ローザタニア王国物語

月城美伶

文字の大きさ
40 / 115
Jardin secret ~秘密の花園~

第7話

しおりを挟む
 ウィリアム様とヴィンセントのいるバルコニーの角から、楽しそうにお話をされている聞き覚えのある鈴の音のような愛らしいお声と、もう一つこれまた聞き覚えのある優しい低音の甘いボイスが聞こえてきました。

「シャルロット!」
「あら?お兄様!それにヴィーまで…こんなところで何をされているの?」

カルロ伯爵にエスコートされる形でシャルロット様がバルコニーの角から談笑されながら出て来られました。ウィリアム様にお声を掛けられるまで気付かないくらい、シャルロット様はとても楽しそうに伯爵とお話をされていたご様子です。

「お前こそ…いつの間にかパーティー会場からいなくなったと思ったら…こんな夜の庭で何をしていたんだ?」
「ダンスに疲れちゃったからちょっと休憩しようと思って…。もうちょっと先のお庭のバルコニーでカルロ様と偶然お会いして、少しお話していたの」
「…本当にそうなのか?」
「陛下、ご安心ください…決して陛下が心配されるようなやましいことはございません」

カルロ伯爵は何かを感じ取られた様で、優しくウィリアム様に微笑まれながら頭を下げられました。

「そうよ!とても紳士的に一緒に居てくださったわ」

とても仲の良さそうなくらい打ち解けていらっしゃるお二人をご覧になって、ウィリアム様は狼狽…とまではいきませんが、とても緊迫したような表情でお二人を見ております。
何かを察したのか、ヴィンセントは少し険しい目つきで伯爵を見ていらっしゃるウィリアム様を諌めるように耳元でこそっと囁かれました。

「…体温の変化などございませんので、お二人とも嘘は仰ってなさそうです」
「…どうやらそのようだな」

ウィリアム様も伯爵とシャルロット様の様子をご覧になられて、お二人が嘘など言っていないと判断されたのかお顔を解されていつもの優しいお顔のウィリアム様に戻られました。

「んもぅ…ただお喋りしていただけよ?お兄様たちこそこんなところで何されているのよ…ってお兄様!煙草吸ってるのねっ!?」

別にやましいことは何一つないのに変な目で見られてご立腹のシャルロット様が目ざとくウィリアム様の手に持っていらっしゃる煙草を見つけて更にプンスカと怒り出し始めました。

「いや…シャル…これはその…」
「もう!お身体に悪いから止めてって言ってるのに!!ヴィー、どうせ貴方が進めたんでしょっ!」
「…煙草も葉巻も貴族の嗜みですよ?それに我々は法律上吸ってもいい年齢なのでなんの問題もありません」

スパーッと煙を豪快に出しながらヴィンセントは相変わらずしれっと言ってのけます。
その様子にシャルロット様は余計にプリプリとまるで小動物が地団駄を踏んでいるかのように起こり続けます。

「私が嫌なの!それにそんな毒みたいなものを吸うお兄様のお身体が心配なの!!」
「たまには毒も接種した方が良いときもありますって」
「何その理論…」
「ストレスの発散方法は人それぞれですから。まぁ毎日多量に吸っているわけでもないですし、ちょっとくらい見逃してやってくださいよ」
「んもう!ヴィーったらすぐにああ言えばこう言うんだから!ヴィーなんて嫌いよっ!!」
「嫌いで結構です」

子猫がライオンに楯突くようなシャルロット様のプンスカ怒りなど全く屁でもないヴィンセントは相変わらず煙草を深く吸い続けていましたが、煙草がだいぶ短くなってきたので渋々火を消してすでに吸い終わっていたウィリアム様の吸い殻と共にポケット灰皿へと始末されました。

「…だいぶアンティークの煙草を吸われていましたね。今は無きヘブンリーキッスの銘柄ですね」
「おや…伯爵もご存知でしたか」
「えぇ、私も昔は少しだけ嗜んでおりましたので。懐かしい香りですね」
「へぇ…実は私の祖父と父が大の煙草好きでしてたくさん集めておりました。ヘブンリーキッスのこの煙草は祖父が好きだったようで屋敷に残っていたんですよ。もう二人とも居ないので捨てても良かったんですが、勿体ないのでたまに拝借して吸っているんです」
「そうですか…それは…」
「あ、悲しむような話じゃないんで大丈夫です」

