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第6章
第32話
しおりを挟む「やっぱ、今日俺帰るわ」
ダンジョンの核に転移後、用務員のNo.1ことワンダーがそう言った。
彼はアマに軽くあしらわれたことがショックだったのか、俺の腕に絡みつくアマとアミのアマだけを見つめては、ため息を吐いた。
「別にいいけど、また明日ね」
「おう。もしかしたら明日は俺休むかもだけど、時間になっても来なけりゃ、休んだと思ってくれや」
「ねえねえねえ、おじさんおじさん。
明日の仕事、代わりにあたしたちも手伝っていい?冒険者として活動するとき、あたしたちは学園は休んでいいことになっているんだしさあ」
「それは名案だねアマ!私、久しぶりにミツルギさんが戦っている所を見たいです!
あのゴブオーガや、暴食竜との戦いを思い出したら胸が熱くなります。
それに、アマと一緒にギルド地下のダンジョンに行ったのに、再会してから私とは行ってないんですからね。アマやヤスドルくんばかりズルイです!」
アミは自分の話す言葉に段々と熱くなったのか、最後の方は強く語った。
俺は彼女の言う通り、二人としか一緒に行ってなかったことを思い出した。
「そうだね。じゃあ、彼が良いって言ったら、俺の手伝いをしてもらおうかね。
先にこのダンジョンの改装からやり始めるから、その手伝いからお願いしようかな」
「は、はい!もちろんです!」
「うんうん。面白そうだしあたしも手伝うよ。
それで、あたしのファンとかいったワンちゃんっだっけ?あたしたちが、おじさんの仕事の手伝いをするの許可してくれる?」
「い、いいけどよ、やっぱアマちゃんたちが明日も来るなら俺も来よっかな」
彼はアマにあんな態度を取られたというのに、彼女が手伝いをしたいという言葉にまだ未練たらたらで、休むことを止めることを口走る。なんとも、彼の彼女を想う気持ちを応援して上げたくなって来た。
「やったー!私、ミーツさんに今の私の実力を見てもらうのが楽しみだったんです」
「アミィ、おじさんの名前間違ってるよお?
じゃあワンちゃん、また明日ね。寝坊したら置いていくからね」
「お、おう」
アミは喜びのあまり仮面時と今の俺の名前を間違え、それをアマに指摘されてしまい、しまった!と咄嗟に口に手を当てたものの、彼は明日アマと一緒にダンジョン探索できるのが嬉しいのだろう、彼女の名前の言い間違いに気付かず、唇の端がやや吊り上げているのを俺は見ていた。
彼は明日のことがあるから早めに休むと、高くなった声でそう言い転移石を使用してダンジョンから退出した。
「なんだか、アマと一緒にダンジョン探索出来るのが嬉しそうだったね。アマもこの際、あの人と付き合っちゃえば?そしたら、私はミーツさんを独り占めできるから」
「え~、嫌だよ。あの人を彼氏にするくらいなら、まだ学園内で言い寄ってくる親衛隊とかの子たちの方がマシだよ。でもでもお、おじさんならアミとあたし、纏めて貰ってくれそうだよね」
「ほらほら、馬鹿なこと言ってないで、ダンジョンの改装をするよ」
彼女たちが面倒なことになりそうなことを話し出したから、ダンジョンの改装を行うと言えば、アミは俺が扱う核を横で見つめ、アマはぶつぶつと「馬鹿なことじゃないのに」と呟いていた。元々使われているダンジョンの核では、俺の構想に耐えられるかどうかが不安なため、俺の手持ちの魔石を使用してみようとI.Bに入れっぱなしの手頃な魔石を取り出してセットする。
「さて、このダンジョンは簡単な迷路で三階層で造られているんだけど、今回はこれを五階層にして、最初の階層はだだっ広いフロアにしようかなって思っているんだけど、どうかな?」
