底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第5章

第23話

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第23話

「ミーツの旦那、うちの旦那様のせいで迷惑かけたね。ヤスドルは今よりもっと強くなって帰ってくるんだよ!」

 村中の鬼人たちに謝って、出発の準備をしていたらあっという間に昼頃になってしまい、急いで出発をしようと村の入口付近に来たら、ドズドルの奥さんがやってきて挨拶をされた。

「なるべく危険な目に合わせないようにするよ」
「ははは、逆に危険目に遭わなきゃ強くなんかなれやしないよ!じゃあ頑張りなよ」

 ドズドルの奥さんは豪快な性格の鬼人のようで、どんどん危険な目に遭わせてくれと言い、息子を見送る挨拶にしてはあっさりとしたもので、言いたいことを言ったらサッサと走って村に戻って行った。

「じゃあ、今度こそ行こうかね。シロヤマは御者席で案内を頼むよ。ヤスドルは馬車内に乗ってな。俺はブルトに乗るから馬車内は窮屈じゃないと思うからさ。何かあったときのために俺の使い魔たちは、ブルトを除いたロップとアッシュは馬車に残して行くから」

 ヤスドルのパーティ加入については、俺がドズドルと謝りに村を回っているときに、シロヤマが仲間たちに話していたようで、何の問題もなく加入が決定している。彼は馬車内でジッとしているのは性に合わないと言って、馬車には乗らずに走って付いてきた。
 まあ、これも鍛錬になるのかなっと思って、彼の好きなようにさせようと思った。


「ミーツくんに皆んな!意外と時間を取らせちゃったし、ここからは急ぎ目に行くよ!ヤスドルも付いて来られないと思ったら馬車にしがみ付きなよ!」

 時間がかかった自覚があるのか、シロヤマはブツブツと魔法の詠唱を唱え出して、馬に魔法をかけると、馬は涎を激しく垂らしながら暴走しだした。彼女はそんな馬の制御を巧みに操って走らせて行く。

【わあ、速い速い。主さま~、これ追い抜いていい?】
「あー、ブルトが速いのは分かってるから、大人しく付いて行こうな。俺じゃあ道が分からないしね」
【は~い】

 俺とブルトの会話が羨ましいのか、馬車の後方からロップが睨んでいる。アッシュも目が何処にあるか分からないが、アッシュもロップの横にいる所を見るところ、同じ感じで見つめている感じがする。
 そして、シロヤマの案内に付いて行っていると、驚きの連発だ。道なき道を全力で走る馬を操って走らせるのも驚きだが、森の木々がまるで俺たちを避けているかのように動いているように見える。
 それに、時々現れる魔物の対処も中々しっかりとしていた。馬車にはシールドでも張っているのだろうか、馬車を襲いかかろうとする魔物は弾け飛び、弾け飛んだ魔物を外で走っているヤスドルが拳で仕留めてはシロヤマが手持ちのマジックバックに収納している。
 その間、俺も手出しできる時は手を出すが、ほとんど手を出すことがないでいた。


「さあ、あとちょっとで着くよ!ミーツくん!先回りして馬車を止めて!」
「え?俺が止めるのか。まあ、いっか。
じゃあブルト、追い越しちゃおっかね」
【は~い。行っくよー】

 ブルトは本気で走っているのか、走り出した拍子で転げ落ちそうになるも、ブルトの体毛に掴まって踏ん張り、体毛を掴まっていたら、目の前に大きな壁が現れた。だが、ブルトはその壁を垂直に走り出した。
 流石にこのまま走り続けると、馬車を止めることが出来なくなるため、ブルトに止まれと強く言い急ブレーキを掛けて止まった。

 壁を垂直に駆け上がっていたため、止まるともちろんそのまま落ちるのであるが、そこは俺の瞬間転移でブルトごと地面に転移して難を逃れたものの、目の前に馬車が迫ってきていることで、思わず殺気を使ったら、馬は足から崩れ盛大に転倒をした。
 そうしたら、今度は馬が引く荷台が大きく跳ね上がった。次は荷台かと思っていたら、荷台に乗っていた仲間たちが気絶しているのが見えて、彼らをブルトの元に瞬間転移を使って転移させ、最後に跳ね上がった荷台を掴まえようとしたら、唇から血を流すヤスドルが荷台を後方から掴まえてソッと地面に下ろした。


