推しの兄(闇堕ち予定)の婚約者に転生した

花飛沫

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3. 変わりゆく運命

ハイノの過去

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 今は、皆んなでハイノが捕まっているという部屋に向かって歩いている。

 ハイノ・ゲーテは、中等部一年の時にエッカルト・ギーアスターと共にオズに付き纏っていた男だ。可愛い系の美形で若干ぶりっ子であり、そして腹黒い。
 オズはその頃物語についての記憶が思い出せなくなってきていて、ハイノが大変危険な男だという認識はあっても、彼が具体的に何をしてどう危険なのかが全く分からなかった。だが今ははっきりと思い出している。彼は敵の人間で、学園内から情報を流していたのだ。

 ただ気になるのは、彼が『オズワルドになら本当の事を話しても良い。』と言っている事である。小説ではハイノは『メルヴィンになら全て話せる。』と言って彼の悲しい過去を明らかにするのだが、彼が駆け落ちして消えたオズを指名した事によって、物語がそこから進んでいない。
 一刻も早く彼の話を聞こう、という事で、今皆んなで彼の元に向かっているのである。クルトとアダロは、部屋に残ったヨーナスに見てもらっている。彼は「ハイノが何を話したか、後で聞かせてね。」と軽く了承してくれた。

「部屋の前でグレイグとメルヴィン、あと学園長が待っている。彼らにもハイノの話を一緒に聞いてもらうから。」
 
 ジャスパーに事前にそう言われていたので、最後の角を曲がった先に二人がいたことには驚かなかった。むしろ驚いているのはグレイグの方で、オズとヒューを見た彼は物凄く目を見開いている。

「ヒュー!オズワルドも‥‥本当に生きていたのか‥‥!」
「おい、死んだと思っていたのかよ。」
「お久しぶり!」

 ヒューとグレイグの仲良しなやり取りを聞きつつ、オズはそう挨拶をした。二人は両手を広げてハグをし始める。その間、オズはグレイグの横に立っているメルヴィンに向き直った。
 燃えるような赤い髪に、ほぼ白に近い水色の瞳。顔のパーツは整っていて、全体的に中性的な顔立ちだ。

(綺麗な人‥‥。)

 オズは強気な笑みを作り、右手を彼に差し出した。

「初めまして。俺はオズワルド・チャールトン。」
「は、初めまして。メルヴィン・グローヴァーです。」

 二人は握手を交わす。

「メルヴィンは古代魔術書が読めるんだよね。話は聞いているよ。」

 オズがそう言うと、メルヴィンは暗い表情になった。

「そうです‥‥。」

 しかし、彼は直ぐに表情を切り替える。

「っ僕も、オズ君の事は聞いてます!学園の伝統を変えた人ですよね!でも、ヒューバート君との関係は周りに否定されていなかったのに、二人で駆け落ちしたって‥‥どうしてですか?」
「ああ、それはね‥‥。」

 言いかけたところで、グレイグが後ろから「そろそろ中に入ろう。学園長が既に中でお待ちだ。」と声をかけてきた。

「後で話すね。」
「うん!」
 
 オズはメルヴィンにそう言うと、ヒューの方を向く。目が合うと彼は一つ頷いて、グレイグを引き留めた。

「グレイグ。」
「何だ?」

 部屋の扉を開けようとしていた彼は、ヒューの声で身体を半分こちらへ向ける。

「‥‥後で話がある。一応、皆んなも一緒に聞いてもらいたい。」
「分かったよ。後でな。」

 そう、オズとヒューは、グレイグの行動に思うところがあった。ジャスパーの話によると———とは言っても原作通りなのだが———グレイグは、恋人であり敵に狙われている張本人でもあるメルヴィンを、司令隊長としての命令で最前線に送り続けている。メルヴィンは今のところ目立った外傷は負っていないものの、グレイグからろくな相談も無しに戦場へ送られ戦わせられてかなり滅入ってきているようだ。小説では『グレイグに戦場へ送られる』=『信頼されている』=『嬉しい!』という感じで積極的に戦っていたようだが、現実ではそうはいかない。

(小説を読んでるから結果的にメルヴィンが全部何とかできるのは知ってるけど、だからと言ってこの状況を見過ごせない。)

