。仕事終わったんでしょ?」

「ハルに飯作ってやんないと、」

「ごはんくらいやるって。俺が」

「お前氷しか作れないだろ」

「スイさ、なんでもかんでも一人でやりすぎだよ。ハルちゃんも俺もなにも出来ないわけじゃないんだからさ」

言い合う二人。

「何かあったの?」

二人は声のした方に顔を向ける。
爆撃、ではなく、スイのくしゃみの音で今起きて来たらしいハルが目を擦りながらリビングに入り二人の間に立った。

「ハルちゃん、スイは今日猛烈に眠たいんだって」

「お仕事してた」

「そう。だから、今日はお隣さんと一緒に家の家事をやろう」

片手の拳を上に上げ、すっかりその気のお隣さんにスイは

「いいって、やるから」と遠慮がちに言う。

「君は人より力が強いんだ。さっきのくしゃみで粉砕したのが山のてっぺんで良かったよ、人だったら大惨事だ」

言い返せないスイは歩が悪そうに口籠る。

「いいからたまには一日寝てきなさいな」

ポンと背中を押され、縁側に押されたスイ。

「さあハルちゃん、顔を洗っておいでー」

スイに背中を向け、さっさとハルを洗面所に連れて行ってしまうお隣さん。
頬を掻くスイ。諦めたのかため息をつき、仕方なく寝室として使用している和室に向かった。
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