永遠を巡る刻の果てには、

禄式 進

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二章「憧れの裏世界」

65.忿怒

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 一頻ひとしきりを話し終えた子供達が、急げ急げと都市へ向けて小走りする。それに連れられる長身のウィルトは、ぐいと腕を引っ張られ歩きにくそうにしていた。先程まで、浮かない顔をしていた筈の子供達の表情は明るい。ゼレニとカラがウィルトの腕を引き、もう一人、ゼランはセイスの手をゆるりと引いて歩いていた。すっかり懐いたセイスの横に居たいらしく、セイスの方もそれに気付いているのか、されるがままについて歩く。

「あの青い少年だけではなく、黄色の少年もまた、『自分達は見捨てられた』のだと、心のどこかで分かっていたのでしょう」

 そんな、双子の明かりに照らされる微笑ましい姿を後方で眺めながら、しっかりとリアの横を確保しつつフォードは言った。

「決して会いに行けない距離ではないのに、傍に居てくれたあれが忽然と姿を消した理由など、他の誰かに責任を押し付けてしまわなければ、あの子供達は立っていられなかった。……それほどまでに、地上の子供達にとってあれは大きな存在だった。自分達の渡した鉱石を今も持っていてくれたという事実だけで、あんなにも喜び勇んでしまう程に」
「大人の理屈で考えるな」

 そして、事実確認をするように呟かれるフォードの思考を遮ったのは、隣を歩くリア。

「デイヴァの地上に暮らす者は皆子供だ。外聞ばかりを気にする大人とは違う。闇の中に見えた一縷の希望(ひかり)だけで、心が救われてしまう。……単純なんだ、子供は」
「そんなにも些細なもので? リア様まで、子供みたいなことを仰る」
「ああ、僕も子供だからな」

 そんならしからぬおどけたリアの返しを聞いて、フォードは薄ら笑ったようだった。
 けれど次の瞬間には、そんなフォードの表情も消えてしまう。


「だからこそ。……その期待が再び闇に呑まれるところなど、私は見たくない」


 それはまるで全てを阻む壁のように。
 見えてきた都市を取り囲む鉄の柵を見据え、フォードは一度、眼鏡を掛け直してから目を伏せた。

 意味深長な言葉を聞いても、リアは何も言わなかった。
 何も、言えなかった。


 ◇


 無事に都市へと戻った一行だったが、都市に着いて直ぐ、ゼレニとゼランの二人は足を止めた。先程まで皆の前を走っていた二人は、いつの間にやら集団の最後尾に居る。途中まで腕を引かれていたウィルトやセイスはそれにいち早く気付き、つられて一緒に足を止めた。

「ウィルト兄ちゃん、俺達は隠れ家に戻るよ」

 そう言ったのはゼレニ。その足は綺麗に鉄柵の手前で止まっていて、周りを見回した後、くるりと踵を返した。

「罰はちゃんと受けるけどさ、もうこっちの話は良いから」
「ゼレニ、一体何を……」
「俺達の姿、軍の人達に見られてるもん。ここに居たら軍の人達は俺達のこと変に思うだろうし、地上の皆にも悪いよ。はいこれ、シルク兄ちゃんに返しておいてね、ウィルト兄ちゃん」
「ゼランまで」

 沈痛な面持ちから一転、明るい気持ちに変えてくれたあの鉱石を再び取り出してゼランが笑い、それをウィルトに手渡した後、ゼレニに同じくゆっくりと後退する。
 二人がここまで着いて来たのは、決して都市に入ろうと思ったからではなかった。自分達の姿を外に晒してでも、守りたかった自分達のヒーローに、会いに来こうと決めたからではない。

「俺達が居て、明るかったでしょ? 無事に送り届けられたから、行くね」

 ただ、皆を都市に送り届ける為。皆の行く路を、二人の持つ二色の篝火で灯す為。その為だけに、二人はここまでやって来た。
 自分達の仕出かした過ちの所為で、閉じ込められた彼らの無事を見届けて、そして。


「長いことここに居たら」
「シルク兄ちゃんに迷惑が掛かっちゃうよ」


 こんなにも半端な自分達のことを覚えてくれていた、会うことの敵わない彼の人に。
 もう、多くを望むつもりはないのだと。

 曇りひとつ無いそっくりな笑みを浮かべて、そう言った。
 その笑顔があまりにも純真で、迷いや不安など毛頭感じられないものだったから。「じゃあね」と手を振り小走りで去っていった二色の焔を、誰も引き止めることが出来なかった。


「ねぇ、何で?」

 静かな夜。
 その中で疑問を呈したのは、この場で一番事態を理解出来ていない彼女。

「何があったのかってのはさ、あたしは聞いただけだよ。でも、あたしにを渡して、あの子達や皆のところにあたしを導いてくれたんだよね? あの子達のこと、今でも覚えてるんだよね?」

 皆が闇に消えゆく双子の姿を黙って見据えている中、言葉を続けて。
 くるりと。リリーは振り向いた。

「なのにさ、――何であの子達に会ってあげなかったの?」

 今この瞬間、唯一あの焔を引き止める権利を有していた、双色の眸を持つ男へと。
 二人が消えて直ぐ、隠れていたのだろう物影から姿を現し、男は皆から距離を置いた場所に立っていた。デイヴァの地上、森を抜けた、乾いた大地を踏み締めて。

 紺色の軍服の男は、表情無くこちらを見据えていた。
 リリーの問いに応えるつもりがないようで、彼――シルクは、ひたすらに黙りこくっている。

「シルク兄ちゃん」

 ただ一人この場に残された地上の子供であるカラも、そうやってシルクの名を呼ぶが、それでもシルクは動かなかった。返って来ない答えに、カラはそっとウィルトの服の裾を掴む。そんな少年の表情に、再会を喜ぶ笑みはない。
 あるのは、こうなることを分かっていたかのような、落胆の色のみ。

「お前に聞きたいことがある」

 次に口を開いたのは、彼の人の上司たるフォードだった。リアの横を付かず離れず居たフォード――護衛として同行する誰よりも、フォードは護衛だった――は、リアの傍に立つセイスの位置を確認した後歩き出し、スタスタとシルクの正面まで移動する。
 応答のないシルクの様子など一切気にせず、フォードは問う。

「今回の調査で、あの森に暮らす二人の少年の存在が発覚した。彼らは異質な姿をしていて、地上の子供たちによって森に匿われていたらしい。そして軍の者達は今日、彼らに拠点を襲われ怪我人を出した。死人は出ていないが、客人にも危険が及ぶところだった。……この話を聞いて、何か申し開きはあるか?」

 つらつらと、抑揚なく話された森での出来事。
 それに対してシルクは、やっとのことで口を開く。

「――皆様がご無事で、何よりでした」

 実に無機質な声音。一見して不自然でない労わりの言葉も、感情が篭らなければ意味はない。
 リリーが軽薄男と称したその姿で、シルクは笑っていた。

 直後。
 その様子を見ていたフォードは、遠慮も何もなく、ただ手を払っただけとでも言わんばかりに、シルクの頬を手の甲で叩いた。
 ぱしん、などという軽い音ではない。明らかな重低音。バランスを崩し掛けたシルクは右足でふんばりを利かせ倒れることを回避したようで、容赦ない一撃を受けても尚、やおら顔を上げて笑みを作ってみせた。

「何故彼らのことを黙っていた。軍の人間である自覚はないのか。この被害で済んだから良いものを、下手をすれば誰かが……あの子供達が死んでいたかも知れないんだぞ」
「申し訳ありませんでした」
「もしもそうなっていたら、その責任は全てお前にあった。中途半端に優しさを与え、期待をさせて、面倒見切れなくなったから充分な説明もなく置き去りにする。お前がやったことは、この地に子供を捨て行く大人と何も変わらない」
「仰る通りです」

