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最終章 転生野球大戦編
300 大炎上
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「「「「わあああああああああっ!!」」」」
初っ端から派手な一発が飛び出る展開に、球場は大きな歓声に包まれていた。
それを一身に受けながらベースを一周してホームに戻ってきた昇二は、味方とハイタッチを交わしてからベンチの半ば定位置と化している場所に座った。
「やったな! 昇二」
「うん。秀治郎、やったよ!」
そこで改めて俺が祝福すると、彼はそう安堵と興奮が入り混じったような笑顔を浮かべながら弾んだ明るい声で応じた。
1回表の日本代表の攻撃。
1番バッターとして打席に立った昇二に対してメキシコ代表チームのエースピッチャー、エドアルド・ルイス選手が投じた3球目のことだった。
何故か2球も続いたブラッシュボールの残像を利用した内角高めのシュートを完璧に叩いた昇二の打球は、バックスクリーンに飛び込むリードオフホームラン。
ファーストストライクを狙い澄ました見事な一撃だった。
まあ、彼の課題として挙がっていた早打ち傾向に変わりはないけれども……。
世界最高峰のピッチャーを相手にしながら、今までのように淡白なバッティングと見なされる結果で終わることなく十分過ぎる成果を出してくれた。
昇二自身も確かな手応えを感じたからこその、先程の反応だったに違いない。
勿論、1番バッターの役割という意味では旧来のそれとはズレがある。
とは言え、もし先制のホームランを打ったにもかかわらず批判する者がいたとしたら、正直ナンセンスとしか言いようがない。
僅か1点に過ぎないとしても初回に先制点を挙げることができれば、無得点で終わった場合に比べて勝率が10%以上も上がるのだから。
先制点というものにはそれだけの意味があるのだ。
と言うか、それ以前に。
そもそも昇二が本番で1番バッターになることはまずないだろうしな。
彼をそこに据えたこのイレギュラーな状態で語ることそれ自体がもう論外だ。
昇二がイタリア代表戦の時のようにクリーンナップに入ってくるかは、ほぼ確実に正樹も日本代表に加わることも考慮に入れると正直分からないけれども。
いずれにしても、彼程のバッターがファーストストライクから全力で振りに来るのは相手チームからすると相当厄介だろうし、味方としては非常に心強い。
このまま迷いなく突き進んで、己のスタイルを確立することができたなら。
今まで以上に戦力になってくれること請け合いだ。
特別強化合宿。そして特別強化試合というこの試み全体を通して見ても、最も大きな収穫だったと言っても過言ではないかもしれない。
「しっかり集中できてたもんな」
「傍から見ててもね。秀治郎君みたいな凄みがあったわ」
「うん。何か掴んだかも」
俺と美海ちゃんの言葉に昇二は一層朗らかに頷く。
あれは間違いなく超集中状態だった。
再現性はあるかといった問題もあるし、あの感じで条件づけしてしまうとファーストストライクのみとかそういう制限がつきそうではある。
それでも、1つ殻を破ってくれたのは確かだ。
「桐生さんだっけ? のおかげかしらね」
「そうだね!」
美海ちゃんのちょっと意地の悪い問いかけに対し、昇二が素直に頷く。
久し振りに満足の行く打席を終え、気分がいいままに答えたからだろう。
その晴れやかな反応に、美海ちゃんは完全に毒気を抜かれてしまったようだ。
これでは揶揄い甲斐もない。
更なる燃料が追加されでもしない限り、自然と下火になっていきそうだが……。
まあ、昇二と桐生何某さんの今後は彼ら次第だ。
俺達が余計な手出し、口出しをすべきじゃないだろう。
そんな風にちょっと余計なことを考えながら視線をグラウンドに戻すと――。
――カンッ!
「っと」
昇二が1番バッターになったことで玉突き的に2番バッターとして出場していたあーちゃんが、軽々とライト前ヒットを放っていた。
初回でノーアウトランナーなしだから実質自分がトップバッターだとでも言うかのように、昇二の代わりにキッチリとフルカウントまで粘ってからの一打だった。
ファウルを含め、9球も投げさせたようだ。
その中にはブラッシュボールもあったが、彼女は全く意に介していなかった。
「……やっぱり1番は茜が適任よねえ」
「うん。僕もそう思うよ」
気を取り直した美海ちゃんの呟きに、特に悔しさの気配もなく賛同する昇二。
彼はそれから「次点で倉本さんかな」と続けた。
元々その打順には拘りがないからか冷静そのものだ。
だからこそ逆に1番バッターの役割に囚われることなく、試合開始直後の真っ新なバッターボックスに立ったことで己を見詰め直すことができたのかもしれない。
それはともかくとして。
ノーアウトランナー1塁となって、続くバッターは3番の倉本さんだ。
4番の俺はネクストバッターズサークルに向かわなければならない。
「秀治郎君、行かないと」
「ああ。分かってる」
美海ちゃんに促され、打席に立つ準備をしてベンチを出る。
そしてファウルグラウンドに描かれた円の中に入り、俺はそこから改めてマウンド上のエドアルド・ルイス選手を観察した。
「……本当にお山の大将を気取って、それで満足してただけみたいだな」
明らかに苛立った様子を見せている彼の姿に若干の呆れと共に呟く。
エドアルド・ルイス選手の【生得スキル】は【天才】と【模倣】だ。
磐城君と完全に被っている。
勿論、単なる偶然だ。
これまでの経験則の再確認になるけれども。
【生得スキル】というものは形式上母親の胎内で当人が取得していることになる。
とは言え、転生者でもなければ自らの意思で選択することはできない。
通常は完全なるランダム。
運否天賦と言って差し支えない。
だから、磐城君がそれらを保有していることそれ自体が既に偶然となる。
一方で俺を含めた転生者は、誕生ボーナス的に与えられている【経験ポイント】の割り振りを自らの意思で行って【生得スキル】を選び取った。
故に、取得した【生得スキル】からはそれぞれの意図が透けて見える。
例えばルカ選手やオーストラリア代表のジョシュア選手、オランダ代表のフェリクス選手辺りは、目的はどうあれ、将来のチーム作りも考慮したことが分かる。
対照的に、俺やエドアルド・ルイス選手が取得したのは極めてパーソナルな効果しかない【生得スキル】だ。
自分本位と捉えられても否定はできない。
それでも以前の言い訳を繰り返すと、俺のそれは前世のトラウマの影響が強い。
そんなことを言い出すと、あるいはエドアルド・ルイス選手も前世で何かあったのかもしれないが……。
街での出来事や昇二の打席での配球、ブラッシュボールを投げた前後の表情、そして今正に苛立って顔を酷く歪めている姿。
それらを鑑みると、単純に欲望の赴くまま選択しただけなのだろうと思う。
メキシコ代表のキャッチャーを見ると尚更そう感じる。
エドアルド・ルイス選手も自分の球を安定して捕らせるために【成長タイプ:マニュアル】の選手を育てたようだが、依然として守備に寄ったままだ。
【経験ポイント】も余っているというのに。
ただ他人に持て囃されて、いい生活をする。
それだけしか考えていないのだろう。
恐らく彼にとってはチームも、国も、野球そのものも。
そのための単なる道具に過ぎないのだ。
だからルカ選手を擁するイタリア代表と比べても、層が薄い日本代表と比べても明確にチームの総合力が低い。
他の選手はあくまでも自分を目立たせるための引き立て役。
その結果として、エドアルド・ルイス選手個人軍となってしまっている。
前世の強豪が残念なことだが、メキシコ代表の評価はそれが結論でよさそうだ。
恨むなら野球狂神の人選を恨んで欲しい。
――カキンッ!
あーちゃんに続いて倉本さんもヒットで出塁し、ノーアウトランナー1塁2塁。
チャンスで4番の俺の打順となった。
「……もういいか」
昇二が自分の気持ちに色々と折り合いをつけ、次のステップに進んでくれた。
この試合はそれだけでも十分お釣りが来るレベルだ。
相手がどうあれ、意義はあった。
これ以上は、もう望むまい。
ここまで3人に対し、彼の工夫が見られた球と言えばブラッシュボールだけ。
ハッキリ言って、しょうもなさ過ぎる。
俺達の学びになる部分がないなら、早々に叩き潰してしまった方がいい。
それこそトラウマを植えつけ、WBWでまともに戦えなくするぐらいの勢いで。
【生得スキル】【天才】と【模倣】は、結局のところ他人よりもステータスのカンストやスキルの取得を早めるためのものでしかない。
そこから先は自分自身の工夫次第。
プレイヤースキルや戦術を磨く必要がある。
それを怠った者に未来はない。
エドアルド・ルイス選手はステータスに胡座をかいているようにしか見えない。
「ボールッ!」
その彼は俺に対してもブラッシュボールを使用してきた。
相手の【生得スキル】も考慮に入れていない。
俺の【怪我しない】。あーちゃんの【直感】。倉本さんの【軌道解析】。
それらの前では折角のブラッシュボールも効果は半減以下だ。
にもかかわらず、頑なに投げ続けているのは……。
それぐらいしか手札がないから、なのかもしれない。
今までは、そんな雑なピッチングでも無双できていたのだろう。
前回、前々回のWBWいずれもアメリカ戦では登板していないしな。
決定的な敗北を回避した。
だから、わざわざ武器を増やすモチベーションも弱かった。
必要性を感じなかった。
しかし、その結果がこれだ。
――カキンッ!!
【怪我しない】おかげでブラッシュボールに必要以上の恐怖心を抱くことのない俺は、腰が引けることなくアウトコースのツーシームを的確に流し打った。
打球はピンポン玉のように飛んでいき、逆方向への3ランホームラン。
1回表ノーアウトのままスコアは4-0となってしまった。
この炎上がエドアルド・ルイス選手の今後にどう影響するかは分からない。
とは言え、今日この試合で修正するにはそれこそ手札が不足していた。
その後も彼はズルズルとランナーを出し、初回から打者一巡。
再び1番バッターの昇二の打席となった。
精神的に追い詰められたエドアルド・ルイス選手は初球、ヤケクソ気味にブラッシュボールどころかビーンボールを投げた。
だが、再び超集中状態に入っていた昇二によって顔面デッドボールコースの球をスタンドに叩き込まれてしまい……。
メキシコ代表のエースは1回持たずの9失点で降板してしまったのだった。
初っ端から派手な一発が飛び出る展開に、球場は大きな歓声に包まれていた。
それを一身に受けながらベースを一周してホームに戻ってきた昇二は、味方とハイタッチを交わしてからベンチの半ば定位置と化している場所に座った。
「やったな! 昇二」
「うん。秀治郎、やったよ!」
そこで改めて俺が祝福すると、彼はそう安堵と興奮が入り混じったような笑顔を浮かべながら弾んだ明るい声で応じた。
1回表の日本代表の攻撃。
1番バッターとして打席に立った昇二に対してメキシコ代表チームのエースピッチャー、エドアルド・ルイス選手が投じた3球目のことだった。
何故か2球も続いたブラッシュボールの残像を利用した内角高めのシュートを完璧に叩いた昇二の打球は、バックスクリーンに飛び込むリードオフホームラン。
ファーストストライクを狙い澄ました見事な一撃だった。
まあ、彼の課題として挙がっていた早打ち傾向に変わりはないけれども……。
世界最高峰のピッチャーを相手にしながら、今までのように淡白なバッティングと見なされる結果で終わることなく十分過ぎる成果を出してくれた。
昇二自身も確かな手応えを感じたからこその、先程の反応だったに違いない。
勿論、1番バッターの役割という意味では旧来のそれとはズレがある。
とは言え、もし先制のホームランを打ったにもかかわらず批判する者がいたとしたら、正直ナンセンスとしか言いようがない。
僅か1点に過ぎないとしても初回に先制点を挙げることができれば、無得点で終わった場合に比べて勝率が10%以上も上がるのだから。
先制点というものにはそれだけの意味があるのだ。