俺が両側で核を見つめる彼女らにそう提案したら、人工ダンジョンらしくて良いと返事があった。それからは、彼女らの提案を聞きつつ五階層まで造った。
一階層はだだっ広いフロア、二階層は複雑な迷路、三階層は罠だらけの階層。四階層も迷路だが、三階層同様の罠だらけの階層にした。
後日、出来上がったときにでも、彼女らも含めた仲間たちに探索してもらおうと考える。
五階層はボス部屋と休憩部屋があるだけの階層。三階と五階以外は、どのフロアも沢山の魔物を配置する予定だ。
五階層まで出来上がった時点で、昨日睡眠をほとんど取れなかったのもあってか、俺の眠気がかなり来ていたことで、今日のところは終わりにして、本日はダンジョンの六階層を臨時で宿のように造って、寝るだけとはいえ簡単に生活で必要な物を配置し、部屋も俺と彼女ら用に別々に作って休んだ。
翌日、目を覚ましたら、俺のベッドの上に彼女らがいつものローブを着た状態で眠っていた。昨夜は彼女らが部屋に入って来て、ベッドに乗って来ていたのは気付いていたのだが、特に俺にどうかするわけでも無さそうであったため放って置いた。自分の寝る部屋のベッドをキングサイズにしていたから、こちらが寝やすいと思って来たのだろうと推測する。
「そろそろ起きなさい。全く、何で自分たちの所で大人しく寝ないんだ」
そう声を掛けて彼女らを起こす。
「ふわあ~、あ、おじさんおはよう」
「ミーツさん、おはようございます」
「全く、俺が部屋の鍵を掛けてなかったから悪いのかもだけど、俺も男で君たちは年頃の女の子なんだから、その自覚を持ってなきゃだよ」
起きたばかりの彼女らにそう説教をしたら、アミは俺に犯されるのは望むところですと返し、アマは俺に自分たちをどうにかする甲斐性がないと笑いながら言った。
「はあ~、俺も一生の人生のうち半分は生きてる男なんだけど、まだまだ性欲は枯れてないんだぞ。その気になれば、ほらこうすれば抵抗出来ないだろ」
まだ笑っているアマにそう言いながら、指パッチンで音を鳴らして、想像魔法でベッドから木の蔓が彼女らの手足を拘束するようにした。
「きゃあ、ああ、今、この時を持って私はミーツさんに初めてを奪われるんですね。
私はこんな拘束なんて使わなくても、いつでも大丈夫です」
「もう!おじさん!おじさんがそんな気がないのは知ってんだからね!それにアミ!
アミも今のおじさんのこと名前間違い過ぎ!
今のおじさんはミツルギで仮面の状態がミーツだって言ってたじゃん」
拘束された状態なのに、このような反応をするアマにため息が出た。アミはそのうちになと返したら、嬉しそうにいつ?いつですか?と聞いてきたから、そこはまだ分からないとだけ返して、二人の拘束を解いた。
「それで、なんで俺のベッドに潜り込んでいたんだ?」
「うーん、アミが行きたいって聞かなかったから」
「だって、他の人たちが居ない状況だったし、何もしなくても一緒に居たかったから」
彼女の返答に一瞬胸がキュンと高鳴り、仕方ないと今回の事は許すも、次回からは潜り込むようがないようにと注意だけして置いた。
そうしたら嬉しそうに「はあい」と語尾にハートマークが付いていそうな返事が返って来た。
彼女らと話していたら、待ち合わせの時間に近付いていることをアマに指摘され、身支度を急いで終わらせて転移でダンジョンの核がある部屋に行き、六階層はとりあえずのところそのままにしておいて、外に出ると既に彼はソワソワした様子で待っていた。
服装は昨日までは革の鎧を着ていたが、今日は鉄に模様が入った少しオシャレを意識したような鎧を着て、昨日は持ってなかった大きな盾を背中に担いでいた。
「ワンちゃん待った?おはよう」
「今日はよろしくお願いします。ミー、ミツルギさんの足を引っ張らないで下さいね」
