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第7章 王と再会編
第75話 連れ戻す
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「あ、あれがそうじゃないか?」
「ん……たしかに、報告通り黒髪の男だ。」
王国軍っていことは、俺を連れ戻しに来たのか?なぜだ?いや、理由は想像つく。
「俺がシンジだ。一体なんのようだ?」
「おお、国王から今すぐ宮殿に来いということだ。ついてきてもらうぞ。」
そう言いながら兵士は俺の腕をつかもうと手を出してくる。
「おいおい、少しぐらい落ち着かせろ。それに理由も聴きたい。」
俺は兵士の手を払いながらそう答える。
「特に聞いてはいない。『キエハナに着き次第シンジを急いで探して宮殿まで連れてこい』としか言われていない。」
「え?」
理由は話されてない。どういうことだ、そんなに極秘内容なのか?
「シンジ、これは一体どういうことなんだ。」
リリアさんが俺と兵士たちの会話に割って入ってきた。
「すいません、耳を少し寄せてもらってもいいですか?」
周りに人が多すぎるため、小声で話そうとリリアさんに頼む。リリアさんも察知したのか、何も言わずに耳を寄せてくれた。
「絶対に秘密にしてくださいね。」
「ああ、」
「俺、実は約2月前に召喚されてきたんです。」
「な!?なんだって!?」
(いやでも、ここまでの実績を考えてみると決しておかしくはない。それにさっきの戦いでも見たことない格闘技を使っていたし、常識もあまりない。)
「信じてくれますか?」
「ああ、大丈夫だ。ただなぜ呼ばれることになったんだ?」
「俺の推測ですが、おそらく俺と同じく召喚された人たちが弱かったからでしょう。」
前に会った時でさえあれだけ差があったんだ。今だったらさらに差が離れてるだろう。
「そして、本当の勇者である俺を連れ戻しに来たんだと思います。」
そう伝えるとリリアさんはなるべく反応を隠しながら俺から離れた。
「それで王が俺をまたあそこに戻ってきてくれと?」
「我々には王の考えはわからない。」
「ただ、俺が嫌と言ってもお前らは俺のことを追いかけて連れ戻そうとするんだろ?」
「そういうことになるな。」
ふー、と息を吐いて考えていると、心配しているのかスライム達があまり元気が無いように腕を揺らして俺と兵士たちが話している様子を見ていた。頭の上にいるマロも先ほどまでな元気さが無くなっていた。俺は下にいるアクア達にしゃがんで目線を合わせる。
「心配するな。きっと大丈夫だ。」
そう言ってアクア達を撫でる。もちろんミニスライム達も忘れずにだ。アクア達は嬉しそうに腕をユラユラとゆらす。
「なんだこのスライムは?なんでギルドにいるんだよ!」
「な、お前バカ!やめ……」
バチコン!
ミニスライムに手を出そうとした兵士が突然壁に吹っ飛ばされた。当然蹴ったのは俺だ。ちゃんと頭のマロを抑えながら蹴り飛ばした。
「早く俺を宮殿に連れてけ!さっさとこの話にけりをつける。」
そう言って馬車に乗り込むための準備を始めた。
~~~~~~~~
「ぬー、まだかの。」
「落ち着いてください、王様。まだ出発して3日、今頃ようやく到着ですよ。まだ後3日はかかるでしょう。」
ここは宮殿。シンジを連れてくるための兵士団を派遣しておおよそ3日が経った頃。
「そうじゃ、今ここにいる勇者達は何をしておるんだ?」
「ええと、今は確か休憩中でしたね。『レベルがようやく30超えたからしばらく休んでも大丈夫だろ~ー!』とおっしゃられました。」
「な、何をしておるんだ奴らは。やはり彼を追い出すのはダメじゃったか。」
今の勇者達はシンジと再開した時の実力の差があまりにも大きすぎたショックで立ち直れておらず、こうして何かがあればそれを理由に休むという暴挙に出ている。
「もう装備はなおってるはずじゃろ?」
「はい、ですが『勇者と言えども流石に休息は必要だ。』とおっしゃられています。」
「どこまでそんな態度なんじゃ。後3日か。本当に大丈夫なんじゃろうな。」
「はい、大丈夫です。」
王はリドがいなくなって、空いてしまった宰相の席に、参謀を長年務めていた女性を宰相にした。リドとまではいかないものの、それでも十分な頭の良さに加え、落ち着きを持っているためそこを見込まれて宰相になった。
「魔王軍の様子はわかるか?」
「今では正直なんとも言えません。ただまだ時間は余っているということだけですね。」
「そうか、あとはどうにかしてシンジを連れ戻して勇者として魔王討伐に行ってもらわねばならんな。」
「しかし、そこまで強い人なのですか?私が宰相になるまでは特に彼については聞いてなかったのですが、」
「ああ、奴はすでにドラゴンを討伐しておる。おそらくもう他の凶悪モンスター、それこそリヴァイアサンすら倒しているかもしれないな。」
「それは無いでしょう。」
~~~~~~~~
「ヘックしゅ!」
なんだ風邪か?鼻をこすると隣からニューんとスライムの腕が伸びてくる。リーンだ。その先にはタオルがあり、日本のおしぼりのような状態だ。
「ありがとうリーン。いつも世話になってて本当に助かるよ。」
そう礼を言って俺は顔を拭く。リーンも満足そうに腕をユラユラとゆらす。
「おい、なんでスライムからタオルが出てるんだ?」
「俺がわかるわけないだろ。だいいちあんなスライムすら見たことないわ。」
こんな感じで馬車での移動が始まっていた。
「ん……たしかに、報告通り黒髪の男だ。」
王国軍っていことは、俺を連れ戻しに来たのか?なぜだ?いや、理由は想像つく。
「俺がシンジだ。一体なんのようだ?」
「おお、国王から今すぐ宮殿に来いということだ。ついてきてもらうぞ。」
そう言いながら兵士は俺の腕をつかもうと手を出してくる。
「おいおい、少しぐらい落ち着かせろ。それに理由も聴きたい。」
俺は兵士の手を払いながらそう答える。
「特に聞いてはいない。『キエハナに着き次第シンジを急いで探して宮殿まで連れてこい』としか言われていない。」
「え?」
理由は話されてない。どういうことだ、そんなに極秘内容なのか?
