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第10話 治癒
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バチン!
「きゃあ!」
「ちょっとエリー!?大丈夫!?」
『ウォーター』の練習中にエリーが魔法を唱えた瞬間に手から煙が一瞬出てきた。
「魔力枯渇か?多分うまく発動せず変に暴発してしまったんだろ。」
魔力が足りないのに無理に唱えて発動させるとうまく魔力が作用せずその場で暴発してしまう。今回は『ウォーター』だからそんなに爆発は大きくなかったがこれが上級魔法であれば寮が爆発してただろう。
「いたた、」
「エリーその手、すこし焦げ付いてるよ。」
「まずいな、包帯は無いしどうするかな。」
プー二プーニ♪♪
俺たち3人がエリーの手を心配する中ミルだけは変わらずぴょんぴょんと跳ねて近づいてくる。
「どうかしたのミルちゃん?」
ミルは触手を器用に使い、自分の体をエリーの手に触らせてくれと言う。
「たしかにミルっちひんやりしてそうだよね。」
「いや意外とあったかいんだけどな。」
基本ゼリー体のミルはひんやりしているが、日向ぼっこしたりベッドの中にいる時はあったかい。水の性質を少し持ってるのか?
「それじゃ触るね、ミルちゃん。」
どんとこい!と構えるミル。そんなに触って欲しいのかと思いながら見守る。
ポワーーーン!
「「「へ?」」」
プニョン♪
エリーがミルに触れた途端患部を中心に淡く光り出した。何が起こってるの?
「うそ、治ってる?」
「ええ!?何このスライム!?ルー君はわかってたのー!?」
「いや、俺もこんなの初めて見るけど、」
プーニプーーニ♪♪
驚く俺たちだが当の本人は予期していたのか『どうよ!』とドヤ顔しているように跳ねる。
「でも何がきっかけがあるはずだよね。少なくともスライムに回復する力なんかないはずだし。」
「うーーーん、」
考えるが何も出てこない。そりゃそうだ、スライムはまず能力が無いと言えるぐらい弱い。体当たりと食事しか能がない。
プニョン♪
ミルが上に3回跳ねる。これは薬草が食べたいという合図だ。
「あ、薬草ならこっちに……!?そういうことか!」
「なになにどうしたのルー君!?」
「ルーノ君何かわかったのですか?」
「多分だけどミルずっと薬草食べてるからその効能が能力にかわってるのかもしれない。」
「どういうこと?」
スーはいまいちわからないようで首をかしげる。
「スライムって学者の間では『可能性の塊』って呼ばれるほど変異するんだ。」
「たしかに鉱山に住むスライムが金属を喰らいメタルスライムになったっていう例もありますね。」
「あー、それ聞いたことある。」
「そう、その変異する特性が薬草にもきいたのかもしれない。」
「だから薬草の治癒作用がミルっちにも影響して回復する能力を得たのかな?」
「よく考えたら俺って怪我したことなかったな。」
「え?怪我したことないってマジ?」
「ああ、」
怪我はしたことない。俺の戦いは傷を負わないことを主にしてる。1発で仕留めたり、状況判断で撤退をしたりと傷を負うことはほとんどしない。
「そっかー、ミルっちにこんな能力があるなんてね。」
「驚きですね。私の手もう完全に治ってますしむしろなんかツヤツヤしてます。ありがとうねミルちゃん。」
プーニプーーニ♪♪
ミルはエリーに撫でられて嬉しそうに跳ねる。子スライムだからまだ反応が子供だ。だけど治癒能力をすでに持ってるのか。
「これはしばらく本を読む必要があるな。」
「ルー君なんか言った?」
「!?いや、何も言ってないけど。」
スーが俺の小さなつぶやきに普通に反応してきた。なかなかいい耳をお持ちで。
「今日の練習はここまでだな。」
「わかりました。私はこのあと何をしていればいいでしょうか?」
「そうだなー、まあ頭の中で星型を綺麗にイメージすること、ぐらいかな?」
「それだけでいいんですか?想像だけで紙に描くとかしなくてもいいんですか?」
「それやっても戦闘中に絵を描くことがないからな。それに紙が勿体無いからな。」
別にこの世界で紙が貴重なんてことはない。ただのこじつけに過ぎない。
「それじゃあ今日はこの辺でね。じゃあねー。」
「今日はありがとう。また明日。」
「おう、また明日な。スーはちゃんと作戦考えとけよ。」
「むー、わかってるよ!」
スーは表面上は楽観的に見えるから随所で釘を刺しておかないとな。日頃から変えていかないと癖や考え方はなかなか変わらない。
「しかし、」
プニ?
「ミルにこんな能力があったなんてな。ああ、褒めてるんだよ、すごいな。」
ミルがどういうこと?と跳ねるから補足しておく。だけどこの能力をどの程度のものだと認識しておけばいいのかわからない。
「ええ、と……これか。」
俺はある一冊の本を取り出した。
[現代医学の現実]という本だ。この本の中には今の治癒魔法や薬草の効能、歴史も載っている。その中でこんな言葉があった。
薬草やポーションが治癒魔法を超えることは現時点ではありえない。
俺が7年間悩んでいた言葉だ。俺の得意魔法が衝撃で治癒魔法を覚えることはできない。だから薬草からアプローチをかけていたが失敗するたびにこの言葉に悩まされた。
プニョン♪
ミルが俺の膝の上に乗ってきた。なんかほんの少しだけ兆しが見えてきた気がする。
「きゃあ!」
「ちょっとエリー!?大丈夫!?」
『ウォーター』の練習中にエリーが魔法を唱えた瞬間に手から煙が一瞬出てきた。
「魔力枯渇か?多分うまく発動せず変に暴発してしまったんだろ。」
魔力が足りないのに無理に唱えて発動させるとうまく魔力が作用せずその場で暴発してしまう。今回は『ウォーター』だからそんなに爆発は大きくなかったがこれが上級魔法であれば寮が爆発してただろう。
「いたた、」
「エリーその手、すこし焦げ付いてるよ。」
「まずいな、包帯は無いしどうするかな。」
プー二プーニ♪♪
俺たち3人がエリーの手を心配する中ミルだけは変わらずぴょんぴょんと跳ねて近づいてくる。
「どうかしたのミルちゃん?」
ミルは触手を器用に使い、自分の体をエリーの手に触らせてくれと言う。
「たしかにミルっちひんやりしてそうだよね。」
「いや意外とあったかいんだけどな。」
基本ゼリー体のミルはひんやりしているが、日向ぼっこしたりベッドの中にいる時はあったかい。水の性質を少し持ってるのか?
「それじゃ触るね、ミルちゃん。」
どんとこい!と構えるミル。そんなに触って欲しいのかと思いながら見守る。
ポワーーーン!
「「「へ?」」」
プニョン♪
エリーがミルに触れた途端患部を中心に淡く光り出した。何が起こってるの?
「うそ、治ってる?」
「ええ!?何このスライム!?ルー君はわかってたのー!?」
「いや、俺もこんなの初めて見るけど、」
プーニプーーニ♪♪
驚く俺たちだが当の本人は予期していたのか『どうよ!』とドヤ顔しているように跳ねる。
「でも何がきっかけがあるはずだよね。少なくともスライムに回復する力なんかないはずだし。」
「うーーーん、」
考えるが何も出てこない。そりゃそうだ、スライムはまず能力が無いと言えるぐらい弱い。体当たりと食事しか能がない。
プニョン♪
ミルが上に3回跳ねる。これは薬草が食べたいという合図だ。
「あ、薬草ならこっちに……!?そういうことか!」
「なになにどうしたのルー君!?」
「ルーノ君何かわかったのですか?」
「多分だけどミルずっと薬草食べてるからその効能が能力にかわってるのかもしれない。」
「どういうこと?」
スーはいまいちわからないようで首をかしげる。
「スライムって学者の間では『可能性の塊』って呼ばれるほど変異するんだ。」
「たしかに鉱山に住むスライムが金属を喰らいメタルスライムになったっていう例もありますね。」
「あー、それ聞いたことある。」
「そう、その変異する特性が薬草にもきいたのかもしれない。」
「だから薬草の治癒作用がミルっちにも影響して回復する能力を得たのかな?」
「よく考えたら俺って怪我したことなかったな。」
「え?怪我したことないってマジ?」
「ああ、」
怪我はしたことない。俺の戦いは傷を負わないことを主にしてる。1発で仕留めたり、状況判断で撤退をしたりと傷を負うことはほとんどしない。
「そっかー、ミルっちにこんな能力があるなんてね。」
「驚きですね。私の手もう完全に治ってますしむしろなんかツヤツヤしてます。ありがとうねミルちゃん。」
プーニプーーニ♪♪
ミルはエリーに撫でられて嬉しそうに跳ねる。子スライムだからまだ反応が子供だ。だけど治癒能力をすでに持ってるのか。
「これはしばらく本を読む必要があるな。」
「ルー君なんか言った?」
「!?いや、何も言ってないけど。」
スーが俺の小さなつぶやきに普通に反応してきた。なかなかいい耳をお持ちで。
「今日の練習はここまでだな。」
「わかりました。私はこのあと何をしていればいいでしょうか?」
「そうだなー、まあ頭の中で星型を綺麗にイメージすること、ぐらいかな?」
「それだけでいいんですか?想像だけで紙に描くとかしなくてもいいんですか?」
「それやっても戦闘中に絵を描くことがないからな。それに紙が勿体無いからな。」
別にこの世界で紙が貴重なんてことはない。ただのこじつけに過ぎない。
「それじゃあ今日はこの辺でね。じゃあねー。」
「今日はありがとう。また明日。」
「おう、また明日な。スーはちゃんと作戦考えとけよ。」
「むー、わかってるよ!」
スーは表面上は楽観的に見えるから随所で釘を刺しておかないとな。日頃から変えていかないと癖や考え方はなかなか変わらない。
「しかし、」
プニ?
「ミルにこんな能力があったなんてな。ああ、褒めてるんだよ、すごいな。」
ミルがどういうこと?と跳ねるから補足しておく。だけどこの能力をどの程度のものだと認識しておけばいいのかわからない。
「ええ、と……これか。」
俺はある一冊の本を取り出した。
[現代医学の現実]という本だ。この本の中には今の治癒魔法や薬草の効能、歴史も載っている。その中でこんな言葉があった。
薬草やポーションが治癒魔法を超えることは現時点ではありえない。
俺が7年間悩んでいた言葉だ。俺の得意魔法が衝撃で治癒魔法を覚えることはできない。だから薬草からアプローチをかけていたが失敗するたびにこの言葉に悩まされた。
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