ヴィンセントの話に、カルロ伯爵は少ししんみりとされたお顔になりましたが、ヴィンセントはきっぱりと竹を割ったかのようにしんみりを拒否いたしました。

「それはそれは…。…そろそろ真夜中になりますね。それではこの辺で失礼させていただきます」
「ウチのシャルロットが何度も世話になりました」
「とんでもございません…偶然が重なったとはいえ幾度もシャルロット様にお会い出来てとても幸せな一日でした」

月が空の真上に上がったのをご覧になって、カルロ伯爵はスッと皆にお辞儀をされて退出しようとされます。シャルロット様の手を取られてキスをされると、優しくシャルロット様を見つめて微笑まれました。

「また…お会いしましょう」
「えぇ、絶対お屋敷に遊びに伺うわ」

ウィリアム様とヴィンセントの方に敬礼をされて、カルロ伯爵はスマートにその場を去られました。
角を曲がられるまで三人は静かにその後ろ姿を見送っておられました。

「さて…我々も部屋に戻ろうか」
カルロ伯爵の足音が聞こえなくなったのを確認されると、ウィリアム様は伯爵の後姿の余韻を見つめているシャルロット様に声を掛けられました。

「そうね。何だか今日はとても疲れちゃったわ」

余韻を断たれたシャルロット様は、ふぅ…っと溜息をつかれてウィリアム様の手を取られました。

「そちらの道は会場突っ切らなきゃならないので、あちらの人気の無い道から戻りましょう」
「そうだな。さぁシャル…行こう」
「えぇ…」

三人は伯爵が通られた道とは別の方向に踵を返してバルコニーをあとにされたのでした。

・・・・・・・・

 「きゃッ…」
「おっとっ!」

バルコニーの角を2つほど曲がられたところで、カルロ伯爵は薄暗い中、何かにぶつかりました。
悲鳴がしたので、人にぶつかったのだろうととっさに判断されてカルロ伯爵はすぐにそのぶつかって倒れて蹲っている人に声を掛けられました。

「失礼いたしました。お怪我はありませんか、マドモアゼル…」
「えぇ、大丈夫ですわ。私の方こそ申し訳ございません」

ドレスから零れ落ちそうなくらいの大きな胸を見せつけるようにゆっくりと起き上がったその女性―――…そうイリスは、乱れた髪をかき上げながら甘々しい声でお返事されました。
青いビー玉のような潤んだ瞳で伯爵を見つめられて伯爵はドキッとされたのか一瞬固まりましたが、座り込むイリスを見てとても慌ててられました。

「あぁ…考え事をしながら歩いておりましたので申し訳ない。立てますか?」

何事も無かったかのように冷静にカルロ伯爵はスッと立ち上がり、まだ座り込んでいるイリスに手を差し伸べられました。

「えぇ…ありがとうございます。…あっ!」

カルロ伯爵の手を取り立ち上がろうとしましたが、わざとらしい悲鳴を上げてイリスは再びその場に座り込みました。

「どうされましたか?」
「どうやら足を挫いたみたいです…。どうしましょう…こんな所に迷い込んでしまって従者ともはぐれちゃって…あぁ私どうしたらいいのかしら…」
「それは大変です…。そう言えば…私の屋敷に捻挫によく効く薬草があります。私はモンテフェルロト伯爵家のカルロ・ジャン・モンテフェルロトと申します。妖しい者ではありませんので…すぐに治療いたしましょう。貴女のその美しいおみ足が腫れてしまっては大変だ…」
「まぁ嬉しい❤」

カルロ伯爵はパッとスマートにイリスを抱きかかえ、人気の無いバルコニーを進んで行かれます。イリスは伯爵の妖しい香水の香りにうっとりとしながら、カルロ伯爵の首元に腕を回してしっかりと伯爵に胸をくっ付けるように抱かれております。
どんな裏道を使われたのでしょうか、カルロ伯爵は程なくしてもうほとんど人気の無いお城の車止めまでやってこられました。ご自身の馬車を呼び寄せてイリスと共に馬車に乗り込み、お二人はミエル城をあとにされました。

・・・・・・・・

 「こんな美しいマドモアゼルのおみ足に怪我をさせてしまうなど…大変失礼をいたしました」

ガタガタと小刻みに揺れながら進む馬車の中で、並んで着席されているカルロ伯爵はイリスの方に身体を向けながらイリスの手を取り慈しむように撫でながら申し訳なさそうに謝っております。

「構いませんわ…私の方こそあんなところで立ち止まっておりましたから」
「あんな広い城で人とはぐれてしまわれたらさぞかし不安だったでしょう」
「えぇ…ねぇ、カルロ様…先程ローザタニアのウィリアム陛下やシャルロット様ととても親しげでしたけど…どういった間柄でいらっしゃるの?」
「え?」

カルロ伯爵の心配をよそに、イリスはグイッと身を乗り出して伯爵に近づいて問いかけます。

「立ち聞きするつもりはなかったんですのよ?ただ…道に迷っていたら聞き覚えのあるウィリアム陛下のお声が聞こえたから近くまで寄ってみただけですの」
「…」
「ワタクシ…陛下をお慕いしているんですけれどなかなか陛下とお近づきになれなくって…。たまたま親しげなカルロ様とたまたまぶつかってしまっただけのことですのよ?」

イリスは悪びれることなくペラペラと捲し立てます。カルロ伯爵は呆気に取られて少し引いてしまいましたが、イリスの涙―――…嘘泣きの涙ですがその涙を見て何か冊子たのでしょうか、カルロ伯爵はふぅ…と溜息のように一つ息を吐かれると少し可哀想なイリスを優しい瞳で見つめ返しました。

「そうでしたか…。マドモアゼル…貴女のお名前は?」
「イリス・ブーリンと申します。伯爵さま、見知りおきを」
「!」

イリスはカルロ伯爵に抱きつくと強引に唇を重ねて、ビックリして少し固まってしまっている伯爵に淫靡な微笑みを浮かべながらさらにもう一度唇を重ねました。

「ねぇカルロ様…お情けを…」
「イリス…君は…陛下をお慕いしているのでしょう…?いいんですか?」

カルロ伯爵は少しお顔を逸らしてイリスを引こうとしましたが、イリスはそんなことお構いなしでグイッと伯爵に迫っていきます。

「もちろん、陛下の事はずーっとお慕いしておりますわ。でも…ねぇカルロ様だって貴族の遊び位ご存知でしょう?」
「…でも」
「あら…女遊びはお嫌い?」
「いや、そういう訳ではないんですが…」
「じゃあいいでしょ?ねぇ…」

イリスは赤いルージュを引いた、ぽってりとしたジューシーな唇を尖らせてカルロ伯爵にキスをねだります。伯爵は一生懸命セクシーにアピールしてくるイリスを見て何だか可愛らしいなと思う反面、その強引さに少し余裕を持って対処されております。

「いや、女遊びはもうずっと昔に卒業してましてねぇ」
「あらお若いのに寂しい人。今社交界では自由恋愛が流行っているんですのよ?ご存知ないの??」
「…もちろん存じております。それに以前自由恋愛が流行った時はめちゃくちゃ派手に遊んだのですが…もう今はきっぱりと自由恋愛はやめているんですよ」
「どうして?こんな色男なのに…もったいないわ」

カルロ伯爵は何とかイリスのアピールを避けようとさりげなく身を捩ったりしますが、イリスはお構いなしに伯爵に自分のお尻や胸など身体を擦り付けてどんどんとアピールをしていきます。

「イリス…いけません…」
「あら?どうして?私は好きでやってるし、皆やってるから大丈夫ですわ?」
「イリス…でも…」
「んもう!まどろっこしいわねぇ!」

イリスは我慢できずについに伯爵を押し倒しました。

「!」

イリスはカルロ伯爵の顔をがっちり手で押さえて逃げられないように固定し、これでもかといいほど情熱的に唇を押しつけ逃げようとするカルロ伯爵の唇を執拗についばんだりや舌を絡めたりと何度も何度も強引に情熱的なキスをしました。

「…なぁんだ、お上手じゃないカルロ様…」

イリスはゆっくり唇を外すと、唇にイリスの真っ赤なルージュがついたカルロ伯爵のお顔を見てニンマリと微笑み、カルロ伯爵のタイを外そうとして胸元に真っ赤なネイルが施された白い指が絡みつかせました。

「フフフ…身体は正直ね。さぁ楽しみましょう?」
「つい条件反射で…」
「男の自然な反応ですもの…当然よ。ねぇ…もっとカルロ様とキスして…もっとたくさんこの夜を楽しみたいわ…」

カルロ伯爵のタイを外しブラウスのボタンを2つ3つほど外してブラウスの中に手を差し入れ、意外と筋肉質で逞しいカルロ伯爵の胸を指で優しく撫でまわしながら、イリスは伯爵の胸に顔を寄せて甘ったらしい声で伯爵を誘います。
カルロ伯爵はイリスの手を除けようとしますが、イリスはそれを許さずに外してはまた近寄せ、外してはまた近寄せ…の繰り返しで二人の攻防戦はしばらく続きました。

「あん❤お肌がひんやりとしていらっしゃるのね。私のこの火照った身体で温めて差し上げますわ」
「イリス…」
「カルロ様…❤」

ドンドンと大胆に伯爵にすり寄り、イリスは盛り上がって来たのかねちっこく指で伯爵の胸元を撫でまわし、ついにブラウスをはぎ取ろうとボタンに再び手を掛けます。少し甘い吐息が漏れ聞こえてきましたが、何かを観念したカルロ伯爵は一度ギュッと目を閉じると、大きく目を見開いてイリスの顔を見つめながら覚悟を決めました。

「こうなったら仕方ない…イリス…」
「きゃっ!」

カルロ伯爵はイリスの腕を引っ張ってイリスを力強く抱きしめるように自分の方に引き寄せると、イリスは小さい悲鳴を上げて驚きながらも嬉しそうに伯爵に抱きつきました。伯爵はシニカルな微笑みを向けてイリスの頬を数回指で優しく撫でると、今度は伯爵の方からイリスの唇を奪いました。

「!」

先ほどよりも甘く情熱的なキスに、イリスはすっかりとろけてしまいそうになりうっとりと瞳を閉じて伯爵の濃厚なキスに応えました。伯爵の愛撫はさらに続き、首筋や派手に露出されたデコルテラインなどを絶妙なタッチで弄ります。
そして首筋にそっと唇を這わして大きく息を吸い込むように愛撫をしていると、イリスはもうたまらないと言ったうっとりとした表情でそのままカルロ伯爵に身を預けました。
大きな嬌声を出しイリスは大きく後ろにのけ反ると、全身の力が抜けたようにそのまま伯爵に雪崩れるように倒れてしまいました。
静かなイリスの寝息のような呼吸の音だけが馬車の中に響きます。
カルロ伯爵は自分にのし掛かっているイリスを引き離すと、優しく馬車に座り直させました。

「…凄いパワーだな…」

額の汗を拭って伯爵はため息を一つつかれました。

「さて…君にはしばらく静かに眠っといてもらおうか。あんまりにもパワーが凄すぎたから思わずやりすぎてしまいました。…申し訳ない、イリス…」

カルロ伯爵は静かになったイリスの髪を撫で、もう一度優しくキスをされました。スヤスヤと寝息を立てながら、時折満足そうに笑いながらイリスは夢の中で何やら楽しんでいるように見えました。一人でモニャモニャ呟きながら時折甘い吐息を吐き、イリスはそのままぐっすりと寝入ってしまいました。

「…楽しい夢だけを見て…しばらく夢の世界で生きなさい。おやすみ、イリス…」

静かになった馬車は相変わらず人気のない霧がかった森を進んでいきます。
空の月は真上を過ぎて少し傾いてきました。
頬杖をして窓から外を見ているカルロ伯爵の瞳は、月と同じようにぼんやりと黄金色に輝いて遥か遠くの刹那を眺めておりました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

溺愛兄様との死亡ルート回避録

初昔 茶ノ介
ファンタジー
 魔術と独自の技術を組み合わせることで各国が発展する中、純粋な魔法技術で国を繁栄させてきた魔術大国『アリスティア王国』。魔術の実力で貴族位が与えられるこの国で五つの公爵家のうちの一つ、ヴァルモンド公爵家の長女ウィスティリアは世界でも稀有な治癒魔法適正を持っていた。  そのため、国からは特別扱いを受け、学園のクラスメイトも、唯一の兄妹である兄も、ウィステリアに近づくことはなかった。  そして、二十歳の冬。アリスティア王国をエウラノス帝国が襲撃。  大量の怪我人が出たが、ウィステリアの治癒の魔法のおかげで被害は抑えられていた。  戦争が始まり、連日治療院で人々を救うウィステリアの元に連れてこられたのは、話すことも少なくなった兄ユーリであった。  血に染まるユーリを治療している時、久しぶりに会話を交わす兄妹の元に帝国の魔術が被弾し、二人は命の危機に陥った。 「ウィス……俺の最愛の……妹。どうか……来世は幸せに……」  命を落とす直前、ユーリの本心を知ったウィステリアはたくさんの人と、そして小さな頃に仲が良かったはずの兄と交流をして、楽しい日々を送りたかったと後悔した。  体が冷たくなり、目をゆっくり閉じたウィステリアが次に目を開けた時、見覚えのある部屋の中で体が幼くなっていた。  ウィステリアは幼い過去に時間が戻ってしまったと気がつき、できなかったことを思いっきりやり、あの最悪の未来を回避するために奮闘するのだった。  

処理中です...