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第4章

第17話

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第17話

「それで聞きたい事というのは、何で君のいた町があそこまで壊滅していた事だけど、何でか分かるかい?」


俺はなるべく優しい口調で尋ねたが、少女は俺の目を見つめて重そうに口を開き話し出した。


「ごめんなさい、よく分からないんです。
ある時、弟妹と遊んでいたら町の大人達が騒いでいるなぁっと思っていたんです。そしたら突然何かが壊れる大きな音が聞こえてきたんです。

すると、大きな魔物が町に入り込んでいました。

私は慌てて弟妹を連れて家の中に入って、家の地下にある小さな食糧貯蔵庫に入りました。

それから、どのくらい経ったかは分からないですけど、物音が聞こえなくなった頃に地下から出てみると、家はボロボロになってて、ほとんど崩れていました。外の様子も中から見えたので外を見ると家の外では、大きな魔物が両親を食べてる姿を見ました。

それから町の大人達はそこら中に倒れてました。
隣の家の人も家が崩れた事で建物の下敷きになっている所を魔物が食べていました。

私は声を出さない様に弟妹を連れて、町一番の頑丈な建物の町の避難所に移動する事にしました。

途中途中で助かった友達や大人達と合流して魔物を警戒しながら、避難所に近づくと魔物達が建物を取り囲んでました。

合流した大人の判断で避難所に入るのは諦めて、町一番の地下食糧の貯蔵庫に向かいました…」


少女は何かを思い出したのか、ガタガタ震え出して涙をボロボロと再度涙を流し出した事で、俺は少女を抱きしめた。


「悪かった。建物で起こった事は無理して言わなくてもいい。
つまり、あの町は魔物が襲ってああなったでいいんだな?」


「は、はい。でも大丈夫です、喋れます。
ちょ、貯蔵庫に向かっていると魔物が目の前に現れたんです。

それはゴブリンとオークでした。
私は弟妹を連れて逃げましたけど、大人達の1人が私の友達を魔物に突き出して、友達が襲われてる隙に貯蔵庫の方角に逃げました。

私もどうする事も出来ずにいましたが、ゴブリンが私の方にも向かって来た為に、弟妹連れて貯蔵庫とは別の方角に逃げました。

逃げる時に友達の泣き叫ぶ声を耳にしましたが、どうする事も出来ずに逃げました。

逃げている時、私は他に残っている壊れてない建物を見つけましたが扉が壊れて扉がなかったので、建物内の家具で入口を塞いで、しばらく数日ジッとしていましたが、運良く食料が僅かばかりあった家だったので数日はいれたのですが、僅かな食料も底を尽いて、お腹が空いて我慢できずに外に出てみると、貯蔵庫に向かった大人達やゴブリンに襲われた友達が血だらけで町中を歩いてました。

町をウロウロとしていた魔物が、そんな友達達に目もくれないで私の方に向かって来たから、急いで元の建物に入って入口を塞いで建物の屋根に弟妹を連れて上がったんです。

屋根に上がって町の様子を見ると、生きてる人はいないんじゃないかってくらい町中に魔物と血まみれで動いている人だらけでした。

弟妹連れて屋根伝いに移動できそうな所を探して移動しました。危ない目に遭いながら移動していると、他に残っている頑丈そうな建物に辿り着きました。

そこには既に人が居て、屋根には複数の弟妹と変わらない年頃の子達や私の幼馴染の男の子が集まって座ってました。

でも、私も色々話す体力も気力も残ってなかったので一緒に座ってました。
それからは記憶が曖昧です。
その後に最後に憶えているのは、私達の頭に布が被されて何かを飲まされた事です」



んー、結局腐人がどうやって発生したかが分かっていないな。
やっぱりシオンや姐さんの言う通り、死体にゴースト系の魔物が入って腐人になったのか?

魔物もどこから来たのかも全く分かってないし、この少女らは極限状態でタイミングよく危なかった時に俺が見つけたって事だな。

俺はシオンに目線を向けるとシオンは頷いて外に出て行った。
今後の方針を姐さんと決めるのだろう。

俺もシオン達の元に向かうべく、少女をソルトに任せて馬車を降りて外に出る事にした。

馬車から外に出る前に俺の頭でスヤスヤと眠るロップを掴んで少女の頭に乗せてソルトに心話で話して、しばらく少女についてあげろと命令した。

馬車から出た俺は真っ先にシオンの元に向かって、さっきは何故少女を引っ叩いたかを聞くためにシオンに近づいた所で、タイミング悪く、起きた商人が姐さんに向かって何かを喚き散らしだしていた。

俺は聞こえる位置まで移動する事にしたが、商人の喚いているのは商人の不満全開の言葉だった。


「とにかく、私はもう元の国に戻ります!
貴方達にはついて来て貰わなくてもいいですから!私の雇った冒険者のみで結構です。

もう、イカれた冒険者には雇うのは辞めた事を伝えてるんですから、私の事は放って置いて下さい。
ほら、私が雇った冒険者達よ行きますよ!」


商人は急かす様に冒険者達に声をかけて、自分の馬車に乗り込んで出発しようと馬車の手綱を掴むが、馬は動くどころか、その場に座り込んでしまった。


「何勝手に一方的に話して行こうとしているのよ。
他の町や王都に腐人の事を伝えにいくんじゃないの?
イカれた冒険者って、あたし達の仲間のミーツちゃんの事を言っているのよね?」


姐さんは静かに怒って商人の馬車を睨みながら、商人の元に近づいて行くと、商人は突然泡を吹いて倒れた。


「あーあダンクの奴、威圧と殺気を使ったな」

シオンが商人の倒れた原因を教えてくれたけど、殺気は分かるが威圧?威圧なんてそんな簡単に出せるのか?


「なぁシオン、殺気は俺にも出せるが威圧なんて自在に出せるのか?」

「出せるぞ。ダンクくらいの奴になれば簡単だ。馬には威圧で押さえて商人には殺気で気絶させたんだ。俺も少しなら威圧を出せるぞ」


シオンと威圧と殺気の話しをしていると、姐さんが商人の服を掴んでズルズルと引きずりながら、俺達の元にやってきた。


「あまりにも酷い言動だったから、気絶してもらったわ」

「あ、ああ、それで良いと思うよ。それでこれからどうするんだい?」

「そうね。近くに他の村や町があれば行かなきゃいけないわね。
場合によっては王都にも寄らなきゃいけないかも知れないわね」


王都か、どこの国の王都でも行きたくないんだけど、この場合はそうとも言ってられないか。


「じゃあ姐さん、他の町や村は何処にあるんだい?」

「それを商人に聞くのよ。
その為に気絶させたんだから」

「なるほど、ならサッサと起こして聞き出すか」

俺は早速水の塊を想像魔法で宙に浮かせて作り、気絶して寝そべっている商人に水の塊を落とした。



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