底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第6章

第38話

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「ここならどうだろう。かなりお勧めですよ」

 学園都市にて、シュトレーゼマンに物件選びを紹介して貰って、既に三件目であった。
 最初の一件目は、俺たちパーティが入るには手狭な一軒家で、二件目は交通に便利な広めなマンションだが、まだこれも今後仲間が増えた場合に部屋割りが難しくなりそうな物件であった。 現在今紹介された所は学園都市でも郊外に位置するが、物件的には貴族の屋敷というのが印象的である。

「ここなら人工ダンジョンみたいに部屋数も部屋の広さも自在に変えられるし、街中に気軽に行き来が出来る転移陣が既に設置済み。
 賃貸ではない買い取り物件となっているけど、どうだい?此処はかなりのお勧め物件だよ」

 そう紹介してくれた彼に中を見せてくれと言って、仲間たちと一緒に中を見たら、映画や本の世界でしか見たことがない屋敷そのままであった。入口のゲートから入れば広めの庭があって、屋敷内は入口中央に階段があって左右に幾つもの扉があった。
 ここを人工ダンジョンみたいに自在に変化させるには、屋敷から出て庭に建てられている小屋にダンジョンの核のような物を置くことが出来るというもので、今の段階ではまだ核は置いてはいないものの、今の屋敷のままで充分満足である。
 しかも、交通に便利な魔法転移陣付きで、文句なしであるため、仲間たちに相談したら、皆んなも納得の一件であるようで、満場一致でここで決定した。

 ただし、この物件は買取タイプで、価格がなんと五千億Pというのに驚いた。俺たち全員の全財産を合わせても三億ちょっと、とてもじゃないが届かない。
 どうしたらと考えたら、彼に分割でいいと言ってたものの、どれほどの年数が掛かるか分かったものじゃない。
 とても残念だが、この物件については諦めよう。

「あ、そうそう。今は払えないかもだけど、君であれば五千億程度すぐに稼げるよ。
この物件の支払いについては直ぐじゃなくていいからね。
では、詳しい契約書は後日にでも担当の者に持って来させるから、今日から此処に住んでもらって良いよ。時々、私も遊びに来るからね」

 彼は俺の諦めようとした気持ちを察したのか、笑顔のままそう言ってこの場で別れた。

「あたし二階がいい。アミはおじさんの隣の部屋がいいんでしょ?」
「うん。本当は一緒の部屋がいいけど、それだと兄さまがうるさいから」
「俺たち凄えとこに住むんだな。でもこれからメシは自分たちで作らなきゃいけねえから面倒だな」
「あら、それなら交代制で作るか、それぞれ自分たちで食事を取るかしたらいいんじゃないかしら。移動に便利な転移陣が庭にあるんだし」
「そうですね。これならアキラを遊び走り回らせても問題ないですし、僕もダンクさんの提案通り、それぞれで取るので良いと思います。今までもそうでしたし」
「俺も大体寝れれば何処だっていいぞ。
ミーツが今日から拠点は此処にすると言えば、俺は特に反論はしない」
「メシ、ミーツに、作ってもらう。それ以外、問題ない」

 それぞれが思い思いに屋敷についてと食事事情について考えを話したところで、宿の引き払いには姐さんが向かうことで決まるも、宿に置いてある私物を取りに行かないといけないことで、結局ヤスドル以外の皆んなで宿に戻り、手続きを姐さんがやっている間に俺たちはそれぞれの私物を魔法鞄に入れるか、俺に持って欲しいと頼んで来たりで、なんだかんだで午前は物件選びで終わり、午後は今まで使用した宿の私物の運び出しで終わった。

 最後に皆んなで外に出て鍵は指定された場所に掛けて、皆んなで世話になった宿に向けて一同礼をして後にした。
 帰りにメシでも食って帰ろうかということになるも、ヤスドルを置いて来ていたことに気付き、今日のところはパーティハウス購入記念として拠点で俺の想像魔法で色々な料理を出してあげた。
 俺の知らない料理に関しては同調を使用して食べきれないほどの数々の料理を出したものの、結局はヤスドルが全てを平らげた。
 食器などは全て想像魔法で出した物だから片付けも想像魔法で片付け、部屋決めに関しては俺は二階の角部屋に決める。その隣がアミでそのまた隣がアマ、一階には食堂やリビングに会議室など色々な用途で使用する予定であるため、他のメンバーたちも二階に住んでもらうことで決まって、それぞれ自分で決めた部屋に入って行った。

