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第3章 日本プロ野球1部リーグ編
203 春季キャンプ紅白戦
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村山マダーレッドサフフラワーズの支配下登録選手は6人増えて総勢31人。
ただし、初日に全員に説明した通り、正樹はリハビリで帯同していない。
そのため、春季キャンプに参加している選手は30人ということになる。
尚、首脳陣については去年の面子から全く変わっていない。
プロ野球参入1年目にして1部リーグ昇格という歴史的な偉業を成し遂げて勢いがある今、わざわざ外様の監督やコーチを招聘するメリットは乏しい。
まずはこのまま行けるところまで行く。
経営陣の方でそう判断してくれて、俺が一々説得せずに済んだのは助かった。
正直、余所者に引っ掻き回されて空中分解するのが最も嫌な展開だったからな。
たとえ本人が有能だったとしても、同じ方向を向いていなければ逆効果だ。
噛み合わなければ、全員が無能以下に成り下がってしまう。
勿論、考え得るベストではないかもしれない。
だが、現実的な選択肢の中では現状維持が最善なのは間違いないだろう。
つまり、ヘッドコーチの新垣九朗選手。打撃コーチの大法豊選手。
投手コーチである俺。そして、守備走塁コーチの村木純助選手。
この4人は相変わらず選手兼任のまま。
春季キャンプ参加選手30人の中に首脳陣が普通に紛れ込んでいる状態だ。
それもまた、我が村山マダーレッドサフフラワーズの特色(?)かもしれない。
「では、これより紅白戦を行います」
そんな体制でスタートした春季キャンプも開幕から早10日。
まだ前半戦なので、日々地道に基礎トレーニングを続けてきた。
とは言え、やはり実戦経験も必要不可欠。
という訳で今日、今シーズン最初の紅白戦が実施される運びとなった。
尚、事前にホームページやSNSなどで告知はしている。
だからか、観客の入りも格段にいい。
報道陣の人数も更に増えている。
やや狭い久米島第2野球場が大盛況だ。
一目見ただけで経済効果の大きさを察することができる。
副町長がコメツキバッタのようにペコペコするのも分かろうというものだ。
「……折角の紅白戦、秀治郎君と投げ合ってみたかったけど」
「チーム事情的にそれはな」
「と言うか、野村君が登板したら練習にならないっすよ」
「いや、そういう心持ちだとちょっと困るんだけど……」
「勿論、今だけの話っすよ」
「それならいいけど。……まあ、とにかく2チームに分けないといけないからな」
支配下登録選手の内、ピッチャーもできる選手は現在13人。
対して野手専門は17人。
なので、俺は今回の紅白戦では登板せず野手でのみ出場する予定だ。
それで野手として出場する選手が18人となる。
8ポジション+DHで9人ずつ2チームぴったりとなる。
俺以外の12人のピッチャーは6人ずつ割り振って全員登板させる予定だ。
勿論、今季入団の佐々井選手も含めて。
彼に関しては、投手コーチ権限で9回に登板させるつもりでいる。
【生得スキル】【野球は9回から】を活かすためだ。
と言うか、そうしないとそれこそ互いの練習にならないだろうからな。
佐々井選手は素材型の高卒投手。
1部リーグの選手とバチバチにやり合えるのは、まだまだ先の話だ。
「プレイ!」
各々準備を整え、白組が守備位置につく。
そして球審によって紅白戦の開始が宣言された。
村山マダーレッドサフフラワーズが1部リーグに昇格したことで変化した扱いの1つとして、春季キャンプに正規の審判が派遣されてくることも挙げられる。
去年審判がいたのは宮城オーラムアステリオスとの練習試合だけだった。
チーム内での紅白戦では、いつもの審判アプリを使っていた。
まあ、正直なところ、それで困るようなことはなかったけれども。
ルールはルール。現状の正規の形はこちらだ。
これも含めての野球という競技。そう考えておくべきだろう。
