攻めに乞う

冬田シロクマ 

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無題

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後頭部が壁に当たっているまま、顎を上げ、虚ろな目でその一環の様子を見つめる。
ぼくがさっき下ろされたベッドの上。
片膝を置かれ近くに来られる。
顎を触られた。

「〇〇さんも、久しぶりにしたいでしょ?」

低く落ちつくフィリピン英語。
ぼくは自分の手に目線を移す。
微かに震えている手。
これは恐怖からではなく、盛られた物の影響だろう。
これじゃ、ボタンを外すのも一苦労だ。
その様子を見て、フッと笑う〇〇。

「仕方ないな」

照れたように笑い近づいてくる━━━
服のボタンをひとつひとつはずされ、脱がされる。
ぼくはその間、ボッーと目の前の、王子さまのように整った顔を見ていた。

なにを盛られられたんだろう…?と回想する。
一瞬で意識を失い、記憶は途切れ途切れで、気づいたらここだった。
さっきの記憶も夢なのか現実なのかわからない。

「〇〇さん」

今からレイプするとは思えない、優しい声だ。
ぼくは半ば睨む。

「前より筋肉質になった?〇〇〇〇。
…おれから逃げるためですか?」

か、の部分が強い。
まるで子どもがしゃべっているような、日本語だった。
フッとぼくは、つい笑う。

「なに?」

ゆっくりの【なに?】。
これも日本語だった。

「馬鹿なことしてないでここから出せ」

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