 ベッドなどの家具については何もない状態だったため、俺が仲間たちと合流した時に泊まった高級宿に置いてあったベッドを、それぞれの部屋に想像魔法で設置して行った。
 それが気に食わなければ、自分たちで購入するなりすれば良いと言えば、誰も問題なしとのこと。風呂場とトイレも各部屋にあるのが、この屋敷のいい所で、流石に浴槽と便器は備え付けであったのは助かった。

 俺も自分で選んだ部屋に入り、壁際にベッドを設置。他にも本棚や机など家具を置いてみたところ、まだまだ広いものの、意外と手狭になったところで明日以降で魔石を設置できる小屋にでも行って、どこまで操作が出来るか試してみようと思いながらも就寝。

 翌朝、昨夜では気付かなかったがテラスがあるのに気が付いた。テラスに出てみると、薄手のネグリジェを着たままテラスに出たアミと会った。テラスは繋がってはおらず、行き来は出来ない仕様になっているのが良かったものの、寝起きで、しかも裸同然の身体を俺に見られた彼女は顔を真っ赤に染めて部屋に引っ込んだ。
 流石に無防備過ぎた彼女にテラスごしに済まないと声を掛けて謝り、俺も部屋に戻って自室の机にて想像魔法で出した軽めの朝食を取る。

 朝食を済ませて、今日は何しようか考えていたら、俺の部屋の扉を叩く音が聞こえた。
 先程のことでのアミかと思いきや、ヤスドルだった。

「メシ、頼む。できれば、カレーがいい」

 彼はそれだけ言って自分の魔法鞄を広げて、此処に沢山入れろと言わんばかりに俺の目を見つめた。

「カレーを出すのはいいけど、偶に野菜も食べなきゃ栄養が取れないよ。それでどれくらいのカレーを出せばいい?寸胴五個分くらい?」
「いっぱい!今、これ、空、だから、いっぱいなるまで!」

 どれだけカレー狂いだよと思いながらも、言われた通りにレストランにあるような寸胴のカレーを想像魔法で作り出して、十個入れてもまだまだ入る様子、二十入れても余裕ありそうで、思いっきりカレー入りの寸胴を百個ほど出して魔法鞄に入れて行って、まだまだ余裕あるとかで、思いっきり巨大鍋に想像魔法で出したカレーを入れて鞄に入れても余裕あるとかで、同じ大きさの巨大鍋をいくつも入れたところで鞄がいっぱいになったとのことで、朝から俺の部屋の前はカレーの匂いで充満していた。

 結局のところ、彼の魔法鞄にカレーが入った寸胴サイズが相当な数と、イベントなどで使われているような巨大鍋もかなりの数が入ったのだった。
 野菜に関しては、食物繊維やビタミンが摂れるダンジョンにいる魔物を時々直接食べているらしい。彼曰く、カレーを食べたあとにそうすることで、力が漲るのだとか。
 俺の想像魔法で出した食べ物は魔力が含まれているらしく、彼にとって多く魔力や力が向上するのがカレーというだけみたいだ。
 他に向上する食べ物は無いかについては、昨晩に俺が想像魔法で出しまくった料理で、自分にとって何が一番効果が高いか再確認も含めて食べっ切った結果がカレーというわけである。

 よくあれだけの物を食べたと思ったら、そういう考えがあったのかと彼の考えに関心した。
 彼は嬉しそうに自室に戻って行ったが、その代わり俺の部屋も含めて屋敷中に充満したカレーの匂いに釣られて他のメンバーが俺の元にやって来た。
 またカレーかと半ば諦めて、食堂にて人数分のカレーを大盛りで出してやった。

「後片付けはそれぞれ自分たちでやってくれよ。それを食べたあとでいいから、姐さんは俺と庭にある小屋に来て欲しい」
「あら、なにかしら小屋っていったら、転移陣と魔石を置くための小屋よね?どっちの小屋かしら」
「もちろん魔石を置くための小屋だよ。俺にとって、自室の広さがもう少し欲しいと思っているんだよね。だから俺が持ってる魔石を使用して核にするから、どの程度なら規格外じゃないかの判断をして欲しい」
「良いわよん。でも何であたしなの?シオンちゃんやシーバスちゃんでも良いじゃない」

 姐さんの質問に少し考えて、仲間の中で俺の次に強いのが姐さんで、一番信用できるからと思い付いたことを言ったら、アミとアマが私たちは信用出来ないの!と怒ったものの、そこは姐さんが宥めてくれた。

