26 / 115
真夏の夜の悪夢 ~Le cauchemar de Vincent~
第1話
しおりを挟む
静かなローザタニアの星空にゆうるりとゆうるりと揺蕩う赤い光―――…
ぼんやりと妖しい光を灯しながらビロードのような夜の闇の中で揺れております。
そして何かに反応したのか、いきなり急降下をして夜の闇を駆け抜けます。
光の目の前には、一件の豪邸がありました。その光は屋敷の周りをグルグルとまるで何かを調べるかのように何度も回って移動しております。
そしてゆっくりと屋根を通り抜けて屋敷の中へと入って行きました。
しばらくするとその屋敷の中からは絹を裂くような数名の泣き叫ぶような悲鳴が聞こえてきたのでした―――…。
・・・・・・・・
「あれ…おかしいな…無いぞ??」
ある晴れた日のことです。
ローザタニア王国の政務秘書官の一人、バルトがお城の書庫で膨大にある書類の整理をしておりましたところ、バルトはとある棚の前で大きなくりくりとした栗色の瞳をパチクリさせながら一人唸っておりました。
「どうした?」
同じく一緒に整理をしていた同僚のグレブが棚の反対側からひょこっと顔を出して様子を伺っております。
「あ…いや…ユリラシア大陸との過去に結んだ協定の資料のファイルが無くなっているんだよ。おかしいなぁ…先週見た時はあったはずなのに」
「違う棚にあるんじゃないのか?」
「いや、ファイルの色で分けているから俺は絶対この棚以外に入れることなんてしないし…おかしいなぁ」
バルトが少し焦ったように棚をキョロキョロと見回しております。
どれどれ…とグレブもバルトの方にやってきて同じく一緒に棚をぐるっと見回しております。
「あ、あったぞ、バルト!こっちの棚のこれじゃないか?」
「あ、それだ!」
グレブは隣の棚から一冊のファイルを取出してバルトに手渡しました。バルトはファイルのタイトルと中身をパラパラと捲って確認すると、ファイルをギュッと抱きしめて感激しておりました。
「あったぁ~!!よかったっ!!もしファイルが無くなっていたら女王様に殺されるところだったよぉ~」
「あぁ…きちんと管理が出来ていないって確実にネチネチ嫌味を言われるところだったな」
「助かったよ~!ありがとう!でも…なんで隣の棚に入っていたんだろう?俺絶対間違えないように3回くらい確認するのに」
「普通に間違えたんじゃないのか?最近お前疲れているし…」
「えー…そうかなぁ」
「朝は女王様が執務長官室に来られる前に資料や書類を揃えるのに6時出勤、女王様が満足する書類作成のためにサービス残業で家に帰るのが23時!!毎回毎回事あるごとにとやかくネチネチ嫌味言われて八つ当たりされて…そんなお前が疲れていないわけがないっ!!」
「え…これってパワハラ案件…?」
「な?そんなんだからきっともう疲れて無意識のうちに置く場所間違えたんだよ」
「なんだか…そんな気がしてきた」
「だろ?今日は女王様は陛下と一緒に城下町のサロンに視察に行かれてお城にいらっしゃらないことだし、今日くらいは定時で帰ろうぜっ!!あ、新しい酒屋が出来たんだけど、帰りに飲みにいかねぇか?」
「そうだな、たまには早く帰ろっか!鬼の居ぬ間に命の洗濯だっ!!」
「あぁ!じゃあ早い所、さっさと整理してしまおうぜ!」
「だなっ!」
二人はお互いの顔を見合わせて頷くと、再び黙々と書類をファイルに挟んだり棚に収納したりと作業を再開し始めました。
「おっと…いけないいけない、この資料もちゃんと元の場所に戻しておかないと…」
バルトは先ほどのファイルを本来保管してある棚へと戻すと、もう一度ヨシッと声に出して指さし確認をしました。
そして今日こそは定時に帰って同僚と飲むんだと意気込んみ、また真面目に資料整理の執務に精を出しておりました。
・・・・・・・・
「はぁ?今何と仰いました、市長殿」
「えっと…その…ですから…最近妙な噂がございまして…幽霊らしきものが貴族たちの家に現れているようなんです!」
ローザタニアの王都・パラディスの市庁舎の中にある応接室で、ヴィンセントは怪訝そうな顔をして紅茶を一口飲みながら呆れたように冷たい視線をテーブルを挟んで座っている市長に投げかけました。
市長は丸々と太って体躯の大きな男性でしたが、そんなヴィンセントの冷たい視線に怯えて青ざめて震えてまるで蛇に睨まれた小動物のように小さくなっておりました。
「寝言は寝てから言ってください。幽霊なんて居るわけないでしょう。そんなもの脳みそが作り出した幻覚ですよ」
「で…ですが!先日もコルベール伯爵の屋敷に何者かが侵入したかもしれない形跡があったのです!しかし何も盗られておらず…。そしてその前はルテル侯爵やドルー侯爵、そしてアントニー大臣のお屋敷にも同じように何者かが侵入したであろう形跡だけ残っているんです!」
「…侵入された形跡だけで誰も何も盗られていないんでしょう?だったら別にいいじゃないですか」
「ですが気持ち悪いですよぉ~っ!誰かがこっそり屋敷に侵入しているのかも知れないってっ!!」
明らかに興味がなさげでとてつもなくめんどくさそうな表情のヴィンセントはもう一口紅茶を飲むと、ハッと嘲笑するかのように市長を見ております。相変わらず市長は怯えておりましたが、負けじと頑張ってヴィンセントの冷たい口撃に応戦しておりました。
「まぁ確かに少し気持ちの悪い出来事だなぁ」
「陛下!」
ヴィンセントの横で静かに話を聞いていたウィリアム様は顎に手を置いてうーんっと考えておりました。
渡りに船とばかりに市長はウィリアム様の呟かれたお言葉に瞳をキラキラ輝かせて思いっきり頭を縦にブンブン振って同意しております。
「そんなの絶対気のせいですよ。…と申しますが、なぜに市長は幽霊のせいだと思うのですか?普通に泥棒や変質者の可能性だってありますよね」
「あの…えっと…」
「市長…貴方、何か隠しておりませんか?」
氷の刀のように鋭くて冷たい瞳でヴィンセントはじろっと市長を見ております。
蛇に睨まれたカエルの如く恐怖のあまり今にも失神しそうなくらい震えておりました。ヴィンセントはそのままじっと市長を見据えたまま、また一口紅茶を口に含みました。
市長は小刻みに震える身体をグッと抑えて、恐る恐るウィリアム様とヴィンセントに向かって石でもついているかのごとく重たそうな口をついに開き始めました。
「じ…実は―――…」
ぼんやりと妖しい光を灯しながらビロードのような夜の闇の中で揺れております。
そして何かに反応したのか、いきなり急降下をして夜の闇を駆け抜けます。
光の目の前には、一件の豪邸がありました。その光は屋敷の周りをグルグルとまるで何かを調べるかのように何度も回って移動しております。
そしてゆっくりと屋根を通り抜けて屋敷の中へと入って行きました。
しばらくするとその屋敷の中からは絹を裂くような数名の泣き叫ぶような悲鳴が聞こえてきたのでした―――…。
・・・・・・・・
「あれ…おかしいな…無いぞ??」
ある晴れた日のことです。
ローザタニア王国の政務秘書官の一人、バルトがお城の書庫で膨大にある書類の整理をしておりましたところ、バルトはとある棚の前で大きなくりくりとした栗色の瞳をパチクリさせながら一人唸っておりました。
「どうした?」
同じく一緒に整理をしていた同僚のグレブが棚の反対側からひょこっと顔を出して様子を伺っております。
「あ…いや…ユリラシア大陸との過去に結んだ協定の資料のファイルが無くなっているんだよ。おかしいなぁ…先週見た時はあったはずなのに」
「違う棚にあるんじゃないのか?」
「いや、ファイルの色で分けているから俺は絶対この棚以外に入れることなんてしないし…おかしいなぁ」
バルトが少し焦ったように棚をキョロキョロと見回しております。
どれどれ…とグレブもバルトの方にやってきて同じく一緒に棚をぐるっと見回しております。
「あ、あったぞ、バルト!こっちの棚のこれじゃないか?」
「あ、それだ!」
グレブは隣の棚から一冊のファイルを取出してバルトに手渡しました。バルトはファイルのタイトルと中身をパラパラと捲って確認すると、ファイルをギュッと抱きしめて感激しておりました。
「あったぁ~!!よかったっ!!もしファイルが無くなっていたら女王様に殺されるところだったよぉ~」
「あぁ…きちんと管理が出来ていないって確実にネチネチ嫌味を言われるところだったな」
「助かったよ~!ありがとう!でも…なんで隣の棚に入っていたんだろう?俺絶対間違えないように3回くらい確認するのに」
「普通に間違えたんじゃないのか?最近お前疲れているし…」
「えー…そうかなぁ」
「朝は女王様が執務長官室に来られる前に資料や書類を揃えるのに6時出勤、女王様が満足する書類作成のためにサービス残業で家に帰るのが23時!!毎回毎回事あるごとにとやかくネチネチ嫌味言われて八つ当たりされて…そんなお前が疲れていないわけがないっ!!」
「え…これってパワハラ案件…?」
「な?そんなんだからきっともう疲れて無意識のうちに置く場所間違えたんだよ」
「なんだか…そんな気がしてきた」
「だろ?今日は女王様は陛下と一緒に城下町のサロンに視察に行かれてお城にいらっしゃらないことだし、今日くらいは定時で帰ろうぜっ!!あ、新しい酒屋が出来たんだけど、帰りに飲みにいかねぇか?」
「そうだな、たまには早く帰ろっか!鬼の居ぬ間に命の洗濯だっ!!」
「あぁ!じゃあ早い所、さっさと整理してしまおうぜ!」
「だなっ!」
