華ノ道標-華罪捜査官-

山茶花

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貴女の花

朝焼けと梅

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雨が降り始めた夜――

柊次は両親のいない屋敷にひとりで梅乃を置いておく事は出来ないと、自らの家で匿うことにした。


もし何者かが梅の華墨を狙っているとしたら、梅乃もその被害に遭ってしまうかもしれない。

梅乃の華墨は首筋、つまり目立つ場所にある。

華墨はだいたい20歳前後で1番濃く体に表れ、その後は段々と薄れていく。
まだ4歳の梅乃はそれほどまで華墨が濃い訳では無かったが、服や髪だけでは完全に隠すことは難しい。



「梅乃。外に出る時は首の華墨をこの布で隠しなさい」



そこで柊次が梅乃に手渡した帯状の布は、華墨を隠す為に造られた織物「華隠織かいんおり」と呼ばれ、梅乃のように幼い子どもを不審者から守るものとして古くから使われている。

昔から、特定の華墨の一族に恨みをもっている者が居るということは確かなのだ。







20歳の柊次には歳の離れた妹が居る。

名前は、早百合さゆり
柊次が10歳のときに遠く離れた町で生まれ、しばらくの間柊次とは別々に暮らしていた。



「さゆりちゃん!あそぼ!」

「梅乃ちゃん!今日は竹刀で遊んでみましょう」



梅乃はいつも柊次と町を散歩をした後、決まって早百合と庭で遊ぶのだった。


早百合の特技は剣道だ。
3歳の頃から竹刀を握っていた。

柊次の左腕に柊の華墨があるのに対し、早百合の右腕には淡く可愛らしい百合が咲いている。


早百合は生まれつき体が弱かった。
それを克服すべく、剣道を習い始めた。

華墨の百合も、早百合にとっては華奢でか弱い女性の象徴のようで、その印象を払拭したかったのだ。






梅乃は華隠織を自らの肩に掛け、柊次たちの知らぬ間に眠ってしまった。


突然両親が居なくなったことを知らされ、今まで通りの生活はもう出来ない。

そんな状況に、さぞ疲れただろう。


柊次と早百合は寝息をたてる梅乃を見て、それぞれ想いを馳せる。


空は朝焼け色に染まり、柊次の膝の上では華隠織の隙間から小さな梅が覗いていた。


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