「じゃあ、食べるのはゆっくりでいいからね」

 そう俺は言って屋敷から出て、庭をぐるりと歩いて周った。ここを紹介された時にある程度は見て回ったものの、部屋に設置されているテラスみたいに再発見があるのではと思って、屋敷の敷地内を歩いたのだった。

「思ったより広いな。これなら、使い魔たちのために獣舎を建てても問題なさそうだ。ダンジョンみたいに敷地を自在に広くできるなら、問題ないな」

 そう独り言を呟きながらも敷地内を数周回って、小屋に辿り着いたら既に姐さんが待っていた。他にもアミとアマとシーバスも居たが、まあ仲間だしいいかと思って、小屋の中に皆んなを入れた。

 流石に五人も入れば少し手狭である。
 小屋の中央に四角の台座が設置されており、試しに小さめの魔石を台座の上に置いたら魔石が光って、そのまま操作出来る仕様であるようだが、流石に魔石が小さ過ぎて弄れる所は部屋三つ分を少し広くできるだけのようだ。
 小さめの魔石は台座から取ってみたら、ルビーみたいな赤色の魔石だったのが黒色の汚れみたいな物が中に見えた。

「なるほど、これが汚染されるというわけか」
「あらあら、ミーツちゃんは知らなかったのね。そうよ、一度使用した魔石は汚れちゃって他の用途に使用出来ないの」
「へー、あたし初めて知った。
アミと兄ちゃんは知ってた?」
「うん。私は授業で習ったから知ってたよ。
アマは寝てたから聞いてないんでしょ」
「俺も初めて知ったな」
「基本魔石を使用する所は、魔力タンクが無い所が多いのよ。ヤマトや学園都市は基本的に魔力タンクが設置してあるから、魔石を使用することは一般家庭では少ないけど、孤立した研究所とかは魔石を使うって聞いたことあるわ。
 下の大陸では魔力タンク自体が珍しいから、魔石は普通に生活必需品ね」

 姐さんの説明でなるほどと思った。
 シーバスとアマも俺と同じように姐さんの説明を聴きいっている。
 追加で説明を話し出す姐さんは、長距離や長時間飛び続ける飛空挺と呼ばれる空飛ぶ船や特殊な乗り物にも、巨大な魔石が使用されているらしく、他にも事前に魔石に魔法を入れておけば、魔法を詠唱しなくても使用できるというものらしい。だがその反面、魔石に魔法を入れた場合は使い切りでの仕様で荷物になるから、持っていく冒険者は剣士など魔法を使えない者が多いそうだ。

 今回、俺が台座に使用する魔石は、俺がフェイスと共に戦って苦戦したベヒーモスの魔石を使おうと思ったのだった。
 魔石は一人掛けのソファくらい大きいので、I.Bから取り出す時は慎重に取り出して台座に乗せようとしたら、姐さんからストップを掛けられた。

「ミーツちゃん、まさかその魔石を使う気なの?そんなの中型の飛空挺に乗せられるくらい大きいじゃない!ミーツちゃんは、この屋敷を新たなダンジョンにする気?」
「まさか。俺はこれクラスの魔石はゴロゴロ持ってるし、これは俺にとって思い入れがあるから、ここで使おうと思ったんだよ」

 俺にとって思い入れがあるという言葉に一番反応が早かったのは、アミとアマだった。
 彼女らはどう思い入れがあるか聞いてきたから、別に隠すことでもないことから、寝そべったベヒーモスと戦った話をしたら、次はシーバスが食いついた。

「それってミーツさんが記者会見で皆んなに見せた地獄ダンジョンのベヒーモスか?」
「違うタイプだね。多分、あの時に地獄ダンジョンのベヒーモスと戦っていたら今頃、俺はここにはいなかっただろうね。あの時でもほぼ動かないベヒーモス相手に苦戦したのに、二足歩行で動くベヒーモスなんて、あの時にアレが居なくて本当に良かったと思っているよ」
「ミーツちゃんにとって、そんな苦戦までして戦って勝った魔石をここで使っちゃって良いのかしら。もっと別のところで使わなくていいの?」
「いいんだよ。さっきも言った通り、俺にはこれクラスの魔石は砕いて庭の砂利代わりに出来るほど持ってるし、思い入れがあるからこそ、此処で使うんだ」

