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第6章
第37話
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俺が地獄ダンジョンを踏破して数週間経過した。ようやく俺の記事を見なくなり始め、用務員としての仕事は今まで通り働くことに変わりはないものの、シュトレーゼマンに俺がミーツと同一人物であることを明かしていることから、用務員としての仕事は暇な時でいいということになった。
ミーツとしても講師として授業をと、これもまとまった時間が取れた時でいいからして欲しいとの要望を受けて講師の許可証を貰ったものの、これに関してはヤル気が無いため保留。
自由気ままな生活を手に入れたのも束の間、今度は皇宮からの呼び出しで近々、俺に公爵の爵位を与える話があるとかで、早めに打ち合わせとして皇宮に行かなくてはいけなくなった。
レインに連絡してみたところ、今すぐになら豪雨も時間に余裕があるとかで、想像魔法による転移で皇宮の中庭に転移したら、魔導人形らに侵入者発見とサイレン音を鳴らされて包囲されてしまった。
「誰が侵入者ですか!この方はミーツさんです。貴女たちはこの方について憶えて置きなさい!」
魔導人形らに包囲されているところに、レインがそう声を掛けてくれて魔導人形たちを掻き分けてでも俺の手を握って瞬間移動をした。
移動した先は以前に来たことがあるアラレやミゾレを紹介された部屋であった。
そこではミゾレに抱き付いてデレデレであった豪雨の姿にレインが咳払いを一つしたことで、俺たちに気づいてキリッとした表情に戻った。
「これ、レインよ。いくら家族とはいえ、無断でここに瞬間移動するでないぞ。しかも、我らが友人であるミーツ殿も一緒とは、次からは先に連絡をしなさい」
豪雨はレインにそう言うも、顔を赤く染めあげて気恥ずかしそうにしていた。そんな彼にレインも反論する。
「父上、私はここにくる直前に聞きましたし、確認しましたよ。証拠も出せますが如何なさいますか?」
彼の反論に何も言い返せない彼は、それでも連れてくる前にもう一度報告はすべきだと絞り出すように言い、近々俺に与える爵位についての話し合いを別室に移動後に始まった。
「ミーツ殿。近々ミーツ殿には公爵を与えようと思っておるのだが、ミーツ殿にとっていつ頃が予定が空いておるか聞いてもよろしいか」
「まだそんな話があるんだね。
俺は貴族になるつもりはないよ。だから爵位も要らない」
俺の考えを率直に告げたら、レインも豪雨も笑い出した。
「はははは、ミーツさんご冗談を、ミーツさんが貴族になることは既に我が国だけではなく、他国にまで知れ渡っています。だから今更爵位が要らないとは笑えます」
「レインの言う通りだ。ミーツ殿が公爵という位に不満があれば我らの血筋の者との婚姻すれば、皇族にもなれるのだ。流石にアラレやミゾレは幼過ぎるから除外するにしても、キリサメは如何だろうか?あの子は婚約者もおらず、そろそろ結婚しても良い頃、ミーツ殿も冒険者であるからピッタリであるな」
話が通じない親子だと思ってため息が出るも、既に他国に知れ渡っているというレインの言葉が引っかかる。
何故、俺が爵位を貰い貴族になることを他国に知れ渡る必要があるのか、それによって彼らにどんな利益をもたらすのか、一人で悶々と考えても仕方ないことで率直に聞いてみることにした。
「いったい、俺が爵位を貰い受け、貴族になることでこの国ではどのような利益をもたらすのだろうか」
「レインよ、ミーツ殿に話してなかったのか?」
「爵位を授けた後にでも話そうと思っていたんですよ」
俺の質問に彼らはヒソヒソと聞こえる声量で話し出すも、爵位を授かる前の段階で話せない内容なら今ここでキッパリと断って、無理にでも爵位を授けさせようとするならば国から出ようと心に決めた。
「今の段階で話せないなら、俺は国外に出る。ギルマスと約束した神の塔に挑めないのは残念だけど、別にちゃんとステータスが表示されない今、そこまで強くなる必要もないかなって思っているし、俺の想像魔法ならどんな場所でも生きていけると思うから、ここで俺が爵位を受けなかったらどうなるか教えてもらえるかな。
それと、豪雨。流石にこんなおじさんな俺にキリサメを当てがうのは可哀想だよ。
自分の父親と同年代で、しかも好意は持ってもそれが恋愛感情ではない彼女に冗談でも言ってはいけないよ。それに、俺も同じ仲間で既にお付き合いしている彼女がいるからね」
俺の言葉に明らかにショックを受けた豪雨は、ヨロヨロと力が抜けたようにベルを鳴らして魔導人形に水をと水を持って来させ、レインも怒ったようの俺を睨んでいた。
「ミーツさん、ご冗談ではなく本気ですか?
この国を出るのも、既にお付き合いしている方がいるのも」
「本気だよ。レインとの話し合い次第では今日中に国外に出るかも知れない。
それで付き合っているのは仲間であるアミだよ。告白は彼女からだったけど、今彼女と付き合っているよ」
俺の真剣に向き合って話したことに彼は指パッチンをして水を運ばせた。運んできたのは見覚えのある魔導人形だったものの、今はそんなことを気にしている場合ではないため、水を一気に飲んだあとの彼は息を切らして深呼吸を数回したあと、豪雨に二人きりで話し合ってきますと言って、彼の瞬間移動で見知らぬ荒野に移動した。
「ここはいったい何処だろうか」
「ここは我が国と他国との国境の境界線です。
ここより数歩先に行けば他国です。ですが他国は私たちの国ほど裕福でもなく、不便な生活が待ってますよ。それでも他国に行くのですか?」
彼はまだ説明もなくそれだけを言うと、俺を見つめた。
「それは君の説明次第だよ。なんの説明もないまま爵位を授けさせようとするなら仲間たちを連れて国外に行くよ」
「それはなりません!私どもがミーツさんに爵位を与えるのは皇族との婚姻関係を結ぶに当たって、円滑に進められる事に加え、近々起こる国同士の代理戦争の代表として出てもらおうと思っていたからです。
代理戦争とは他国同士の国戦力を測るための戦いのことです。
これは数年に一度行われることで、前回以前は我が国にいるとある方にお願いしてましたが、前回はその方が出られないとのことで、冒険者や騎士など我が国で一番強い人を闘技場で決めて、優勝者に爵位を与えて戦ってもらったのですが、前回その方が負けて我が国の領土の幾つかを取られました。
後々知ったのですが、その方は八百長でわざと負けたのを知りました。他国から良い報酬をもらうのを条件にです。
ですが、その方は報酬をもらったあとは生存不明になっていますから、用済みとなった彼は密かに殺されたのでしょう。だから今回は絶対に負けるわけにはいかないのです!」
なるほど、それを最初に説明してくれれば、俺も頑なに拒否することもなかったのにと思ってそのままのことを口に出したら、彼はホッとした様子で膝を震わしながら座り込んだ。
「では貴族になっても構いませんか?爵位を与えても問題ないでしょうか」
「うん。その代理戦争に出ることが貴族になる条件なら仕方ないね。俺も君には色々世話になっているし、そんなことで恩を返せるなら爵位を貰って代理戦争に出るよ。
ただし、皇族との婚姻は別だからね」
俺の言葉に今はそれで良しとしましょうとの返答に、彼の手を握って立たせて豪雨がいた部屋に俺の想像魔法による転移で元に戻った。
「それでミーツ殿。どうされるか決めましたかな」
心配そうに聞く豪雨に爵位を貰い受けることを伝えるも、婚姻に関しては断るとハッキリと言ったら、今はそれで良いとレインと同じ事を言い、爵位に関する日程を事細かく決めた。
同国の貴族たちを呼ばなければいけないとかで、明日明後日というわけにはいかなく、三十日後に授爵を決めてその間は、ダンジョンに行ってもすぐに帰ってこられる場所に行くか、休養を取ることを勧められた。
仮にダンジョンに行ってしまった場合、流石に授爵をすっぽかしたり遅刻するものなら、彼らの顔を潰すことになってしまうため、しばらくの間、休養することに決めた。
宿に帰り、暇つぶしに自分の改装したダンジョンの手入れをしに行くか、仲間たち全員が一緒に住むことが出来るパーティハウスを捜してもいいなと考える。