それはともかくとして。
この紅白戦のチーム分けは以下の通りだ。
【先攻】紅組
1番 右翼手 福元佐助(サスケ)
2番 二塁手 村木純助
3番 左翼手 志水義信
4番 DH 大法豊
5番 三塁手 崎山武蔵(ムサシ)
6番 一塁手 長尾成春
7番 中堅手 木村大成
8番 遊撃手 大坂誠司
9番 捕手 瀬川昇二
投手 鈴木新之助
控え投手 川谷有 山田真一 加隈道雄
猪川大和(ヤマト) 源虎次郎(コジロウ)
【後攻】白組
1番 捕手 倉本未来
2番 二塁手 野村茜
3番 一塁手 藤川浩史
4番 遊撃手 野村秀治郎
5番 三塁手 内海良蔵
6番 中堅手 高梁隆之
7番 左翼手 山元功
8番 DH 新垣九朗
9番 右翼手 門倉光英
投手 浜中美海
控え投手 松本大典 田之上寿 島岡秀喜
西藤斎 佐々井主樹
今現在、マウンドには先発の美海ちゃんが立っている。
キャッチャースボックスには倉本さん。
それをあーちゃんと俺が二遊間から見守っている。
高校時代には実現し得なかった配置だ。
2人が形になる前に俺とあーちゃんは中退してしまったからな。
それだけに、ショートからのこの光景は非常に新鮮だ。
しかも、単なる部活動のチームメイトではない。
日本プロ野球最高峰の1部リーグの球団に所属する選手として同じユニフォームを着て、同じグラウンドに立っている訳だ。
まあ、それだけなら春季キャンプ開幕早々に叶っている話ではあるが……。
紅白戦とは言え、試合の中だと尚更その感慨が深くなる。
勿論、まだまだ道半ば。
だが、18年という月日の積み重ねをまた1つ実感することができた。
そんな風に俺が感傷に浸っていると、早速美海ちゃんが初球を投じた。
気を引き締め直す。
「ボールッ!」
今日の彼女には課題を1つ課している。
ナックルを封印することだ。
これは同時に、美海ちゃんをリードする倉本さんへの試練でもある。
つまるところ。
自主トレーニングで習得した変化球と直球のみで抑えろという指示だ。
それを受け、2人が1球目に選んだのは落ちるスライダー。
いわゆる縦スラ。
即ち、それが彼女の得た新たな変化球の1つということになる。
ストレートともナックルとも全く異なる鋭い軌道に気づいたのだろう。
観客からはどよめきが生じていた。
是非とも騒ぎ立てて欲しい。
彼女はもはやナックルだけのピッチャーではないのだ。
……とは言え、初球は審判の宣言通り。
紅組の先頭打者であるサスケ選手は、左打席で球筋を確認するように見送った。
ボールは外角低めから落ちてワンバウンド。
それから倉本さんのキャッチャーミットに収まった。
軌道としては外角低めからワンバウンドしてボール。
キレと変化量は1部リーグ最上位レベルなのは間違いない。
後は使い方次第だ。
倉本さんからボールが返り、そして2球目が投じられる。
「ストライクワンッ!」
今度は外角低めいっぱいにストレートが決まった。
Max144km/hとさすがにプロ野球選手全体から見ると控え目な球速ではあるものの、綺麗なスピンが利いていてノビがある。
ナックルとの二者択一だとさすがに心許ないが、使える変化球が増えれば増える程に威力が上がっていくことだろう。
最終的には決め球にもなり得るポテンシャルはある。
サスケ選手は2球連続で見逃し。
一先ず慎重に見極めようとしているのが見て取れる。
昨年は代走要因として活躍した彼だが、スタメン起用は数える程だった。
とは言え、レギュラー奪取を諦めてはいない様子だ。
バッティングを磨いて価値を高めようという考えが普段の姿から透けて見える。
しかし、とにもかくにも守備系の【マイナススキル】を持っているのがマズい。
何とかして【マイナススキル】自体を除去できればいいのだが……。
【成長タイプ:マニュアル】でないと【マニュアル操作】では取り除けないし、【生得スキル】でチグハグな守備をした結果のそれなので自然に消える可能性は低い。
瞬足巧打のDHを目指す以外、レギュラー奪取の道は険しいだろう。