 続く言葉の跳弾を受けても、シルクの態度は変わらない。

「何も話す気がないなら、これだけは覚えておけ。。半端者は半端者として、一生この地で何もせずにさっさと死んでゆけ。この地に眠る災厄の要因ファクター、あの“禍罪”と同じように」

 厳しい口調で叱咤され、酷い揶揄を受けても、シルクの笑顔は崩れない。痛むであろう右頬など無いもののように、彼は姿勢良く立ち続けていた。
 聞くに堪えないフォードの責め苦が終わる頃には、相槌を打つシルクの声も聞こえなくなり、刹那だけ辺りに静寂が走る。本人の口からは、反論の言葉すら無い。

「――フォードさん!!」

 だが、あれだけ一方的に罵られるシルクを前にして、黙っていられない男が居た。
 考えるまでもない、ウィルトである。

「そこまで言う必要がどこにあるんですか!? 黙って聞いていればあなた……!」
「落ち着けウィルト」
「シルクが何故あの子達に会いに行かなかったのかの理由を聞くだけかと思えば! 半端とか半端じゃないとか、今そんな話を持ち出す必要がありましたか!?」

 今にも掴みかかりに行きそうなウィルトを止めるのはリアの声だが、正直全く効果を成していない。
 それを証拠にウィルトを実際止めているのはセイスで、肩に触れてどうにか引きとめていた。

「シルクが素直に本心を言わないことなんて、あなたは分かってるだろ!? そうやってシルクが一人抱え込むようになった理由だって、あなたは知ってる筈だ!!」
「リア、これは止まんねぇって」
「辛抱しろ。……おいウィルト、本当に落ち着いた方が良さそうだぞ」
「“時間以上の隔たり”なんてあなたは言ったけど、そうやってシルクとの間に隔たりを作ったのは、いつだってあなたの方じゃないか!! 俺は知ってる! シルクが何度もあなたに歩み寄ろうとしたこと! あなたが何度だって、それを無碍にしてきたこと!!」

 セイスが弱気な声を上げ、リアが溜息交じりに静止を掛けても、ウィルトは本当に止まりそうになかった。
 そんな時、ふとそれに気付いたリアが視線を止め、急ぎウィルトへと歩み寄る。

「――シルクの目を見ろ」

 そしてそう、フォードに見えない角度で小さく最後の言葉を呟く。
 彼の名前を出したからだろう、ウィルトは小さく反応を見せた。ウィルトの視線の先には元よりフォードだけでなく、近くに居るシルクも見えている。言われて直ぐに彼を注視すると、出かかっていた次の文句が一気に引っ込み、あっさりと押し黙る羽目になった。
 シルクは、フォードに返す言葉が見つからず黙り込んでしまった……のだと、そう判断されるに然るべき状況だった。だが、すっかりウィルト達の方に視線を奪われるフォードの視界から外れたシルクの気配は、意気消沈して静々と反省の色を見せる人間のそれとは明らかに違っていた。

 睨んでいる。真っ直ぐにウィルトを。
 先程までの無機質に作られた表情ではなく、明らかに怒気を孕んだ無表情で。

 黙っているのにも関わらず、彼はとても如実に、こちら側にこう伝えていた。

『テメェは引っ込んでろ』

 と。

「お……、落ち着き、ました、リア様」
「そうか」
「……俺、何でシルクが変わったなんて思ってたんだろう、あの無言で威圧する感じ全然変わってない」
「良かったな」

 そんなシルクの様子にいち早く気付いたのがリアだった。すごすごと縮こまるウィルトに満足して、リアも前方へと向き直る。横槍が入ったことでこちらを見ていたフォードもまた、今一度その視線をシルクに戻したのだけれど。フォードはもう、続けざまに何かを言い募ることはなかった。

