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第二十章 聖女の行進
おれいじょうを
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「おはよう、リーダ」
ノアがカロメーを手に挨拶をしてきた。
今日は少し早く目が覚めたのに、ノアに先を越されたか。
「おはよう。ノア」
元気いっぱいなノアの挨拶に、笑顔で答える。
それから受け取ったカロメーをパクリと口に入れた。
「美味しい?」
「もちろん」
「えへへ。よかった」
しばらく歩いて広間へと進む。
「あれ? いっぱいある」
いつもは片付いている広間だが、今日は違う。
昨日、夜遅くまでだらだらと主人不在で誕生日会を過ごしていたので片付けが終わっていない。
ということで、今日は昨日の残り物を朝食にすればいいだろうと考えたのだ。
残り物とは別に、テーブルには色とりどりの箱が置いてあった。
白い線で装飾された物。青く塗られた箱。色も大きさも様々だ。
昨日は置いていなかった箱を見て、ノアは不思議そうだ。
「あれは、ノアへのプレゼントだよ」
「プレゼント?」
「そうだね。神官の皆さんとアサントホーエイの皆さんからの、誕生日プレゼント」
「あんなに沢山。私に?」
「そうだよ。何が入ってるんだろうね」
「楽しみだね。お礼もしなくちゃ……お手紙とか……」
「お手紙?」
「うん」
そうだな、確かにお礼は書いた方がいいだろう。
「ご飯を食べて、プレゼントを開けて。それからお礼の手紙を書こう」
「いっぱいお手紙を書くね」
「とりあえず箱を移動しておこうか」
朝ごはん食べるのにテーブルは広く使いたい。
オレがそう言いながら、箱を部屋の端へと移動させるのを見てノアは軽く頷く。
早起きしたノアと二人で、プレゼントの箱を部屋の隅にある棚へと運ぶ。
それからほどなくして、朝の始まりを告げる鐘が鳴った。
鐘の音に反応するかのように、皆が広間へと集まる。
「おはようございます」
「うわっ。リーダが早起きなんて」
「別にいいだろ。たまには目が早く覚めるさ」
「テーブルを片付けといたよ」
「朝ご飯、作りますね」
「今日これでいいだろう?」
部屋に入るなり、ご飯を作ると部屋を出て行こうとしたカガミを呼び止め、テーブルを指さす。
だが、カガミ的にはそれは許されないことのようだ。
「まったくもう、簡単なものをちょっと作ります」
小さく苦笑すると、そう言って台所へと走っていった。
「お手伝いするでち」
チッキーがそれに続いた。ノアもだ。
朝食は昨日のあまり物に、カガミが作ったスープを食べた。
塩で味付けをした、シンプルな野菜スープだ。
確かにカガミが正しかった。
冷めたあまり物に、温かいスープが加わるだけで、ずいぶんと違う。
「じゃあさ。食べ終わったら早速プレゼント開けてみようか」
ミズキが食後のデザートとして、ポテトチップスを食べながら積まれた箱を見る。
「うん、それにお礼を書きたいの」
「そうですね、いいと思います」
「あとね。あとね。お礼にね……絵も描くの」
絵?
ノアの口調と仕草から、感謝の気持ちをなんとかして表したいという様子がわかる。
でも、絵か……。
「てか、さすがにあれだけの量に一枚一枚のお礼状に絵を描くの大変だぞ」
「そうっスね。うーん、でも文字だけじゃ味気ないっスよね」
あの山と積まれたプレゼントをくれた人に返事を書くのはいいことだ。
だが、量が多い。
とはいっても、プレインが言うように文字だけでは味気ない。
絵も欲しいというノアの気持ちもわかる。
「だめ?」
「だめじゃないよ。でも、大変かなってね。お礼の手紙は時間を置かずにだしたほうがいいだろうしね」
「おいらも手伝います」
「あたちも!」
「おいらもやります」
獣人達3人も乗り気だ。
絵を入れたいか。
子供の頃、年賀状に一個一個絵を描いて送ろうと考えて2枚目で挫折したんだよな。
ノアだから大丈夫だろうけれど……プレゼントは10個は軽く超えているしなぁ。
「絵を描いた紙を魔法で増やして、文字を入れるのはどうだ?」
オレが考えているとサムソンが、魔法を使うことを提案した。
魔法か。
悪く無い考えだ。
「そうだな。頑張って絵を描いて、それを魔法で増やすのがいいかもな。年賀状みたいで」
「年賀状……似ているといやそうだが、面倒な思い出しかないぞ」
「ネンガジョ?」
「一年の初めに、皆へ手紙を送るんだよ。ノアノア」
「お手紙を?」
「今年1年よろしくお願いしますってね」
「遠いとね、お手紙を送っているうちに、1年が終わっちゃうよ?」
ノアが不思議だと言った様子で首を傾げる。
言われてみると、確かにノアの言う通りだ。
この世界では、お金を積めばなんとか手紙を届けられるが、時間がかかる。
こうやってみると、元の世界はインフラが凄かったんだな。
「これからは違うさ。方法はある」
ニヤリと笑ってノアへと答える。
今進めている、神殿の協力による標の言葉集め。
あれが終われば、世界中のどこにでも白孔雀を飛ばせる。
魔力は辛いがその気になれば年賀状は楽勝だ。
「年賀状……懐かしいです。そうですね、私は芋判を作ってました」
「イモバン?」
「お芋で判子を作るんです。それでドンドンと押すの」
ノアの質問に、カガミが手のひらに握りこぶしの側面を押しつけるジェスチャーで説明する。
「印を、自分で作るんですか?」
トッキーが驚いた様子で聞いてきた。
すごく興味深そうに、目をキラキラと輝かせている。
好奇心が刺激されたのだろう。
「じゃ、やってみる?」
そんなトッキーを見て、ミズキが提案する。
「はい!」
「うん! 私もやってみたい」
トッキーが大きく頷き、ノアも乗り気だ。
芋判なら、一度作ってしまえば後は押していくだけだ。
悪いアイデアではない。
こうして、お礼状に加えるアクセントとしての芋判を作ることになった。
ノアがカロメーを手に挨拶をしてきた。
今日は少し早く目が覚めたのに、ノアに先を越されたか。
「おはよう。ノア」
元気いっぱいなノアの挨拶に、笑顔で答える。
それから受け取ったカロメーをパクリと口に入れた。
「美味しい?」
「もちろん」
「えへへ。よかった」
しばらく歩いて広間へと進む。
「あれ? いっぱいある」
いつもは片付いている広間だが、今日は違う。
昨日、夜遅くまでだらだらと主人不在で誕生日会を過ごしていたので片付けが終わっていない。
ということで、今日は昨日の残り物を朝食にすればいいだろうと考えたのだ。
残り物とは別に、テーブルには色とりどりの箱が置いてあった。
白い線で装飾された物。青く塗られた箱。色も大きさも様々だ。
昨日は置いていなかった箱を見て、ノアは不思議そうだ。
「あれは、ノアへのプレゼントだよ」
「プレゼント?」
「そうだね。神官の皆さんとアサントホーエイの皆さんからの、誕生日プレゼント」
「あんなに沢山。私に?」
「そうだよ。何が入ってるんだろうね」
「楽しみだね。お礼もしなくちゃ……お手紙とか……」
「お手紙?」
「うん」
そうだな、確かにお礼は書いた方がいいだろう。
「ご飯を食べて、プレゼントを開けて。それからお礼の手紙を書こう」
「いっぱいお手紙を書くね」
「とりあえず箱を移動しておこうか」
朝ごはん食べるのにテーブルは広く使いたい。
オレがそう言いながら、箱を部屋の端へと移動させるのを見てノアは軽く頷く。
早起きしたノアと二人で、プレゼントの箱を部屋の隅にある棚へと運ぶ。
それからほどなくして、朝の始まりを告げる鐘が鳴った。
鐘の音に反応するかのように、皆が広間へと集まる。
「おはようございます」
「うわっ。リーダが早起きなんて」
「別にいいだろ。たまには目が早く覚めるさ」
「テーブルを片付けといたよ」
「朝ご飯、作りますね」
「今日これでいいだろう?」
部屋に入るなり、ご飯を作ると部屋を出て行こうとしたカガミを呼び止め、テーブルを指さす。
だが、カガミ的にはそれは許されないことのようだ。
「まったくもう、簡単なものをちょっと作ります」
小さく苦笑すると、そう言って台所へと走っていった。
「お手伝いするでち」
チッキーがそれに続いた。ノアもだ。
朝食は昨日のあまり物に、カガミが作ったスープを食べた。
塩で味付けをした、シンプルな野菜スープだ。
確かにカガミが正しかった。
冷めたあまり物に、温かいスープが加わるだけで、ずいぶんと違う。
「じゃあさ。食べ終わったら早速プレゼント開けてみようか」
ミズキが食後のデザートとして、ポテトチップスを食べながら積まれた箱を見る。
「うん、それにお礼を書きたいの」
「そうですね、いいと思います」
「あとね。あとね。お礼にね……絵も描くの」
絵?
ノアの口調と仕草から、感謝の気持ちをなんとかして表したいという様子がわかる。
でも、絵か……。
「てか、さすがにあれだけの量に一枚一枚のお礼状に絵を描くの大変だぞ」
「そうっスね。うーん、でも文字だけじゃ味気ないっスよね」
あの山と積まれたプレゼントをくれた人に返事を書くのはいいことだ。
だが、量が多い。
とはいっても、プレインが言うように文字だけでは味気ない。
絵も欲しいというノアの気持ちもわかる。
「だめ?」
「だめじゃないよ。でも、大変かなってね。お礼の手紙は時間を置かずにだしたほうがいいだろうしね」
「おいらも手伝います」
「あたちも!」
「おいらもやります」
獣人達3人も乗り気だ。
絵を入れたいか。
子供の頃、年賀状に一個一個絵を描いて送ろうと考えて2枚目で挫折したんだよな。
ノアだから大丈夫だろうけれど……プレゼントは10個は軽く超えているしなぁ。
「絵を描いた紙を魔法で増やして、文字を入れるのはどうだ?」
オレが考えているとサムソンが、魔法を使うことを提案した。
魔法か。
悪く無い考えだ。
「そうだな。頑張って絵を描いて、それを魔法で増やすのがいいかもな。年賀状みたいで」
「年賀状……似ているといやそうだが、面倒な思い出しかないぞ」
「ネンガジョ?」
「一年の初めに、皆へ手紙を送るんだよ。ノアノア」
「お手紙を?」
「今年1年よろしくお願いしますってね」
「遠いとね、お手紙を送っているうちに、1年が終わっちゃうよ?」
ノアが不思議だと言った様子で首を傾げる。
言われてみると、確かにノアの言う通りだ。
この世界では、お金を積めばなんとか手紙を届けられるが、時間がかかる。
こうやってみると、元の世界はインフラが凄かったんだな。
「これからは違うさ。方法はある」
ニヤリと笑ってノアへと答える。
今進めている、神殿の協力による標の言葉集め。
あれが終われば、世界中のどこにでも白孔雀を飛ばせる。
魔力は辛いがその気になれば年賀状は楽勝だ。
「年賀状……懐かしいです。そうですね、私は芋判を作ってました」
「イモバン?」
「お芋で判子を作るんです。それでドンドンと押すの」
ノアの質問に、カガミが手のひらに握りこぶしの側面を押しつけるジェスチャーで説明する。
「印を、自分で作るんですか?」
トッキーが驚いた様子で聞いてきた。
すごく興味深そうに、目をキラキラと輝かせている。
好奇心が刺激されたのだろう。
「じゃ、やってみる?」
そんなトッキーを見て、ミズキが提案する。
「はい!」
「うん! 私もやってみたい」
トッキーが大きく頷き、ノアも乗り気だ。
芋判なら、一度作ってしまえば後は押していくだけだ。
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