 オズは豪然たる様子で、ハイノが待っている部屋へ飛び込んだ。

















 今起きているこの戦いは物語の終盤に起きる最後の戦いであり、敵のリーダーの正体がようやく分かる時でもある。

 メルヴィンは古代魔術書を読めると分かると、色々な敵から狙われ、学園内でもおかしな事件が頻発して巻き込まれる。その中で生徒会長であるグレイグとの距離が縮まり、恋人になっていくというストーリーだ。物語終盤で起こるこの事件では、誰かの手で魔物が大量に閉じ込められていた封印が解かれてしまい、魔物が学園を目指して進軍してくる。
 先に言ってしまうと、敵組織の大ボスはこの学園の校長である。彼はメルヴィンの力を操り、更なる権力を手にしたいと考えていた。学園で頻発していた事件も意図的に起こされたもので、全てはメルヴィンが真の力を使えるまで強くなる為に、学園長が用意したシナリオだった。終盤のこの事件も同じような意図で、メルヴィンに最後の試練を与えようとして彼が魔物の封印を解いたのだが‥‥。

(結局魔物をコントロールできず、学園に迫ってくる魔物に怯えて封印を解いた本人は学園内に隠れている。)

 そもそも魔物の殆どが学園に向かって来るのは、呼び出した本人である学園長が学園に籠っているからだ。彼らの目的は恐らく学園長の殺害だろう。

 ギギィ、と部屋の扉を開く。中で待っていた学園長に軽く挨拶をした。相変わらず人畜無害そうな顔をしていた。
 部屋には、室内を半分に分断するように鉄の檻があり、手前に南京錠付きの扉がある。ハイノは檻の直ぐ近くの椅子に座っており、オズを見ると軽く手を振った。

「やあ、オズ君。久しぶりだね。」
「ハイノ‥‥。」

 それからハイノが話した内容は、小説と同じだった。

 彼には、初等部の時に亡くした三歳年上の兄がいる。彼の兄は病弱で、元々二十歳まで生きられたら奇跡だと言われていた。しかしハイノは兄が死ぬ直前に「まだ生きたい。」と呟いたのを聞いてしまい、それから何とか兄を生き返らせる方法はないかと探し出す。

(そして行き着いたのが『古代魔術』だった。)

 古代の魔術は今よりずっと高い威力を持ち、複雑な形式をしていて、今ではできないようなことも出来ていたと言われている。その中に、『死者の復活』があったのだ。

(実際、死者復活の魔術は存在する。)

 古代魔術について調べ漁っているうちに学園長に出会い、古代魔術を使えるようになったなら必ず兄を蘇らせてやるという条件のもと、ハイノは学園長の言いなりになった。しかし学園長には最初からハイノの願いを叶える気などなく、適当な事を言って都合の良い駒として使おうとしていただけだった。ハイノも成長していくにつれて、段々そのことに気がつき始める。

(だが学園の情報を流してしまった事実は消えないし、下手な事をすれば学園長に殺されてしまう為、今更引き返せない、と彼は学園長に逆らえなかった。)

 ところが転機は訪れる。それがこの『魔物の封印解かれる事件』だ。
 学園長は魔物を操りメルヴィンを襲わせ、メルヴィンが程よく強くなったところで司令隊長として学園に残るグレイグを捕え、グレイグを使ってメルヴィンを脅し、言う事を聞かせようとした。しかし魔物を操るのに失敗した学園長は一向にグレイグを捕まえる様子がなく、学園長の失敗に気が付いたハイノは、これがチャンスだと自ら学園の情報を流したと告白する。ハイノは檻のある部屋に捕らえられ、メルヴィンが戦場から帰って来ると全てを明るみにし、学園長は捕らえられる。
 しかし封印を解かれた魔物の勢いは止まらない。それを全て片付けたメルヴィンは英雄になる‥‥という流れだ。
 
 と、話が逸れたが、ハイノは今述べたこれまでの全てをオズに話してくれた。後ろで控えていたいつものメンバーとグレイグ、メルヴィンは真剣に聞いている。ハイノがそこまで話すとは思わなかったのか、学園長が話の途中で震えだした。ハイノが全ての犯人は学園長だと告げた瞬間、学園長は部屋から出て逃げようとする。直ぐに飛び出して追いかけたヒューとジャスパーが、数分後に学園長を縄で縛って部屋に戻ってきた。