学園都市の三大ダンジョンを踏破し、しばらくは何もしなくても良かったなと思ったのも、ほんの一瞬だったなと思いつつ三十日しかないと捉えるべきか、三十日もあると捉えるかは微妙だが、この休養をどう消費しようかと考える。その前に仲間たちには俺が貴族になることについて報告しておかないとと思って、皆んなに俺の部屋に集まって貰った。
「すごいすごいすご~い!おじさん貴族さまになっちゃうの?」
「ふっ、まさかお前が爵位持ちでしかも公爵とはな。何がどう起きるか分からないものだな」
「ただでさえ、地獄ダンジョン単独踏破で遠い存在になってしまったと思ったら今度は爵位ですか。私、このままミーツさんとお付き合いしててもいいんですかね」
「これをきっかけにミーツさんと別れちまえアミ。ミーツさんは貴族になったら、冒険者は辞めちまうのか?」
「流石に爵位を貰い受けて貴族になったからといって、冒険者も辞めるわけじゃないわよねえミーツちゃん?」
「僕はミーツさんが冒険者辞めても良いと思ってます。その代わり僕を家臣として雇って下さい」
「俺、何処にでも、ついていく」
仲間たちは俺が貴族になり、爵位持ちになることに対して否定的ではないものの、俺が彼らから離れるのではないかとの不安があるようだ。士郎とヤスドルだけは、俺がどういう立場になっても付いてくる意思が伝わり、とりあえずのところは冒険者は辞めないことを伝えた。
「ついでに、シュトレーゼマンに俺がミーツとミツルギが同一人物であることを明かしたら、学園都市の用務員の仕事は、暇な時にやってくれたらいいと言われたよ。
追加で、まとまった時間が取れた時のみでいいから、ミーツとして講師をしてくれって言われて講師の許可証も貰ったよ」
俺が用務員として働いていたことを知らなかったアミとアマと姐さん以外のメンバーは驚いていた。ヤスドルだけは無関心といった感じで、鼻をほじっている。
「お前用務員だったのか!だからダンジョン街でダンジョンの改装とかやっていたのか」
「ミーツさんあんた、シュトレーゼマンって確か、学園都市の偉い人だよな。そんな人とどうやって知り合ったんだよ」
「ミーツさんのことだから、なんでもあり得ますよね。驚きましたけど、これで学園都市での物件選びが有利になるんじゃないですか?」
俺とシュトレーゼマンとの出会いを最初から説明したら、姐さんが一番驚いていた。
「あらあら、いつ尾けられたのかしら、あたしが気付かないなんて考えられないわ」
「やっぱりレイン殿下絡みなんだね。
あたしは、そうじゃないかなあって思ってたんだよね」
「私はミーツさんが誰と知り合いでも不思議に思いません。学園都市の総責任者と知り合いなのは驚きましたけど、経緯を聞けば納得です」
尾けられた本人たちはいつだか分からない様子だが、彼と知り合った経緯を知れば納得した。そこで本題の爵位を授かるまでの三十日間は休養を取りつつも、パーティハウス捜しに行こうかと考えていることを伝えたら、満場一致で大賛成とのことで、早速今からシュトレーゼマンに連絡し、学園都市に良い物件がないか聞いたところ、幾つか紹介できる所があるが、流石に明日明後日はスケジュール上無理があって、七日ほど経てば少し無理して予定を空けてでも案内すると言われた。
そこで皆んなに彼との会話を伝え、明日はこの宿をいつでも出て行っても良いように大掃除をしようってことで決まり、明後日から先ず自分らで物件探しをしようってことが決まった。
それ以降で、前々からアミとのデートについて考えていたこともあって、皆んなの前で彼女にデートの誘いをしてOKを貰った。
彼女は俺とのデートが楽しみ過ぎてニヤニヤした表情をしたまま、アマと一緒に自室に戻って行き、姐さんやシオンに士郎も戻って、シーバスだけが俺たちの部屋に残って、真剣な表情で詰め寄って来た。
「俺はミーツさんのことを信用しているけどよ、アミと子作りはまだ早いと思ってんだ。
俺はアイツらの親代わりで、大事に育ててきた妹なんだ。だから、アイツとのデートは普通に遊ぶだけにしてもらえないだろうか。ミーツさんもアミを異性としてみてくれているのは分かる。だが、どうかアイツの初ともいえるデートで身体の関係だけは勘弁してくれ」
「ははは、シーバスが真剣に詰め寄るからなんだと思ったらそんなことか。もちろん俺はアミの身体に手を出すつもりはないよ。キスくらいなら雰囲気でするかも知れないけど、俺がアミとする初デートなんだ。
今まで一緒にいたからといって、初デートでいきなり身体の関係にはならないさ」
「信用していいんだな!」
そう睨むシーバスに、そんなに心配なら尾行でもなんでもしたらいいさと言うも、それでも転移魔法を使われたらどうにも出来ないと返された。確かにそうだと考え、それなら誓約書でも書けばいいかもとボソリと呟いた。
「それだー!ミーツさん、あんたには誓約書を書いてもらう。あんたがアミに手を出さなくても、あいつがあんたに誘惑するかも知れねえからな。その場合でも同じことだからな!」
「分かった分かった。因みにだけど、シーバスは、異性との初デートでいきなり身体の関係になったりはしないのかい?」
「お、俺のことはどうでもいいじゃねえか!」
興奮気味に捲し立てるシーバスに落ち着いて一つ質問をしたら、質問の答えとしてはぐらかそうとした。
「どうでもはよくないよ。俺は今度のデートでは、もちろんアミに手を出す気はないけど、シーバスも初デートでは無いんだろ?」
「チッ、俺はあるよ。だけどな!女から迫って来た時だけだぜ!俺たち下の国の冒険者はな、いつ死ぬか分からないんだ。だから悔いを残さねえようにするのが一般的なんだ。
だからといって、ミーツさんが妹に手を出すのは許せねえ!もっとアイツとの付き合いが長くなれば考えなくもないけどな」
彼の言い分になるほどと思いながらも、自分の事は棚に上げての言葉に呆れた。
俺は自分の言葉通り、初デートである彼女に手を出すつもりはないが、彼は決して俺が彼女に手を出さないという誓約書を書くまでは、部屋を出て行かないだろうと思い、想像魔法で出した一枚の紙にスラスラと書き始めた。
『俺は、ミーツは今度のデートでアミと身体の関係にならない。子作りをしない。これを破った場合はシーバスが提案するどのような罰でも潔く受ける』
書き終わったら、俺の親指を刃物で切って血の拇印を押してシーバスに手渡した。
「魔法の効果がある訳じゃないけど、これに書かれたことは、死ねとかじゃない限りどんな罰も受けるよ」
「ああ、俺も流石に殺すとか死ねとかまでは思わねえよ。だけど俺にとっては何度も言うけどよ、大事な妹なんだ。俺の認めた男以外にアイツらはやらねえよ!」
彼は誓約書を懐に仕舞って、腕を組んでそう言い放った。
「因みにシーバスが認める男とはどんな男なんだ?」
「そりゃあ、うーん、そうだなあ、貧乏暮らしをさせたくねえから、普通でもいいから金持ってなきゃいけねえな。
んで、俺より強いのは絶対条件だな。
あとは、無理矢理言うこと聞かせるような奴は信用できねえ。女に暴力を振るうのもダメだ。って要約したらミーツさんが頭に浮かんだが、俺が一番認めちゃダメな人じゃねえかよ!」
彼が妹たちの彼氏に認める要素を質問したら、俺が思い浮かんだと言って「うわああ」と叫びながら部屋を出て行った。
部屋の向こうでは兄ちゃんうるさい!とかシーバスうるせえぞ!とか聞こえるところ、アマとシオンが叫ぶシーバスに怒鳴っているのだろう。全くなにやってんだかと呆れて明日のために俺も早めに就寝しようとしたが、念のため用務員のNo.1ことワンダーに連絡して、事情を話して明日は時間を作って、彼にとある物を借りようと会う約束をした。
それともう一つ、確認のためとお願いでシュトレーゼマンにも連絡を取る。
翌日早めに起きて、起きてからするいつもの動作を一通り終わらせたあとに、朝からワンダーに会いに行った。
彼に借りるとある物とは、魔導車という車であった。魔導車とは、ガソリンを必要としない車であって、備え付けられている魔石に魔力を込めれば動くという代物である。魔力が無い者でも魔石を交換すれば乗れるのである。
彼の車はオープンカーで借りるのは難なく出来たが、アマとのデートを条件に出されたものの、流石にこれについては断った。
それならばとミーツとしての、俺と二人きりでダンジョン攻略の動画映像撮ることについて条件で出されたことは了承して、車を借りることに成功した。