「シンジ、これは一体どういうことなんだ。」
リリアさんが俺と兵士たちの会話に割って入ってきた。
「すいません、耳を少し寄せてもらってもいいですか?」
周りに人が多すぎるため、小声で話そうとリリアさんに頼む。リリアさんも察知したのか、何も言わずに耳を寄せてくれた。
「絶対に秘密にしてくださいね。」
「ああ、」
「俺、実は約2月前に召喚されてきたんです。」
「な!?なんだって!?」
(いやでも、ここまでの実績を考えてみると決しておかしくはない。それにさっきの戦いでも見たことない格闘技を使っていたし、常識もあまりない。)
「信じてくれますか?」
「ああ、大丈夫だ。ただなぜ呼ばれることになったんだ?」
「俺の推測ですが、おそらく俺と同じく召喚された人たちが弱かったからでしょう。」
前に会った時でさえあれだけ差があったんだ。今だったらさらに差が離れてるだろう。
「そして、本当の勇者である俺を連れ戻しに来たんだと思います。」
そう伝えるとリリアさんはなるべく反応を隠しながら俺から離れた。
「それで王が俺をまたあそこに戻ってきてくれと?」
「我々には王の考えはわからない。」
「ただ、俺が嫌と言ってもお前らは俺のことを追いかけて連れ戻そうとするんだろ?」
「そういうことになるな。」
ふー、と息を吐いて考えていると、心配しているのかスライム達があまり元気が無いように腕を揺らして俺と兵士たちが話している様子を見ていた。頭の上にいるマロも先ほどまでな元気さが無くなっていた。俺は下にいるアクア達にしゃがんで目線を合わせる。
「心配するな。きっと大丈夫だ。」
そう言ってアクア達を撫でる。もちろんミニスライム達も忘れずにだ。アクア達は嬉しそうに腕をユラユラとゆらす。
「なんだこのスライムは?なんでギルドにいるんだよ!」
「な、お前バカ!やめ……」
バチコン!
ミニスライムに手を出そうとした兵士が突然壁に吹っ飛ばされた。当然蹴ったのは俺だ。ちゃんと頭のマロを抑えながら蹴り飛ばした。
「早く俺を宮殿に連れてけ!さっさとこの話にけりをつける。」
そう言って馬車に乗り込むための準備を始めた。
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「ぬー、まだかの。」
「落ち着いてください、王様。まだ出発して3日、今頃ようやく到着ですよ。まだ後3日はかかるでしょう。」
ここは宮殿。シンジを連れてくるための兵士団を派遣しておおよそ3日が経った頃。
「そうじゃ、今ここにいる勇者達は何をしておるんだ?」
「ええと、今は確か休憩中でしたね。『レベルがようやく30超えたからしばらく休んでも大丈夫だろ~ー!』とおっしゃられました。」
「な、何をしておるんだ奴らは。やはり彼を追い出すのはダメじゃったか。」
今の勇者達はシンジと再開した時の実力の差があまりにも大きすぎたショックで立ち直れておらず、こうして何かがあればそれを理由に休むという暴挙に出ている。
「もう装備はなおってるはずじゃろ?」
「はい、ですが『勇者と言えども流石に休息は必要だ。』とおっしゃられています。」
「どこまでそんな態度なんじゃ。後3日か。本当に大丈夫なんじゃろうな。」
「はい、大丈夫です。」
王はリドがいなくなって、空いてしまった宰相の席に、参謀を長年務めていた女性を宰相にした。リドとまではいかないものの、それでも十分な頭の良さに加え、落ち着きを持っているためそこを見込まれて宰相になった。
「魔王軍の様子はわかるか?」
「今では正直なんとも言えません。ただまだ時間は余っているということだけですね。」
「そうか、あとはどうにかしてシンジを連れ戻して勇者として魔王討伐に行ってもらわねばならんな。」
「しかし、そこまで強い人なのですか?私が宰相になるまでは特に彼については聞いてなかったのですが、」
「ああ、奴はすでにドラゴンを討伐しておる。おそらくもう他の凶悪モンスター、それこそリヴァイアサンすら倒しているかもしれないな。」
「それは無いでしょう。」
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「ヘックしゅ!」
なんだ風邪か?鼻をこすると隣からニューんとスライムの腕が伸びてくる。リーンだ。その先にはタオルがあり、日本のおしぼりのような状態だ。
「ありがとうリーン。いつも世話になってて本当に助かるよ。」
そう礼を言って俺は顔を拭く。リーンも満足そうに腕をユラユラとゆらす。
「おい、なんでスライムからタオルが出てるんだ?」
「俺がわかるわけないだろ。だいいちあんなスライムすら見たことないわ。」
こんな感じで馬車での移動が始まっていた。
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