底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第6章

第36話

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「なるほどな。あんな魔物ばっかだと、並大抵の奴じゃ踏破出来ねえはずだよな。ミーツさんが俺たちを連れて行かないのも正解だったってわけか」

 とある飲食店でそう話すシーバス。
 記者会見は一言でいうなれば、成功したのだった。会場は学園都市の冒険者ギルドだったものの、とある部屋で行われた部屋の広さがとても広く、千人は余裕で入るだけの広さのところで行われた。
 部屋については人工ダンジョンを作る際と同じ原理の部屋があって、そこを事前にシュトレーゼマンとギルマスが作り替えたのだと聞いた。記者会見の会場はよくある長テーブルの前に座るのではなく、俺とギルマスが宙に浮いた状態で行い、会場内は記者以外に俺でも知っている上位ランクのパーティが何組か来ていた。

 そんな所で時間になったからと始まって早々にギルマスが特に俺から言うことはないと言い出して、全てを俺に丸投げしたことから始まるも、それも打ち合わせ通りだった。
 そこで俺も特に色々話すこともないから見てもらった方が早いと言ったら、会場内が騒めき始める。 
 会場内にいる者全てに想像魔法を使って俺の経験した冒険の内容の編集版を見せた。

 俺の経験をそのまま見せたのなら、それなりの日数と時間を要するから、ある程度時間を短縮させ、所々不要な部分をカットして見せること一時間後、俺が見せた映像が幻だと思った一人の記者がこんなことで誤魔化すなと騒ぎ出す。
 今見せた映像は全て事実で、一部見せられない所があるが、そこは実際に見た者としか話せないと追加で話した。

 そこからは質問責めに会うかと思ったら、意外と会場内のほとんどの者たちが俺が見せた映像に納得し、会場から足早く出て行った。
 会場内に残った記者からは、ダンジョンで一番強敵と思ったのはベヒーモスか雷雲の魔物のどちらかとか、他の冒険者が攻略する際に気を付ける点の質問があったものの、落ち着いて一つ一つ答えていった。

 それほど地獄ダンジョンの単独踏破が異例であることだと認識した。これで神の塔までも単独踏破でもする日には、どうなるのだろうかと思いつつも、記者会見は無事終了し、会場内にいた仲間たちと共に飲食店に行ったのだった。
 それで今度、仲間たちを連れて地獄ダンジョンにどれほど過酷であったかの再確認に行くことが決まったものの、俺的にはなるべく何度も行きたくない場所であるため、全使い魔とフェイスとソルトまで連れて挑まないと仲間たちの誰かが死ぬと考えたが、それ以前に仲間たちを鍛えないといけない。

 少しでも危険を感じたら、想像魔法による転移で強制的に棄権をさせる条件付きで一緒に探索することに決定するも、俺は用務員の仕事を随分と休んでいたため、しばらくの間は無理だと先に言っておいて仕事に専念しようと思っていた次の日。
 シュトレーゼマンに呼び出しをされた。
 呼び出された場所は学園都市のオシャレなカフェだが、珍しく個室があるタイプの店で、そこで二人きりで話すことになったのだ。
 なんでも、今回俺を呼んだ理由としては、地獄ダンジョン単独踏破したミーツと用務員として働くミツルギが同一人物であることが彼にバレたからだった。
 いつ、何処で、どうやってバレたかについては口を開かなかったものの、満面の笑顔の彼に誤魔化すことが出来ず、正直に俺が同一人物であることを話した。

「なるほどねえ。つまり冒険者ギルドのギルドマスターのあの人の計らいだったんだねえ。
今となっては二つの名前を持つことは正解だったねえ。で?で?次の神の塔はいつ挑むのかい?」

 彼は目をキラキラとさせた少年のように聞いてくるものだから、今のところ未定で、先に用務員としての仕事をしつつ考えることを伝えた。

「そんなの別に君がしなくてもいいよ!私の権限で君を特別用務員にしてあげるから、早めに挑んでよ」
「流石に仮面を外した状態の俺が特別扱いされれば、周りから不満や怪しまれるから、それは止めて下さい」

 本心だった。用務員の中でも最末端でもある俺が特別扱いされれば、必ず問題が起きると思ったからだった。

「だったらさあ。適当な理由を付けて退職かクビになっちゃえばいいんじゃないかな?
君がミーツと同一人物だと知った今なら、どうとでもなるよ。私の権限で学園都市を自由に行動できる許可証を発行してあげるから、私にもう一度記者会見で見せた映像を見せてくれないかな」

 彼の言葉に確かに、もう学園都市に存在する三大難関ダンジョンを踏破した今なら、用務員を続ける意味がないし、どうしたものかと少し考えるも、何日も休んだだけでも他の用務員に迷惑をかけておいて、更に突然辞めるとなれば、用務員の成り手はたくさんいるからすぐに埋まるだろうが、またも迷惑がかかると思って、しばらく迷惑をかけてしまった人たちに挨拶と謝罪をしてからでもと思い、今すぐに辞めるのは考えてないことを伝えた。
 更に映像については問題ないと言って、彼の頭に手を置いて同調を使って記者会見で見せた内容をそのまま見せ、彼が呆然と惚けた状態のまま動かなくなったことで、店での個室の支払いと飲み物代を払って足早く用務員としての仕事に向かっていたら、号外と言いながら何かを配っている人たちがいたことで、配っている物を受け取ったら俺の記事が書かれた紙だった。

 大きな文字で『ミーツ、地獄ダンジョン単独踏破は本当だった!』
 内容は俺が記者会見で見せた内容と同じようなことが嘘偽りなく書かれており、最後に記者の一言が書かれていた。
 次の活躍に今からでも胸が高鳴ると書かれて、あの記者会見を開いた意味があったことにギルドマスターとシュトレーゼマンに感謝しかない。あのまま逃げて、何もしないままだったら、どんなことが書かれていたのやらというものだ。

 他にも俺のことが書かれている記事を見ることがあって、幾つかに目を通しても号外と同じことが書かれていた。
 だが、そんな記事ばかりではなく、一部では嘘偽りしか書いてないことや、俺の噂話のみを書いてある記事もあったものの、あれだけの人数がいたんだ。こういうことも書く人もいるだろうと思い、そういった記事は軽く目を通すだけにしておいた。
 そういう記事は大体が通信機で見るネットニュースのようなものが多く、記事に対するコメントが書かれることも書いてあるのを見る限り、そのほとんどが記事に対する批判的なコメントだった。
 中には明らかに誰か分かるような、コメントをしていることもあったものの、記事に対するボタンで『最高』と『最低』のどちらか一つを選べる仕様となっているため、この記事を読んだほとんどの人たちが『最低』を押していた。
 あのような記事を書いた者は記者として長くはないだろうと思いながらも、用務員としての仕事に取り掛かった。


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