底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第5章

第7話

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第7話

 ガーダンとシーバスとの殴り合いが終わったあと、俺が抱きかかえているうさ耳の幼女については不問とされた。
しかし、ガーダンが率いるファミリーの全員からは思いっきり睨まれている。

【あ・る・じ・様~~~】

 そんな彼らに睨まれて気まずい雰囲気の中、聴き覚えのある声が空から聴こえて空を見上げたら、顔面にロップの身体が落ちてきて首を痛めた。

「あ、何かを忘れていると思ったらロップ、お前とジーラントのことを忘れてたよ。それで、ジーラントは何処にいるんだ?」
【あの人間なら、この先の森の中に捨ててきた】
「はあ?捨てたって、まさか殺してないよな?」
【うん!死んでないよ。森の木に引っ掛けてきたから】
「おっさん、何でおっさんの使い魔だけ戻ってきたんだ?ジーラントは無事なのか?殺したりはしてないよな?な?」


 ロップだけが戻ってきたことにより、ガーダンは不安になったのか、恐る恐るジーラントの安否を聞いてきて無事であって欲しそうだが、流石にロップもそう簡単に俺が許可してない人を殺したりはしないだろうと、未だに顔面にへばりついているロップを剥がしてジーラントの安否を聞いた。

【うん。だから死んでないってば!もちろん殺してもないよ。でも森に魔物やその子の仲間がいたから今はどうなんだろ】

 ロップは俺が抱いているウサギの獣人の子を指して、森にウサギの獣人がいたことをそのままガーダンに伝えたら、彼は膝を地に付いて四つん這いになり、呆然となった。


「嘘だ嘘だ嘘だぁぁぁ!俺の大事な仲間で、うちの最強の男がそう簡単にくたばるわけがない。
なあ、おっさん、嘘だと言ってくれよぉ」
「ガーダン、俺はミーツさんの使い魔がそう簡単に、俺の弟でもあるジーラントを殺すとは考えられない。大体ミーツさんがそれを許さないだろう。だから、一緒に捜しにいこう!
ミーツさん、俺の弟は生きているのだろう?」

 シーバスはガーダンの両肩を掴んで落ち着かせ、自分の弟であるジーラントの安否を聞いてきたものの、俺もロップの言うことしか分からないため、聞いたことをそのまま言った。
 ただ、分からないだけで生きてる可能性は高いと思うと付け加えた。

 ガーダンの仲間たちからは、ペットのしでかしたことは飼い主の責任だとか、飼い主が責任を取れだとか、分からないとか無責任だとか色々言われ、確かに俺の使い魔であるロップがやった事とはいえ、ロップがジーラントを竜巻を使って連れて行く前のジーラントは、武器を構えて俺を殺す気でいたため、ロップがしでかさなくても、俺と戦っていたら俺かジーラントのどちらかが大怪我をしていただろうということを、ガーダンの仲間たちに言っても、多勢に無勢というもので、俺が何言っても俺が悪いという方向にしかならず、諦めてロップが置いてきたという森にロップの指示の元、逃げるように行くと、後ろから逃げるな、責任取れ、など声が聞こえてきたが、そんな声を一蹴するかのようにガーダンが声を張り上げた。


「お前ら黙れ!俺もだがジーラントもおっさんを殺すつもりで武器を構えたんだ。そんな状況下でおっさんの使い魔が取った行動は間違いではないだろう。兄であるシーバスがおっさんを責めるならまだ許せるが、俺たちが責めるのは間違っている!それにおっさんが言うように、生きてる可能性が高いんだ!だったら俺たちが信じるしかないだろが!」


 逃げるように走ったところで、シーバスの激励により復活したガーダンは、声を張り上げて仲間たちを一喝して、足を止めた俺に向かって彼は頭を下げてきた。

「おっさん、俺の仲間たちが済まなかった。
俺はジーラントの安否の確認をしにおっさんと共にいく、その間お前らは、ここで俺たちと入れ違いでジーラントが戻ってきたときのために待機しておけ!」


 ガーダンは小走りで一人の仲間を引き連れてやってきた。その仲間とは関所の街で陰陽術的なことをやった紙切れで鷲を作って飛ばした者で、彼を連絡係として連れ行くようだ。
 俺とガーダンらが走り出すと、それを追うようにシーバスとアマにアミも追いかけてきたが、彼女らは俺たちどころか、シーバスにすら追い付けずに次第に離されて行く。
 彼女らは待って~っと言いながら、走っている俺から見て豆粒くらいになったころ、面倒だと思うも放ってはおけないと思って、立ち止まると俺の背後を走っていたであろうガーダンが体当たりしてきた。