そう彼に話す彼女らに彼は、ぎこちない態度で今日はよろしくお願いします!と大きな声で礼をした。
それからは、幾つかのダンジョンで彼はアマに良いところを見せようと、背中に担いだ大楯で守ろうとするも、彼女らが前に出て杖やメイスで魔物を殴り倒したり、遠くに見える魔物に魔法で倒したりして彼の見せ場が全く無く、彼の意気込みは空振りで終わりそうである。
ついでに俺も、何も出来ずに完全に彼女ら二人でのダンジョンの調査でリストに載ったところを午前中だけで十ヶ所ほど回っていき、昼頃にはそれぞれ分かれても大丈夫と判断したアミが、俺とアミ、彼とアマで分けて行動しようとの提案したものの、流石にアマもこれには反論。
彼女も俺と組みたいと言い出して収拾がつかない状況になって、最初から落ち着いて話し合った結果、分かれて行動するのは止めて、午前中と同じように皆んなで回ることに決定した。
「はあ、無駄な時間を要したな」
「ホントだよ。アミがくだらないこと言い出したから、こうなったんだよ」
「だって、あの人アマのファンだから、どうせなら分かれて行動した方が効率がいいと思ったんだもん」
俺の独り言にアマが答え、アミが最後にそう言ったことで、口論が再開しそうになったことで、二人の頭に軽くチョップして強制終了させた。だが、この分かれて行動するのがダメになって残念がっているのがもう一人。
それは、もちろん用務員のNo.1ことワンダーだった。
彼もアマと組んで二人っきりでダンジョンに行けるのではと、期待に満ちた表情を彼女らの口論を見聞きをしていたのだが、結果元の四人行動にあきらかに残念に落ち込んだ。
「はあ、ミー、ミツルギさんとダンジョンデートがしたかっただけなのに」
そう小さな声で呟くアミに、単にデートがしたかっただけなのかと思って、彼女にしか聞こえないように耳元で今度は二人っきりで何処かに行こう。そう伝えたら、耳まで真っ赤になった彼女が恥ずかしそうだが、嬉しそうにニヤけて俯いた。
そこからの彼女の活躍は凄まじいものだった。用務員の上位に渡されたダンジョン調査リストは、全部で百ヶ所ほど。
他の用務員たちも調査して残り二十だったが、残り全部のほとんどをアミとアマで終わらせた。巨大な迷路になっていたところは流石に俺が手伝ったものの、アミは魔物を見つけると誰よりも先に動いては倒していってサクサク終わらせた。
中でもゴブリン王やゴブリン女王が普通の敵として出現していたダンジョンがあった難易度高めのところでも、魔法で殲滅して屠る姿は美しかったが、笑顔で杖で撲殺して行く姿は少し怖かった。
最短で五階層ほどの一つのダンジョンを攻略した時間は十分ほどで終わらせたのだから、脅威的な速さである。
俺が彼女に言ったデートという単語が、彼女のヤル気に火を付けた形になったようだ。
思い返してみれば、彼女と正式に付き合うとなってからというもの、デートはおろか、恋人同士が当たり前にするようなことを一度もしてなかったことに反省する。
「ふう。もうそろそろ、このダンジョンも終わりですね。ボスはゴブリン王と女王に加えてオーク王と女王みたいですから、サクッと倒しますね」
そう彼女は言ったが、流石に今日一日ほとんど働いてない俺とワンダーで戦うことにする。
「いや、流石に今度は俺たちが戦うよ。
今回は休んでな。これまでお疲れさま。助かったよ、ありがとね」
そう彼女たちに言えば、アマは胸を張って偉そうにじゃあ任せたよ。と言い、アミは疲れてないから手伝いますと言ってくれたものの、これを倒せば俺たち用務員が調査する仕事が終わるため、さっさと終わらせて皆んなで打ち上げをしようってことで引っ込んでもらった。
「さて、No.1これをどう倒すか算段はあるかな」
