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第十四章 異質なるモノ、人心を惑わす
たんじょうびかいをしよう
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テントに戻ると、ラッレノーとプレインが将棋のようなもので遊んでいた。
「あっ、先輩。お帰りなさいっス」
「ただいま。エルフ馬がかわいいって」
「ボクも朝に聞きました……って、まだいるんスか。好きっスね」
「ついていけない。それは?」
「この辺りで遊ばれてるゲームらしいっスよ。やっと駒の動きを覚えて、1戦したところっス」
「プレインさんは、初めて遊ぶとは思えない強さで驚きました」
ラッレノーとプレインが2戦目をしながら、駒の動きやルールを色々と説明してくれる。
見た目通り、将棋に似たボードゲームだ。
特に魔法でどうこうっていうこともなく、純粋に駒を動かし合いながら戦う。
取った駒は使えないらしい。
動かす手数が決まっていて、その手数を打った後に残っているコマで勝敗が決まるそうだ。王をひたすら狙う将棋とは、そのあたりが違う。
なかなか面白そうだ。
早速、オレも仲間に入れてもらう。
将棋と似ているがルールが違うので、いろいろ混乱する。
ラッレノーはやり慣れているだけあって、手強い。手強いというか勝てない。あと一歩なのだが、その一歩が遠い。
「へー。将棋?」
わいわいと遊んでいると、サムソンも近寄ってきた。
駒の形が将棋の駒に似ているので、やっぱり将棋を連想するようだ。オレと同じだな。
「ラッレノーさんは、やっぱり強いっス」
接戦の末、降参といった調子でプレインが両手を挙げて、負けを認める。
あと5手打てるのに、負けがわかるんだ。すごいな。
「いえいえ、私は今までの経験がありますから」
サムソンを交えて、さらにゲームを続ける。サムソンはプレインより強くて、ラッレノーとすぐに互角になった。
「ところでな。ノアちゃんの誕生日プレゼント完成したぞ」
遊んでる時、ふとサムソンを思い出したように言う。
「そっか。よかった。間に合ったな」
「えっ? ノアサリーナ様の誕生日が近いのですか?」
「えぇ」
「それは幸運だ。ぜひとも、私達にも祝わせていただけないでしょうか?」
「是非とも」
「いや、恩人の誕生日を祝える時に巡り会えるとは……」
そう言うが早いか、ラッレノーは外に出てと走っていった。
この世界では、平民が誕生日を祝うのは珍しいらしい。
というのも自分の誕生日を知っている平民はなかなかいないそうだ。貴族でない限り、余程裕福な一族だけが知っているという。
結局、誕生日を知らない人だらけの中で、誕生日を祝う場に平民が参加することはなかなか無いことになる。
そんなことをノアの誕生日の後に、ピッキー達の誕生日も祝おうという話が出た時に、彼らから聞いた。
一般的な人間は、白の初日……元の世界でいう1月1日に1歳年をとるということになっているそうだ。
加えて奴隷は、自分たちの記念日などに祝う事は常識的にしないとも聞いた。
ということで遊びながら、ラッレノーが去った後もノアの誕生日について話をしながら遊んでいると、ミズキが息を切らせて駆け込んできた。
「はぁはぁ……あのさ……」
一体何事だろう? 緊張が走る。
「いったい、どうしたんだ。落ち着けよ」
「あのさ、エルフ馬のことなんだけど」
「エルフ馬?」
サムソンがよく分かっていない様子で聞き返す。
「あの巨大ウサギのことだよ。で、どうしたんだ?」
「それでさ、ちょっと、交渉したんだよね」
心配して損した。
でも、入れ替わり別の心配が湧き上がってくる。
そんなオレの不安など知らないといった調子でミズキが言葉を続ける。
「でも、エルフ馬を譲ってもらえるのは難しいようでさ。代わりに野生のエルフ馬を捕まえてしまうのはどうですか、って話だったの」
なんとなく見えてきた。少し前に頭をよぎった不安が的中したことに、お腹が痛くなる。
「念のため確認するんだが、あれを連れていこうっていうのか?」
「そうそう、モフモフしてて可愛いじゃん」
「却下だ」
「なんでよ」
「餌はどうするんだ? いつまでも、ここに居ないんだぞ。餌になる世界樹の葉がいくらあっても足りないだろ?」
「世界樹の葉なら、送ってもらえばいいじゃん」
「なるほど……シューヌピアさんに頼むのか。白孔雀で」
「そうそう、そういうこと。サムソン分かってるじゃん」
それなりに考えているのか。
もっとも問題はそれだけではない。
「それに、どこに載せるんだ? 今でも手狭なんだぞ? ロバを乗せるのに精一杯なのに、あのロバよりも巨大なウサギを乗せるスペースがない」
「載せなくてもいいじゃん、併走すれば」
「いや、空を飛んだり、海を泳いだりと、色々やってんじゃないか。オレ達も、これからもどうなるかは分からないだろ?」
「そこはそう、何とかするって。頼れるリーダが」
オレに丸投げ?
まったく。
可愛いものを見ると後先考えなく仲間に入れようとする、その根性を何とかし欲しいものだ。
「で、野生のエルフってどこにいるんスか?」
「それがさ、もう冬眠の季節だっていうからさ」
「そっか。残念だけど諦めるしか。もしかして、あと1年居るわけにもいかないしな」
さすがに図々しすぎると思う。
いまでさえ、こんないいところに泊めてもらえて、美味しいご飯を無償でいただいているわけだしな。
「いや、ちょうど近くに1匹凶暴なのがいるんだってさ」
凶暴? なんで、そんなに笑顔なんだ?
「危ない危ない。誰がそれに近づくってんだ? あの巨大ウサギなかなか強そうだぞ」
「そこはそれ、ノアノアもさ、ハロルドもいるし皆で協力してやればなんとかなるって言ってたしさ」
まったく。
「明日にでも、ちょっと茶釜を見ていこうっていう話になったの」
「そっか、頑張れ」
「何言ってんの? 皆で行こうって話じゃん」
「凶暴って言ってただろ。嫌だよ。怖い」
「何とかなるって。それに、そんな危ないところにか弱い女の子だけで行かせるの?」
なにがか弱いだ。言っていることが無茶苦茶だ。
だが、ほっとくわけにもいかない。
しょうがない……とりあえず、見に行くだけは行こうか。
「あっ、先輩。お帰りなさいっス」
「ただいま。エルフ馬がかわいいって」
「ボクも朝に聞きました……って、まだいるんスか。好きっスね」
「ついていけない。それは?」
「この辺りで遊ばれてるゲームらしいっスよ。やっと駒の動きを覚えて、1戦したところっス」
「プレインさんは、初めて遊ぶとは思えない強さで驚きました」
ラッレノーとプレインが2戦目をしながら、駒の動きやルールを色々と説明してくれる。
見た目通り、将棋に似たボードゲームだ。
特に魔法でどうこうっていうこともなく、純粋に駒を動かし合いながら戦う。
取った駒は使えないらしい。
動かす手数が決まっていて、その手数を打った後に残っているコマで勝敗が決まるそうだ。王をひたすら狙う将棋とは、そのあたりが違う。
なかなか面白そうだ。
早速、オレも仲間に入れてもらう。
将棋と似ているがルールが違うので、いろいろ混乱する。
ラッレノーはやり慣れているだけあって、手強い。手強いというか勝てない。あと一歩なのだが、その一歩が遠い。
「へー。将棋?」
わいわいと遊んでいると、サムソンも近寄ってきた。
駒の形が将棋の駒に似ているので、やっぱり将棋を連想するようだ。オレと同じだな。
「ラッレノーさんは、やっぱり強いっス」
接戦の末、降参といった調子でプレインが両手を挙げて、負けを認める。
あと5手打てるのに、負けがわかるんだ。すごいな。
「いえいえ、私は今までの経験がありますから」
サムソンを交えて、さらにゲームを続ける。サムソンはプレインより強くて、ラッレノーとすぐに互角になった。
「ところでな。ノアちゃんの誕生日プレゼント完成したぞ」
遊んでる時、ふとサムソンを思い出したように言う。
「そっか。よかった。間に合ったな」
「えっ? ノアサリーナ様の誕生日が近いのですか?」
「えぇ」
「それは幸運だ。ぜひとも、私達にも祝わせていただけないでしょうか?」
「是非とも」
「いや、恩人の誕生日を祝える時に巡り会えるとは……」
そう言うが早いか、ラッレノーは外に出てと走っていった。
この世界では、平民が誕生日を祝うのは珍しいらしい。
というのも自分の誕生日を知っている平民はなかなかいないそうだ。貴族でない限り、余程裕福な一族だけが知っているという。
結局、誕生日を知らない人だらけの中で、誕生日を祝う場に平民が参加することはなかなか無いことになる。
そんなことをノアの誕生日の後に、ピッキー達の誕生日も祝おうという話が出た時に、彼らから聞いた。
一般的な人間は、白の初日……元の世界でいう1月1日に1歳年をとるということになっているそうだ。
加えて奴隷は、自分たちの記念日などに祝う事は常識的にしないとも聞いた。
ということで遊びながら、ラッレノーが去った後もノアの誕生日について話をしながら遊んでいると、ミズキが息を切らせて駆け込んできた。
「はぁはぁ……あのさ……」
一体何事だろう? 緊張が走る。
「いったい、どうしたんだ。落ち着けよ」
「あのさ、エルフ馬のことなんだけど」
「エルフ馬?」
サムソンがよく分かっていない様子で聞き返す。
「あの巨大ウサギのことだよ。で、どうしたんだ?」
「それでさ、ちょっと、交渉したんだよね」
心配して損した。
でも、入れ替わり別の心配が湧き上がってくる。
そんなオレの不安など知らないといった調子でミズキが言葉を続ける。
「でも、エルフ馬を譲ってもらえるのは難しいようでさ。代わりに野生のエルフ馬を捕まえてしまうのはどうですか、って話だったの」
なんとなく見えてきた。少し前に頭をよぎった不安が的中したことに、お腹が痛くなる。
「念のため確認するんだが、あれを連れていこうっていうのか?」
「そうそう、モフモフしてて可愛いじゃん」
「却下だ」
「なんでよ」
「餌はどうするんだ? いつまでも、ここに居ないんだぞ。餌になる世界樹の葉がいくらあっても足りないだろ?」
「世界樹の葉なら、送ってもらえばいいじゃん」
「なるほど……シューヌピアさんに頼むのか。白孔雀で」
「そうそう、そういうこと。サムソン分かってるじゃん」
それなりに考えているのか。
もっとも問題はそれだけではない。
「それに、どこに載せるんだ? 今でも手狭なんだぞ? ロバを乗せるのに精一杯なのに、あのロバよりも巨大なウサギを乗せるスペースがない」
「載せなくてもいいじゃん、併走すれば」
「いや、空を飛んだり、海を泳いだりと、色々やってんじゃないか。オレ達も、これからもどうなるかは分からないだろ?」
「そこはそう、何とかするって。頼れるリーダが」
オレに丸投げ?
まったく。
可愛いものを見ると後先考えなく仲間に入れようとする、その根性を何とかし欲しいものだ。
「で、野生のエルフってどこにいるんスか?」
「それがさ、もう冬眠の季節だっていうからさ」
「そっか。残念だけど諦めるしか。もしかして、あと1年居るわけにもいかないしな」
さすがに図々しすぎると思う。
いまでさえ、こんないいところに泊めてもらえて、美味しいご飯を無償でいただいているわけだしな。
「いや、ちょうど近くに1匹凶暴なのがいるんだってさ」
凶暴? なんで、そんなに笑顔なんだ?
「危ない危ない。誰がそれに近づくってんだ? あの巨大ウサギなかなか強そうだぞ」
「そこはそれ、ノアノアもさ、ハロルドもいるし皆で協力してやればなんとかなるって言ってたしさ」
まったく。
「明日にでも、ちょっと茶釜を見ていこうっていう話になったの」
「そっか、頑張れ」
「何言ってんの? 皆で行こうって話じゃん」
「凶暴って言ってただろ。嫌だよ。怖い」
「何とかなるって。それに、そんな危ないところにか弱い女の子だけで行かせるの?」
なにがか弱いだ。言っていることが無茶苦茶だ。
だが、ほっとくわけにもいかない。
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