隻腕の聖女

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7つの断章編

第22話

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私達は一息入れると、
コンパスを覗き込んだ。

針は、私達の背後、つまり、洞穴の奥を指していた。

実は、私達が雨宿りに逃げ込んだ、この洞穴こそ、
断章の在処だったのだ。

雨宿りついでに、洞穴を探索すると、すぐにそれを見つけることができた。

これまた小さな金属片で、
模様もなく、特徴的な形でもない立方体である。

「とりあえず3つめだけど、
 本当にこんなもの集めて何か起こるの?」
私は疑問を素直に口にした。

「あたしもよく知らないけど、
 ルザーフの使い魔が近くにいるし、
 奪われまいと必死な感じだし、
 これであってると思うよ。」
ベアトリスも不安になってきたのか、
必死に自身を納得させるかのような表現をする。

「しかし、確かによく分からなくはあるな。
 こんなもの集めて何になるんだ?
 そろそろ半分が集まるというのに、
 人間の言語とか、私達の言語とか関係なく、
 これがどんな文章であるのか一片も分からんとは・・・。」
リスバートが首を捻る。

アーティファクトやオーパーツといった類のものの話を聞いたことはあるが、
それらには大体、よくわからない記号や紋様、
または独特な形状のようなものがあって、
それが解読不可能、用途不明だということが大半だ。

しかし、これは、そういったものすら存在しないただの金属片だ。

もし仮に、この金属自体が特殊な組成をしていて、
非常に頑丈であるとか、熱に強いから貴重な物資である
と言われるならば、まだ分からなくもない。

だけど、この表面がツルツルとしたサイコロのような金属片の持つ価値が
文章や詩の類であるというのは、
という、唯一はっきりしている呼称から、
(厄介なことに)はっきりしてしまっている。

故に、私達を余計困惑させていた。

「まぁ、私達がこれを全て手にしたとして、
 それを使うことはないだろうし、
 使用方法まで気にすることはないだろう。」
ベアトリスは頭を使うことが嫌いなのか、
考えることを諦めたようだ。

しかし、こうして使用方法を考えたところで答えは分からない。

もしかしたら、全部集めたところで、ようやく何らかの変化が訪れて、
意味が分かるようになるのかもしれない。
だとしたら、ここで3つの欠片を持って考えていても永遠に謎は解けないのだ。

私は余計なことを考えることを諦め、断章を皮袋に入れて、振り返った。

しまった・・・。

私は、そこでようやくレイリアが一部始終を見ていたことに気付いた。

彼女がルザーフの使いではないかと、
疑うべきであることをすっかり忘れていた。

ベアトリスもそうだったようで、
私が急に振り向いてから、ようやく彼女もそのことを思い出したようで、
ハッと息をのむ音が聞こえた。

しかし、当のレイリアは、断章のことなど興味がないようで、
急に振り向いた私の顔をキョトンとしながら見つめ返した。

やはり、気にしすぎだったのだろう。
もう、彼女は私達の仲間と思っても問題ないように思えた。

ベアトリスも、疑うのは諦めたようで、
彼女を仲間と認めたのか、

「さぁ、帰るよレイリア。」と、
その時、初めて彼女のことを名前で呼んだ。
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