車の交通マナーや免許に関しては、昨夜シュトレーゼマンに確認していたため、これについては問題なく、借りた車は盗難など安全面がちゃんとしてあるパーキングに停めて、宿の大掃除に向かった。
大掃除はほぼ一日掛かりで終わらせ、姐さんに頼んで近々宿を出る事を俺には面識がない宿の女将に伝えてもらう。
次の日やその次の日は物件捜しに向かうも、ヤマトではピンキリで、ギルド本部の近くでは、紹介無しでは住めない仕様である。
良い街並み、良い店が立ち並ぶ街ではべらぼうに高かった。
普通の4LDKの一軒家での月々の家賃は一億~三億Pであったことで、とてもじゃないがパーティで暮らせる物件ではないため、良い街は断念。
だからといって今いる宿の近くの物件は安いものの、パーティで住めるほどの物件がないうえ、治安の悪さや近くに買い物が出来る店がほぼ無いところで、ここいらの近くに住むというのは選択肢から除外していいだろう。
後は、学園都市内で捜すも、学園都市での物件の殆どが学園都市での身分がちゃんとしてある人の紹介でないと購入どころか、借りることすらできない所が多かった。
紹介無しで借りることが出来そうな物件は、金がない苦学生が住むような四畳一間のボロボロのアパートのような所だったり、小さな隙間だらけの小屋が多かったため、学園都市での物件捜しはシュトレーゼマンの紹介に頼るしかない。 こうして、たった二日であったが、パーティハウスの物件捜しはシュトレーゼマンの予定が空くまでの間は中断することにした。
連絡があるまでの間は、パーティメンバーらにはそれぞれ好きなことしてもらって、俺はアミとのデートをすることにしたものの、デートの当日服はどうするか悩んだ。
以前、レインに貰った服はいくつかあって、白のタキシード以外にも普通のスーツもあることで、今回は無難に黒のスーツを着てボサボサの髪はオールバックにまとめてから気付いた。
彼女とのデートはミーツかミツルギかどちらでした方がいいのだろうと考えた。
シーバスに頼まれて書いた誓約書ではミーツと書いたし、彼女らもずっとミーツと呼んでいるから、ここは仮面を装着して迎えに行こうと彼女の自室をノックする。
「はいはいはーい。おじさんだよね。アミ、気合い入れてるからちょっと外で待っててよ」
扉越しでアマが返事をして、彼女に言われた通り、外でヤスドルが自主鍛錬しているのを眺めること数十分後に、再びアマの声でお待たせと後方から聞こえて振り向いたら、スッピンに近い軽めのメイクをしており、ほんのりと甘い香りが漂っているところ、香水も使っているようだ。
彼女の服装は、ノースリーブの薄手のセーターに胸の谷間が見える仕様。
それなのにスカートはロングではなく、膝より上の短さのミニスカートであるため、目のやり場に困る服装で、仮面を装着してなかったらアマに揶揄われていたことだろう。
「お、お待たせしました。ど、どうですか?
変じゃないですか?」
普段からローブ姿の彼女しか見ないから、彼女の変化に俺も戸惑いながらも返事をする。
「うん。とてもよく似合ってるよ。こうして見てみたら、本当に少女から女性になったんだなって思うよ。
デートもいきなり決まったし、ノープランだけどアミの行きたいところとかあるかい?」
彼女は指をモジモジと交差させて、学園都市の三大ダンジョンである天空ダンジョン近くにある見晴らしの良いスポットがあるとかで、そこに行ってみたいと言い出した。
通信機で調べたら、ダンジョンから徒歩で行くには少々遠いところ、乗り物でしか行く方法がないことで、ワンダーに車を借りる段取りになっているため、学園都市の車が停められている駐車場に向かう。
俺たちを知らない人が見れば親子か、援助交際しているように見えることだろうが、ここは恥ずかしいという気持ちを押し殺して歩く。
「車は借りる当てがあるから先にそこに行こうか」
彼女にそう言い、駐車場の近くまで彼女と共に転移して、後は徒歩で歩いて行く道中、彼女は腕に絡み付いて胸を押し付けたりしながらも、楽しそうに街中を歩く。
駐車場に辿り着いたら、事前に打ち合わせしていた通りに車を起動させるための解除番号と一定の魔力注入が必要であることも聞いていたため、借りる車に近付いたら目の前に六桁の番号が現れ、聞いた通りの番号を打ち込みながら魔力を注入していった。
本来なら鍵があれば全て解決するのだが、その鍵がない場合の緊急に起動させるための動作だと聞いていた。
一連の動作を終わらせたら、魔導車の魔力タンクは満タンになっていていざ起動してみたら、エンジン音が全く聞こえないから、本当に動くのか半信半疑で、駐車場から出ようと動かしてみたら普通に動いた。
車の操作は元の世界での運転と差程変わらないのに、振動が全くないのに驚いた。
どうなっているのだろうと窓を開けてタイヤ部分を見たら、僅かに浮いていた。
駐車場に停まっていた時は地面に着いていたのに、動かしたら僅かに浮くなんて不思議な車だと思いながらも、一度車から降りて駐車場の出入口で待っていた彼女に助手席のドアを開けてどうぞと言うと、彼女はスカートを気にしながらも乗り込む。
普段から偶に魔導車に乗ったりしていたようだから、乗り方については普通に知っており、俺も運転席に乗り込んで発進させる。
魔導車のタイプは二人乗りのスポーツカータイプでオープンカーではあるが、屋根はスイッチ一つで開閉が出来る。こういうのは、元の世界の車と一緒である。
用務員のNo.1ともなればこういう車も所有できるのかと、用務員業を頑張ってみてもいいと思った瞬間だった。
車の運転は左ハンドルで、道路は右車線走行に戸惑いながらも、学園都市の街中を走る。
この世界でも車を運転するには免許が必要なのは、シュトレーゼマンに確認したから分かったのだが、俺にはこの世界の免許がないため、彼にお願いをして今日のデートでは特別に許可して欲しいと言っていたのだった。
俺の過失によって事故を起こした場合は責任を負うが、それ以外で問題が起きた場合は、彼の名前と一緒に俺の冒険者証を出せば何とかできるようにすると約束してくれた。
行き先の到達場所は彼女が知っているが、車にナビが付いて無いため、何処をどう走ったら分からなく、途中で通信機で調べたりしながら走り、行き着いた場所は灯台があって低めの丘しかない場所だった。
遠くに天空ダンジョンの浮遊地が見えることで、彼処から近いのかと一人で納得する。
だが、浮遊大陸の端の方だからか、雲が海のように見える雲海で綺麗だなと心が洗われる気がする。
彼女も話には聞いていたから行ってみたいと思っていたようで、この絵のような光景に感動しているようだ。それに、ここはそれなりに有名なデートスポットのようで、俺たちみたいな魔導車で来たであろうカップルが、あちこちで地べたに座ったり、所々に生えている木々にもたれ掛かったり、車に乗ったままでイチャイチャしていた。
それをアミが羨ましそうに眺めていたところで、ベンチも何もない所であるここで、ベンチを想像魔法で出したら、ちょうど座りたかったんですとベンチに座りそうになったことで、咄嗟にハンカチを取り出して彼女の座る位置にソッと置いて座らす。
二人並んで雲海を眺め続け、どちらともなく腹の音が鳴った。
よく考えたら、朝から何も食べてなかったことを思い出した。それは彼女も同様みたいで、ちょっと遅めの朝食として、想像魔法で何か食べ物を出そうか考えていたら、彼女がポシェット型の魔法鞄からサンドイッチを取り出した。
「私の手作りですけど、よかったらどうぞ」
いつ作って入れていたのか、無粋なことは聞かないようにして彼女のサンドイッチを仮面の口元を開けてパクリ。
特別に美味しいというわけではないものの、彼女の見つめる視線に美味しいよと返したら満面の笑顔になった。
俺の心臓はドキリと高鳴る。一瞬、心不全を心配するも、これについては違うだろう。
俺たちのほのぼのとした光景に、他のカップルたちは、弁当持ってくればよかったとか、あのベンチいいなあとか声が聞こえた。
「あの、ミーツさん。他の人たちにも椅子を出してもらえますか?こんなに注目されると恥ずかしくて」
彼女は注目されるのが嫌のようで、俺たちから離れた場所に幾つかのベンチを適当に出したら、椅子取りゲームかと思うほどベンチに向かって走り出すカップルに笑えた。
