溺愛攻めを怒らせた

冬田シロクマ 

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変化するハル

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小さな勉強机の上に、置いてある本を手に取った。
その本の厚さは3cmほどで、真っ黒の表紙に淡い水色のしおりが挟んであった。

…どういう意味なんだろう?

僕は首をかしげた。
その本は、友達のハルにもらったもので、男同士の恋愛ものだった。

ハルのことは、今まで友達としか思っていなかった僕は戸惑い、次会う時なんて言おうか考えた。



「ロン。俺の家に来ない?」 

微笑みながら、優しい声で言われる。
一瞬迷ったが頷いた。


ハルの家は大きく、本…CD 漫画、 DVD など何でも揃い、家具が一つ一つ高そうに見えた。
部屋に入ると、ハルがカチャリと音をたてて鍵を閉めた。
そして後ろから、包むように僕に抱き着いた。

「座って」

ハルのあまく低い声が、脳づいに届く。
言われるがままに座り、僕はハルに抱きつかれたままだった。

「好き。好きだよ…ロン。ロンは俺のこと好き?」 

優しい瞳が僕を見ている。
僕はよく分からないと思い、顔をかしげた。
ハルは前から抱きつき、僕の肩に顔をうずめた。
彼の腕はガッチリと、逃げられないように、僕の背中にまわされていた。

「…こういうことされるの嫌?」

またも聞かれる。
首を振る。

「嫌じゃないなら、俺のこと好きなんだよ。」

言いながら、親指で頬を撫でられ、僕の顔をじっと見ている。
ハルは恍惚な表情だ。
僕はどんな顔をしていいのか分からなくて、固まっていた。

友達の変わりように、どう対応していいか分からなかったのだ。  
それ以来僕はハルに、極力関わらないようにし、学校生活は幕を閉じた。



久しぶりの再会だった。

彼女の家に転がり込んでいたが、新しい男ができたと追い出された。

困っていた時に、ハルに再会した。

お酒を飲まされ前後不覚になった僕は、気づいたらハルの家で目が覚めていた。



ゆっくり僕の頭をなで、

「俺が…ロンを養うよ」

と懐かしい甘い声で言った。

僕にとって、とても都合がいい申し出だった。

高校時代の自分に対する好意も、薄れているかもしれないと少し期待もした。



だがハルの僕に対する気持ちは変わって無かった。

「い…や。ハル、休憩…」

今日も両腕を掴み、半ば無理矢理キスをされる。
ハルの舌が口の中に侵入してくる。
最初は優しかったその舌も、いつしか強引に喰われそうなほど激しくなった。
僕は逃れようと頭を離そうとするも、後から手で抑えつけられ、うまくのがれられなかった。



観念し、逃れることは諦めるも執拗にキスを続けられる。
最初された時、気持ち悪いと思わなかった自分に驚いた。
今までのキスの、誰よりも気持ち良かった。


力が抜け、それをハルに気付かれないよう、ゆっくりその場に座る。
ハルは心配したように身体を支えてくれ、一緒に座った。
ハルに抱きつきながら横になる。
少し眠った。
とても疲れていた。



目が覚めると、いつのまにか腕枕をされており、僕の髪の毛を愛おしそうになでていた。
 
「おはよう」  

ハルの甘く柔らかい声が響く。 
とても優しい目をしていた。

あの頃から全然…変わってない

「ハル…」

僕は、悪い気持ちになった。



ハルに抱きつき「好き」と言う。
ハルは一瞬驚き、そして…女性ならウットリするような美しい笑みを浮かべた。

ハルは「俺もだよ」と嬉しそうに答え、ロンの首元にキスをした。
再び優しい大きな手が、ロンの柔らかな髪をなでた。



僕は今まで自由に生きてきた。

嫌なことを極力せず、楽な方へ流れて…流れて。
ハルの家に転がり込んだのも、ハルに誘われ、家賃はいらないと言われたからだ。

正直ハルのことは、好きかどうかわからなかった。
だが体に触れられ、キスをされることには嫌悪感は無かった。
そして、彼は僕を甘やかし、欲しいものはなんでも買ってくれる。
ハルの家で、本や漫画などで時間を潰し、彼が帰って来るのを待つ毎日だった。



「ただいま」

「おかえり」と言い、ハルが持っていたカバンを受け取り、玄関に置いた。
ハルは疲れた顔だったが意識的に口角を上げ、僕の腕を掴み寝室に連れて行く。 

さっきあげた口角は下がり、真顔で僕のズボンを下げ、黒のボクサーパンツを脱がした。
「足を広げて」と言われ、言うことを聞いた。
ハルは僕の足をもっと広げさせ、真顔で僕のを見ていた。
徐々に濡れていきピクンと動く。

ハルは手を伸ばし、僕のを人差し指と親指で強めにつまんだ。 

「痛っ!やめて!」

僕の言葉を無視し、痛みで歪む僕の顔を冷たい瞳で見ていた。

ゾクッとする。

「そっか、痛いか…」

そう言うと、ハルはつまんだ手を離した。 

(俺の方が痛い。)
 
ハルは心の中でつぶやいた。

元カノに会っていたのを、見られたのだろうか…?

ロンは内心、冷や汗をかく。
ハルは僕の後ろに回り、僕のチンコを左手で、温めるように包んだ。
そして親指で少し撫でていた。

痛いところを再び触れられ、鈍い痛みが響く。
泣きそうになるのを堪え、ハルの気が済むのを待った。

最初は優しいハルだった。
だが徐々に、ハルに対して怖いと思うようになった。
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