58 / 63
総力戦
平穏な日々
しおりを挟む警備を開始してから一週間。
特に華狩が梅乃の地元に現れることは無かった。
毎日変わらず巡回警備をしているが、異変もなく平和な日々が続いていた。
怪我を負った榛名班と九重班は本部で療養し、順調に回復している。
その間の警備は他の部署が入っていて、そこでも事件は起きていない。
一体、紫や京は何を企んでいるのか。
ますます分からなくなってきた頃だった。
「お疲れ。今日も何も無かったか」
「そうですね。異常ありません」
「こちらもです」
今日も朝から前田たち三人はそれぞれ分かれて巡回したが、平和な町に変わりなかったようだ。
もしかしたら、榛名班の担当した村で華狩数名が拘束された事が上層部へ伝わり、警戒されているのかもしれない。
ここ最近は窃盗や誘拐などがほとんど起こっていないことからしても、その可能性は高いだろう。
早河の屋敷で三人が休憩をしていると、前田の無線機が鳴った。
「はい、前田です」
「こちら本部連絡室です。
本部長から伝言があります」
「何だ?」
「本部にて明日警備報告を兼ねた会議をする。
前田班長に出席願いたい、とのことです」
「今は警備中だが…」
「新人二人の話も詳しく聞きたいそうで、
本部長が是非、と」
「最近平和だからか…分かった。
本部長には出席すると伝えてくれ」
1ヶ月間の警備の期間中だが、本部長の強い要望により明日一日は前田が本部へ駆り出されることに。
前田は新人の実力を本部長へ報告することも重要な任務と考え、了承した。
もし前田の不在時に何か事件が起きたとしても、優秀な二人なら自分たちの力をしっかり発揮するだろう、という思いもあった。
「早河、銀壱。聞いてくれ」
「「はい!」」
「今本部から連絡があって、俺は明日
本部の会議に出席しなければならない。
一日だけここを留守にするがお願いできるか?」
「了解しました。大丈夫です!」
「私もです。任せてください」
「無線機を置いていく。だから何かあったら
すぐに本部へ連絡しろ。いいな?」
「ありがとうございます」
経験は浅いが、確かな実力のある二人を前田は信頼していた。
梅乃は地元という事もあって、土地勘がある。
銀壱は捜査官になってから体力が向上し、攻撃力も上がっている。
充分に町民や梅乃を守ることができるだろう。
その後、昼と夕方の2回巡回警備をして、町民や町の様子を確認した。
やはり穏やかに時間が流れている。
前田は自分が留守にすることを少し不安に思う部分もあったが、これなら大丈夫だと確信していた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる