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最終章 リーダと偽りの神
獣人の言葉
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「どうした? それで終わりか? 其方の記憶に、過去に戻ったという事実は無いようだ。苦し紛れの嘘としては良い線だった。褒美に、其方を、タイマーネタで撃ち殺してやろう」
しゃれこうべの額あたりに立つス・スが再び笑みを浮かべた。
そして、しゃれこうべの頬から伸びるタイマーネタの矢じりがオレをはっきりと狙うように動く。
「違うな。しっかり記憶を読み取ったのか? スキップモードだ」
ニヤリと笑いオレは言葉を返す。
あとは覚悟だけだ。
それだけで、この状況を乗り切る方法を思いつきは実行可能だ。
「スキップモード?」
「あぁ、アドベンチャーゲームってのがあるんだ」
影から、オレの思いつきを実行するために必要なパーツを取り出す。
一枚の紙。これに書いてある事が重要なのだ。
「願いを……」
言葉も聞こえる。願いの言葉もまだ聞こえる。問題無い。
オレは事態の好転をほくそ笑みながら言葉を続ける。
「中にはエンディングがいくつもあるのがあって、選択肢によって最高のエンディングになったり、ならなかったりする」
「何を言っている」
「だけど、重要な選択肢までは同じ事の繰り返しだ。文字を読むのもおっくうだ。だから飛ばすんだ。スキップモードってやつだ。結果として文字を読まなくなる。お前もそれと同じだ。同じ歴史の繰り返しに飽きた」
オレは竜の背に立つ。そしてタイマーネタを見つめて言葉を続ける。
「お前は飽きたんだ。だから、細かい事は他人に任せて自分は寝ることにした。自己封印して結果だけを聞いていた。何が神を超えるだ! すでに超えているんだろう? なら、なぜ、繰り返す」
オレの言葉を聞いて、しゃれこうべ全体が揺れた。
目の前に立つス・スは無表情で、変わりにしゃれこうべの目が赤く光る。
しばらくして、ス・スが再び笑った。
「そうだ。其方にこれからを教えておこう。過去に戻ってから余はノアサリーナを使うのを止める。此度の事でうけた不快を癒やすため、かの者には最高の絶望を与える」
笑顔のス・スが楽しそうにふざけた事を口にした。
「ノアに絶望?」
「カハハハ。良いぞ、その顔、笑顔より良い。そう絶望。ついでに其方の事を憎むように仕向けよう。余がやり直す度、ノアサリーナの絶望を確認する。丹念に、丹念に」
「それで?」
「カハハハハ! 何も分からぬまま、何故、自分がひどい目に会うのだと泣き喚く様を、皆で笑おう」
ス・スが楽しげに笑いオレを見た。
組んでいた腕を解き、ス・スは髪をかき上げ言葉を続ける。
「其方が、繰り返す時の中で、再び現れようと、ノアサリーナと其方が殺し合うように、余が丹念に仕組もう」
「お前は邪魔だ」
「何?」
「お前は邪魔だと言ったんだ。ノアの未来に邪魔だ」
何か言い切った気がした。
それと同時、タイマーネタからガコンと小さな音が鳴った。装填完了の音だ。
もう余裕は無い。オレは竜の背から飛び降りる。
「カハハハ、自死を選ぶか」
いきなりの行動にス・スが困惑した笑いをあげる。
それと同時、オレは空中でピタリと止まり動けなくなる。ところが、それは一瞬だけの事だった。すぐに落下は再開する。
「オレの勝ちだ」
「チィッ、神々がぁ」
奴は悪態をつき、「余は所望……」と言葉を続け右手をブゥンと振るう。ス・スの手元から短剣が飛び出しオレに襲いかかる。
短剣は左肩に当たり、オレの落下軌道はタイマーネタの真上からやや外れた。しかし、問題は無かった。攻撃を食らいつつも飛び降りた先で、タイマーネタの矢じりにマントの端をひっかけることができたのだ。
ビリビリとマントは破れ、グンとオレの体は振り回され、ギリギリだったがタイマーネタの端に指を引っかけることができた。オレの覚悟は実を結ぶ。それに、なんだか調子がいい。身軽にフワリとタイマーネタの上に立つことができた。そして、しゃがみ込み、魔導弓タイマーネタに手をつくことができた。
「コルホマイオに伝え!」
「かの者の破壊を!」
オレとス・スの言葉はほぼ同時だった。幸運な事にオレはなんともなかった。
そしてオレは目的を完遂した。
「オレの勝ちだ」
目の前に立つス・スに笑顔で宣言する。
「何を?」
「コルホマイオに伝え……だ」
「何?」
「聞こえなかったのか? コルホマイオに伝え、だ。タイマーネタのキーワードだ」
オレが口にしたのは、影から取り出した紙に書いてある言葉。
ノアのドクロマークが目印の紙に、少し拙い文字で書かれた「キケン」という言葉。
効果は自爆。自爆の言葉ってやつだ。
それを口にした。
『キィィィィィ……』
甲高い音が響き渡る。
「ソレは……」
「オレの記憶を持っているんだろう? 対処法が間に合えばいいな」
わざとらしく、オレは自分のこめかみを指でつつく。
もっともタイマーネタの自爆を停止する方法なんて知らない。ただのミスリーディングだ。
「タイマーネタの……」
ス・スの2重になった声が響く。
「じゃあな、ス・ス」
オレはそう言って大きくバックステップして飛び降りた。
しゃれこうべの額あたりに立つス・スが再び笑みを浮かべた。
そして、しゃれこうべの頬から伸びるタイマーネタの矢じりがオレをはっきりと狙うように動く。
「違うな。しっかり記憶を読み取ったのか? スキップモードだ」
ニヤリと笑いオレは言葉を返す。
あとは覚悟だけだ。
それだけで、この状況を乗り切る方法を思いつきは実行可能だ。
「スキップモード?」
「あぁ、アドベンチャーゲームってのがあるんだ」
影から、オレの思いつきを実行するために必要なパーツを取り出す。
一枚の紙。これに書いてある事が重要なのだ。
「願いを……」
言葉も聞こえる。願いの言葉もまだ聞こえる。問題無い。
オレは事態の好転をほくそ笑みながら言葉を続ける。
「中にはエンディングがいくつもあるのがあって、選択肢によって最高のエンディングになったり、ならなかったりする」
「何を言っている」
「だけど、重要な選択肢までは同じ事の繰り返しだ。文字を読むのもおっくうだ。だから飛ばすんだ。スキップモードってやつだ。結果として文字を読まなくなる。お前もそれと同じだ。同じ歴史の繰り返しに飽きた」
オレは竜の背に立つ。そしてタイマーネタを見つめて言葉を続ける。
「お前は飽きたんだ。だから、細かい事は他人に任せて自分は寝ることにした。自己封印して結果だけを聞いていた。何が神を超えるだ! すでに超えているんだろう? なら、なぜ、繰り返す」
オレの言葉を聞いて、しゃれこうべ全体が揺れた。
目の前に立つス・スは無表情で、変わりにしゃれこうべの目が赤く光る。
しばらくして、ス・スが再び笑った。
「そうだ。其方にこれからを教えておこう。過去に戻ってから余はノアサリーナを使うのを止める。此度の事でうけた不快を癒やすため、かの者には最高の絶望を与える」
笑顔のス・スが楽しそうにふざけた事を口にした。
「ノアに絶望?」
「カハハハ。良いぞ、その顔、笑顔より良い。そう絶望。ついでに其方の事を憎むように仕向けよう。余がやり直す度、ノアサリーナの絶望を確認する。丹念に、丹念に」
「それで?」
「カハハハハ! 何も分からぬまま、何故、自分がひどい目に会うのだと泣き喚く様を、皆で笑おう」
ス・スが楽しげに笑いオレを見た。
組んでいた腕を解き、ス・スは髪をかき上げ言葉を続ける。
「其方が、繰り返す時の中で、再び現れようと、ノアサリーナと其方が殺し合うように、余が丹念に仕組もう」
「お前は邪魔だ」
「何?」
「お前は邪魔だと言ったんだ。ノアの未来に邪魔だ」
何か言い切った気がした。
それと同時、タイマーネタからガコンと小さな音が鳴った。装填完了の音だ。
もう余裕は無い。オレは竜の背から飛び降りる。
「カハハハ、自死を選ぶか」
いきなりの行動にス・スが困惑した笑いをあげる。
それと同時、オレは空中でピタリと止まり動けなくなる。ところが、それは一瞬だけの事だった。すぐに落下は再開する。
「オレの勝ちだ」
「チィッ、神々がぁ」
奴は悪態をつき、「余は所望……」と言葉を続け右手をブゥンと振るう。ス・スの手元から短剣が飛び出しオレに襲いかかる。
短剣は左肩に当たり、オレの落下軌道はタイマーネタの真上からやや外れた。しかし、問題は無かった。攻撃を食らいつつも飛び降りた先で、タイマーネタの矢じりにマントの端をひっかけることができたのだ。
ビリビリとマントは破れ、グンとオレの体は振り回され、ギリギリだったがタイマーネタの端に指を引っかけることができた。オレの覚悟は実を結ぶ。それに、なんだか調子がいい。身軽にフワリとタイマーネタの上に立つことができた。そして、しゃがみ込み、魔導弓タイマーネタに手をつくことができた。
「コルホマイオに伝え!」
「かの者の破壊を!」
オレとス・スの言葉はほぼ同時だった。幸運な事にオレはなんともなかった。
そしてオレは目的を完遂した。
「オレの勝ちだ」
目の前に立つス・スに笑顔で宣言する。
「何を?」
「コルホマイオに伝え……だ」
「何?」
「聞こえなかったのか? コルホマイオに伝え、だ。タイマーネタのキーワードだ」
オレが口にしたのは、影から取り出した紙に書いてある言葉。
ノアのドクロマークが目印の紙に、少し拙い文字で書かれた「キケン」という言葉。
効果は自爆。自爆の言葉ってやつだ。
それを口にした。
『キィィィィィ……』
甲高い音が響き渡る。
「ソレは……」
「オレの記憶を持っているんだろう? 対処法が間に合えばいいな」
わざとらしく、オレは自分のこめかみを指でつつく。
もっともタイマーネタの自爆を停止する方法なんて知らない。ただのミスリーディングだ。
「タイマーネタの……」
ス・スの2重になった声が響く。
「じゃあな、ス・ス」
オレはそう言って大きくバックステップして飛び降りた。
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