それでも懸命に努力している彼のことは、応援したい気持ちがある。
ただ、サスケ選手は3球目も振りに行かず――。
「ストライクツーッ!」
美海ちゃんの次なる新球が内角低めに食い込み、1ボール2ストライク。
今度は縦に対して横の変化。
普通のスライダーではあるが、こちらも既に完成度がヤバい。
ついつい【経験ポイント】を集中投入してしまったからな。
ステータス上、縦スラも横スラも日本球界有数の変化球になってしまっていた。
彼女にはこれに加えて、球質のいいストレートとナックルもある訳だ。
後者はこの紅白戦では封印しているものの、それを解禁すれば緩急も加わる。
たとえナックルに不利なドーム球場での登板だったとしても。
万一、そこで変化しにくいボールが使われたとしても。
他の変化球と組み合わせれば、ブレないナックルも使い道がなくはない。
屋外球場ならナックルだけでも十分無双できる。
既に俺の中で美海ちゃんはかなりの活躍が計算できる選手だ。
しかし、この場ではあくまでもナックル禁止。
次もそれ以外の球を投げなければならない。
そしてバッテリーが4球目に選んだのは、プレート端から角度をつけて投じられた内角高めのストライクゾーンを掠める軌道のストレート。
サスケ選手は手が出ず……。
「ストライクスリーッ!」
結果は見逃しの三振。
先頭打者との勝負は美海ちゃんバッテリーに軍配が上がった。
この打席だけを見れば、彼女達2人の評価は一先ず微増。
結局1球も振らなかったサスケ選手は、レギュラーから少し遠退いた感じだ。
もっとも、あくまでも1打席のみの話。
サスケ選手には今の結果は忘れて、2打席目以降に集中して欲しいが……。
今この瞬間は敵同士。
なので、悔しげにベンチに戻っていく背中に声はかけない。
論評は試合が終わってから伝えるとして、まずアウトを取った味方を誉めよう。
「ナイスピッチ!」
「うん! ありがと、秀治郎君」
俺の言葉にはにかむように微笑んで応じる美海ちゃん。
内外で今シーズンのローテーションピッチャーにと推している訳だが、単なる身贔屓と思われないよう彼女には十二分に実力を示して欲しいところだ。
そんな俺の期待に応えるように。
美海ちゃんは安定した投球を続けていく。
ただし、初日に全員に説明した通り、正樹はリハビリで帯同していない。
そのため、春季キャンプに参加している選手は30人ということになる。
尚、首脳陣については去年の面子から全く変わっていない。
プロ野球参入1年目にして1部リーグ昇格という歴史的な偉業を成し遂げて勢いがある今、わざわざ外様の監督やコーチを招聘するメリットは乏しい。
まずはこのまま行けるところまで行く。
経営陣の方でそう判断してくれて、俺が一々説得せずに済んだのは助かった。
正直、余所者に引っ掻き回されて空中分解するのが最も嫌な展開だったからな。
たとえ本人が有能だったとしても、同じ方向を向いていなければ逆効果だ。
噛み合わなければ、全員が無能以下に成り下がってしまう。
勿論、考え得るベストではないかもしれない。
だが、現実的な選択肢の中では現状維持が最善なのは間違いないだろう。
つまり、ヘッドコーチの新垣九朗選手。打撃コーチの大法豊選手。
投手コーチである俺。そして、守備走塁コーチの村木純助選手。
この4人は相変わらず選手兼任のまま。
春季キャンプ参加選手30人の中に首脳陣が普通に紛れ込んでいる状態だ。
それもまた、我が村山マダーレッドサフフラワーズの特色(?)かもしれない。
「では、これより紅白戦を行います」
そんな体制でスタートした春季キャンプも開幕から早10日。
まだ前半戦なので、日々地道に基礎トレーニングを続けてきた。
とは言え、やはり実戦経験も必要不可欠。
という訳で今日、今シーズン最初の紅白戦が実施される運びとなった。
尚、事前にホームページやSNSなどで告知はしている。
だからか、観客の入りも格段にいい。
報道陣の人数も更に増えている。
やや狭い久米島第2野球場が大盛況だ。
一目見ただけで経済効果の大きさを察することができる。