「俺たちだけって、今まで通りお前の仲間であるアミちゃんにお願いすればよかったんじゃねえかよ。俺一人じゃあ、ゴブリン王も女王も相手にするのは無理だぜ」
彼は今回も彼女らが倒すと思っていたようで、俺たちで倒すと言った時から、顔面蒼白な表情をしていたから、彼にどう倒すか聞いたのだが、彼の答えは思った通りの答えだった。
ここは、このダンジョン街に来てから一度も使って来なかった二本の魔剣を使おうと、I.Bから焦熱剣と凍結剣を取り出した。
【おうおうおう、お前さんよ。
こんな雑魚相手に俺様を使う気かよ】
【全くですよ。そこは私様も焦熱に同意します。ですが、今後も私様を優先して使っていただけるのでしたら、嫌々ですが私様が屠ってさしあげましょう】
【んだと凍結ゴラァ!お前さんよ、そんな条件付きでしか動かねえ奴の言う事聞くんじゃねえぞ!】
二本の魔剣を出した途端に喧嘩を始めるのには、正直頭が痛くなった。
幸いにも彼らの声は、俺にしか聞こえてないからいいのだが、これが他の人にも聞こえてしまったと思ったら恥ずかしくて仕方ない。
俺の二本の魔剣を見た彼は、凄く驚いた表情でフワフワと浮いてある剣たちを見つめている。
「おい、お前。こんな凄い剣を持っていたのか。魔力の感知が低い俺でも、コレの凄さが分かるぜ」
俺には見慣れた光景での剣たちだが、他の人から見れば凄い魔剣に見えるようで、彼が剣に近づこうものなら、熱気と冷気で手を焼き足を凍らせた。
流石にこれはやり過ぎだと剣たちを叱るも、剣たちは俺と剣が認めた人間にしか触られるのは我慢ができないとのこと。
彼が近付く直前までは散々口喧嘩をしていたのに、こういう時は意見が一致するのだから、似た者同士なのが行動で分かる。
彼の手足は俺の魔法で治療し、俺の仲間たちに良いところを見せたいと言って、渋々焦熱剣も納得してもらった。
納得した焦熱剣が動いてからは、本当に一瞬で終わった。渋々納得した焦熱剣も、フロアを埋め尽くすほどのゴブリンとオークを一振りで殲滅したのだ。焦熱剣の一振りで熱波の衝撃波が起こり、フロア中にゴブリンとオークの焼け焦げた臭いが立ち込み、ワンダーは嘔吐し、アマとアミは口にローブを当てて具合悪そうにしている。
今の一振りでかろうじて生き残った、小さなゴブリン女王が新たなゴブリンを召喚して行くものの、今度は凍結剣による冷気による寒波で生き残ったゴブリン女王も、徐々に凍らせて今度こそ全滅させた。
凍結剣による寒波によって、フロア中に立ち込めていたゴブリンが焼かれた嫌な臭いも消え、所々に燃えていた箇所も消えた。
「なんて威力だ。確かにこれだけの武器だったら、ゾンビごときに気軽に使えねえわな」
「フフン、おじさんの実力はもっと凄いんだよ。なんてったって、あたしたちの為だけに一人であのチンカスと戦って勝っちゃったんだから…むぐぐ」
「もうアマのバカ!それ言っちゃダメだって!」
「へ?チンカス?あのヤマトの闘技場で、アマちゃんところのリーダーが戦った元チダンカダスのことか?」
ワンダーが俺の魔剣たちに独り言のように呟いていたら、アマが闘技場で戦ったのが俺だとバラした。咄嗟にアミが動いて口を塞いだものの、最後まで言ってしまってからだった。
それにより、彼は座り込んで俺を見上げた。
「ほ、本当なのか?お前がミーツで、あの子たちのリーダーなのか?」
「あーもう!こら、アマ!こっちに来い」
「えー、ヤダよ。今のおじさん、絶対拳骨かデコピンする気だもん」
「今回はアマが悪いんだから大人しく行こうね」
「ちょっと!アミ離れてよ。ヤダヤダおじさんの元になんか行きたくない」