「おっさん大丈夫か?急に立ち止まるなよ!おっさんが何も言わずに立ち止まるから悪いんだぞ」

 ガーダンの体当たりによって数十メートル弾き飛ばされ、近くの木に打ち当たって視界が反転したとき、ロップが頭から離れて小さな羽でパタパタと飛んで俺の顔面に着地した。
胸に抱いているウサギの幼女はしっかりと守るように抱いていたため、驚いた表情をしたまま固まってしまっている。


「うん、分かってる。これは俺が悪いね。車で前後に並んで猛スピードで走ってるときに、前の車が急ブレーキを踏むようなものだしね。
俺たちを追ってきているシーバスにアマとアミが置いて行かれてるから、ちょっと待ってあげようと立ち止まったんだけど、シーバスは追いついたね。直ぐに追い付くからロップ、ガーダンを案内してやってくれないか?俺はアマとアミを連れて行くからさ」
【主様、あの小娘なら放っておいても、きっと大丈夫だよ】


 俺が彼女らを迎えに行くと言うのに、ロップはそっぽを向いて爪を頭皮に突き立て、俺の頭から降りるのを拒否した。

「おっさん、おっさんの使い魔はなんだって?
俺を先導する気がないように見えるんだが」
「うん。嫌なんだって、だからアマとアミが追い付くまで待ってようか」
「おっさん!俺たちは良くてもジーラントが手遅れになっちまうかもしれねぇのに、悠長に休憩なんかしてられねぇぞ!」


 確かにガーダンの言う通りだと思い、今度はロップに命令するように案内を頼むと、ロップも仕方ないといった感じで頭から飛び降りてガーダンを先導して走り出した。
 見た目に反して素早く走るロップにガーダンは驚き、少し呆然としたものの、呆然としたガーダンの背中を一緒に連れてきている仲間が軽く叩いて正気に戻し、二人でロップを追いかけて行った。残った俺は、シーバスが息を切らしながら彼らを追いかけて行くの見送ったのち、彼女らの元に瞬間転移し、彼女らの身体を片手づつ抱きかかえて脇に挟んで再び元の場所に転移して戻った。
 胸に抱いている幼女は、俺の胴体にいるアッシュに落ちないように支えてもらうように頼んだ。

 直ぐに戻ってもガーダンはおろか、シーバスすら見当たらなくどうしようか悩むも、この場で悩んでいても仕方ないと思い、周りの木々より高い場所まで飛び上がって辺りを回したら、木々の間に人の姿が目に入ったことにより、森に突っ込んで入ると、背後からだが、白髪の男性らしき者が気を失っているジーラントに膝枕してあげている姿があった。

「ええっと、そこの人は俺の知り合いだから渡して欲しいんだけど」
「え!その声はまさかーー」

 声だけ聴く限りでは誰なのか検討もつかないが、俺の事を知っているのか、勢いよく振り返って顔を見せたその姿は、白髪だが見覚えのある男で、俺と同じく転移召喚で巻き込まれた一般人であるシロだった。

「やっぱり!ミーツさんだ!
うわあぁぁぁ!ミ~~~ツさ~~ん」

 シロは膝枕していたジーラントから離れて、涙をボロボロと流しながら抱きつこうとしてきたものの、胸には幼女がいるため彼の顔を張り手してしまった。そのときに両脇に挟んだ彼女らを手放して地面に落としてしまい、彼女らから怒られてしまった。

「あー、なんかごめん。久しぶりだけど、その頭はどうしたんだ?」
「ゔゔゔ、わあぁぁぁん」
「えー、なになに、おじさん何泣かせてんのお?きっと、感動の再会なのにおじさんが叩くから泣いちゃったんだよ。で?で?この人って、おじさんの昔の彼氏?」
「もうアマ!茶化しちゃダメだよ。私たちは離れてようよ。ジーラント兄様の様子を見てよう?」
「うーん、気になるけどしょうがないっか」

 彼女たちは気を失っているジーラントに駆け寄って、ジーラントを介抱している。
 シロは頰を摩りながら泣いているが、しばらく落ち着くまで泣かせたあと、彼は涙を拭って落ち着いて自分から話だした。

 彼の話を聞いてみたら、クリスタル国を出たあとすぐに盗賊に遭遇するも、恋人に裏切られて盗賊に売られたらしい。そして売られた盗賊によって男娼として慰み者として身体を弄ばれ、奴隷としてどこかの奴隷市場に売られたらしい。
 奴隷市では男好きの変態商人に買われ、変態商人に色んなことを仕込まされて、この国まで連れてこられることになったものの、魔物に襲われて商人と護衛団が殺され、彼自身も殺されると思ったそのときに、獣人に助けられて今は獣人と共に生活しているみたいだが、その獣人が全く見当たらないことに不思議に思い、一緒に生活している獣人がどこにいるのかを聞いた。