そんな光景も雲海の光景も飽きてきたことで、そろそろ移動しようと立ち上がって思った頃、背後から邪魔だと背中を蹴られた。
背後に誰か居るのは気付いていたが、まさか蹴られるとは思わなかった。
「ミーツさん!私のミーツさんに何するんですか!」
「はあ?はい出たー!今話題のミーツ騙り、最近ミーツと名乗る偽物が多いんだよなあ。
実力はカスなのによ。で?彼女はパパ活中か?痴女みたいな格好で、そんなにコイツは金を持ってんのかよ。
しかもミーツっていうんだあ。可哀想に君、騙されているぜ。俺はコイツよりは金を持ってるぜ!そんな奴を捨てて、俺たちと楽しくイチャイチャしようぜ」
背中を蹴られて驚いていたら、彼女が今にも魔法を放ちそうになっているのに気づき、彼女の口を手で塞いだ。
気持ちよさそうに喋る男の聞いた事ない単語に首を傾げるも、明らかに彼女を侮辱したであろう言葉に怒りが込み上がってくるも、少し深呼吸をしたあと、もう立ち去ろうと思っていたんだと言いながら、ベンチをI.Bに収納して彼女の肩に手を回して立ち去ろうとしたその時、男が待てやゴラァと怒鳴ってきたことで俺の中で最弱の威圧を彼に放った。
「ヒィッ!な、なんなんだよ。ミーツ騙りのくせによお」
彼はヘラヘラした笑いから一変して、青ざめた表情になった後、ガタガタと震えて盛大にブリブリブリと音を出して、ズボンの裾から糞らしきモノが落ち、股間もが濡れ、そのまま尻餅を着いた。
「良かったですね。ミーツさんが私とのデート中で!普段でしたら、地獄ダンジョンか厳しめのダンジョンに連れて行かれてましたよ?」
彼女は嬉しそうに俺に怯える彼に向かってそう言い放って、行きましょうと彼女の肩に乗せた俺の手を自身の手に握り、貝繋ぎで手を握って魔導車のところに向かう。
俺に怯える彼の恋人は、ダサッと一言そう言って、自分たちが乗ってきた魔導車に乗って一人で帰って行った。
学園都市の街中を走っている最中、ずっとあの男の処遇は甘かったんじゃないですか?と質問責めに会うも、最後は怯えて何もかんも漏らして恋人にも置いて行かれたからいいじゃないかと締めくくり、昼ご飯にしては中途半端な時間だからと、オシャレなカフェに入って、スイーツを頬張りながら雑談。
本当は彼女はカップル席限定というのを座りたかったらしいが、一脚の大きめの椅子に男が先に座って、その上に女性が跨がって向かい合って座るというものだったため、流石にそれは却下したのだった。
カフェを出た後は、街中で彼女に似合う大人コーデの服を買ったりして、ぶらぶらと散歩したりと大した行動はなく、夜になると彼女が友人に勧められたという食事処に向かったら、ダンジョン街の近くにあるところで、よくある大衆居酒屋みたいな店であった。
本当にここでいいのかを聞いたところ、初めてのデートだからって、大人が行くようなところばかりに行かなくても良いんですよと返って来た。
「まあ、アミがそれでいいならいいんだけどね。今回のデートもノープランなわけだったし、俺もあまりキザなこと出来ないからね」
「ふふふ、良いんですよ。私はありのままのミーツさんが好きなんですから。あまり格好良いことし過ぎたら、私がどうにかなっちゃいますから。今日もミーツさんは素敵でした。
本音を言わせてもらうと仮面を外した状態のミーツさんが良かったんですけど、友達にしかミーツさんと付き合っていること言ってないから我慢します」
彼女は今回のデートがとても嬉しかったようで、車を駐車場に停め、早く行きましょうと俺の手を引っ張って店に入ったら、知っている人が入口近くで飲んでいた。
「おう!そこにいるのは愉快な仲間たちのミーツとアミじゃねえか!こっちに来て一緒に飲もうぜ!」
店に入って最初にそう話しかけて来たのは『蒼紅』の紅だった。他にも少し知っている人が何人かいるが、流石に彼には今回は止めとくよと断って、大衆居酒屋なのにカップル席があって、仕切りがあるだけの半個室に彼女が何の迷いもなく歩いて行った。
余程カフェのカップル席に座りたかったのだと思った。嫌ではないが、随分と席が狭く、密着しないといけない空間に壁際に座るように指示され、仕方なく座る。
ただでさえ狭いのにアミが密着して隣に座り、胸をグイグイ押し付けてきた。
「き、今日のアミは積極的だなあ。
いったいどうしたんだ?」
「だって、私が頑張らないとミーツさんから手を出してくれないじゃないですか。
それに、好きな人相手にはこうした方がいいって、友達たちが言ってました」
彼女に余計なことを吹き込んだ友達とは誰だと思ったものの、今の現状は俺の理性を保つことで、食事に集中しようと思って店員を呼ぶも、既に席に着くまでに彼女が注文済みであった。
テーブルに運び込まれたのは、精力が付くといわれている物ばかりが並んだ。
この子は今日どうなりたいんだと思いつつも、少しずつ口に運び、時には食べさせ合ったりして、トイレに行くという口実を作って彼女の見えない場所に移動したところで、シーバスに連絡を取った。
シーバスは慌てた様子で直ぐに向かうと言ってくれてホッとしたのも束の間、気が付けば背後に彼女が怖い笑顔で誰に連絡取っていたんですか?と言ってきたことで、急に連絡が入って来たからちょっと話していただけなんだよと誤魔化したら、普通の笑顔に戻って終わったのなら席に戻りましょうと俺の腕を掴んでグイグイと引っ張って席に連行された。
あまり食事に手を付けないまま、アルコールがほとんど入ってないジュースみたいな酒をチビチビ飲んでいたら、店の入口で叫んで入ってきた者が来た。
来たのはシーバスで、息を切らしながら俺たちのいるカップル席に近付き、バッチリ俺たちを確認後に彼女の手を掴んで立たせて俺から引き剥がした。
「お前!なんて格好してやがる!こんな服で男に迫ったら襲われるぞ」
「お兄ちゃんの馬鹿!分かってるもん!私、今日はミーツさんに初めてを貰ってもらおうと思ってたんだもん!」
「なにを馬鹿なこと言ってやがる!」
突然始まった兄妹喧嘩に他の客たちは、何だ何だと俺たちに注目しだしたところで、食事代を払って店早く彼らを連れて外に出てから、人目の付かない場所を考えて俺が最近改装したばかりのダンジョン入口に転移した。
そこからは最初に手を出したのはシーバスで、彼女にビンタをした。
それをキッカケに兄妹で殴り合いの喧嘩になったものの、一方的に兄であるシーバスが殴られる結果となって、流石に途中で止めた。
「ミーツさ~ん、私、血出てないですか?治して下さい」
彼女の顔は最初のビンタで頬が赤く腫れているだけで、血は彼の返り血が付着しているだけであった。
今治療が必要なのはシーバスの方で、顔が変形しているのではないかと思うほど顔が血で真っ赤に染まっていた。
「アミは後でね。先にシーバスを治療しないと不味いからね」
俺が先にシーバスを治療するというのが気に食わなかったようで、俺の脇腹をつねって来たものの、痛いのを我慢しつつ彼を治療して、彼女に向き合って頬がどういう状態かを見るために顔を近づけたら、彼女は目をつぶった。
赤く腫れただけの頬に手を添えて治療したら、突然彼女は目を見開いて口付けして舌まで入れて来たのには、流石に驚いた。
だが、彼女も舌を入れたまでは良かったが、それからどうしたらいいか分からず、舌が俺の口の中で硬直していた。
このままだと終わらないと思い、彼女の肩を押して無理矢理終了させた。
「ふふふ、初めてでしたけど、ミーツさんのお口の中美味しかったです」
「初めてで舌はまだ早いよ。固まってたからね。本当のキスは、もっと親密な関係になった時に教えてあげるね。
あと、前々から思っていたけど、本当に怒ったときのアミは口調がちょっと変わるね。兄さまがお兄ちゃんになってたよ」
あの兄妹喧嘩が始まった時のことを思い出して言ったら、彼女は恥ずかしそうに俯いた。
「そんなこと恥ずかしいこと言わないで下さい。偶に変わるのは家族だけです」
「ははは、偶にでも変わるのは良いことだと思うよ。さ、気絶しちゃったシーバス連れて帰ろっかね」
こうして最後は彼女にとっては、最悪ともいえるデートになってしまったものの、最後以外は何事もなく終わってホッとして宿に転移して帰った。
後日、俺がシーバスと誓約書を書いてまでした約束の紙をアミに見つかって、また兄妹喧嘩が勃発したのは、また別の話である。
因みにデートで使用した借りた車は事前に決めていた、長時間停めても大丈夫な無料駐車場に停め、誰も触れないようにシールドを張ってから離れて行った。のちに車を取りに来たワンダーに、シールドが邪魔で触れなかったと怒られることになったのはいうまでもないことであった。
ミーツとしても講師として授業をと、これもまとまった時間が取れた時でいいからして欲しいとの要望を受けて講師の許可証を貰ったものの、これに関してはヤル気が無いため保留。
自由気ままな生活を手に入れたのも束の間、今度は皇宮からの呼び出しで近々、俺に公爵の爵位を与える話があるとかで、早めに打ち合わせとして皇宮に行かなくてはいけなくなった。
レインに連絡してみたところ、今すぐになら豪雨も時間に余裕があるとかで、想像魔法による転移で皇宮の中庭に転移したら、魔導人形らに侵入者発見とサイレン音を鳴らされて包囲されてしまった。
「誰が侵入者ですか!この方はミーツさんです。貴女たちはこの方について憶えて置きなさい!」
魔導人形らに包囲されているところに、レインがそう声を掛けてくれて魔導人形たちを掻き分けてでも俺の手を握って瞬間移動をした。
移動した先は以前に来たことがあるアラレやミゾレを紹介された部屋であった。
そこではミゾレに抱き付いてデレデレであった豪雨の姿にレインが咳払いを一つしたことで、俺たちに気づいてキリッとした表情に戻った。
「これ、レインよ。いくら家族とはいえ、無断でここに瞬間移動するでないぞ。しかも、我らが友人であるミーツ殿も一緒とは、次からは先に連絡をしなさい」
豪雨はレインにそう言うも、顔を赤く染めあげて気恥ずかしそうにしていた。そんな彼にレインも反論する。
「父上、私はここにくる直前に聞きましたし、確認しましたよ。証拠も出せますが如何なさいますか?」
彼の反論に何も言い返せない彼は、それでも連れてくる前にもう一度報告はすべきだと絞り出すように言い、近々俺に与える爵位についての話し合いを別室に移動後に始まった。
「ミーツ殿。近々ミーツ殿には公爵を与えようと思っておるのだが、ミーツ殿にとっていつ頃が予定が空いておるか聞いてもよろしいか」
「まだそんな話があるんだね。
俺は貴族になるつもりはないよ。だから爵位も要らない」
俺の考えを率直に告げたら、レインも豪雨も笑い出した。
「はははは、ミーツさんご冗談を、ミーツさんが貴族になることは既に我が国だけではなく、他国にまで知れ渡っています。だから今更爵位が要らないとは笑えます」
「レインの言う通りだ。ミーツ殿が公爵という位に不満があれば我らの血筋の者との婚姻すれば、皇族にもなれるのだ。流石にアラレやミゾレは幼過ぎるから除外するにしても、キリサメは如何だろうか?あの子は婚約者もおらず、そろそろ結婚しても良い頃、ミーツ殿も冒険者であるからピッタリであるな」
話が通じない親子だと思ってため息が出るも、既に他国に知れ渡っているというレインの言葉が引っかかる。
何故、俺が爵位を貰い貴族になることを他国に知れ渡る必要があるのか、それによって彼らにどんな利益をもたらすのか、一人で悶々と考えても仕方ないことで率直に聞いてみることにした。
「いったい、俺が爵位を貰い受け、貴族になることでこの国ではどのような利益をもたらすのだろうか」
「レインよ、ミーツ殿に話してなかったのか?」
「爵位を授けた後にでも話そうと思っていたんですよ」
俺の質問に彼らはヒソヒソと聞こえる声量で話し出すも、爵位を授かる前の段階で話せない内容なら今ここでキッパリと断って、無理にでも爵位を授けさせようとするならば国から出ようと心に決めた。
「今の段階で話せないなら、俺は国外に出る。ギルマスと約束した神の塔に挑めないのは残念だけど、別にちゃんとステータスが表示されない今、そこまで強くなる必要もないかなって思っているし、俺の想像魔法ならどんな場所でも生きていけると思うから、ここで俺が爵位を受けなかったらどうなるか教えてもらえるかな。
それと、豪雨。流石にこんなおじさんな俺にキリサメを当てがうのは可哀想だよ。
自分の父親と同年代で、しかも好意は持ってもそれが恋愛感情ではない彼女に冗談でも言ってはいけないよ。それに、俺も同じ仲間で既にお付き合いしている彼女がいるからね」
俺の言葉に明らかにショックを受けた豪雨は、ヨロヨロと力が抜けたようにベルを鳴らして魔導人形に水をと水を持って来させ、レインも怒ったようの俺を睨んでいた。
「ミーツさん、ご冗談ではなく本気ですか?
この国を出るのも、既にお付き合いしている方がいるのも」
「本気だよ。レインとの話し合い次第では今日中に国外に出るかも知れない。
それで付き合っているのは仲間であるアミだよ。告白は彼女からだったけど、今彼女と付き合っているよ」
俺の真剣に向き合って話したことに彼は指パッチンをして水を運ばせた。運んできたのは見覚えのある魔導人形だったものの、今はそんなことを気にしている場合ではないため、水を一気に飲んだあとの彼は息を切らして深呼吸を数回したあと、豪雨に二人きりで話し合ってきますと言って、彼の瞬間移動で見知らぬ荒野に移動した。
「ここはいったい何処だろうか」
「ここは我が国と他国との国境の境界線です。
ここより数歩先に行けば他国です。ですが他国は私たちの国ほど裕福でもなく、不便な生活が待ってますよ。それでも他国に行くのですか?」
彼はまだ説明もなくそれだけを言うと、俺を見つめた。
「それは君の説明次第だよ。なんの説明もないまま爵位を授けさせようとするなら仲間たちを連れて国外に行くよ」
「それはなりません!私どもがミーツさんに爵位を与えるのは皇族との婚姻関係を結ぶに当たって、円滑に進められる事に加え、近々起こる国同士の代理戦争の代表として出てもらおうと思っていたからです。
代理戦争とは他国同士の国戦力を測るための戦いのことです。
これは数年に一度行われることで、前回以前は我が国にいるとある方にお願いしてましたが、前回はその方が出られないとのことで、冒険者や騎士など我が国で一番強い人を闘技場で決めて、優勝者に爵位を与えて戦ってもらったのですが、前回その方が負けて我が国の領土の幾つかを取られました。
後々知ったのですが、その方は八百長でわざと負けたのを知りました。他国から良い報酬をもらうのを条件にです。
ですが、その方は報酬をもらったあとは生存不明になっていますから、用済みとなった彼は密かに殺されたのでしょう。だから今回は絶対に負けるわけにはいかないのです!」
なるほど、それを最初に説明してくれれば、俺も頑なに拒否することもなかったのにと思ってそのままのことを口に出したら、彼はホッとした様子で膝を震わしながら座り込んだ。
「では貴族になっても構いませんか?爵位を与えても問題ないでしょうか」
「うん。その代理戦争に出ることが貴族になる条件なら仕方ないね。俺も君には色々世話になっているし、そんなことで恩を返せるなら爵位を貰って代理戦争に出るよ。
ただし、皇族との婚姻は別だからね」
俺の言葉に今はそれで良しとしましょうとの返答に、彼の手を握って立たせて豪雨がいた部屋に俺の想像魔法による転移で元に戻った。
「それでミーツ殿。どうされるか決めましたかな」
心配そうに聞く豪雨に爵位を貰い受けることを伝えるも、婚姻に関しては断るとハッキリと言ったら、今はそれで良いとレインと同じ事を言い、爵位に関する日程を事細かく決めた。
同国の貴族たちを呼ばなければいけないとかで、明日明後日というわけにはいかなく、三十日後に授爵を決めてその間は、ダンジョンに行ってもすぐに帰ってこられる場所に行くか、休養を取ることを勧められた。
仮にダンジョンに行ってしまった場合、流石に授爵をすっぽかしたり遅刻するものなら、彼らの顔を潰すことになってしまうため、しばらくの間、休養することに決めた。
宿に帰り、暇つぶしに自分の改装したダンジョンの手入れをしに行くか、仲間たち全員が一緒に住むことが出来るパーティハウスを捜してもいいなと考える。
学園都市の三大ダンジョンを踏破し、しばらくは何もしなくても良かったなと思ったのも、ほんの一瞬だったなと思いつつ三十日しかないと捉えるべきか、三十日もあると捉えるかは微妙だが、この休養をどう消費しようかと考える。その前に仲間たちには俺が貴族になることについて報告しておかないとと思って、皆んなに俺の部屋に集まって貰った。
「すごいすごいすご~い!おじさん貴族さまになっちゃうの?」
「ふっ、まさかお前が爵位持ちでしかも公爵とはな。何がどう起きるか分からないものだな」
「ただでさえ、地獄ダンジョン単独踏破で遠い存在になってしまったと思ったら今度は爵位ですか。私、このままミーツさんとお付き合いしててもいいんですかね」
「これをきっかけにミーツさんと別れちまえアミ。ミーツさんは貴族になったら、冒険者は辞めちまうのか?」
「流石に爵位を貰い受けて貴族になったからといって、冒険者も辞めるわけじゃないわよねえミーツちゃん?」
「僕はミーツさんが冒険者辞めても良いと思ってます。その代わり僕を家臣として雇って下さい」
「俺、何処にでも、ついていく」
仲間たちは俺が貴族になり、爵位持ちになることに対して否定的ではないものの、俺が彼らから離れるのではないかとの不安があるようだ。士郎とヤスドルだけは、俺がどういう立場になっても付いてくる意思が伝わり、とりあえずのところは冒険者は辞めないことを伝えた。
「ついでに、シュトレーゼマンに俺がミーツとミツルギが同一人物であることを明かしたら、学園都市の用務員の仕事は、暇な時にやってくれたらいいと言われたよ。
追加で、まとまった時間が取れた時のみでいいから、ミーツとして講師をしてくれって言われて講師の許可証も貰ったよ」
俺が用務員として働いていたことを知らなかったアミとアマと姐さん以外のメンバーは驚いていた。ヤスドルだけは無関心といった感じで、鼻をほじっている。
「お前用務員だったのか!だからダンジョン街でダンジョンの改装とかやっていたのか」
「ミーツさんあんた、シュトレーゼマンって確か、学園都市の偉い人だよな。そんな人とどうやって知り合ったんだよ」
「ミーツさんのことだから、なんでもあり得ますよね。驚きましたけど、これで学園都市での物件選びが有利になるんじゃないですか?」
俺とシュトレーゼマンとの出会いを最初から説明したら、姐さんが一番驚いていた。
「あらあら、いつ尾けられたのかしら、あたしが気付かないなんて考えられないわ」
「やっぱりレイン殿下絡みなんだね。
あたしは、そうじゃないかなあって思ってたんだよね」
「私はミーツさんが誰と知り合いでも不思議に思いません。学園都市の総責任者と知り合いなのは驚きましたけど、経緯を聞けば納得です」
尾けられた本人たちはいつだか分からない様子だが、彼と知り合った経緯を知れば納得した。そこで本題の爵位を授かるまでの三十日間は休養を取りつつも、パーティハウス捜しに行こうかと考えていることを伝えたら、満場一致で大賛成とのことで、早速今からシュトレーゼマンに連絡し、学園都市に良い物件がないか聞いたところ、幾つか紹介できる所があるが、流石に明日明後日はスケジュール上無理があって、七日ほど経てば少し無理して予定を空けてでも案内すると言われた。
そこで皆んなに彼との会話を伝え、明日はこの宿をいつでも出て行っても良いように大掃除をしようってことで決まり、明後日から先ず自分らで物件探しをしようってことが決まった。
それ以降で、前々からアミとのデートについて考えていたこともあって、皆んなの前で彼女にデートの誘いをしてOKを貰った。
彼女は俺とのデートが楽しみ過ぎてニヤニヤした表情をしたまま、アマと一緒に自室に戻って行き、姐さんやシオンに士郎も戻って、シーバスだけが俺たちの部屋に残って、真剣な表情で詰め寄って来た。
「俺はミーツさんのことを信用しているけどよ、アミと子作りはまだ早いと思ってんだ。
俺はアイツらの親代わりで、大事に育ててきた妹なんだ。だから、アイツとのデートは普通に遊ぶだけにしてもらえないだろうか。ミーツさんもアミを異性としてみてくれているのは分かる。だが、どうかアイツの初ともいえるデートで身体の関係だけは勘弁してくれ」
「ははは、シーバスが真剣に詰め寄るからなんだと思ったらそんなことか。もちろん俺はアミの身体に手を出すつもりはないよ。キスくらいなら雰囲気でするかも知れないけど、俺がアミとする初デートなんだ。
今まで一緒にいたからといって、初デートでいきなり身体の関係にはならないさ」
「信用していいんだな!」
そう睨むシーバスに、そんなに心配なら尾行でもなんでもしたらいいさと言うも、それでも転移魔法を使われたらどうにも出来ないと返された。確かにそうだと考え、それなら誓約書でも書けばいいかもとボソリと呟いた。
「それだー!ミーツさん、あんたには誓約書を書いてもらう。あんたがアミに手を出さなくても、あいつがあんたに誘惑するかも知れねえからな。その場合でも同じことだからな!」
「分かった分かった。因みにだけど、シーバスは、異性との初デートでいきなり身体の関係になったりはしないのかい?」
「お、俺のことはどうでもいいじゃねえか!」
興奮気味に捲し立てるシーバスに落ち着いて一つ質問をしたら、質問の答えとしてはぐらかそうとした。
「どうでもはよくないよ。俺は今度のデートでは、もちろんアミに手を出す気はないけど、シーバスも初デートでは無いんだろ?」
「チッ、俺はあるよ。だけどな!女から迫って来た時だけだぜ!俺たち下の国の冒険者はな、いつ死ぬか分からないんだ。だから悔いを残さねえようにするのが一般的なんだ。
だからといって、ミーツさんが妹に手を出すのは許せねえ!もっとアイツとの付き合いが長くなれば考えなくもないけどな」
彼の言い分になるほどと思いながらも、自分の事は棚に上げての言葉に呆れた。
俺は自分の言葉通り、初デートである彼女に手を出すつもりはないが、彼は決して俺が彼女に手を出さないという誓約書を書くまでは、部屋を出て行かないだろうと思い、想像魔法で出した一枚の紙にスラスラと書き始めた。
『俺は、ミーツは今度のデートでアミと身体の関係にならない。子作りをしない。これを破った場合はシーバスが提案するどのような罰でも潔く受ける』
書き終わったら、俺の親指を刃物で切って血の拇印を押してシーバスに手渡した。
「魔法の効果がある訳じゃないけど、これに書かれたことは、死ねとかじゃない限りどんな罰も受けるよ」
「ああ、俺も流石に殺すとか死ねとかまでは思わねえよ。だけど俺にとっては何度も言うけどよ、大事な妹なんだ。俺の認めた男以外にアイツらはやらねえよ!」
彼は誓約書を懐に仕舞って、腕を組んでそう言い放った。
「因みにシーバスが認める男とはどんな男なんだ?」
「そりゃあ、うーん、そうだなあ、貧乏暮らしをさせたくねえから、普通でもいいから金持ってなきゃいけねえな。
んで、俺より強いのは絶対条件だな。
あとは、無理矢理言うこと聞かせるような奴は信用できねえ。女に暴力を振るうのもダメだ。って要約したらミーツさんが頭に浮かんだが、俺が一番認めちゃダメな人じゃねえかよ!」
彼が妹たちの彼氏に認める要素を質問したら、俺が思い浮かんだと言って「うわああ」と叫びながら部屋を出て行った。
部屋の向こうでは兄ちゃんうるさい!とかシーバスうるせえぞ!とか聞こえるところ、アマとシオンが叫ぶシーバスに怒鳴っているのだろう。全くなにやってんだかと呆れて明日のために俺も早めに就寝しようとしたが、念のため用務員のNo.1ことワンダーに連絡して、事情を話して明日は時間を作って、彼にとある物を借りようと会う約束をした。
それともう一つ、確認のためとお願いでシュトレーゼマンにも連絡を取る。
翌日早めに起きて、起きてからするいつもの動作を一通り終わらせたあとに、朝からワンダーに会いに行った。
彼に借りるとある物とは、魔導車という車であった。魔導車とは、ガソリンを必要としない車であって、備え付けられている魔石に魔力を込めれば動くという代物である。魔力が無い者でも魔石を交換すれば乗れるのである。
彼の車はオープンカーで借りるのは難なく出来たが、アマとのデートを条件に出されたものの、流石にこれについては断った。
それならばとミーツとしての、俺と二人きりでダンジョン攻略の動画映像撮ることについて条件で出されたことは了承して、車を借りることに成功した。
車の交通マナーや免許に関しては、昨夜シュトレーゼマンに確認していたため、これについては問題なく、借りた車は盗難など安全面がちゃんとしてあるパーキングに停めて、宿の大掃除に向かった。
大掃除はほぼ一日掛かりで終わらせ、姐さんに頼んで近々宿を出る事を俺には面識がない宿の女将に伝えてもらう。
