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Jardin secret ~秘密の花園~
第27話
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伯爵はポケットから鷲の模様が刻まれている金細工の懐中時計を取り出し、蓋を開けてウィリアム様とヴィンセントの前に差し出しました。
そこには肩にかかるほどの輝く栗毛色の髪を揺らして丸いヘーゼルナッツの瞳でこちらに愛らしく微笑みかける一枚の女性の肖像画が焼き付けてありました。
「この女性は…?」
「なんですか?この女性と姫様になんの関係が…」
「私の元婚約者のルチアです。とても愛らしいでしょう?」
「元婚約者…」
「えぇ。彼女はとても気高く美しく、そして優しく真面目で少し頑固で…くるくると表情が変わる様がとても愛らしくて…。とても素敵な女性でした」
「…ルチアって…ちょっと待ってください、まさかルチアと言うのは先ほど貴方が話していた行方不明になったシスターの―――…」
「その通りです」
「…元婚約者で修道女…?」
「えぇ、私の元婚約者のシスタールチア。彼女は子爵家の令嬢でしたが…ご両親が早くに他界し、後ろ盾もなかったので修道女になろうと教会で勉強していたんです」
「貴方と婚約していたのに?」
「…潔癖な彼女は女性関係の激しい私の事が許せなかったんですよ。何度も何度も結婚しようとプロポーズしましたが彼女は首を縦に振らなかった。そして私から逃げるために修道女になる道を選んだのでしょう」
「…」
「未練がましい私は…許されるのなら彼女の傍で彼女が居るその修道院を守ろうと多額の寄附をしたり、領主とかこつけてよく修道院に通って彼女に会いに行きました。彼女をこの腕で抱けなくても…元気そうな顔を見ているだけで私は幸せだった」
「…どうしてそれを彼女がまだ俗世に居る間にしてやれなかったのですか?」
「まぁ男の性と一言で言ってもいいんでしょうけどね。でも…私にはルチアが愛おしすぎて…ガラス細工のように繊細な彼女の存在に触れるのが怖かったんです。真っ白な彼女を私が他の色に塗ってもいいのか…彼女を変えてしまうのが怖かったんですよ」
「…」
「そう言うところが似ていると思いませんか?ヴィンセント殿」
「は?」
カルロ様はヴィンセントに目掛けてウインクされると、ヴィンセントは片方の眉を思いっきり上げて「え?」と言った表情でカルロ伯爵を見返しました。フフフ…とカルロ伯爵はまた微笑み返し、手に持っている懐中時計の肖像画のルチアを愛おしそうに見つめております。
「ルチアはとても純粋で無垢で真っ白で…何も汚れていない彼女の誇り高き魂は吸血鬼にとっては極上の獲物だったのでしょう。ジャン神父の姿をしていた吸血鬼はそんなルチアを喰らうだけではなく自分の花嫁にしようとしていました」
「…」
「まさか彼女は殺されたのか…?」
「…幸い、あの時行方不明になった三名の修道女の命は助かりました。テレーズは少しの怪我程度で済みましたが、マチルダは怪我の後遺症から喋ることが不可能になり…ルチアは…事件のショックが大きかったのでしょう、保護された別の修道院で1年後に亡くなったと聞いています。どちらにしても私はルチアを守れなかった…」
「…それと姫様に何の関係が―――…」
「純粋無垢で穢れていない魂は吸血鬼にとって極上の獲物…。つまりルチアと同じく、純粋無垢で天真爛漫、何一つ穢れていないシャルロット様は奴にとって極上の獲物なんです」
「え…?」
「吸血鬼は何が何でも手に入れたいハズです。だから危険が及ぶ前に…何としても安全な教会の総本山で匿わなければならない」
「…」
「一応私にできる簡単な護符は付けているんですがね…時折ここにいらっしゃる騎士殿が優秀すぎて苦労しました」
「…もしかして」
「えぇ、おかげで首筋に何度も何度も付け直させてもらいましたよ。まぁ…何度もシャルロット様のあの甘くて愛らしい香りを近くで堪能できたのはよかったですが」
「…あれは…ただのちょっかい掛けていただけではなかったのですか…?」
「もちろん一人の人間としてシャルロット様はとてもチャーミングで素敵な女性です。ですが…本当よく似ていて…シャルロット様に初めてお会いしたその瞬間、失礼ながらシャルロット様にルチアの面影がちらついてしまった。お顔も髪や瞳の色や声も全然似ていないのにどこか似ている…。頑固なところとか芯が強いところとか…少し想像力が豊かなところとか…。そして何よりも美しく気高いその魂…」
「伯爵殿…」
「はじめてシャルロット様とお会いした日の晩に開催されたパーティーで再びお会いした時…もうすでにシャルロット様にはかすかに吸血鬼の匂いがした―――…。どこかでシャルロット様は吸血鬼と出会ってしまって、すでにもうその時には吸血鬼はシャルロット様を獲物として狙っていたんです」
「何だって…?」
「その日も急いでシャルロット様の首筋に護符を施しました。そして吸血鬼が現れたら必ず始末してやろうと思っていました。しかし吸血鬼は上手いこと姿を隠してしまって始末することが出来なかった。…シャルロット様がローザタニアに帰られても、吸血鬼はおそらく狙ってくるだろうと思い、私の庭で咲いている花にも護符を施し、離れていても大丈夫なようにお守りしておりました。そしてお花をお送りしたお返しのお手紙でシャルロット様がまたナルキッスに来られると知りました。…急いでシャルロット様に付けられた吸血鬼の目印を消さなければならない、そう思い昨晩パーティーに招待客として忍び込み、シャルロット様に完全な護符を付ける予定でしたが―――…」
「常に私に邪魔されたと…?」
「そう睨まないでください。…別に普通に祈りで護符を付けても良かったんですが…色々怪しまれずに簡単に護符を付けるためには仕方なかったんですよ。まぁ…少し艶っぽくした方が盛り上がるでしょう?私もあのような美しい方の美しい首筋にキスをさせていただくなど…嬉しいことじゃないですか」
「…つまり貴方は姫様を守ろうとしてくれていたんですね?」
「えぇ…」
「…ったく。回りくどいですね伯爵殿」
「だってすぐに本当のことをお伝えしても信じてもらえないでしょう?」
「えぇ、今だって本当は半信半疑です」
「あはははは…手厳しい方だ」
「…カルロ殿、貴方が本当に教会の総本山の者ならばその証明があるはずだ」
「おや、陛下ご存知でしたか」
「…私も詳しくは知らないのだが、教会の総本山の者はその証を身体に刻んでいると先代王から聞いたことがある」
「…えぇその通りです」
カルロ伯爵は懐中時計の蓋を閉めるとお二人の前にしっかりとその模様を見せてました。あ…っとウィリアム様がお声を出すとカルロ伯爵は口角を上げて微笑み、再びシャツを脱いで胸元を露わにすると心臓の近くに押されている懐中時計の金細工と同じ教会の総本山の紋章である、鷲をモチーフにした紋章の焼印の痕をお二人に見せました。
「…っ」
「信じていただけましたか?」
「…あぁ」
「…陛下とヴィンセント殿をこちらにお呼びする際、教会の総本山の使いの者がシャルロット様を保護するため向かっております。シャルロット様にはしばらくの間…教会の総本山に匿ってもらいます」
しっかりと押されている焼印をご覧になって言葉に出来ないほど驚かれているお二人を見届けると、カルロ伯爵はにっこりと微笑みサッとシャツを再び着直しながらお二人に話し出しました。お二人はパッとお顔を上げてカルロ伯爵の顔を真っ直ぐに見つめます。
「教会の総本山に…?」
「えぇ。さすがに吸血鬼も聖地教会の総本山には近寄れないハズです。あの特別に浄化された空気は穢れた吸血鬼には毒ですから…」
「…」
「もうすぐきっと無事に保護したと教会の総本山の使いの者より連絡が来るはずです。極力、人に知られずに隠密に動きたかったので…陛下にも事後報告になってしまったことをお許しください」
「…教会の総本山の教皇殿のご意志か」
「えぇ。全ては教皇様のご指示です…」
「そうか…」
にっこりと微笑みながらカルロ伯爵はそう答えると、ウィリアム様とヴィンセントにお茶を促しました。冷めてしまったので新しく入れ直してもらいましょうかと伯爵は言いましたが、ウィリアム様はスッとソファーに座り細やかな装飾が施されたティーカップを手に持つとスッと一口紅茶を口に含まれました。
「冷めても美味しいんだな」
「…えぇ。どんな時でも美味しく飲めるのが私のブレンドティーの特徴です」
ウィリアム様の隣にヴィンセントは無言でスッと腰掛け、同じく紅茶を一口飲みました。そして少し間を置いて、悪くない…と言うような顔をしてもう一口グイッと紅茶を飲み干しました。
カルロ伯爵はそんな様子を温かく見守るように微笑まれました。
ふとウィリアム様が顔を上げて窓の外の方に視線を送りました。いつの間にか雨は止んでおり、薄らと霧が辺りを包み込むかのように覆っておりました。灰色の雲の下、鬱蒼とした天気のせいなのかどこか息苦しい空気にウィリアム様は眉を少しひそめて流れる雲を見つめているのでした。
そこには肩にかかるほどの輝く栗毛色の髪を揺らして丸いヘーゼルナッツの瞳でこちらに愛らしく微笑みかける一枚の女性の肖像画が焼き付けてありました。
「この女性は…?」
「なんですか?この女性と姫様になんの関係が…」
「私の元婚約者のルチアです。とても愛らしいでしょう?」
「元婚約者…」
「えぇ。彼女はとても気高く美しく、そして優しく真面目で少し頑固で…くるくると表情が変わる様がとても愛らしくて…。とても素敵な女性でした」
「…ルチアって…ちょっと待ってください、まさかルチアと言うのは先ほど貴方が話していた行方不明になったシスターの―――…」
「その通りです」
「…元婚約者で修道女…?」
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「…潔癖な彼女は女性関係の激しい私の事が許せなかったんですよ。何度も何度も結婚しようとプロポーズしましたが彼女は首を縦に振らなかった。そして私から逃げるために修道女になる道を選んだのでしょう」
「…」
「未練がましい私は…許されるのなら彼女の傍で彼女が居るその修道院を守ろうと多額の寄附をしたり、領主とかこつけてよく修道院に通って彼女に会いに行きました。彼女をこの腕で抱けなくても…元気そうな顔を見ているだけで私は幸せだった」
「…どうしてそれを彼女がまだ俗世に居る間にしてやれなかったのですか?」
「まぁ男の性と一言で言ってもいいんでしょうけどね。でも…私にはルチアが愛おしすぎて…ガラス細工のように繊細な彼女の存在に触れるのが怖かったんです。真っ白な彼女を私が他の色に塗ってもいいのか…彼女を変えてしまうのが怖かったんですよ」
「…」
「そう言うところが似ていると思いませんか?ヴィンセント殿」
「は?」
カルロ様はヴィンセントに目掛けてウインクされると、ヴィンセントは片方の眉を思いっきり上げて「え?」と言った表情でカルロ伯爵を見返しました。フフフ…とカルロ伯爵はまた微笑み返し、手に持っている懐中時計の肖像画のルチアを愛おしそうに見つめております。
「ルチアはとても純粋で無垢で真っ白で…何も汚れていない彼女の誇り高き魂は吸血鬼にとっては極上の獲物だったのでしょう。ジャン神父の姿をしていた吸血鬼はそんなルチアを喰らうだけではなく自分の花嫁にしようとしていました」
「…」
「まさか彼女は殺されたのか…?」
「…幸い、あの時行方不明になった三名の修道女の命は助かりました。テレーズは少しの怪我程度で済みましたが、マチルダは怪我の後遺症から喋ることが不可能になり…ルチアは…事件のショックが大きかったのでしょう、保護された別の修道院で1年後に亡くなったと聞いています。どちらにしても私はルチアを守れなかった…」
「…それと姫様に何の関係が―――…」
「純粋無垢で穢れていない魂は吸血鬼にとって極上の獲物…。つまりルチアと同じく、純粋無垢で天真爛漫、何一つ穢れていないシャルロット様は奴にとって極上の獲物なんです」
「え…?」
「吸血鬼は何が何でも手に入れたいハズです。だから危険が及ぶ前に…何としても安全な教会の総本山で匿わなければならない」
「…」
「一応私にできる簡単な護符は付けているんですがね…時折ここにいらっしゃる騎士殿が優秀すぎて苦労しました」
「…もしかして」
「えぇ、おかげで首筋に何度も何度も付け直させてもらいましたよ。まぁ…何度もシャルロット様のあの甘くて愛らしい香りを近くで堪能できたのはよかったですが」
「…あれは…ただのちょっかい掛けていただけではなかったのですか…?」
「もちろん一人の人間としてシャルロット様はとてもチャーミングで素敵な女性です。ですが…本当よく似ていて…シャルロット様に初めてお会いしたその瞬間、失礼ながらシャルロット様にルチアの面影がちらついてしまった。お顔も髪や瞳の色や声も全然似ていないのにどこか似ている…。頑固なところとか芯が強いところとか…少し想像力が豊かなところとか…。そして何よりも美しく気高いその魂…」
「伯爵殿…」
「はじめてシャルロット様とお会いした日の晩に開催されたパーティーで再びお会いした時…もうすでにシャルロット様にはかすかに吸血鬼の匂いがした―――…。どこかでシャルロット様は吸血鬼と出会ってしまって、すでにもうその時には吸血鬼はシャルロット様を獲物として狙っていたんです」
「何だって…?」
「その日も急いでシャルロット様の首筋に護符を施しました。そして吸血鬼が現れたら必ず始末してやろうと思っていました。しかし吸血鬼は上手いこと姿を隠してしまって始末することが出来なかった。…シャルロット様がローザタニアに帰られても、吸血鬼はおそらく狙ってくるだろうと思い、私の庭で咲いている花にも護符を施し、離れていても大丈夫なようにお守りしておりました。そしてお花をお送りしたお返しのお手紙でシャルロット様がまたナルキッスに来られると知りました。…急いでシャルロット様に付けられた吸血鬼の目印を消さなければならない、そう思い昨晩パーティーに招待客として忍び込み、シャルロット様に完全な護符を付ける予定でしたが―――…」
「常に私に邪魔されたと…?」
「そう睨まないでください。…別に普通に祈りで護符を付けても良かったんですが…色々怪しまれずに簡単に護符を付けるためには仕方なかったんですよ。まぁ…少し艶っぽくした方が盛り上がるでしょう?私もあのような美しい方の美しい首筋にキスをさせていただくなど…嬉しいことじゃないですか」
「…つまり貴方は姫様を守ろうとしてくれていたんですね?」
「えぇ…」
「…ったく。回りくどいですね伯爵殿」
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「あはははは…手厳しい方だ」
「…カルロ殿、貴方が本当に教会の総本山の者ならばその証明があるはずだ」
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「…えぇその通りです」
カルロ伯爵は懐中時計の蓋を閉めるとお二人の前にしっかりとその模様を見せてました。あ…っとウィリアム様がお声を出すとカルロ伯爵は口角を上げて微笑み、再びシャツを脱いで胸元を露わにすると心臓の近くに押されている懐中時計の金細工と同じ教会の総本山の紋章である、鷲をモチーフにした紋章の焼印の痕をお二人に見せました。
「…っ」
「信じていただけましたか?」
「…あぁ」
「…陛下とヴィンセント殿をこちらにお呼びする際、教会の総本山の使いの者がシャルロット様を保護するため向かっております。シャルロット様にはしばらくの間…教会の総本山に匿ってもらいます」
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「えぇ。さすがに吸血鬼も聖地教会の総本山には近寄れないハズです。あの特別に浄化された空気は穢れた吸血鬼には毒ですから…」
「…」
「もうすぐきっと無事に保護したと教会の総本山の使いの者より連絡が来るはずです。極力、人に知られずに隠密に動きたかったので…陛下にも事後報告になってしまったことをお許しください」
「…教会の総本山の教皇殿のご意志か」
「えぇ。全ては教皇様のご指示です…」
「そうか…」
にっこりと微笑みながらカルロ伯爵はそう答えると、ウィリアム様とヴィンセントにお茶を促しました。冷めてしまったので新しく入れ直してもらいましょうかと伯爵は言いましたが、ウィリアム様はスッとソファーに座り細やかな装飾が施されたティーカップを手に持つとスッと一口紅茶を口に含まれました。
「冷めても美味しいんだな」
「…えぇ。どんな時でも美味しく飲めるのが私のブレンドティーの特徴です」
ウィリアム様の隣にヴィンセントは無言でスッと腰掛け、同じく紅茶を一口飲みました。そして少し間を置いて、悪くない…と言うような顔をしてもう一口グイッと紅茶を飲み干しました。
カルロ伯爵はそんな様子を温かく見守るように微笑まれました。
ふとウィリアム様が顔を上げて窓の外の方に視線を送りました。いつの間にか雨は止んでおり、薄らと霧が辺りを包み込むかのように覆っておりました。灰色の雲の下、鬱蒼とした天気のせいなのかどこか息苦しい空気にウィリアム様は眉を少しひそめて流れる雲を見つめているのでした。
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