SSSランク冒険者から始めるS級異世界生活

佐竹アキノリ

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第二章

13 23Sランク都市フィーリー

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 真っ白な空間の中、佇む少女たちがいた。

 一人はミレイ。Sランク異世界への案内人である。
 彼女は来訪者を見つめ、柔らかな笑みを浮かべていた。

 そしてもう一人は美しい銀髪と豊かな尻尾を持つ少女であった。

「……聞きたいことは一つ。リベルという男を知ってるかしら」

 美しい声音でありながらも、やや切れ長の目は、詰問する鋭さを感じさせる。

「ええ。以前、ここに来ました」
「行方は?」
「Sランク異世界。SSランクを超えた者たちだけが――」
「そう、そこに連れていったのね」
「……ええ」

 ミレイの説明に、彼女は興味を示さなかった。
 だが、ほんのわずかだけ口角を上げている。

「そこに私も連れていってちょうだい」
「もちろんです。……ですが、よろしいのですか?」
「構わないわ。そのために、私はここに来たんだから」
「かしこまりました。では、ご案内いたします。……あなたにどうか、幸あらんことを」

 ミレイが優雅に礼をし、Sランク異世界へと続く空間のゆがみが生じる。
 少女はミレイを見ることもなく、迷いもなく、そこに足を踏み入れた。

 彼女がいなくなってから、ほんの少しばかりして、ミレイは呟く。

「リベルさんも罪作りですね」

 はたして、彼は今どこまで来たのか。

 ミレイは一度だけ、少女が消えた空間を見ると、もはや興味をなくして歩き出す。
 次の瞬間には、彼女の姿はもうどこにもなかった。

    ◇

 10Sランク階層に上がって数日。
 リベルはアマネとともに、23Sランク都市フィーリーにいた。

 街中は魔力を含んだ魔石により走行する魔導車があちこちに見られ、家々では液体魔力燃料を元にした機械が動いている。

 これらの文明が発展したのは、ひとえにこれより上層では、魔力を扱う技術が発達したことと、そうした資源が豊富であったことが理由だ。

「まったく、便利なものだな」

 小型魔導車の中から街中を見つつ、リベルが呟く。

「ホントね。運動不足になっちゃいそう」
「心配しなくても、働かなければ費用も捻出できない。嫌でも運動することになるさ」
「わかってるって。大丈夫大丈夫。そのために、今日も出かけるんでしょ?」

 アマネは車内にいた、別の二人に視線を向ける。

 一人は全身を鱗で覆った種族、蜥蜴人の女性イーレンだ。
 黄色い目の瞳孔は縦に開いており、爬虫類っぽさを窺わせる。

 年齢は見た目からではわからないが、落ち着きようから結構な年齢であると推測される。

 そしてもう一人は、冴えないおっさん、ゴルディ。この10S階層での活動は長くベテランといってもいい。

 しかし、本当に実力があるものは、さらに上の100Sランク階層に移動している。
 つまり彼は、いつまでたっても上がれなかった人物なのだ。

「若いというのは、いいものですなあ」
「ええ。希望に満ち溢れている」

 ゴルディが口にすれば、イーレンが返す。

 この二人は特別仲がいいわけでもないが、長く付き合っていれば、自然と息も合ってくるものだ。

 そんな四人が向かうのは、街外れにある洞窟だ。
 冒険者ギルドの依頼で、異常発生した魔物を叩くことにしたのである。

 この階層に詳しいが、ランクの上がる見込みの少ない人物と、若手で勢いがあるが経験に乏しい二人が組むことになったのだ。

 目的の魔物は、ハンマークラブ。
 巨大なハサミを持ち、水辺に生息する魔物である。

 今回は水の多い洞窟内の調査を行う予定だ。

 そこに到着するまで、時間はかかる。

 街中をしばらく進み、外に出ると、そこで運転手は降りた。あとは自分たちで運転しろということである。

「それじゃあ、僕が変わりましょうか」

 ゴルディはのそのそと前に移動し、運転席に着く。
 彼は向かう先も熟知しており、何度も行ったことがあるとか。

 揺れる魔導車の中、リベルは空気を感じ取ることに集中していた。
 いつでも魔力を使えるように、ここの環境に慣れておかねばならない。そうでなければ、待つのは死。

 10Sランク階層で魔力が使えなければ、まったく太刀打ちはできない。

 魔物との戦いは何度か経験しているが、なかなか慣れなかった。

 車は舗装されていない街道もすいすいと進んでいく。外を見れば、景色がどんどん変わっていく。

 穏やかな時間がしばらく続いた後、ゴルディが告げる。

「見えてきましたよ。あれがハンマークラブのいる洞窟ですな」

 洞窟の周囲は木々が伐採されており、遠くからでもそこははっきりとわかる。
 魔導車でその近くまで赴くと、四人はようやく大地に降り立った。

 ゴルディが魔導車のドアの模様に触れると、魔力が流れ込んでガシャンと音を立てた。あらかじめ登録している者しか使えない仕組みだ。

「さて、それじゃあ行きましょうか」

 ゴルディとイーレンの案内に従って、リベルとアマネは歩き出す。
 そして間もなく、奥から物音が聞こえるようになってきた。
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