ローザタニア王国物語

月城美伶

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Jardin secret ~秘密の花園~

第26話

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 「当時私はこの辺りに広大な土地を所有する貴族でして…まぁよく羽振りよく社交界で遊んでいたのですが、きちんと貴族としての務めにも精を出して、教会や修道院への寄附などの慈善事業もそつなくこなしておりました」
「ついでに修道院の修道女シスターにも手を出しすことにも精を出していたんですか?」
「あははははは…まぁそう睨まないでください、ヴィンセント殿。これには訳があったんですよ」

呆れたようにヴィンセントはカルロ伯爵を睨み、大きく溜息をつきました。そんなヴィンセントを見てカルロ伯爵はケラケラと笑いとばします。そしてまた一輪バラを手に取る顔の近くに持って行き、ワインを飲むかのようにその甘くて芳醇な香りを軽く吸い込みました。

「…その時グララスでは約半年前程から不可解な連続行方不明事件が多発しておりました。そして必ず私の領地の森の奥や川べりに行方不明となっていた者たちのご遺体が発見されたんです。私の領地で私と背格好の似た男が、殺された女性や子供と一緒に居たのを見たと言う出どこ不明な証言だけで警察はろくに調査もせずに私を疑っておりました」
「…疑う材料としては問題ないでしょう?」
「ですが私にはきちんとアリバイもありましたし、何よりも私がやったという明確な証拠がないですからね」
「そんなもの何とでもなりますよ」

ハッとヴィンセントは嘲笑するかのように笑い飛ばしました。カルロ伯爵そんなヴィンセントの様子を余裕の大人の態度で微笑みながら返します。少し肩透かしを食らったようなヴィンセントはそのまま伯爵を冷たい視線のままジッと見つめ続けました。

「えぇ、どちらにしても何とでもなるでしょう。…警察はさらにグララスの教会にも協力を仰ぎました。当時街外れの教会に1年ほど前に赴任してきた若い神父…ジャン神父―――…とても優秀で聡明、物腰も柔らかく真面目で人格者として街の人からの信頼も厚い男でした。そして何より私と背格好も顔もよく似ていて…まぁ顔もどこか似ていたみたいで、イケメンの神父として若い修道女シスター達からも人気がありました」
「…ジャン神父…?」
「警察はジャン神父に協力を依頼し、犯人が自責の念に堪えられずに懺悔に来た場合は必ず通報に協力してくれ、といっていたようです。それにもし万が一…犯人が人間でない場合それに対抗できるのはおそらく神職である神父だけだと警察は思っていたんでしょうね」
「犯人が人間でない場合…」

ウィリアム様の眉間にさらに深く皺が刻まれ、訝しげに伯爵を見つめます。ヴィンセントは相変わらずにじみ出る怒りを一生懸命押さえて静かに冷たい視線で見ら見つけておりました。

「悪魔の仕業ではないか、という意見もありましたからね。きっと藁にも縋る思いだったことでしょう。どちらにしてもこのジャン神父を主導としてこの事件の解決しようと警察は考えていたようです」
「…」
「そしてまたしばらくして…今度は修道院から数名の修道女シスターが行方不明となる事件が起きました。なにかと修道院にちょくちょく出入りしていた私はもちろん疑われました」
修道女シスターまでが?」
「マチルダにテレーズ…それにルチア…。さすがに三名の修道女シスターがいきなり姿を消し、修道院はパニックになりました。そしてその日の夜、修道女シスター達をたぶらかしたりマチルダと男女の関係にあるのではないかと疑っていた人々にけしかけられてジャン神父は…ついに私の犯行の痕跡を探そうと私の屋敷に忍び込んできたんです」
「…」
「ですがもちろん私は犯人ではないので屋敷には何の痕跡も残っていない。それに…シスターマチルダは教会の総本山のアルカディアから派遣された吸血鬼ハンターだったんです。我々に男女の関係があるなど…決してないことだったんです」
「え?教会の総本山アルカディア…だと…?」
「…実はグララスで吸血鬼事件が起こる前にもこのナルキッス国内を始め世界各国で同じような事件が何件か起こっていたんです。マチルダはその吸血鬼事件の犯人が「人間ではない何か」と考えた教会の総本山アルカディアからの勅をうけて犯人を追っていて、このグララスにやって来たんです。私はこの辺りの領主でしたからもちろん教会の総本山アルカディアとマチルダに協力していました。犯人は娼婦や男娼をも手に掛けると聞いていましたから…まぁ趣味と仕事を兼ね備えてはいましたけれど、聞き込みを兼ねてそのあたりで遊んでいるふりをして聞き込みをしたり、孤児院に寄附をしに行くと言って様子を見に行ったり…私なりにも調査をしていたんです。そして――…」
「ちょ…ちょっと待ってください…ちょっと意味が…理解が追い付かない…。つまり伯爵…貴方はその吸血鬼ハンターであるシスターマチルダと…仲間だったってことですか?」
「その通りです」