 そう最後に話しながら持っている魔石を台座に置いた。先程、小さめの魔石を置いた時より目が眩むほどの光を放って、台座に定着したのか、色々な項目が現れたものの、この土地の面積から屋敷の敷地面積、部屋数に、部屋の面積も自在に変えられて尚且つ、屋敷に関すること全てが核から分かった。
 シュトレーゼマンの説明では無かったが、屋敷には地下があり、地下に魔力タンクが設置されているようだ。
 その地下すらも、広くできることから、まず最初に手掛けたのは、鍛錬場として地下を広くした。次に屋敷を侵入者から守るためのシールドで許可のない者や招かざる者の侵入を禁止する。ただし、招き入れた者でも悪意がある者であれば屋敷から弾かれる仕様にする。
 各部屋と地下の防音効果も先に忘れずに設定して行った。

 転移陣は屋敷の玄関付近に移動させ、この屋敷を自在に出来る核は俺の部屋に移動させようと考えたが、それだと俺以外が操作できないことに気付き、とりあえずのところは、邪魔にならない所に設置。
 俺は自分の部屋の広さに不満を持っていたため、部屋の面積だけ広げるのではなく、面積を広げて尚且つ部屋の中に更に部屋を増やすことにした。
 そうすることで、趣味部屋や、読書部屋など色々できるからだ。
 ついでに、二階建ての屋敷を思い切って、五階建てにして俺たちの部屋がある階層を五階にしてそれより下に元の広さの部屋を作った。
階段は二階に上がる中央の階段の他に左右の両端に階段を設置。
 階段を設置しておいてなんだが、毎回階段の登り降りが大変だと思って、各階の中央部に一階に転移する転移陣を二つずつ設置した。

 一階に転移するための転移陣は、玄関まわりの邪魔にならないところに複数設置するのも忘れずに行う。
 今一緒にいるメンバーに他に要望があれば、今聞くと言えば、俺と同じく部屋の中に別部屋が欲しいとの案をアミとアマに姐さんまでが言ったことで、すぐさま設定した。
 シーバスは、食堂や調理場がもう少し広けりゃと言っていたので、それらを広く設定。
 調理場に色んな食材を貯められる魔法鞄と同じ原理の箱を設置する。
 あとで、想像魔法で色んな食材とI.Bに入っている物を出して入れておくと、今いるメンバーに伝える。
 最後にこの核を扱えるのは、俺と姐さんのみであるという設定をする。
 他にも自動で出た項目以外に、自分でも文字を入力すれば項目が増やせるのが分かった。
俺が追加で増やした項目は、核の設置数を増やした。今はまだ今の魔石でこと足りるが、のちに色々追加したい項目が出来たときに今の魔石では足りないということがないようにとの、保険みたいな感じで作ったのだった。

「とりあえずの所はこんなもんかな。
 これでまた変えて欲しい所があれば、俺か姐さんに言うといいよ」
「え~、あたしも扱いたかったなあ」
「私も、そうしたらミーツさんとの部屋を繋げられるのに」
「ミーツさんナイスだ!絶対アミとアマには扱わせる許可を取らないでくれよ」
「ふふふ、お兄ちゃんは必死ね。
あたしは、問題ないわ。もし、あたしもミーツちゃんも居ない状態で、変更して欲しい所が出たら他の子たちはどうしたら良いのかしら?」

 姐さんの質問に考えて答えを出す。

「それなら、玄関に掲示板を作って要望を書いておけば良いんじゃないかな。誰の目にも入るし、個人的な相談とかだったら、紙にそう書いて貼ってあれば、それを見た俺か姐さんが向かうし、急遽変更したいとかの要望で俺も姐さんも居ない状況だったら、待っててもらうしかないけどね。本当に急遽変えなければいけないなら、通信機で連絡取ってくれたらいいし」
「そうねえ、それしかないわよねえ。
じゃあ、そうしましょう。掲示板の設置については、次はあたしにやらせてちょうだい」

 俺と姐さんしか核を触れない設定にしているのに、俺ばかりが操作して姐さんに触らせなかったことに反省をし、操作のやり方について隣で教えたら直ぐに理解したようだ。

「出来たわ。あたしみたいに魔力が少なくても操作するのは関係ないのね」
「へえ、そうなんだ。なら、これからは俺が居なくても、全然問題ないね」

 俺の発言に俺の隣で腕を握っているアミの力が強くなった。

「ミーツさん、お一人で何処か遠い所に行っちゃうんですか?」
「えー、ほんとだよ!今のおじさんの言い方、なんかパーティ抜けちゃうみたいだったよ」

 俺は単純に、俺の留守中は任せられると言いたかっただけなのだが、不安そうに見つめてくる彼女らに俺の言い方がおかしかったことを伝える。

「済まない。言い方については間違いだ。
単純に留守中は任せられると言いたかっただけなんだ。これも言い方違うかな?」

 俺の言い直しに彼女らだけじゃなく、シーバスもホッとした様子におかしくなって少し笑ったら、アミやアマも俺の笑いに釣られて、姐さんもシーバスさえも笑い出して小屋は笑い声で揺れた。