と言うか、それ以前に。
そもそも昇二が本番で1番バッターになることはまずないだろうしな。
彼をそこに据えたこのイレギュラーな状態で語ることそれ自体がもう論外だ。
昇二がイタリア代表戦の時のようにクリーンナップに入ってくるかは、ほぼ確実に正樹も日本代表に加わることも考慮に入れると正直分からないけれども。
いずれにしても、彼程のバッターがファーストストライクから全力で振りに来るのは相手チームからすると相当厄介だろうし、味方としては非常に心強い。
このまま迷いなく突き進んで、己のスタイルを確立することができたなら。
今まで以上に戦力になってくれること請け合いだ。
特別強化合宿。そして特別強化試合というこの試み全体を通して見ても、最も大きな収穫だったと言っても過言ではないかもしれない。
「しっかり集中できてたもんな」
「傍から見ててもね。秀治郎君みたいな凄みがあったわ」
「うん。何か掴んだかも」
俺と美海ちゃんの言葉に昇二は一層朗らかに頷く。
あれは間違いなく超集中状態だった。
再現性はあるかといった問題もあるし、あの感じで条件づけしてしまうとファーストストライクのみとかそういう制限がつきそうではある。
それでも、1つ殻を破ってくれたのは確かだ。
「桐生さんだっけ? のおかげかしらね」
「そうだね!」
美海ちゃんのちょっと意地の悪い問いかけに対し、昇二が素直に頷く。
久し振りに満足の行く打席を終え、気分がいいままに答えたからだろう。
その晴れやかな反応に、美海ちゃんは完全に毒気を抜かれてしまったようだ。
これでは揶揄い甲斐もない。
更なる燃料が追加されでもしない限り、自然と下火になっていきそうだが……。
まあ、昇二と桐生何某さんの今後は彼ら次第だ。
俺達が余計な手出し、口出しをすべきじゃないだろう。
そんな風にちょっと余計なことを考えながら視線をグラウンドに戻すと――。
――カンッ!
「っと」
昇二が1番バッターになったことで玉突き的に2番バッターとして出場していたあーちゃんが、軽々とライト前ヒットを放っていた。
初回でノーアウトランナーなしだから実質自分がトップバッターだとでも言うかのように、昇二の代わりにキッチリとフルカウントまで粘ってからの一打だった。
ファウルを含め、9球も投げさせたようだ。
その中にはブラッシュボールもあったが、彼女は全く意に介していなかった。
「……やっぱり1番は茜が適任よねえ」
「うん。僕もそう思うよ」
気を取り直した美海ちゃんの呟きに、特に悔しさの気配もなく賛同する昇二。
彼はそれから「次点で倉本さんかな」と続けた。
元々その打順には拘りがないからか冷静そのものだ。
だからこそ逆に1番バッターの役割に囚われることなく、試合開始直後の真っ新なバッターボックスに立ったことで己を見詰め直すことができたのかもしれない。
それはともかくとして。
ノーアウトランナー1塁となって、続くバッターは3番の倉本さんだ。
4番の俺はネクストバッターズサークルに向かわなければならない。
「秀治郎君、行かないと」
「ああ。分かってる」
美海ちゃんに促され、打席に立つ準備をしてベンチを出る。
そしてファウルグラウンドに描かれた円の中に入り、俺はそこから改めてマウンド上のエドアルド・ルイス選手を観察した。
「……本当にお山の大将を気取って、それで満足してただけみたいだな」
明らかに苛立った様子を見せている彼の姿に若干の呆れと共に呟く。
エドアルド・ルイス選手の【生得スキル】は【天才】と【模倣】だ。
磐城君と完全に被っている。
勿論、単なる偶然だ。
これまでの経験則の再確認になるけれども。
【生得スキル】というものは形式上母親の胎内で当人が取得していることになる。
とは言え、転生者でもなければ自らの意思で選択することはできない。
通常は完全なるランダム。
運否天賦と言って差し支えない。
だから、磐城君がそれらを保有していることそれ自体が既に偶然となる。
一方で俺を含めた転生者は、誕生ボーナス的に与えられている【経験ポイント】の割り振りを自らの意思で行って【生得スキル】を選び取った。
故に、取得した【生得スキル】からはそれぞれの意図が透けて見える。
例えばルカ選手やオーストラリア代表のジョシュア選手、オランダ代表のフェリクス選手辺りは、目的はどうあれ、将来のチーム作りも考慮したことが分かる。
