スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya

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第8章 なびく銀色の風

第91話 料理を振るってもらったけど……

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 「この鳥人?の女の子の名前はあるの?」

 「鳥人?ああ、ハーピーのことですね。いえ、初めてなのでありませんね。」

へー、ハーピーって言うんだ。(シンジはあまり動物に詳しくない。そのためハーピーの存在を知らなかった。)

 「たしかに名前がないと今後呼ぶのが不便ですね。ちょっとこっち来てー。」

呼ばれたハーピーはトコトコと歩いてシルの方に近づく。呼ばれたのが嬉しいのか頭をスリスリとシルになすりつける。

 「ちょっと、やめなさい。」

シルがハーピーの動きを止めようとするがそれでもハーピーはやめることなくスリスリとしている。そんな微笑ましい状況を俺、アクア、リーン、テイロ、ミニスライムたちで見ていた。

この時マロは何をしていたかと言うと、

 『………もう食べられない………zzz』

寝ていた。特に興味がなかったのかわからないが。

 「こほん、さてあなたに名前をつけたいと思います。そうですね……ルー、あなたの名前はルーです。これからよろしくね。」

 「ピイー♪」

ルーと呼ばれたハーピーは喜ぶようにシルに抱きつく。「こら、やめなさい。」とシルは抵抗するが御構い無しにスリスリとする。

~~~~~~~~

 「リーン、ご飯作ろうか。」

 「ピューー!」

 「ん?どうした?シルが作ってくれるの?」

いつもなら喜んで!と言わんばかりにキッチンに向かうリーンが腕を伸ばして俺を止めた。話を聞いたらなんとシルが作ることになっていた。

 「せっかくだし見てみようか。」

リーンに誘うと腕をビシッとあげてついてきた。

ちなみにルーはずっと召喚されたままだ。「魔力が常にわたしから出続けるので枯渇が不安ですね。」とシルは危惧していたがアクアが家の庭(キエハナ)で採れたリンゴやミカンをルーに渡すとルーはむしゃむしゃ食べ始めた。ただの果物ではない理由はルーにとっては魔力を摂取することが一番必要らしいからだ。魔力の高い食べ物を食べれるなら召喚したままでも問題ないらしい。

 「これですかね、コンロは。」

若干テンションが上がっているのかウキウキとキッチン周りをみている。一応食材はある程度渡しているため見守るだけだが。

 「ふんふんふん♪」

本人は機嫌がいいのか元気よく料理しているけど、実際はなかなかやばいことになってる。フライパンで肉を焼いてるけど塊の肉をそのまま焼いている上に火は常に強火だ。

 「ピュー....」

 「リーンもそう思うか。」

俺とリーンは一つの結論に至った。シルは料理が下手だ。肉は結局丸焼きで真っ黒。卵もぐちゃぐちゃに焼いており、スープにいたってはなんか紫色のスープになってる。紫色の食材渡したか?

 「さ、シンジ様!完成しました!」

 「あ、ああ」

目の前に置かれた料理を見るが、どう見ても食べ物じゃない。魔女が作りそうな薬品を見ている気分だ。

 「ささ、遠慮せずに。」

シルはそんなことを知らず嬉々として俺に一口分すくったスープを口に近づけてくる。

えーーーーーい!ままよ!

パク!

 「んん!ヴあーーー」

俺はその場で倒れた。食べた瞬間に舌に激痛が走った。

 「キューー!!」

アクアは急いでカバンからリーンの状態異常用のポーションを取り出してシンジに何とか飲ませる。そしてリーンはシルの元に跳ねて走り『あなたなんて料理をシンジ様に食べさせるつもりですか!!次に出すときは一度自分で味見をしてから提供しなさい!』と怒りに満ち溢れた触手を伸ばして説教する。

 「え、え、えーーーーーーーー!?」

シルは何が起こったのかわからずただ叫ぶだけだった。

~~~~~~~~~

 「うー、申し訳ありません。」

 「はあ、死にそうだった。川が見えた気がした。」

仕方なく俺とリーンでいつも通りに料理した。例のシルの手料理はミニスライムたちのおやつになった。とりあえずいろんな料理作って好みを知っていけばいいかな。

 「よし、完成だ。」

完成した料理はミニスライム達によって次々とテーブルに運ばれていった。ぴょんぴょんと懸命に運んでいく姿は可愛いの一言に尽きる。

 「ふああーーすごいおいしそうですね。」

 「ピイー!!」

シルとルーは目の前の料理に目が釘付け状態になっていた。ルーはいきなり顔を突っ込もうとしたが、それをリーンが腕を伸ばして止めると、『それでは行儀悪いですよ。』と言わんばかりに腕を動かしフォークの使い方などを教える。

 「ピ、ピ、...」

腕ではなく羽になってるため掴みにくそうであるがなんとか食べれているようだ。リーンは完全にうちの教育担当だな。

 「うーーん、本当においしいですね。」

 「そうか、それはよかった。あ、ジュースもあるぞ。」

アクアが作ってくれる100%果汁ジュースを渡す。アクアの魔力で育てられたからかとても甘く、すっきりとした味わいだ。ミニスライム達にも絶賛なようで移動中やちょっとした合間によく飲んでる。

 「これからどうするんですか。」

 「このあとは北の国境を越えてリリーシアっていう街に行くつもりなんだ。」

 「ああ、あの温泉の街ですね。あそこは地上では1,2を争う温泉街なんですよね。」

 「へえー、よく知ってるな。」

 「私には知識を得ることしか出来なかったので。」

そういえばそんな話もあったな。そう思うと俺は運がよかったんだなと思う。最初は確かに絶望しかけたけどアクアに出会って、スキルも実は強かったりと。
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