二人はお互いの顔を見合わせて頷くと、再び黙々と書類をファイルに挟んだり棚に収納したりと作業を再開し始めました。
「おっと…いけないいけない、この資料もちゃんと元の場所に戻しておかないと…」
バルトは先ほどのファイルを本来保管してある棚へと戻すと、もう一度ヨシッと声に出して指さし確認をしました。
そして今日こそは定時に帰って同僚と飲むんだと意気込んみ、また真面目に資料整理の執務に精を出しておりました。
・・・・・・・・
「はぁ?今何と仰いました、市長殿」
「えっと…その…ですから…最近妙な噂がございまして…幽霊らしきものが貴族たちの家に現れているようなんです!」
ローザタニアの王都・パラディスの市庁舎の中にある応接室で、ヴィンセントは怪訝そうな顔をして紅茶を一口飲みながら呆れたように冷たい視線をテーブルを挟んで座っている市長に投げかけました。
市長は丸々と太って体躯の大きな男性でしたが、そんなヴィンセントの冷たい視線に怯えて青ざめて震えてまるで蛇に睨まれた小動物のように小さくなっておりました。
「寝言は寝てから言ってください。幽霊なんて居るわけないでしょう。そんなもの脳みそが作り出した幻覚ですよ」
「で…ですが!先日もコルベール伯爵の屋敷に何者かが侵入したかもしれない形跡があったのです!しかし何も盗られておらず…。そしてその前はルテル侯爵やドルー侯爵、そしてアントニー大臣のお屋敷にも同じように何者かが侵入したであろう形跡だけ残っているんです!」
「…侵入された形跡だけで誰も何も盗られていないんでしょう?だったら別にいいじゃないですか」
「ですが気持ち悪いですよぉ~っ!誰かがこっそり屋敷に侵入しているのかも知れないってっ!!」
明らかに興味がなさげでとてつもなくめんどくさそうな表情のヴィンセントはもう一口紅茶を飲むと、ハッと嘲笑するかのように市長を見ております。相変わらず市長は怯えておりましたが、負けじと頑張ってヴィンセントの冷たい口撃に応戦しておりました。
「まぁ確かに少し気持ちの悪い出来事だなぁ」
「陛下!」
ヴィンセントの横で静かに話を聞いていたウィリアム様は顎に手を置いてうーんっと考えておりました。
渡りに船とばかりに市長はウィリアム様の呟かれたお言葉に瞳をキラキラ輝かせて思いっきり頭を縦にブンブン振って同意しております。
「そんなの絶対気のせいですよ。…と申しますが、なぜに市長は幽霊のせいだと思うのですか?普通に泥棒や変質者の可能性だってありますよね」
「あの…えっと…」
「市長…貴方、何か隠しておりませんか?」
氷の刀のように鋭くて冷たい瞳でヴィンセントはじろっと市長を見ております。
蛇に睨まれたカエルの如く恐怖のあまり今にも失神しそうなくらい震えておりました。ヴィンセントはそのままじっと市長を見据えたまま、また一口紅茶を口に含みました。
市長は小刻みに震える身体をグッと抑えて、恐る恐るウィリアム様とヴィンセントに向かって石でもついているかのごとく重たそうな口をついに開き始めました。
「じ…実は―――…」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
溺愛兄様との死亡ルート回避録
初昔 茶ノ介
ファンタジー
魔術と独自の技術を組み合わせることで各国が発展する中、純粋な魔法技術で国を繁栄させてきた魔術大国『アリスティア王国』。魔術の実力で貴族位が与えられるこの国で五つの公爵家のうちの一つ、ヴァルモンド公爵家の長女ウィスティリアは世界でも稀有な治癒魔法適正を持っていた。
そのため、国からは特別扱いを受け、学園のクラスメイトも、唯一の兄妹である兄も、ウィステリアに近づくことはなかった。
そして、二十歳の冬。アリスティア王国をエウラノス帝国が襲撃。
大量の怪我人が出たが、ウィステリアの治癒の魔法のおかげで被害は抑えられていた。
戦争が始まり、連日治療院で人々を救うウィステリアの元に連れてこられたのは、話すことも少なくなった兄ユーリであった。
血に染まるユーリを治療している時、久しぶりに会話を交わす兄妹の元に帝国の魔術が被弾し、二人は命の危機に陥った。
「ウィス……俺の最愛の……妹。どうか……来世は幸せに……」
命を落とす直前、ユーリの本心を知ったウィステリアはたくさんの人と、そして小さな頃に仲が良かったはずの兄と交流をして、楽しい日々を送りたかったと後悔した。
体が冷たくなり、目をゆっくり閉じたウィステリアが次に目を開けた時、見覚えのある部屋の中で体が幼くなっていた。
ウィステリアは幼い過去に時間が戻ってしまったと気がつき、できなかったことを思いっきりやり、あの最悪の未来を回避するために奮闘するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる