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標的の花
企みの予感
しおりを挟む数日後――
華罪捜査本部では、真藤に対する聴取を他の捜査官に任せ、出動依頼を待つ梅乃たちも再び寿々の元へ。
寿々の体調と心の状態を鑑み、2日ごと交代で銀壱と梅乃が聴取をしに来ていた。
「寿々さん、失礼します」
「どうぞ」
「体調はいかがですか?」
「元気よ」
何気ない会話を始める二人。
襲った理由を聞いてから、少しギクシャクしたものの梅乃も寿々もいつも通り話せるようになった。
銀壱とも、普通に会話しているらしい。
「そろそろ、聞きたいのです。
寿々さんを利用した人物のこと」
「私は、利用された訳ではないの。
だから…話すことは無いわ」
「そうですか…
それでは、体調も戻ったようですし、
部屋を移動していただきます」
寿々は頑なに何も話そうとしなかった。
銀壱からも同じ報告だった。
もしかしたら、寿々が相当恐れる誰かに口止めされているのかもしれない。
体調管理をする為に医務室に入れていたが、もう体調も問題ないと判断し、他の囚人と同じ檻の中に寿々も入れられることになった。
梅乃は他の捜査官を呼び、寿々を誘導するよう促した。
「梅乃ちゃん。私を捕まえたこと、
いつか後悔するわよ」
「寿々さんはそんな人じゃない。
私もそれくらい、分かります。
いつでも、勝つのは正義です」
まだ寿々は何か隠しているようだったが、男性捜査官に引っ張られ地下牢へ送られた。
何故そのような言葉を最後に言ったのか、梅乃もまだ意味を理解できなかった。
「何も聞けなかったか」
「ええ。力不足です…」
「そんなことはない。いつか分かる」
前田が様子を見に来ていた。
少し落ち込む梅乃を、不器用ながら励ました。
そこへ、真藤の聴取を担当している女性捜査官が情報共有をしにやって来た。
この女性は敏腕捜査官が選出される「特別捜査班」の所属だ。
「前田君、お疲れ様」
「お疲れ。どうだ?真藤は」
「ええ、その事を伝えに来たのよ。
あの子は素直に、少しずつだけど話してくれたわ」
「ほう。何が分かった?」
「やはり、鹿戸の屋敷は京と華狩の幹部が
いつも会議をしている場所だそうよ」
真藤が暮らしていた屋敷に華狩の幹部がよく出入りしていたのは、梅乃も直接聞いた話だ。
しかしそこからが新しい情報だった。
「それで、どうした?」
「新しい事件を計画する時、
特に特定の華墨を狙った誘拐事件を企む時には、
必ず屋敷で京たちが会議をするらしいの」
「要は、その会議を狙って
潰しに行けばいいってわけだな」
下っ端の捕まる数が増えてきた時、京はそういう事件を計画する傾向にある、と真藤が教えてくれたと言う。
盗難を繰り返して細かく金を稼ぐより、効率的なやり方だからだ。
いつその会議が行われるかは予測出来ないため、鹿戸の警備人数を増やして見張る必要がある。
「もし、鹿戸の警備を増やすなら、
その時は前田君たちを――」
女性捜査官の声を遮るようにして、前田の無線機の大きな音が鳴り響いた。
どうやら、出動依頼が入ったようだ。
梅乃たちと前田は、女性捜査官に背を向け、急いで走り出した。
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