「ああ、それはですね。あの男の人が木に引っ掛かってたのを下ろしたあと、人の気配を察知して隠れちゃったんですよ。僕も何処にいるのか分からないんですけど、向こうからしたら、僕らは見えているんだと思います」
「へえ、そうなのかい?獣人はこの子以外でまだ見たことないから、会ってみたいんだけど、無理そうかな?」
「それは僕でも無理です。現にミーツさんと再会してこうして話しているのに、出てきてくれないんですから」
「それもそうか、それなら仕方ないか。
俺もあそこで伸びてる男を連れて帰らなきゃいけないから、用事が終わればここを離れるよ。
よかったら一緒に来るかい?」
「いいえ、ミーツさんと再会できたことは嬉しいんですけど、一緒に行くことは出来ないです。
獣人の皆さんに助けてもらって、恩義があるんでせめて恩を返すまでは行けません」


 彼はまっすぐに俺を見つめて断った。
 先程まで顔をぐしゃぐしゃに鼻水まで垂らして泣いていたのに、凄い変わりようだと思った。

「こ、このウサ公が、どこまで行くんだあ!」

 彼と話していると、ガーダンの疲れたような声が聞こえたと思ったら、俺に向かって走ってくるロップに、それを追いかけてくるガーダンとその仲間の姿があった。シーバスがいないところをみると、途中ではぐれて置いてけぼりにされたのだろう。


「ゼーハーゼーハー、お、おっさん!
おっさんが俺よりも先になんでいるんだよ!
って、ジーラントいたあああああ!」

 ガーダンはアミとアマに介抱されているジーラントを見つけると、森中に響き渡るくらいの声を張り上げて、彼女らを払い退けてまでジーラントに駆け寄り、気を失っているジーラントの身体を激しく揺さぶった。

「ちょっ!ガーダン兄ちゃん!そんなに激しく揺すったらジーラント兄ちゃん死んじゃうよ」
「んー、もう煩いなあ。良い夢を見てたのにって、えっ!ガーダンさん?え?なんで?って此処は?」

「あ、ジーラント兄様起きられました?
兄様はミーツさんの使い魔である、ロップちゃんに飛ばされてここにいるんですよ」
「そっかあ、だからあんな良い夢を見られたのかあ」
「兄ちゃん、どんな夢を見たのか気になるなあ」
「それは幸せな夢だったよ。ロップちゃんと一緒に空を飛ぶ夢なんてさ」

「ジーラントよ。起きて早々に悪いがもう行くぞ。俺たちはミーツのおっさんに負けたんだ。
正確にいえば、おっさんの使い魔にだけどな。
ちょうど、一緒に連れてきた仲間が追い付いたな」
「ガーダンさん、また負けちゃったんですね。
はあ、ロップちゃんと別れるの辛いなぁ」
「何が辛いだ!元々嫌われて触られなかったじゃねえか」
「ガーダンさん、連絡終わりました。
仲間たちは先に目的地に向かっています。
もちろん弟さんのガガモも連れて行っているようです」
「ん、分かった。おっさん、途中まで一緒に行くか?近くの街までなら案内してやる」
「いや、いいよ。こっちにはシーバス兄妹がいるし、なんとかなるでしょ。それに久しぶりに会った友人もいるし」
「そうか。じゃあ元気でな!次に会ったときは敵同士になってないことを祈ってるぜ!敵なら敵でそれは楽しそうだけどな!
それと、俺がこんなこと頼める義理はねえけど、右目と右手がない猿の獣人を見つけたら知らせてくれ、それが俺の親父の仇だからよ」

 ガーダンは笑いながら起きたばかりのジーラントを背負って、仇の獣人の特徴を教えてくれ、連絡用にと折り鶴を手渡してきた。
 使用方法はシーバスに聞いてくれやと言って、瞬く間に走り去って行った。
 彼らが去ったあとしばらく、シロと話していたら草木の影から、ピンっと立ったウサギの耳が出てきた。

「やっと出てきた。今、僕がお世話になってるウサギの獣人さんたちです」

 今までこれだけ何処に隠れていたんだと思うほど、ゾロゾロとウサギ耳の獣人が現れた。
 男も老人も全てがウサ耳で、色も白だけではなく、髪と同じ色のウサ耳で、この世界にきて初めての人以外の種族を見て感動した。
 ちゃんと、後ろには触りたくなるほどの、尻尾も服から出ている。