「おお、ヤスドルは気絶しなかったんだね」
「はい、唇を歯で噛んで我慢しました」
「あー、その唇の血はそういうことだったんだね。俺の所為で済まなかった」
「いえ、あの状況だと俺でも殺気を使って、やっていたと思います」
「うん、ありがとね。もし後でメンバーたちに怒られたら味方してもらえると嬉しいかな」
「もちろんです。俺は尊敬する父さんを倒し、その父さんが兄者と慕うミーツさんを俺は尊敬してますから」

 こうして味方を付けた俺は、馬車内に取り残されたのに意識があるロップとアッシュを抱きかかえ、ヤスドルとロップが戦っているのを眺めながら、仲間たちが気が付くのを待つこと数分、最初に気が付いたのはシロヤマで、気が付いて早々に口を開いたのが「やり過ぎだよ!」だった。

 それからは彼女が他のメンバーたちを魔法で起こしていき、全員が揃ったところで改めて説教タイムとなったものの、ヤスドルが俺の前に立ち塞がってくれて、叱るなら俺を倒してからにーー。
と、彼が話し終わる前にシロヤマが魔法掛けて昏睡状態にしてしまって、結局俺は仲間たちから叱られることとなってしまった。

「ミーツさん済みません」

 説教タイムが終わった頃にヤスドルが起き、謝ってきたが、終わったことだしいいよと言っても、彼は落ち込んだままだ。

「ほらほら、ミーツくんが良いって言ってんだし、ヤスドルもいつまでも落ち込まない!それよりダンジョンに入るよ!」

 シロヤマは励ますように彼の尻を叩いて、ダンジョンに入ると言い、杖をマジックバックから取り出して、その杖を目の前の岩壁に翳したら、杖はボロボロに崩れ落ちて無くなった。
 その代わりに岩壁に洞窟が出現し、入口の脇に魔法陣が現れた。

「ミーツくん、ミーツくんの馬車と使い魔ちゃんたちは、先に行ってもらうことになっちゃうけど、いいかな?」
「へ?なんで?」
「うん、なんかね。ペットの動物や使い魔には未知の病原菌っての?がいることが多いんだって、だから主戦力として以外の使い魔は、先に送って検査しないといけないんだって」


 使い魔たちを先に送ると聴いたときは、意味が分からない感じだったが、ちゃんと説明を聞くと、理にかなっているし、ヤマトが日本人だらけの国ってのも頷ける。
 しかし気になる点を質問した。


「じゃあ、もしだけど、俺がダンジョン内で死んでしまったら使い魔たちはどうなるんだい?」
「それはボクにもよく分からないけど、その使い魔たちの環境に適した場所に戻されるんじゃないかな。もしくは殺されちゃうかね」


 彼女の話を聴いて、俺自らティムしようとしてした訳じゃないコイツらは今や愛着がある。
 それを殺処分なんかさせてなるもんかという気持ちになり、俺から離れたがらないロップにアッシュを説得して、ブルトと馬車に乗った状態で魔法陣に乗ってもらい、皆んなで見送りながら転移した。
 魔法陣は人型の種族には無効化のようで、見送る際、アマとアミが魔法陣に足を踏み入れたときに、それを止めるヤスドルもが魔法陣の中に入ったのに、彼女らには反応しなくて馬車と使い魔たちのみ転移された。


「さてと、これからがボクの案内人としての本領発揮だよ。これから長い長いダンジョンだけど、最初は散歩程度だから、皆んな適当に行こうね。
本番は二~三日くらいした後の、中盤くらいからだからね。まあ、その時がきたら言うけど、休められる所が限られるからね。今のうちに、装備の点検とか済ませられるなら済ましちゃって」


