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さようなら日本

吉井春斗は思いを告げる

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俺の部屋に風呂上がりの有紀がいる。
色白の肌がほんのり上気してピンク色に染まって、俺んちのシャンプーの匂いがして…

気がついた時は有紀を後ろから抱きしめてた。

「苦しいよ、春斗」

思ったより強く抱きしめていた事に気がついて力を緩める。
有紀は俺の手をほどいて腕から抜け出すと、正面から俺の顔に手を伸ばす。

「イケメンが台無し…」

俺はたまらずもう一度有紀を抱きしめた。
すっぽりと腕の中に収まる有紀は逃げる気配はない…有紀が遠くに行ってしまうと聞いてからずっと不安だった。
二度と会えない気がすると告げると、有紀は驚いた顔で俺を見た。

今しかない…何故かそう思った。
告げるつもりはなかった気持ちを伝える。
好きだと言ったら気持ちが悪いか?と問うと、有紀は俺の好きな優しい顔で言った。

「気持ち悪くないよ、俺にとっても春斗は特別だから…」

有紀は俺の腕から抜け出す。
その場に立ち尽くす俺の手を引いてベッドに座らせると、有紀に抱きしめられた。

「お前の隣に俺の知らない誰かがいるのを想像すると、嫌だなって思うんだ」

嬉しかった。
俺の好きと有紀の特別は同じではないかもしれない、それでも誰かに取られるのは嫌だなって思うくらいに特別なら今はそれでいい…
頷くことしかできない俺の背中を有紀がやさしく撫でている。
有紀の手が離れたと思った瞬間、唇が重なる。
目の前にはいたずらが成功したような顔の有紀。

「誰かに奪われる前に奪っとこうかなって…」

気がついたら自分からもう一度キスしてた。
触れるだけ、好きな気持ちを伝えるだけのキスだけど今の俺達にはこれでいい。

クスクス笑いながらたくさんキスをして、その夜は俺のベッドで一緒に眠った。
俺の腕の中に有紀がいる。
その事実だけで満たされた気持ちになった俺はいつのまにか眠っていた。
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