副町長がコメツキバッタのようにペコペコするのも分かろうというものだ。
「……折角の紅白戦、秀治郎君と投げ合ってみたかったけど」
「チーム事情的にそれはな」
「と言うか、野村君が登板したら練習にならないっすよ」
「いや、そういう心持ちだとちょっと困るんだけど……」
「勿論、今だけの話っすよ」
「それならいいけど。……まあ、とにかく2チームに分けないといけないからな」
支配下登録選手の内、ピッチャーもできる選手は現在13人。
対して野手専門は17人。
なので、俺は今回の紅白戦では登板せず野手でのみ出場する予定だ。
それで野手として出場する選手が18人となる。
8ポジション+DHで9人ずつ2チームぴったりとなる。
俺以外の12人のピッチャーは6人ずつ割り振って全員登板させる予定だ。
勿論、今季入団の佐々井選手も含めて。
彼に関しては、投手コーチ権限で9回に登板させるつもりでいる。
【生得スキル】【野球は9回から】を活かすためだ。
と言うか、そうしないとそれこそ互いの練習にならないだろうからな。
佐々井選手は素材型の高卒投手。
1部リーグの選手とバチバチにやり合えるのは、まだまだ先の話だ。
「プレイ!」
各々準備を整え、白組が守備位置につく。
そして球審によって紅白戦の開始が宣言された。
村山マダーレッドサフフラワーズが1部リーグに昇格したことで変化した扱いの1つとして、春季キャンプに正規の審判が派遣されてくることも挙げられる。
去年審判がいたのは宮城オーラムアステリオスとの練習試合だけだった。
チーム内での紅白戦では、いつもの審判アプリを使っていた。
まあ、正直なところ、それで困るようなことはなかったけれども。
ルールはルール。現状の正規の形はこちらだ。
これも含めての野球という競技。そう考えておくべきだろう。
それはともかくとして。
この紅白戦のチーム分けは以下の通りだ。
【先攻】紅組
1番 右翼手 福元佐助(サスケ)
2番 二塁手 村木純助
3番 左翼手 志水義信
4番 DH 大法豊
5番 三塁手 崎山武蔵(ムサシ)
6番 一塁手 長尾成春
7番 中堅手 木村大成
8番 遊撃手 大坂誠司
9番 捕手 瀬川昇二
投手 鈴木新之助
控え投手 川谷有 山田真一 加隈道雄
猪川大和(ヤマト) 源虎次郎(コジロウ)
【後攻】白組
1番 捕手 倉本未来
2番 二塁手 野村茜
3番 一塁手 藤川浩史
4番 遊撃手 野村秀治郎
5番 三塁手 内海良蔵
6番 中堅手 高梁隆之
7番 左翼手 山元功
8番 DH 新垣九朗
9番 右翼手 門倉光英
投手 浜中美海
控え投手 松本大典 田之上寿 島岡秀喜
西藤斎 佐々井主樹
今現在、マウンドには先発の美海ちゃんが立っている。
キャッチャースボックスには倉本さん。
それをあーちゃんと俺が二遊間から見守っている。
高校時代には実現し得なかった配置だ。
2人が形になる前に俺とあーちゃんは中退してしまったからな。
それだけに、ショートからのこの光景は非常に新鮮だ。
しかも、単なる部活動のチームメイトではない。
日本プロ野球最高峰の1部リーグの球団に所属する選手として同じユニフォームを着て、同じグラウンドに立っている訳だ。
まあ、それだけなら春季キャンプ開幕早々に叶っている話ではあるが……。
紅白戦とは言え、試合の中だと尚更その感慨が深くなる。
勿論、まだまだ道半ば。
だが、18年という月日の積み重ねをまた1つ実感することができた。
そんな風に俺が感傷に浸っていると、早速美海ちゃんが初球を投じた。
気を引き締め直す。
「ボールッ!」
今日の彼女には課題を1つ課している。
ナックルを封印することだ。
これは同時に、美海ちゃんをリードする倉本さんへの試練でもある。
つまるところ。
自主トレーニングで習得した変化球と直球のみで抑えろという指示だ。
それを受け、2人が1球目に選んだのは落ちるスライダー。
いわゆる縦スラ。
即ち、それが彼女の得た新たな変化球の1つということになる。
ストレートともナックルとも全く異なる鋭い軌道に気づいたのだろう。