次の日やその次の日は物件捜しに向かうも、ヤマトではピンキリで、ギルド本部の近くでは、紹介無しでは住めない仕様である。
良い街並み、良い店が立ち並ぶ街ではべらぼうに高かった。
普通の4LDKの一軒家での月々の家賃は一億~三億Pであったことで、とてもじゃないがパーティで暮らせる物件ではないため、良い街は断念。
だからといって今いる宿の近くの物件は安いものの、パーティで住めるほどの物件がないうえ、治安の悪さや近くに買い物が出来る店がほぼ無いところで、ここいらの近くに住むというのは選択肢から除外していいだろう。
後は、学園都市内で捜すも、学園都市での物件の殆どが学園都市での身分がちゃんとしてある人の紹介でないと購入どころか、借りることすらできない所が多かった。
紹介無しで借りることが出来そうな物件は、金がない苦学生が住むような四畳一間のボロボロのアパートのような所だったり、小さな隙間だらけの小屋が多かったため、学園都市での物件捜しはシュトレーゼマンの紹介に頼るしかない。 こうして、たった二日であったが、パーティハウスの物件捜しはシュトレーゼマンの予定が空くまでの間は中断することにした。
連絡があるまでの間は、パーティメンバーらにはそれぞれ好きなことしてもらって、俺はアミとのデートをすることにしたものの、デートの当日服はどうするか悩んだ。
以前、レインに貰った服はいくつかあって、白のタキシード以外にも普通のスーツもあることで、今回は無難に黒のスーツを着てボサボサの髪はオールバックにまとめてから気付いた。
彼女とのデートはミーツかミツルギかどちらでした方がいいのだろうと考えた。
シーバスに頼まれて書いた誓約書ではミーツと書いたし、彼女らもずっとミーツと呼んでいるから、ここは仮面を装着して迎えに行こうと彼女の自室をノックする。
「はいはいはーい。おじさんだよね。アミ、気合い入れてるからちょっと外で待っててよ」
扉越しでアマが返事をして、彼女に言われた通り、外でヤスドルが自主鍛錬しているのを眺めること数十分後に、再びアマの声でお待たせと後方から聞こえて振り向いたら、スッピンに近い軽めのメイクをしており、ほんのりと甘い香りが漂っているところ、香水も使っているようだ。
彼女の服装は、ノースリーブの薄手のセーターに胸の谷間が見える仕様。
それなのにスカートはロングではなく、膝より上の短さのミニスカートであるため、目のやり場に困る服装で、仮面を装着してなかったらアマに揶揄われていたことだろう。
「お、お待たせしました。ど、どうですか?
変じゃないですか?」
普段からローブ姿の彼女しか見ないから、彼女の変化に俺も戸惑いながらも返事をする。
「うん。とてもよく似合ってるよ。こうして見てみたら、本当に少女から女性になったんだなって思うよ。
デートもいきなり決まったし、ノープランだけどアミの行きたいところとかあるかい?」
彼女は指をモジモジと交差させて、学園都市の三大ダンジョンである天空ダンジョン近くにある見晴らしの良いスポットがあるとかで、そこに行ってみたいと言い出した。
通信機で調べたら、ダンジョンから徒歩で行くには少々遠いところ、乗り物でしか行く方法がないことで、ワンダーに車を借りる段取りになっているため、学園都市の車が停められている駐車場に向かう。
俺たちを知らない人が見れば親子か、援助交際しているように見えることだろうが、ここは恥ずかしいという気持ちを押し殺して歩く。
「車は借りる当てがあるから先にそこに行こうか」
彼女にそう言い、駐車場の近くまで彼女と共に転移して、後は徒歩で歩いて行く道中、彼女は腕に絡み付いて胸を押し付けたりしながらも、楽しそうに街中を歩く。
駐車場に辿り着いたら、事前に打ち合わせしていた通りに車を起動させるための解除番号と一定の魔力注入が必要であることも聞いていたため、借りる車に近付いたら目の前に六桁の番号が現れ、聞いた通りの番号を打ち込みながら魔力を注入していった。
本来なら鍵があれば全て解決するのだが、その鍵がない場合の緊急に起動させるための動作だと聞いていた。
一連の動作を終わらせたら、魔導車の魔力タンクは満タンになっていていざ起動してみたら、エンジン音が全く聞こえないから、本当に動くのか半信半疑で、駐車場から出ようと動かしてみたら普通に動いた。
車の操作は元の世界での運転と差程変わらないのに、振動が全くないのに驚いた。
どうなっているのだろうと窓を開けてタイヤ部分を見たら、僅かに浮いていた。
駐車場に停まっていた時は地面に着いていたのに、動かしたら僅かに浮くなんて不思議な車だと思いながらも、一度車から降りて駐車場の出入口で待っていた彼女に助手席のドアを開けてどうぞと言うと、彼女はスカートを気にしながらも乗り込む。
普段から偶に魔導車に乗ったりしていたようだから、乗り方については普通に知っており、俺も運転席に乗り込んで発進させる。
魔導車のタイプは二人乗りのスポーツカータイプでオープンカーではあるが、屋根はスイッチ一つで開閉が出来る。こういうのは、元の世界の車と一緒である。
用務員のNo.1ともなればこういう車も所有できるのかと、用務員業を頑張ってみてもいいと思った瞬間だった。
車の運転は左ハンドルで、道路は右車線走行に戸惑いながらも、学園都市の街中を走る。
この世界でも車を運転するには免許が必要なのは、シュトレーゼマンに確認したから分かったのだが、俺にはこの世界の免許がないため、彼にお願いをして今日のデートでは特別に許可して欲しいと言っていたのだった。
俺の過失によって事故を起こした場合は責任を負うが、それ以外で問題が起きた場合は、彼の名前と一緒に俺の冒険者証を出せば何とかできるようにすると約束してくれた。
行き先の到達場所は彼女が知っているが、車にナビが付いて無いため、何処をどう走ったら分からなく、途中で通信機で調べたりしながら走り、行き着いた場所は灯台があって低めの丘しかない場所だった。
遠くに天空ダンジョンの浮遊地が見えることで、彼処から近いのかと一人で納得する。
だが、浮遊大陸の端の方だからか、雲が海のように見える雲海で綺麗だなと心が洗われる気がする。
彼女も話には聞いていたから行ってみたいと思っていたようで、この絵のような光景に感動しているようだ。それに、ここはそれなりに有名なデートスポットのようで、俺たちみたいな魔導車で来たであろうカップルが、あちこちで地べたに座ったり、所々に生えている木々にもたれ掛かったり、車に乗ったままでイチャイチャしていた。
それをアミが羨ましそうに眺めていたところで、ベンチも何もない所であるここで、ベンチを想像魔法で出したら、ちょうど座りたかったんですとベンチに座りそうになったことで、咄嗟にハンカチを取り出して彼女の座る位置にソッと置いて座らす。
二人並んで雲海を眺め続け、どちらともなく腹の音が鳴った。
よく考えたら、朝から何も食べてなかったことを思い出した。それは彼女も同様みたいで、ちょっと遅めの朝食として、想像魔法で何か食べ物を出そうか考えていたら、彼女がポシェット型の魔法鞄からサンドイッチを取り出した。
「私の手作りですけど、よかったらどうぞ」
いつ作って入れていたのか、無粋なことは聞かないようにして彼女のサンドイッチを仮面の口元を開けてパクリ。
特別に美味しいというわけではないものの、彼女の見つめる視線に美味しいよと返したら満面の笑顔になった。
俺の心臓はドキリと高鳴る。一瞬、心不全を心配するも、これについては違うだろう。
俺たちのほのぼのとした光景に、他のカップルたちは、弁当持ってくればよかったとか、あのベンチいいなあとか声が聞こえた。
「あの、ミーツさん。他の人たちにも椅子を出してもらえますか?こんなに注目されると恥ずかしくて」
彼女は注目されるのが嫌のようで、俺たちから離れた場所に幾つかのベンチを適当に出したら、椅子取りゲームかと思うほどベンチに向かって走り出すカップルに笑えた。
そんな光景も雲海の光景も飽きてきたことで、そろそろ移動しようと立ち上がって思った頃、背後から邪魔だと背中を蹴られた。
背後に誰か居るのは気付いていたが、まさか蹴られるとは思わなかった。
「ミーツさん!私のミーツさんに何するんですか!」
「はあ?はい出たー!今話題のミーツ騙り、最近ミーツと名乗る偽物が多いんだよなあ。