 ある程度の設定が終わって、小屋から出て皆んなはそれぞれ散り散りになるも、未だに俺の腕に絡み付くアミは俺の行動が気になるみたいで、俺を見つめながら次はどうするんですか?と聞いて来た。
 俺の次の行動は獣舎を作ろうと思っているのだが、先に使い魔たちに確認を取ろうと敷地内に全員を呼び出した。

 使い魔の勢揃いも珍しいが、呼び出してロップが俺を見て飛び付こうとした瞬間に、アミを見て彼女の頭を蹴り上げてから俺の頭に飛び乗った。蹴られた彼女は俺から離れて頭を摩っている。

「こら、ロップ!なんて酷いことするんだ!」

 俺の頭に飛び乗ったロップを掴み上げて叱ったものの、ロップは顔をそむけて反省の意思が無いのにお仕置きをしなければいけないと思った所で彼女がまたも俺の腕に絡み付いた。

「あ、良いんですよミーツさん。
多分ですけど、ロップちゃんは私がミーツさんと仲良いから嫉妬しちゃったんだと思います。
だから怒らないであげて下さい」

 そう言う彼女に今回は許すけど、次同じことやったらお仕置きだからねとロップに釘を刺す。他の使い魔たちも俺に抱き付いたり、肩に飛び乗ったり舐めて来たりして大変だったのを一番落ち着いたポチが咆哮をあげて、一旦皆んなを黙らせて落ち着かせた。

【それで主よ、ワレら皆をこんなところに呼んだ理由はなんなのだ】
「ああ、それだけど、昨日この屋敷を買ったんだよ。それで、この敷地内にお前たちの獣舎を建てようと思っているんだけど、今までの所が良くて、別に建てる必要がないのか、それとも要望通りに建てた方がいいかについて決めて欲しいと思ってんだ」

 俺が彼らを呼んだ理由について話したら、満場一致で此処に建てて欲しいとのことで、それぞれの寝床がどんな感じで作って欲しいかの要望を聞きながら、敷地内の端の方に建てて行った。

 天馬であるテンパはよくある馬小屋だが、いつも新鮮でへたれない藁などを希望した。
 つい先程咆哮をあげた竜のポチは、元の大きさで寝やすいフカフカな綿が敷き詰められた寝床を要望。
 ブルーアントことブルトは、とにかく走り回れて、地下に縦長の巣を作っても問題ないような環境がいいそうだ。
 スライムであるアッシュは寝床なぞ必要ないかと思われたものの、意外と水の中や水が近くにあれば何でもいいとのこと。

 最後にウイングラビット別名幸運兎ことロップは、俺と一緒であれば何処でも良いと言った瞬間、ポチ以外の使い魔が一斉に、それが有りならボクたちもと詰め寄ってきたことで、ロップだけ特別扱いは出来ないと言い、要望を聞いたところ、寝床はポチ同様にフカフカの寝床を希望するも、俺の匂いが付いた私物が欲しいとのこと。
 聞いといてなんだが、俺の匂いが付くような物に心当たりがないのに気が付いた。
 服はレインに貰った、自動修繕に加えて自動消臭など色々な機能がある魔導具的な服であるため、匂いの付いている物については、後日ということで納得してもらった。

 それぞれの使い魔が要望した獣舎については、最初に考えていた通り敷地内の隅の方に建てた。先にブルトとポチのを作り、一つ一つの独立した建物にして、小型のダンジョンみたいに中に入れば、階層が分かれてある仕様にしておいた。アッシュの水がある所についてだが、敷地内の中央に噴水を建てて、水は循環型であるから、アッシュが水を摂取するようなら、定期的に補充してやらないといけない仕組みにして置く。これについては、核を操作する際の姐さんにも水の補充についてお願いしておく。

 テンパとロップに関しては特に考えるまでもなく、それぞれ小屋を作って、中は広めに設定して作る。それぞれの気温や湿度などは、使い魔ごと違うため、アッシュ以外の使い魔は細かいところまで調整した。

 こうして現時点で思い付く限り、色々手を加えた敷地内と屋敷は、元の原型がほとんど無くなった。最後に屋敷内に娯楽部屋を作った。
 娯楽はまだ元の世界では一般的なピンボールを設置。他にもテーブルゲームが出来る大小のテーブルや、ソファも数点設置して終わり。
 充実した一日だと思いながらこの日は終わった。







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