煽りスキルMAXのメスガキ、異世界で無双するも時々敗北する件

八戸三春

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第一章

33話 リリア、予想外の敗北!?

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リリアの一歩一歩が迫るたびに、空気が重く圧迫され、煽りの覇者は明らかにその圧倒的な力に怯えていた。彼の目に浮かぶ焦りが、私はハッキリと見て取れた。リリアの力が、彼の全てを無に帰す勢いで押し寄せている。

「くっ……そんな……」

煽りの覇者が低くうなると、次の瞬間、何かが変わった。空間が一瞬で歪み、黒い霧が彼の周りを包み込んだ。霧が激しく膨れ上がり、その中から響くような声が発せられた。

「これで終わりだ」

その言葉と共に、霧が爆発的に広がり、リリアに向けて恐るべき速度で迫ってきた。リリアは驚いたように目を見開いたが、すぐにそのエネルギーを吸収しようとした。

「またその手か……」

だが、今回は違った。霧の中から伸びる黒い靄が、リリアの周囲を取り囲み、一気にその力を吸い取ろうとしていた。リリアが力を放とうとした瞬間、靄が彼女の体を拘束し、足元から力が失われていくのが感じられた。

「な、何これ……!?」

リリアの表情が一瞬にして驚愕に変わり、力の流れが急激に逆転した。靄が彼女の動きを封じ込め、圧倒的な重圧がリリアの体にのしかかってきた。彼女の周囲から放たれる気配が、次第に弱まっていく。

「何が起こったんだ……?」

私はその光景に目を見開いた。リリアが、あんなにも圧倒的だったはずの力を、まるで無力化されているように感じるなんて、予想外だった。煽りの覇者が、冷静にその様子を見守りながら、低く笑った。

「君が思っていた通りにはいかないよ。俺の力は、君のような煽りで簡単にひっくり返るようなものではない」

リリアが抵抗しようとするが、その動きが鈍くなり、まるで何かに引き寄せられるように、靄に引き寄せられていった。リリアが一瞬だけ目を閉じ、その力に耐えようとする。

「無駄だ……」

煽りの覇者が、まるでリリアがそのまま屈服するのを待つかのように言った。その目に浮かぶのは、完全に勝利を確信した余裕の表情だった。リリアは、少しだけ顔をしかめ、力を振り絞って言った。

「……うるさいな、あんたみたいな奴に負けるわけないでしょ」

リリアの目が再び鋭く光り、次の瞬間、彼女の体から圧倒的なエネルギーが解放されようとした。だが、靄がそのエネルギーを一瞬で吸収し、逆にそれをリリア自身に返すかのように作用した。

「なにっ!? こんな…!」

リリアの表情が驚きに満ち、体から放たれる力が急激に暴走し始める。その力が次第に反転し、彼女自身がそのエネルギーに呑まれそうになる。

「やばい、リリア!」

私は思わず叫んだ。リリアの力が暴走し、その場に立っていることすらできなくなるのを感じて、私は全力で彼女に駆け寄ろうとしたが、黒い霧のエネルギーがその道を遮ってしまった。

「まずい、どうにかしないと……!」

リリアの体がもはや制御できなくなり、霧の中でその力が膨れ上がっていく。それに合わせて、煽りの覇者がゆっくりと手を伸ばし、黒いエネルギーをさらに強化していった。

「これが、俺の力だ。君のような者に、この街の運命を操る資格はない。」

その言葉を発した瞬間、リリアの力はとうとう限界を迎え、激しく爆発した。私は目を見開き、驚愕とともにその光景を見つめる。リリアが暴走したその力は、まるで破滅的な波動のように広がり、周囲の空間すら歪め始めた。

だが、その爆発が完全に収束した後、リリアは地面に崩れ落ち、膝をついて動かなくなっていた。彼女の周囲からは、力を振り絞った結果の疲労感が漂っている。

「リ、リリア!!」

私は彼女に駆け寄り、無力化されたリリアの体を支えながら、心の中で混乱し、焦りが込み上げてきた。

煽りの覇者が、勝ち誇ったように私たちを見つめながら言った。

「君の仲間は、やはり僕の力の前では無力だ。もう、終わりだ」

その冷徹な声に、私の中で何かが引き裂かれるような感覚があった。リリアが倒れた今、私にはどんな手段が残されているのだろうか。

「でも、君はまだあきらめるなよ」

煽りの覇者が、にやりと笑って言った。
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