 それどころか、ただひとつ溜息を零して。
 ふ、と。肩の力が抜けた様子でぽん、とシルクの肩を叩いた後、静かにその肩をすり抜けていく。

「お前を信じてくれている友人に向けて、何て顔を晒しているんだ」

 そのまま、フォードはその場を後にした。

「今回の件に関する処分はで勘弁してやる。もう一度言うが、お前は何もするな。――次はせいぜい俺に気付かれないよう、精進しろ」

 そんな捨て台詞を言い残して。


「……何よあの管理官、偉っそうに」
「実際偉いんだけどな。でも、俺はあの人少し苦手だな……」
「貴様は少しでも威圧感のある相手が苦手なだけだろう、フォードにはフォードの考えがあるというだけのことだ」

 立ち去ったフォードに対し、離れた位置から口々に意見――過半数は文句――を述べる。落ち着いたとはいえ、ウィルトは未だ少し悔しそうに拳を固めていた。
 暫くは皆、去っていくフォードの後ろ姿を眺めていた。とはいえ、外灯なんて全く存在しないデイヴァの地上では、その姿は直ぐに見えなくなってしまう。それからこの場をどうしたものか――などと。

 誰かが頭を悩ませるよりも早く、その場が動く。
 ウィル、と名を呼ぶ声がしたのだ。シルクである。

「え?」
「石を寄越せ」

 ずかずかと遠慮なく歩み寄ってきたシルクは、ウィルトの了承を得るよりも早く、掌中に収まっていた例の石を奪い取った。空からの少ない明かりを拾い上げ、青く光るその石を薄ら細めた双眸で見遣り、ぐっとそのまま握り込む。

「ねぇ、シルク」
「……」

 そしてウィルトは、そんなシルクの腕を掴んだ。返事はない。その手には、話を聞いてくれるまで逃がさないとでも言わんばかりに、強い力が込められていた。
 彼は何も話してくれない。けれど、デイヴァに来てから知った事実は、シルクの話してくれなかった様々なことを教えてくれた。都市のこと、シルクのこと。それを鑑みてみれば、何も知らなかったウィルトにだって察せることがある。

「ゼレニとゼランは、ずっと君を待ってたんだよ。他の子供達だって同じさ、突然居なくなった君のことを、ずっと心配してた」
「……」
「もしかしてだけど、軍人なったからなのかい? 大人になって、子供の時には誰も予想しなかったような道に進んだことを、負い目を感じたの?」
「……」
「だったら気にしなくて良いよ。だってあの子達は、シルクがどんな人間になったって君のことが大好きなんだ。あの子達が嫌いな軍人おとなだって、それがシルクなら関係無いんだよ」
「……」

 ゆっくりと、微動だにしないシルクの腕から手を放して。

「俺だってそう。生きる場所とか生き方とか、変わったことがあったとしても。その石が教えてくれたように、子供達を大切に思う君が変わっていないことが知れただけで、もう充分なんだ」

 ウィルトは、小さく首を傾げる。

「それでもまだ、あの子達に会いに行くことは出来ないのかな?」

 ねぇ、違う? と。
 ウィルトが考え、結論付けた話。それを、シルクは変わらず黙って聞いていた。

 けれどそれも、束の間のこと。
 シルクは動く。青い石を握るその手を、そっと下ろし。

 そして。



「――出来ねぇよ」

 その手とは反対の手を以て、ウィルトの肩を思い切り殴り付けた。

 それはあまりに突然で、受け身すら取れなかったウィルトは短い悲鳴を上げてそのまま後ろに尻もちをついてしまう。
 俯くシルク、呆けるウィルト。そして周りの四人も、状況が分からず停止している。

「違うか、……だと?」

 故に動けるのはただ一人。この状況を作り出したシルクが震える声で呟き、勢い良く顔を上げた先で呆ける友人の情けない姿を目にしながら。


「――全然違ぇよ、バカかテメェ」


 シルクはもう一発。今度は彼の顔面目掛けて、固めた拳を振るった。


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