彼女たちの行動で誤魔化しが出来ない状況に、バラしたアマに拳骨をしようと呼ぶも、彼女も俺の態度に察知して俺の元に行こうとしなかったが、彼女を後ろから捕まえているアミによって俺の元に連行されて、拳骨は流石に止めてデコピンだけで済ませた。
彼女は涙目で額を触りながら彼に指を差して、今日あった事と今の話は他言無用だと言うも、彼は俺を見上げたまま呆然としていた。
「ま、マジかよ。お前がミーツなのかよ。
思い返してみれば、あの唯ならぬ殺気、棒切れ一つで魔物どもを倒すだけの実力、最後に彼女たちがこれだけ慕うのも、お前がミーツだからなのか」
「あー、やっぱり誤魔化せないかあ。
なんとか誤魔化せないかなって考えてみたんだけど、もう無理みたいだね。そう、俺が君があれだけ自慢してホラ吹いていたミーツだよ」
俺はミーツ時の仮面を装着して見せた。
「ははは、ヤマトにまで観に行ったときの闘技場で見たヤツそのままじゃねえかよ。
凄えな、体型までスマートになってやがる。アマちゃんが他言無用って言ったけどよ、俺がいくらミーツがお前だって言ったって、誰も信じねえよ。そもそも、他の誰かに話すつもりもねえけどな。
だけどよ、その代わりと言っちゃあなんだけどよ、本当に俺のダチになってくれねえか?ミーツとしても、お前個人のミツルギとしてもよ」
彼はそう言って立ち上がって、握手を求めるように手を差し出した。
彼と友人になって大丈夫なのだろうかと、少し戸惑ったものの、彼の手を握ったら、笑顔になってハグをしてきた。
そのことで、アミが動いて彼と俺を引き剥がして彼の代わりに彼女が抱き付いた。
「ああ、ミーツとアミが恋人同士って本当だったんだな。彼女がお前ばかりを恋人と接するみたいにするもんだからよ、てっきり彼女はミーツではなくて、あんたと付き合っているんだと思っちまったぜ。ミーツとアミが付き合うなんて結局噂でしかないんだってな」
「私はミーツさん一筋です。噂でもなんでもないです。私は普段から言い寄ってくる人も、友だちにも、ミーツさんと付き合ってるって言ってます」
「俺もその噂はなんとなく聞いたことあったけど、アミが周りの友人たちに流したんだね」
「はい!それでも未だに私に告白してくる人が絶えないんです」
「そうか、それなら近々二人っきりでデートでもして、皆んなに見せつけないないといけないね」
「はい!」
彼女は嬉しそうに返事をし、こうして俺たちの調査及び破壊のダンジョン探索は終わり、ダンジョンから出て地上に上がった俺たちを出迎えたのは、用務員のNo.0を筆頭に見覚えのある用務員たちが待っていた。
「お疲れさま、君たちが一番多くのダンジョンの調査と破壊をしてくれたね。報酬は期待してていいからね」
No.0がそう言うと、他の用務員たちも拍手をしながらお疲れさんと次々に言ってくれた。
「おい、その子たちって撲殺姉妹じゃないか?」
「うわ!ホントだ。凄え、なんでNo.1とのコンビと一緒にいるんだ?」
「普段からミーツと仲が良いって言ってたのって本当だったのか」
彼らがアマとアミの姿を見つけて、ざわめきが起き、俺たちと彼女たちが一緒にいるのが不思議そうで、それぞれが思い思いに口にした。
地上に上がる前に仮面を外していて良かったと思いながらも、ヘタに口を出さずに黙っていた。
「へへへ、そうなんだぜ。俺とミーツはマブダチなんだ。それに、このおっさんも彼女たちと同じパーティの仲間だから、彼女たちが手伝ってくれたんだぜ」
また彼が余計な事を話しだしたと思ったら案の定、俺の見る目がおかしな感じになって、今波に乗ってるパーティに寄生してるヤツだとか、なんであんな冴えないおっさんがあのパーティに?とかのヒソヒソ話が聞こえてくるも、ワンダーがそのヒソヒソ話をしている者たちに喝を入れた。
「お前らうっせえぞ!このおっさんもなあ、ミーツと同等の強さを持ってんだぞ!