あまりにもことに話を理解できる範疇を超えたのか、ヴィンセントはカルロ伯爵の話を遮り一旦話を整理しようと狼狽えました。ウィリアム様も呆気に取られたという表情でカルロ伯爵の方を見つめますが、伯爵はフッと悲しそうに微笑み返します。

「そのことを…ジャン神父は知らなかったのか…?」
「敵を欺くにはまずは味方からと言ったところでしょうか…?」

カルロ伯爵は手に持っていたバラを再び大きく吸いこんで溜息のように息を吐き、少し生気をなくして萎れているバラを見つめておりました。そして再び困惑されているウィリアム様とヴィンセントの方を優しく見直します。

「…陛下は先日観劇がご一緒だったこの吸血鬼事件をモデルとしたオペラを覚えていらっしゃいますか?」
「あぁ…」
「『悪魔は聖人のフリをしてすぐ近くに居る』と劇中で言っていたでしょう?」
「…どういうことだ?」
「その言葉の通りです。事実は小説よりも奇なり、とはまさにこのことでした」

 困惑されているウィリアム様とヴィンセントの姿を見て、カルロ伯爵は困ったような微笑みを浮かべて優しい声で話し続けます。

「『悪魔は聖人のフリをしてすぐ近くに居る』…?…どういうことだ?」
「その言葉の通りです。事実は小説よりも奇なり、とはまさにこのことでした」
「え?…」
「その言葉の通りですよ、陛下」
「…まさか…?いや…そんなことは…。嘘だと言ってくれ…」
「そのまさか、なんです。…当時、世間を騒がせていた吸血鬼事件の犯人はジャン神父だったんですよ」
「馬鹿な…吸血鬼の正体が神父だなんて…そんなことあるはずが…」

ウィリアム様は信じられないと言った様子でカルロ伯爵をエメラルドのような瞳で見つめます。ヴィンセントは静かに黙ってカルロ伯爵を見つめ続けておりました。

「ジャン神父の正体は当時300年の時を生きた大物の吸血鬼でした。奴は昔から常に名前と姿を変えて人間のように何食わぬ顔で人を襲いながらのうのうと生活をしていました」
「…」
「いつの間にか奴は…神父と言う聖職者のフリが出来るほど巨大な力を持つようになっていた。教会の総本山アルカディアはずっと水面下でその吸血鬼を追い続けて始末しようとしていたそうです」
「…そんな…信じがたいこと…」
「えぇ。信じられないでしょうけど実際に200年前に起きていたんですよ。…マチルダはジャン神父をあと一歩のところまで追いつめましたが逆に吸血鬼に襲われてしまい…私もジャン神父の罠に嵌って犯人に仕立て上げられそうになりました」
「…」
「けれど我々はあの時、命からがら何とか抵抗してジャン神父を塵と化して退治したはずなんです。ですが…なぜか奴は復活してまた200年前と同じことをしようとしている」
「…お二人ともまだ信じられないと言ったお顔をされておりますね」
「当たり前でしょう。私は自分の目で見て確かめたことしか信じられないんです」

未だに眉間に皺を思いっきり寄せてヴィンセントは冷たくカルロ伯爵を思いっきり睨みつけております。
ごくっと固唾を飲んで何かを決心されたのか、ウィリアム様は一歩伯爵に近づいて落ち着いたトーンの声で話しはじめました。

「伯爵…一つお聞きしたい。もしこの話が本当だったとして…貴方は元々は人間だったのですよね…?」
「もちろん。れっきとした人間でしたよ。あの事件が起きるまでは」
「ではどうして…貴方は吸血鬼に…?」
「これを…」

カルロ伯爵はシャツの襟元に手を掛けて少し緩めて首元を露わにし、そこにある赤黒い小さな模様のような痣をスッと前に出してお二人に見せました。

「これは…」
「これは私がジャン神父を殺す時に奴に抵抗されて噛まれた時に出来た痣です。純粋の吸血鬼の体液が一定以上の量身体に入り込むとその吸血鬼の眷属になる…。私は奴の体液を吸収してしまい、吸血鬼にされてしまったんですよ」
「…なんと…」
「ジャン神父に扮した吸血鬼を退治した後…瀕死の重傷を負った私とマチルダは教会の総本山アルカディアに匿ってもらい、この200年間教会の元で秘密裏に保護されて穏やかに生きてきました」
「…教会に匿ってもらっていたのか…!どうりで貴方のことが色々な記録から消されているわけだ…」
教会の総本山アルカディアの機密事項の一つですからね。貴方方王族の力を持っても踏み入れられないところなんですよ」
「つまり伯爵…貴方は教会の総本山アルカディアの者…」
「えぇ。この200年間教会の領地を転々としてのんびりと暮らしておりました。ですが約半年前程からでしょうか―――…ある時、やけにこの痣が疼き出したんです。この200年間、この痣は疼くことも無かったのにある時を境にこの痣が熱を持ち痛くなるほど疼き始めたんです。その時私は奴が生き返ったと確信しました。教皇様に許可をいただき、今度こそ奴を完全に亡き者にするために奴を探し出す旅に出ました。そしてどうやらこのグララスの街に居ると突き止めてやって来たんです」
「…今その吸血鬼がグララスに居ると…?」
「えぇ。…あの街にはどんなに隠しても滲み出て来る血生臭い奴の匂いが充満しています。ですが上手いこと隠しているのか…なかなか肝心な実態がつかめない…。だからこんなにも被害が出てしまった…。早いところ奴を亡き者にせねばこれからもっと被害者が出てくることでしょう」

呆気に取られ過ぎて呆然とした表情でウィリアム様はカルロ伯爵のお顔を見つめております。開いたシャツのボタンを白くて長い指でスルスルと留めて服を整えながら、伯爵はクスッとウィリアム様に微笑みました。

「…貴方は…吸血鬼にされてしまった被害者とは言え、吸血鬼だ。人の血を飲むことだってあるだろう…。だから無意識のうちに人を襲っていることだってあるのでは?」
「ははははは…まだ疑っていらっしゃるんですね。まぁ…無理もない話です。…不幸中の幸いとでも言うのでしょうか、私の身体の中には奴の体液量はそこまで注入されておらず…私は完全に吸血鬼にはなりえていないみたいなんです。なので吸血鬼と言えども実は人の血が飲みたいと思ったことはなくてこの特別なバラの香りと…時々人間からエネルギーを吸う程度で生きていけるみたいです」
「エネルギーを吸う…」
「えぇ…まぁキスしている時とか…少しばかり盛り上がった時に首筋あたりから少しばかりいただく程度でなんとかなります」
「そう言えば…姫様にキスとかしてないでしょうね…。一応あれでも一国のプリンセスなので…何かあった場合大問題になりますよ」
「安心してくださいヴィンセント殿。何度かシャルロット様の騎士ナイトである貴方に邪魔されてそのチャンスを失い、シャルロット様の瑞々しくて愛らしいあの唇には一切触れておりません」
「神の名にかけても?」
「吸血鬼の分際で申し上げるのも何ですが…神の名にかけてシャルロット様には一切手出しをしておりません。それに泣いて傷ついているレディの弱みに付け込むようなことはしたくないんです。フェアじゃないでしょう?」
「…」

未だにずっと神妙なお顔のウィリアム様とヴィンセントに対して伯爵は爽やかにウインクを放ちました。
お二人ともそのウインクが見えているのか、飛んできたものを避けるような態度を取ると伯爵はあははと乾いた笑いを放ち真面目なお二人の様子を微笑ましく見ている状況の様でした。

「シャルロット様はとても愛らしくて魅力的な方で興味がないと言えば嘘になりますが、私には200年前から心に決めた人が居りますから大丈夫ですよ」
「でも…マリアは貴様と熱い一夜を過ごしたと…それにイリス嬢とも一晩ベッドを共にしたと…」
「あぁ、あれは彼女たちに見せた夢です」
「夢?」
「えぇ。エネルギーを少しいただいた時に、痛みを和らげるためなんでしょうか…その人が今思っていたり願っている夢を見させてあげることが出来るみたいなんです」
「どういうことだ?」
「まぁ二人ともキスはしたんですけどね、その時に私が超巨大なエネルギーをいただいた見返りに彼女達の願望を夢の中で実現させてあげたんです。煩悩だらけの彼女たちは私とのベッドでの戯れを望んでいた」
「…それが熱い一夜…」
「みたいですね。まぁ彼女達のキスはとても情熱的でなかなかのモノでした。200年前だったらきっとそのまま彼女達と本当にめくるめく熱い一夜を過ごしたでしょうねぇ」
「…そうですか…。まぁその件に関しては誰とが誰と熱い一夜を過ごそうが我々には関係ないのでどうでもいいことです。それで…貴方はこんな話を我々に聞かせていったいどういうつもりなんですか?」
「先程も申しあげましたが、シャルロット様をお守りするためです」
「…どういうことだ?」
「こちらをご覧ください」

そう伯爵はお二人に告げると、ポケットから何かを取り出しました。
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