「私の子供を助けてくれてありがとうございました」

 沢山のウサ人の中から若い男女が近寄ってきて、俺の胸に抱いている幼女に手を差し出して、幼女を抱きかかえた。よく見ると、草陰の中から沢山の子供たちが俺をじっと見つめている。

「それはいいんだけど、なんでここからあんなに離れた場所にその子はいたのか聞いてもいいかな?」
「はい、それは美味しそうな不思議な匂いに誘われて、兄妹たちと行ったのですが、この子だけ見つかって捕まったのだと他の子たちに聞きました。まさか獣人殺しのパーティがいたとは思いませんでしたけど、本当に助かって良かったです。
あの獣人殺しは無差別に獣人を殺しますので、助けに出て行きたくても出られなかったのです」


 つまりは、俺が昨夜と今朝に作った料理の所為だということに、気が付いたものの、彼女言う獣人殺しという言葉が気になった。

「獣人殺しというのは、先程までいたガーダンたちのことで間違いないのかな?」
「はい、間違いないです。これまで数多くの仲間の子や友人たちが、獣人殺したちによって殺されてしまったのです」

 あの幼女を痛めつけて、殺そうとしていたガーダンたちを思い出すと、そんなの嘘だと言えないが、この話を聞いているシーバス兄妹は口に手を当てて、そんなバカなこと信じられないと言っていて、彼らにとっては兄弟にあたるジーラントがいるから、信じられない気持ちは無理のないことだ。

「ミーツさんは、これからどこに行くんですか?
行き先にもよりますけど、行き先の方角が一緒なら、途中までよかったら僕らと一緒に行きませんか?」

 獣人たちを見ると、俺のことは受け入れてくれるみたいだが、シーバス兄妹のことは睨み、剣を構えている者もいて、明らかにシーバス兄妹を警戒し敵対意識を持っているようだ。
 流石に俺に付いてくると言ったシーバスたちを置いて、獣人に付いていくわけにはいかず、シロの提案は断って、シーバスたちと行くと言うと、アミとアマが俺の両脇に抱きついてきた。

「おじさん、やっぱり私のこと好きなんだね。もうアミと一緒にお嫁さんになってあげるよ」
「もう!アマ!なんてこと言うの!」
「あれ?アミはおじさんのこと好きじゃないの?
じゃあ私だけでいいから、おじさんのお嫁さんにしてよ」
「べ、別にミーツさんが嫌とかじゃなくて、ミーツさんが嫁に来いとか言えば行くけど…。ってそうじゃなくて!ミーツさんが何も言ってないのに勝手に決めちゃダメ!」
「ううう、俺の妹たちがミーツさんに取られちまった。俺はミーツさんならまだ許せるが、親父とお袋になんて言えばいいんだ」

 勝手に盛り上がっているシーバス兄妹に呆れながらも、二人を嫁にする気は絶対にあり得ないことを伝えると、アマは冗談に決まってるじゃんと軽く受け流したものの、アミは何故かショックを受けているように見えたが、多分気の所為だろう。シーバスはアマの冗談という言葉にホッとしているようだ。

「あははは、やっぱりミーツさんと一緒だと楽しそうですね。仲間想いなのは変わらないし、やっぱり僕もミーツさんと一緒に行動を共にしたいですから、ちょっと話をして来ていいですか?」
「それは構わないけど、ウサ人たちに恩義があるから行けないってさっき言ってたけど、ちょっとの話し合いで解決するのかい?」

 彼はウサギの獣人たちのところに駆け寄り、ボソボソと話し合っていたら、彼と獣人たちが抱擁しだして、獣人たちは彼を残して森の中に消えていった。

「ふぅ、これで僕は完全に自由の身となりました。と言っても、別に彼らに囚われていた訳じゃないんですけどね。
ミーツさん、これからよろしくお願いしますね。あと、今更なんですけど、彼らの呼び方に一言言いますね。まだミーツさんは子供の命の恩人だから何も言いませんでしたが、彼らはウサ人と呼ばれると凄く嫌います。
だから今後、彼らのようなウサギの獣人と出会うことがあれば兎人(とびと)と呼んであげて下さい」

 彼の言うことに頷いたら、森の中に消えたはずの兎人の親子が現れて、俺が保護していた幼女だけが近付いてきて、何か言うことがあるのかと思い、俺もしゃがんで近づいてくる幼女を迎えたら、ギュッと抱き付いて、親も俺に握手を求めてきたことで握手したら、今度こそ森の中に親子揃って消えて行った。



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