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総力戦
新たな任務
しおりを挟む――華罪捜査本部
「失礼します、本部長。
自由警備課の前田班長がいらっしゃいました」
「通してくれ」
「…本部長、おはようございます」
「おはよう。警備中に、悪かったな」
梅乃と銀壱を置いて出てきた前田に、本部長は気遣いの言葉をかけた。
本部長補佐を解任された前田だが、未だに信頼が厚いことがよく分かる。
前田は、この大事な警備中に本部へ呼び出されたことに疑問を抱いていた。
最近事件が落ち着いているのは良い事だが、決して油断出来ないことは経験豊富な本部長なら分かっているはずだ。
「いえ。
ところで会議に出席する他の方々は…?」
「すまないが、今日は君に話があってな」
「話…どのような事でしょうか」
「大事な話だ。茶でも淹れよう」
なかなか本題を切り出さない本部長は、いつもより落ち着かない様子。
普段ならお茶を淹れるのは秘書や部下の役目だが、今日は本部長自らゆっくりお茶を淹れた。
客人用の湯呑みと本部長用の湯呑みにそれぞれ茶を注ぐ。
「あ…恐れ入ります」
「いいんだ。さぁ、そこへ座って」
大きな木製の机を挟み、向かい合わせに座る二人。
静かな空間には、時計の針の音だけが響く。
前田は本部長が口を開くのを待っていた。
「…君に、任せたい仕事がある」
「何でしょうか」
「この華捜本部に、華罪組織の内通者がいる」
「なっ…!?」
「その内通者を突き止め、身柄を拘束、
そして組織の情報を聞き出してほしいんだ」
本部長の話では、自由警備課が梅の家系を警備している間に、危機管理課長の下総から相談があったという。
前田たちが捜査する上で活用した華墨調査資料は、危機管理課のもとで厳重に管理されている。
資料室へ入る際は入室者名簿に記名、押印のうえ、鍵は危機管理課所属の者のみ持ち出せる仕組みになっている。
しかし最近、その資料室の鍵を紛失する騒ぎがあったそうだ。
危機管理課としてはそんなことは絶対にない、というくらい徹底して管理していたはずだった。
結局、その鍵は本部内の倉庫から見つかったが、原因は未だに明らかになっていないという。
その騒ぎの時、下総課長は本部長へ連絡をし、もしかしたら昔のように情報を外へ持ち出した者が居るかもしれない、と相談したそうだ。
「でも、どうして僕なんですか?
僕は今、自由警備課の下っ端ですよ」
「前田くん、君は非常に優秀だ。
どこの部署にいても君は能力を発揮している。
それと……」
「それと、何でしょう」
「早河 梅乃くん。
きっと、紫や京の狙いは彼女だろうから、
守ってやってほしい――」
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