 シロヤマはそう言うと、背伸びしたりして準備運動をしだした。他のメンバーたちも交代でトイレに行ったり、使う武器を取り出したりして、準備を行なって行く。俺も使い魔たちが居ないことで、戦力的に任せることが出来なくなり、使う武器については刀だけを取り出して彼女を見習い、ラジオ体操をやって身体をほぐしていく。


「あ、ミーツくんのその動き知ってる。
ヤマトでの爺ちゃん婆ちゃんか、一部の人たちが朝から集まってやってるやつだ」
「そうなのかい?ヤマトでもやってる人がいるのか。まあ、考えれば至極当然だよね」
「え?なんで?ミーツくんはまだヤマトに行ったことないんでしょ?」
「あ、シロヤマには言ってなかったね。俺はこの世界での生まれじゃない。所謂、異世界人なんだ。ヤマトには俺がいた元の世界の転移者や、転生者が沢山いるって聞いているから、この体操もやっている人がいても不思議じゃないってことだよ」
「へえ、そうなんだ。ミーツくんってどっか変わっていると思ってたら、異世界人なんだ。なるほどなるほど、それなら納得だ。なんか異世界人転移召喚っていうんだよね? じゃあミーツくんの膨大な魔力も、この世界に来た時の召喚陣の恩恵なんだね」
「召喚陣のお陰かどうかは分からないけど、訂正させてもらうよ。俺の元々のステータスはこんな感じだったよ」

 シロヤマは一人で納得していて、一応訂正のつもりで最初のステータスを地面に描いたら、それを見たメンバー全員に驚かれてしまった。


「え!ミーツさんって最初はそんなに低かったんですか!そういえば食べるのも困ってたって、最初に言ってましたのって本当だったんですね。
こんなステータスじゃあ、追放もされるはずですね」
「えー!おじさん、こんなに低かったってなんで?意味が分からない。あたしたちの子供の時くらいのステータスだよ」
「ホントホント、ミーツさんってどうやって、今みたいに強くなれたんですか?」
「ジーラントの話を聞く限りだが、確かミーツさんはまだこちらの世界に来て一年も経ってないそうだな」
「ありえない。こんな低くて、父さんに勝てるまでの強さを手に入れるなんて…」

 俺がこの世界に来て、初めてステータスを見たときの数値を見て、それぞれが口々に驚きの感想を述べた。

「まあ、あれから色々あったわけだけど、今は目の前のダンジョンからクリアして、さっさとヤマトに行こっかね。この話は今度、時間がある時にでも話すよ」
「えー!おじさん、今話してよ~。気になるよー!それにこのダンジョンで死んじゃったら、話の続きが聞けないじゃない。そうなったら、おじさんの元に幽霊となって出てきてやるんだからね」
「ほらほら、アマもバカなこと言ってないの!
気になるんなら、余計に死なないようにすればいいだけでしょ。てか、例えボクが死んでも、仲間たちのことはこのダンジョンでは絶対に死なせない!リーダーであるミーツくんの言う通り、そろそろ行くよ」

 アマが俺の話を聞きたそうにしたが、シロヤマがアマを止めて出発することになったものの、彼女が自分が死んでも死なせないと言う言葉に俺は、彼女の頭に手刀で軽く叩いた。


「痛っ、何?ミーツくん」
「シロヤマ、君もも俺の大事な仲間なんだから、自分が死んでも仲間たちを死なせないとか言うなよ。もう一度言うけど《君も俺の大事な仲間》なんだからさ」
「そうだぞ!お前が死んだら、恋人である俺はとても悲しくなっちまうぞ」
「へへ、わ、分かったよ。じゃあミーツくん、ボクが危ない目に遭いそうになったら助けてよね」
「おいって!そこは俺に頼るべきだろうがよ!」


 シロヤマは叩かれた頭を摩りながらシーバスにでなく、俺に助けを求めた。
 それにより、シーバスは彼女に詰め寄って、理由を尋ねるも、恋人とはいえ、本当に危険な状況のときは自分より弱い彼は頼れないことらしく、それでも納得できない彼に話しかけられる彼女は鬱陶しそうに、ほら行くよと彼の手を握ってダンジョンの中に入って行った。






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