俺はミーツともこのおっさんともダチなんだ、ぐだぐだ言う奴は堂々と前に出ろや!」
彼がそう言ってくれたのが意外で、彼の態度にヒソヒソ話をしていた者たちも黙った。
「さあさあ、お疲れさまってことで後日、宴をしますよ。会場はこのダンジョン街のいつものところで行いますので、今回冒険者を雇い、ご一緒に探索された方もいますが、その冒険者の方々も一緒に参加可能です。
日程については、明後日にしますので時間はいつも通りです」
No.0が皆んなが黙ったのを見計らって手を叩き、そう言った。
会場とは何処だろうとワンダーに聞いたところ、大人数が入れる立食型のビュッフェらしい。 アマとアミに行くかどうかを聞くまでもなく、アマは行きたいと言い、アミは俺が行くならと俺の腕に絡み付いた。
宴の会場は明後日ってこともあって、この場にいる関係者らは、まばらにバラけた。
そして、宴となる日が来た明後日まで改装中のダンジョンのことをアミとアマでやっていたら、一瞬でやって来てNo.1ことワンダーとダンジョン街で待ち合わせして、会場に向かった。
会場に向かっていると、見覚えのある用務員たちが所々に見かけると思ったら、用務員らはそれぞれ冒険者を雇ってダンジョン調査をしていた人が多い印象である。
俺と最初に組んでいたNo.10も、三人組の冒険者とNo.998と一緒の談笑しながら歩いているのを見て、皆んな誰かしらの手を借りて調査をしていたことを知り、これなら早くにパーティの誰かに声を掛ければ良かったと思いながらも、ワンダーと彼女らと他愛もない会話をしながら会場に着いた。
会場はこじんまりとした日本家屋の平屋の一軒家といった感じだが、ここはダンジョン街。
見た目と中身が同じとは思ってはいけない。
家に次々へと着いた順で入って行き、俺たちの番になって家の中に入ったら、玄関は普通の日本家屋の玄関、靴は履いたままで大丈夫のようだが、日本人だからか日本家屋の玄関で土足だと違和感しかないが仕方ない。
玄関を過ぎて廊下に足を踏み入れたら、急に天井が高く廊下の道幅が広くなった。
この街ではこれが普通であるため、特に驚く事なく先に進んで行ったら、大きなフロアの所々に長テーブルに並べられた料理や酒の数々に空腹の腹の音が周りにも聞こえる音で鳴った。既に入って行った者はそれぞれ、自分の食べたいところに行って、談笑しながら食べていた。
「おじさんのお腹の音が凄いね」
「ふふふ、ミツルギさん私たちも早く行きましょう」
彼女たちに手を引っ張られた瞬間、彼女たちも小さな音で腹が鳴った。
これには流石のアマも恥ずかしそうに腹を押さえ、俺の手を離して先にテーブルの方に向かった。アミも耳まで真っ赤になって俯いたものの、ここは聞いてないふりして俺たちも早く行こうと彼女の手を引いてアマを追いかける。
こうして、日を跨いで数日間のダンジョン調査及び破壊が終わりを迎え、立食中に沢山の冒険者や用務員たちに彼女たちだけじゃなく、俺にも話しかけられて楽しい食事が終わった。
俺に話しかけられたのは、普通にミーツとどういう関係なのかについてや、仲間であるあの双子との関係性についてが多かった。
中にはNo.1との行動について同情された内容の話もありながらも、楽しいと思える宴である。会場には多くの酒があったため、飲もうとしたら彼女たちに止められ、代わりに彼女たちが飲んで酔い潰れてしまい、宴の途中で帰らないと行けなくなって、改装中のダンジョンの六階層にて具合悪そうにしている彼女らを介抱しながら夜が更けていった。
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