実力はカスなのによ。で?彼女はパパ活中か?痴女みたいな格好で、そんなにコイツは金を持ってんのかよ。
しかもミーツっていうんだあ。可哀想に君、騙されているぜ。俺はコイツよりは金を持ってるぜ!そんな奴を捨てて、俺たちと楽しくイチャイチャしようぜ」
背中を蹴られて驚いていたら、彼女が今にも魔法を放ちそうになっているのに気づき、彼女の口を手で塞いだ。
気持ちよさそうに喋る男の聞いた事ない単語に首を傾げるも、明らかに彼女を侮辱したであろう言葉に怒りが込み上がってくるも、少し深呼吸をしたあと、もう立ち去ろうと思っていたんだと言いながら、ベンチをI.Bに収納して彼女の肩に手を回して立ち去ろうとしたその時、男が待てやゴラァと怒鳴ってきたことで俺の中で最弱の威圧を彼に放った。
「ヒィッ!な、なんなんだよ。ミーツ騙りのくせによお」
彼はヘラヘラした笑いから一変して、青ざめた表情になった後、ガタガタと震えて盛大にブリブリブリと音を出して、ズボンの裾から糞らしきモノが落ち、股間もが濡れ、そのまま尻餅を着いた。
「良かったですね。ミーツさんが私とのデート中で!普段でしたら、地獄ダンジョンか厳しめのダンジョンに連れて行かれてましたよ?」
彼女は嬉しそうに俺に怯える彼に向かってそう言い放って、行きましょうと彼女の肩に乗せた俺の手を自身の手に握り、貝繋ぎで手を握って魔導車のところに向かう。
俺に怯える彼の恋人は、ダサッと一言そう言って、自分たちが乗ってきた魔導車に乗って一人で帰って行った。
学園都市の街中を走っている最中、ずっとあの男の処遇は甘かったんじゃないですか?と質問責めに会うも、最後は怯えて何もかんも漏らして恋人にも置いて行かれたからいいじゃないかと締めくくり、昼ご飯にしては中途半端な時間だからと、オシャレなカフェに入って、スイーツを頬張りながら雑談。
本当は彼女はカップル席限定というのを座りたかったらしいが、一脚の大きめの椅子に男が先に座って、その上に女性が跨がって向かい合って座るというものだったため、流石にそれは却下したのだった。
カフェを出た後は、街中で彼女に似合う大人コーデの服を買ったりして、ぶらぶらと散歩したりと大した行動はなく、夜になると彼女が友人に勧められたという食事処に向かったら、ダンジョン街の近くにあるところで、よくある大衆居酒屋みたいな店であった。
本当にここでいいのかを聞いたところ、初めてのデートだからって、大人が行くようなところばかりに行かなくても良いんですよと返って来た。
「まあ、アミがそれでいいならいいんだけどね。今回のデートもノープランなわけだったし、俺もあまりキザなこと出来ないからね」
「ふふふ、良いんですよ。私はありのままのミーツさんが好きなんですから。あまり格好良いことし過ぎたら、私がどうにかなっちゃいますから。今日もミーツさんは素敵でした。
本音を言わせてもらうと仮面を外した状態のミーツさんが良かったんですけど、友達にしかミーツさんと付き合っていること言ってないから我慢します」
彼女は今回のデートがとても嬉しかったようで、車を駐車場に停め、早く行きましょうと俺の手を引っ張って店に入ったら、知っている人が入口近くで飲んでいた。
「おう!そこにいるのは愉快な仲間たちのミーツとアミじゃねえか!こっちに来て一緒に飲もうぜ!」
店に入って最初にそう話しかけて来たのは『蒼紅』の紅だった。他にも少し知っている人が何人かいるが、流石に彼には今回は止めとくよと断って、大衆居酒屋なのにカップル席があって、仕切りがあるだけの半個室に彼女が何の迷いもなく歩いて行った。
余程カフェのカップル席に座りたかったのだと思った。嫌ではないが、随分と席が狭く、密着しないといけない空間に壁際に座るように指示され、仕方なく座る。
ただでさえ狭いのにアミが密着して隣に座り、胸をグイグイ押し付けてきた。
「き、今日のアミは積極的だなあ。
いったいどうしたんだ?」
「だって、私が頑張らないとミーツさんから手を出してくれないじゃないですか。
それに、好きな人相手にはこうした方がいいって、友達たちが言ってました」
彼女に余計なことを吹き込んだ友達とは誰だと思ったものの、今の現状は俺の理性を保つことで、食事に集中しようと思って店員を呼ぶも、既に席に着くまでに彼女が注文済みであった。
テーブルに運び込まれたのは、精力が付くといわれている物ばかりが並んだ。
この子は今日どうなりたいんだと思いつつも、少しずつ口に運び、時には食べさせ合ったりして、トイレに行くという口実を作って彼女の見えない場所に移動したところで、シーバスに連絡を取った。
シーバスは慌てた様子で直ぐに向かうと言ってくれてホッとしたのも束の間、気が付けば背後に彼女が怖い笑顔で誰に連絡取っていたんですか?と言ってきたことで、急に連絡が入って来たからちょっと話していただけなんだよと誤魔化したら、普通の笑顔に戻って終わったのなら席に戻りましょうと俺の腕を掴んでグイグイと引っ張って席に連行された。
あまり食事に手を付けないまま、アルコールがほとんど入ってないジュースみたいな酒をチビチビ飲んでいたら、店の入口で叫んで入ってきた者が来た。
来たのはシーバスで、息を切らしながら俺たちのいるカップル席に近付き、バッチリ俺たちを確認後に彼女の手を掴んで立たせて俺から引き剥がした。
「お前!なんて格好してやがる!こんな服で男に迫ったら襲われるぞ」
「お兄ちゃんの馬鹿!分かってるもん!私、今日はミーツさんに初めてを貰ってもらおうと思ってたんだもん!」
「なにを馬鹿なこと言ってやがる!」
突然始まった兄妹喧嘩に他の客たちは、何だ何だと俺たちに注目しだしたところで、食事代を払って店早く彼らを連れて外に出てから、人目の付かない場所を考えて俺が最近改装したばかりのダンジョン入口に転移した。
そこからは最初に手を出したのはシーバスで、彼女にビンタをした。
それをキッカケに兄妹で殴り合いの喧嘩になったものの、一方的に兄であるシーバスが殴られる結果となって、流石に途中で止めた。
「ミーツさ~ん、私、血出てないですか?治して下さい」
彼女の顔は最初のビンタで頬が赤く腫れているだけで、血は彼の返り血が付着しているだけであった。
今治療が必要なのはシーバスの方で、顔が変形しているのではないかと思うほど顔が血で真っ赤に染まっていた。
「アミは後でね。先にシーバスを治療しないと不味いからね」
俺が先にシーバスを治療するというのが気に食わなかったようで、俺の脇腹をつねって来たものの、痛いのを我慢しつつ彼を治療して、彼女に向き合って頬がどういう状態かを見るために顔を近づけたら、彼女は目をつぶった。
赤く腫れただけの頬に手を添えて治療したら、突然彼女は目を見開いて口付けして舌まで入れて来たのには、流石に驚いた。
だが、彼女も舌を入れたまでは良かったが、それからどうしたらいいか分からず、舌が俺の口の中で硬直していた。
このままだと終わらないと思い、彼女の肩を押して無理矢理終了させた。
「ふふふ、初めてでしたけど、ミーツさんのお口の中美味しかったです」
「初めてで舌はまだ早いよ。固まってたからね。本当のキスは、もっと親密な関係になった時に教えてあげるね。
あと、前々から思っていたけど、本当に怒ったときのアミは口調がちょっと変わるね。兄さまがお兄ちゃんになってたよ」
あの兄妹喧嘩が始まった時のことを思い出して言ったら、彼女は恥ずかしそうに俯いた。
「そんなこと恥ずかしいこと言わないで下さい。偶に変わるのは家族だけです」
「ははは、偶にでも変わるのは良いことだと思うよ。さ、気絶しちゃったシーバス連れて帰ろっかね」
こうして最後は彼女にとっては、最悪ともいえるデートになってしまったものの、最後以外は何事もなく終わってホッとして宿に転移して帰った。
後日、俺がシーバスと誓約書を書いてまでした約束の紙をアミに見つかって、また兄妹喧嘩が勃発したのは、また別の話である。
因みにデートで使用した借りた車は事前に決めていた、長時間停めても大丈夫な無料駐車場に停め、誰も触れないようにシールドを張ってから離れて行った。のちに車を取りに来たワンダーに、シールドが邪魔で触れなかったと怒られることになったのはいうまでもないことであった。
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