「あのさ、どうして俺になら話しても良いと思ったんだ?」

 ひと段落した後、オズは檻の前に佇むハイノにそう尋ねた。

(小説でハイノがメルヴィンになら話をしても良いと言ったのは、彼が何だかんだ言ってメルヴィンに惚れていたからだ。)

 ハイノには中等部の頃確かに付き纏われていたが、何と言うか、エッカルトほどオズに本気ではなかったように思う。そう言うと、ハイノは「ふっ‥。」と笑った。

「君、中等部の頃はよく魔術史オタクの奴らと話してたでしょ。」
「ああ、そうだったな。」

 その頃オズは、何とか古代魔術史についての情報を得られないかと、魔術史研究クラブの生徒によく話しかけていた。結局本に書いている以上のことは余り分からなかったけれど、彼らと話すのはとても楽しくて、本物のオズワルドの記憶でオズが苦しみ出す前までは普通に話していた。

(懐かしいな‥‥。)

 しかし、それがどう関係して来るのか。オズは続きを促した。

「ある時、聞いちゃったんだよね。君とオタク友達が『死者復活の古代魔術』について話してるの。」
「え。」

 そう言われれば、そんな話をしたかもしれない。

「その時の君の話が、ずっと忘れられなくて‥‥。」

(え?俺なんて言ったっけ?)

 オズは頑張って当時の会話を思い出そうとする。





『「死者の復活」ってさ、古代でも歴史の中で禁忌の魔術になってるんだよね。』





 そうだ。確かそんな話をしていた。隣にいたオタク友達が、「え⁉︎古代でも使っちゃ駄目だったの⁉︎」と衝撃を受けている。オズはこの時、読み漁っていた魔術史の書の知識を披露していた。
 窓に背を預けたオズと、窓枠に腕を乗せて体重を預けながらオズの話に耳を傾ける友達と、教室に差す暖かな日差しが記憶の中に蘇る。

『最初はそんなことなかったんだけどね。人々の訴えで、この魔術は禁忌魔術に制定されたんだ。』
『凄いや、全然知らなかったよ‥‥。』
『しかも面白いのがさ、この訴えた人々っていうの、殆どがだったんだ。』

 確かに今考えてみると、兄を蘇らせようとしていたハイノにとっては衝撃的な話だったに違いない。
 オズはかなり古い本や、入手困難な書籍も貴族の力で集めて読んでいたから、そこら辺の知識が豊富だった。一方ハイノは平民である為、希少な本は読むことができなかったのだろう。だから死者の復活について血眼になって調べていた彼でも、この事実を知らなかったのだ。

『死者の復活には代償が伴う。一度死んだ人間を無条件に蘇らせることなんてできなかったんだ。』
『だ、代償って‥‥?』
『代償は、「誰かの命」だ。』

 友達がぶるりと体を震わせる。顔を青ざめさせて「そ、それは恐ろしいなあ‥‥。」と眉を下げて笑った。

『結局その人を蘇らせたいと思う人って、家族とか友達とか恋人とか、その人にとっても大切な人だっていう場合が多かったんだよ。』
『まさか‥‥!』
『そう。復活した時には隣にいて欲しかった人がいなくて、しかも大切な人が自分の為に身を犠牲にしてるって、かなり精神に堪えたんじゃないかな‥‥。』

 だから、この魔術を禁忌の魔術に制定してほしいという声で溢れたのだ。もうこんな思いをする人が出ないように、蘇った皆んなで声を上げたのだろう。

『何だか悲しいね。』
『うん。‥‥でも、結局蘇らせた方の人はさ、「大切な人がいなくて辛い思い」を自分の大切な人にも味わせたって事だから、蘇らせたいってやる側のエゴだよなあって思うよ。』

 
 
 ハイノは当時の会話を思い出したのか、くつくつと笑う。

「本当はあの時にはもう、僕は我に帰っていたんだと思う。けれど学園長が恐ろしくて、ずっと自分の罪を言い出せなかった‥‥。」

 その後、彼は晴れやかな笑みを浮かべた。

「やっと言えたよ!」

 きっとこれが、初めて見るハイノの心からの笑顔だった。




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