アイドルが、自分のところに回り回って戻ってきた。

冬田シロクマ 

文字の大きさ
21 / 46

作戦?

しおりを挟む
ぼくを好きにできてうれしそうな裕介。
内心苛ついてるとは露知らず。
ぼくは、馬鹿にしたような態度で応答した。
それを感じ取ったのか、ゆうは微笑んだあと、ソラの頬を優しく指でなでた。
そしてつまむ。

「笑って。」
「……え?」

間違いなく裕介の声色だった。
ぼくは目を見開いたまま固まる。
口を一の字に結ぼうとした。が、つままれた方頬は離されることもなく、痛みがジワジワと侵食する。
内心ソラは苛ついた。

なんでこんなことされなきゃいけないのか、

「ねぇ、」

猫のような顔はニッコリ笑った。
ぼくは引き攣る。
心も引き攣っていた。

芸能界は、こんなにも人の心を歪ませるのか。

呆れたような顔をするソラ。
ゆうはニコニコとほほえんでいる。

「あっ…ハハ」

言われるがまま、ぼくは笑う。
乾いた笑い声を漏らした。
嬉しそうなゆう。
ぼくはバカバカしくなった。
いつもなら屈辱を感じる行為だが、このときはゆうに対する哀れみ?
そんなものが生まれていた。

「ゆう…休め」
「それは命令?」

ふはは、と顔に似合わず笑っている。
ぼくはなにも言う気が失せた。
だけど、これだけ…

「満足か?ゆう…」

好戦的な瞳で照らす。
さっきの苛つきが蘇ってきた。

「ああ、満足。
だけどもっとして欲しい」
「もっと?なにを…」
「俺の言うこと、聞いて欲しい。
そしたら愛情を感じる。ソラから…」

ぼくは最後ら辺聞いていなかった。
おかしくなってしまった、ゆうが。と、そのことばかりに気を取られていた。
……

目をつぶってる裕介ゆうすけ
音漏れしている青いヘッドホン。
ぼくはヘッドホンを上に引っ張り外させる。
裕介と、目が合った。
裕介はふふ、と笑っている。

「ゆう…」

ぼくはなんて声をかけていいか悩む。
「なあに?」と裕介は気の抜けたような、そして猫撫で声を出している。
若干、馬鹿にされてるようでもないが、ぼくは続ける。

「暇なんだ。」

部屋の中で響いた。
ただそのひと言が、部屋の温度を急激に下げた。
裕介の目は鋭く、余計なことをされたような不快感を雰囲気から微かに感じとる。
取られたヘッドホンを掴んでいた。

「それで?」

静かな声。
顔は笑顔で優しく見える。
急に拳が飛んできたりしないよな…
またそんなことを思った。
週刊誌の、メンバー内の暴力事件についての記事を読んでしまったからだろう。
ゆうは「へぇ」と言い、酷く魅力的な顔を向ける。
それに束の間見惚れる。
ゆうは、頭をソファーにもたれ直した。
その間、なにを言おうか考えているようだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...