観客からはどよめきが生じていた。
是非とも騒ぎ立てて欲しい。
彼女はもはやナックルだけのピッチャーではないのだ。
……とは言え、初球は審判の宣言通り。
紅組の先頭打者であるサスケ選手は、左打席で球筋を確認するように見送った。
ボールは外角低めから落ちてワンバウンド。
それから倉本さんのキャッチャーミットに収まった。
軌道としては外角低めからワンバウンドしてボール。
キレと変化量は1部リーグ最上位レベルなのは間違いない。
後は使い方次第だ。
倉本さんからボールが返り、そして2球目が投じられる。
「ストライクワンッ!」
今度は外角低めいっぱいにストレートが決まった。
Max144km/hとさすがにプロ野球選手全体から見ると控え目な球速ではあるものの、綺麗なスピンが利いていてノビがある。
ナックルとの二者択一だとさすがに心許ないが、使える変化球が増えれば増える程に威力が上がっていくことだろう。
最終的には決め球にもなり得るポテンシャルはある。
サスケ選手は2球連続で見逃し。
一先ず慎重に見極めようとしているのが見て取れる。
昨年は代走要因として活躍した彼だが、スタメン起用は数える程だった。
とは言え、レギュラー奪取を諦めてはいない様子だ。
バッティングを磨いて価値を高めようという考えが普段の姿から透けて見える。
しかし、とにもかくにも守備系の【マイナススキル】を持っているのがマズい。
何とかして【マイナススキル】自体を除去できればいいのだが……。
【成長タイプ:マニュアル】でないと【マニュアル操作】では取り除けないし、【生得スキル】でチグハグな守備をした結果のそれなので自然に消える可能性は低い。
瞬足巧打のDHを目指す以外、レギュラー奪取の道は険しいだろう。
それでも懸命に努力している彼のことは、応援したい気持ちがある。
ただ、サスケ選手は3球目も振りに行かず――。
「ストライクツーッ!」
美海ちゃんの次なる新球が内角低めに食い込み、1ボール2ストライク。
今度は縦に対して横の変化。
普通のスライダーではあるが、こちらも既に完成度がヤバい。
ついつい【経験ポイント】を集中投入してしまったからな。
ステータス上、縦スラも横スラも日本球界有数の変化球になってしまっていた。
彼女にはこれに加えて、球質のいいストレートとナックルもある訳だ。
後者はこの紅白戦では封印しているものの、それを解禁すれば緩急も加わる。
たとえナックルに不利なドーム球場での登板だったとしても。
万一、そこで変化しにくいボールが使われたとしても。
他の変化球と組み合わせれば、ブレないナックルも使い道がなくはない。
屋外球場ならナックルだけでも十分無双できる。
既に俺の中で美海ちゃんはかなりの活躍が計算できる選手だ。
しかし、この場ではあくまでもナックル禁止。
次もそれ以外の球を投げなければならない。
そしてバッテリーが4球目に選んだのは、プレート端から角度をつけて投じられた内角高めのストライクゾーンを掠める軌道のストレート。
サスケ選手は手が出ず……。
「ストライクスリーッ!」
結果は見逃しの三振。
先頭打者との勝負は美海ちゃんバッテリーに軍配が上がった。
この打席だけを見れば、彼女達2人の評価は一先ず微増。
結局1球も振らなかったサスケ選手は、レギュラーから少し遠退いた感じだ。
もっとも、あくまでも1打席のみの話。
サスケ選手には今の結果は忘れて、2打席目以降に集中して欲しいが……。
今この瞬間は敵同士。
なので、悔しげにベンチに戻っていく背中に声はかけない。
論評は試合が終わってから伝えるとして、まずアウトを取った味方を誉めよう。
「ナイスピッチ!」
「うん! ありがと、秀治郎君」
俺の言葉にはにかむように微笑んで応じる美海ちゃん。
内外で今シーズンのローテーションピッチャーにと推している訳だが、単なる身贔屓と思われないよう彼女には十二分に実力を示して欲しいところだ。
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