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「はい、いただきまーす」
お隣さんが元気よく手を合わせて言う。
くしゃみの爆風で散らかったリビングの真ん中だけをおおまかに片付け、食卓テーブルと椅子だけを元に戻したお隣さんとハル。
向かい合うように座った二人の前には肉まん、たこ焼き、オムライス、どれも未解凍の冷凍食品が並べられている。
お隣さんは4つ入りの肉まんの袋を開き、中から肉まんを一つ取ると口に運び美味しそうに咀嚼する。
「最近の冷凍食品ってレベル高いよね」
シャリシャリと口から音を鳴らせて食べるお隣さんを見ていたハル。
それに気づいたお隣さん。
「あっ、そっか、ハルちゃんは温めるんだった、」
うっかりしてしまったと頭を掻くお隣さんに対してハルは
「ううん、やるよ」
とオムライスを一つ持つと床に落ちていた電子レンジを起こし、冷凍食品の裏面を確認し、時間を設定し温める。
「いつもスイがやってるから忘れちゃうんだよな」
「スイとお隣さんがでかけてるとき、料理、作ってるよ」
「まじで?」
「スイね、しつこいの」
「しつこい?」
ぶすくれた顔をするハルにお隣さんは首を傾げる。
「ぼく、料理も、勉強もできるのに」
17歳にしては少し幼稚な部分があるハル。
以前はお隣さんとスイが目を離したすきに迷子になったり、怪我をしたり、癇癪を起こすことが多かった。それもあってかスイはハルに対して過保護気味である。加えて、ハルの親族から預かっているという責任と好きという感情もあるのだから、なおさら過剰になっていた。
「そんな顔してたら可愛い顔が台無し」
不服そうに口を尖らせていたハルの頬を突きながらお隣さんは言った。
「そんなスイに見せつけてやろうじゃないか。もう大人だよって」
「うん」
お隣さんは歯を出して笑って見せるとハルも同じように笑った。
朝食を済ませ、リビングの片付けを始めた二人。爆撃並の衝撃だったにも関わらず、窓ガラス、食器等が一枚も割れなていなかったことが幸いし、午後12時頃にはリビングの片付けを終えることができた。
次に家の中の掃除を始めようとホウキ、バケツ、雑巾を用意する二人。
彼らの家はL字の平屋で、Lの右側面にあたる庭側には玄関まで縁側が続いている。ハルは玄関前にバケツを置き、濡らした雑巾を絞る。
床を隅々まできっちり拭く、ハルの後ろ姿をスイは和室のふすまの隙間から除き見ていた。
お隣さん、ハル、二人の奮闘のかいあって、家の中は大改造並に劇的にきれいにすることができた。
「まあ、なんということでしょう」
午後17時。部屋の電気に照らされてピカピカに光る床を見てお隣さんは演技ったらしく手を前に組んで感動していた。そんな彼の言葉を遮るように隣りにいたハルの腹の虫が鳴った。
「今日は一日働いたねえ」
お隣さんは「頑張ったね」とハルの頭をポンポンと撫でる。
だがハルはそんなことより、と勢いよく顔を上げた。
「スイ、今日一日何も食べてないよ」
ハルはせきたてるように言った。
「あっ、忘れてた」
そういえば、朝に寝不足のスイと顔を合わせて以来、彼の姿を見ていないし何かを食べている様子も見ていなかったと気づいたお隣さん。
「いつも自分一人でやっちゃうからもーう、」
お隣さんは口を尖らせる。
「ねえ、お隣さん」
「ん?」
「玉ねぎある?じゃがいも、にんじんも」
「冷凍庫の隣にまだあったと思うけど」
ハルから食品に関して尋ねられることが初めてだったお隣さん。
一旦間を置いて、
「…何か作るの?」
不思議そうに尋ねた。
「レトルトのカレーがあったの。四角の」
リビングに戻った二人、ハルは台所を指差す。
「お隣さん、作るの手伝って」
お隣さんが元気よく手を合わせて言う。
くしゃみの爆風で散らかったリビングの真ん中だけをおおまかに片付け、食卓テーブルと椅子だけを元に戻したお隣さんとハル。
向かい合うように座った二人の前には肉まん、たこ焼き、オムライス、どれも未解凍の冷凍食品が並べられている。
お隣さんは4つ入りの肉まんの袋を開き、中から肉まんを一つ取ると口に運び美味しそうに咀嚼する。
「最近の冷凍食品ってレベル高いよね」
シャリシャリと口から音を鳴らせて食べるお隣さんを見ていたハル。
それに気づいたお隣さん。
「あっ、そっか、ハルちゃんは温めるんだった、」
うっかりしてしまったと頭を掻くお隣さんに対してハルは
「ううん、やるよ」
とオムライスを一つ持つと床に落ちていた電子レンジを起こし、冷凍食品の裏面を確認し、時間を設定し温める。
「いつもスイがやってるから忘れちゃうんだよな」
「スイとお隣さんがでかけてるとき、料理、作ってるよ」
「まじで?」
「スイね、しつこいの」
「しつこい?」
ぶすくれた顔をするハルにお隣さんは首を傾げる。
「ぼく、料理も、勉強もできるのに」
17歳にしては少し幼稚な部分があるハル。
以前はお隣さんとスイが目を離したすきに迷子になったり、怪我をしたり、癇癪を起こすことが多かった。それもあってかスイはハルに対して過保護気味である。加えて、ハルの親族から預かっているという責任と好きという感情もあるのだから、なおさら過剰になっていた。
「そんな顔してたら可愛い顔が台無し」
不服そうに口を尖らせていたハルの頬を突きながらお隣さんは言った。
「そんなスイに見せつけてやろうじゃないか。もう大人だよって」
「うん」
お隣さんは歯を出して笑って見せるとハルも同じように笑った。
朝食を済ませ、リビングの片付けを始めた二人。爆撃並の衝撃だったにも関わらず、窓ガラス、食器等が一枚も割れなていなかったことが幸いし、午後12時頃にはリビングの片付けを終えることができた。
次に家の中の掃除を始めようとホウキ、バケツ、雑巾を用意する二人。
彼らの家はL字の平屋で、Lの右側面にあたる庭側には玄関まで縁側が続いている。ハルは玄関前にバケツを置き、濡らした雑巾を絞る。
床を隅々まできっちり拭く、ハルの後ろ姿をスイは和室のふすまの隙間から除き見ていた。
お隣さん、ハル、二人の奮闘のかいあって、家の中は大改造並に劇的にきれいにすることができた。
「まあ、なんということでしょう」
午後17時。部屋の電気に照らされてピカピカに光る床を見てお隣さんは演技ったらしく手を前に組んで感動していた。そんな彼の言葉を遮るように隣りにいたハルの腹の虫が鳴った。
「今日は一日働いたねえ」
お隣さんは「頑張ったね」とハルの頭をポンポンと撫でる。
だがハルはそんなことより、と勢いよく顔を上げた。
「スイ、今日一日何も食べてないよ」
ハルはせきたてるように言った。
「あっ、忘れてた」
そういえば、朝に寝不足のスイと顔を合わせて以来、彼の姿を見ていないし何かを食べている様子も見ていなかったと気づいたお隣さん。
「いつも自分一人でやっちゃうからもーう、」
お隣さんは口を尖らせる。
「ねえ、お隣さん」
「ん?」
「玉ねぎある?じゃがいも、にんじんも」
「冷凍庫の隣にまだあったと思うけど」
ハルから食品に関して尋ねられることが初めてだったお隣さん。
一旦間を置いて、
「…何か作るの?」
不思議そうに尋ねた。
「レトルトのカレーがあったの。四角の」
リビングに戻った二人、ハルは台所を指差す。
「お隣さん、作るの手伝って」
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