対照的に、俺やエドアルド・ルイス選手が取得したのは極めてパーソナルな効果しかない【生得スキル】だ。
自分本位と捉えられても否定はできない。
それでも以前の言い訳を繰り返すと、俺のそれは前世のトラウマの影響が強い。
そんなことを言い出すと、あるいはエドアルド・ルイス選手も前世で何かあったのかもしれないが……。
街での出来事や昇二の打席での配球、ブラッシュボールを投げた前後の表情、そして今正に苛立って顔を酷く歪めている姿。
それらを鑑みると、単純に欲望の赴くまま選択しただけなのだろうと思う。
メキシコ代表のキャッチャーを見ると尚更そう感じる。
エドアルド・ルイス選手も自分の球を安定して捕らせるために【成長タイプ:マニュアル】の選手を育てたようだが、依然として守備に寄ったままだ。
【経験ポイント】も余っているというのに。
ただ他人に持て囃されて、いい生活をする。
それだけしか考えていないのだろう。
恐らく彼にとってはチームも、国も、野球そのものも。
そのための単なる道具に過ぎないのだ。
だからルカ選手を擁するイタリア代表と比べても、層が薄い日本代表と比べても明確にチームの総合力が低い。
他の選手はあくまでも自分を目立たせるための引き立て役。
その結果として、エドアルド・ルイス選手個人軍となってしまっている。
前世の強豪が残念なことだが、メキシコ代表の評価はそれが結論でよさそうだ。
恨むなら野球狂神の人選を恨んで欲しい。
――カキンッ!
あーちゃんに続いて倉本さんもヒットで出塁し、ノーアウトランナー1塁2塁。
チャンスで4番の俺の打順となった。
「……もういいか」
昇二が自分の気持ちに色々と折り合いをつけ、次のステップに進んでくれた。
この試合はそれだけでも十分お釣りが来るレベルだ。
相手がどうあれ、意義はあった。
これ以上は、もう望むまい。
ここまで3人に対し、彼の工夫が見られた球と言えばブラッシュボールだけ。
ハッキリ言って、しょうもなさ過ぎる。
俺達の学びになる部分がないなら、早々に叩き潰してしまった方がいい。
それこそトラウマを植えつけ、WBWでまともに戦えなくするぐらいの勢いで。
【生得スキル】【天才】と【模倣】は、結局のところ他人よりもステータスのカンストやスキルの取得を早めるためのものでしかない。
そこから先は自分自身の工夫次第。
プレイヤースキルや戦術を磨く必要がある。
それを怠った者に未来はない。
エドアルド・ルイス選手はステータスに胡座をかいているようにしか見えない。
「ボールッ!」
その彼は俺に対してもブラッシュボールを使用してきた。
相手の【生得スキル】も考慮に入れていない。
俺の【怪我しない】。あーちゃんの【直感】。倉本さんの【軌道解析】。
それらの前では折角のブラッシュボールも効果は半減以下だ。
にもかかわらず、頑なに投げ続けているのは……。
それぐらいしか手札がないから、なのかもしれない。
今までは、そんな雑なピッチングでも無双できていたのだろう。
前回、前々回のWBWいずれもアメリカ戦では登板していないしな。
決定的な敗北を回避した。
だから、わざわざ武器を増やすモチベーションも弱かった。
必要性を感じなかった。
しかし、その結果がこれだ。
――カキンッ!!
【怪我しない】おかげでブラッシュボールに必要以上の恐怖心を抱くことのない俺は、腰が引けることなくアウトコースのツーシームを的確に流し打った。
打球はピンポン玉のように飛んでいき、逆方向への3ランホームラン。
1回表ノーアウトのままスコアは4-0となってしまった。
この炎上がエドアルド・ルイス選手の今後にどう影響するかは分からない。
とは言え、今日この試合で修正するにはそれこそ手札が不足していた。
その後も彼はズルズルとランナーを出し、初回から打者一巡。
再び1番バッターの昇二の打席となった。
精神的に追い詰められたエドアルド・ルイス選手は初球、ヤケクソ気味にブラッシュボールどころかビーンボールを投げた。
だが、再び超集中状態に入っていた昇二によって顔面デッドボールコースの球をスタンドに叩き込まれてしまい……。
メキシコ代表のエースは1回持たずの9失点で降板してしまったのだった。
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