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はじまりの2
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阿井 中は「まいっか」が口癖の、脱力系男子だ。ただ、本人にしてみたら脱力しているつもりは全くなく、真面目に生活しているが、それが相手に伝わりにくい厄介な性格をしていた。それでも、本人には改善する意思はないらしく、現在に至る。
羽木 元は「どうしたの?」が口癖の、平和主義ののんびり屋だ。ただ、生まれつき体が弱く、すぐに熱を出す面倒な体質を持っていた。本人はどうにかして元気になりたいようだが、今のところ月2ペースで発熱している。頑張りすぎてしまうことが要因のようだが、健康への兆しはいまひとつ見えていない。
谷 静は「お前」が口癖のやんちゃ女子だ。この中で唯一の紅一点だが、2人よりもよっぽど男らしい。性格もそうだが、口も態度も乱暴なのが特徴的。結果として回りに迷惑をかけるが、本人にその意識はなく後先考えないままの生活が続いている。
誰が中心になるとか、リーダーになるとかは決まっていない。3人が3人とも違う性格で、違う考え方をしているから。
保育園でも「他の子とは、ちょっと違う?」そんな3人が自然と集まった。だから、3人とも好きに行動し、自分の思うように過ごしている日々。
「なー?今日の羽賀セン、やけに機嫌悪かったよな?」
静がふと、思い出したように口にする。
中は、帰宅前の出来事を思い出す。日直だった元に付き添って、一緒に宿題のプリントを取りに職員室に行くと、そこには大きな声を出す担任がいた。
羽賀先生は、中のお母さんたちよりも大分年上の、きりっとした女の先生だ。
中に言わせると「今時珍しい、昭和な人間」で上級生からも怖がられている、厳しい性格をしていた。
「帰る前、3年生がクラスの机に落書きをしたみたいで、羽賀が注意していた」
厳しい性格をしていても、理不尽なことを言わない大人。それが中の羽賀先生に対する印象だった。
「え?何で羽賀セン?なべちゃんは?3年の担任じゃん」
うろ覚えで様子を思い出し、中が返答する。
「うーん、渡辺もいたけど、泣いてた。かな?」
「は?何で泣くんだよ。仕事しろよ、大人だろ」
中のおぼろげな言葉に、静が盛大な溜息を付く。元が「あのね」と口を出す。
「渡辺先生が、叱っても効き目がなくて、3年生が笑っていたから泣いたんだと思うよ?前にも、掃除の時間中に話を聞いてもらえなくて、泣いていたことがあったから。それで羽賀先生が途中で代わっていたと思う」
「はぁー?で、羽賀センが怒ったと…」
「うん。何でこんなことをしたのか、理由を言ってみなさいって、羽賀先生すごい大きな声を出していたもん」
元は思い出したのか、自分の耳を塞ぐ仕草をする。
「羽賀セン、声でけーからな」
勢いあるし、と静は笑みを浮かべる。
「ま、渡辺じゃ頼りないし…」
中は頷きながら、小さく肩を竦める。
その呟きに、静が吹き出す。
「中には、誰だって頼りないだろ?」
「や、そんなことはない」
静の言葉に、中は興味なさそうに手を振る。
「そんなことあるって。それに、羽賀先生って中には優しいと思うよ?ぼく」
「注意はされても、怒られる質じゃないもんで」
元の言葉にも、曖昧な返事をする中。
「何だよお前、ヘリクツ言うなよ。そういうの言い訳って言うんだろ?羽賀センが前に言ってた」
静は教師にあだ名を付ける。年の離れた兄達の影響だろうが、大人が相手でも物怖じしない。
元は教師に「先生」を付けて、大人にもきちんと気を遣って行動する。それは元の家庭環境にもよるだろうが、それが元の「ふつう」だった。
中は教師を名字で呼び、自分の考えに忠実に、相手が誰でもペースは変わらない。
3人で話す分には問題ないが、学校で話していたらすぐに怒られそうな内容だ。それが分かっているから、3人はいつも寄り道をする。思ったこと、感じたことをお互いに話すため
「そういう静だって、羽賀に可愛がられていると思う」
「そうだよ、ぼくも中に賛成」
「まーな、手に負えないって良く言われる」
「や、それとは違う」
否定したものの、得意げな静に、中は「まいっか」と言葉を切る。
「怒られても、静は平気だもんね?すごいよね?」
元の言葉に、静は首を傾げる。
「平気っつーか、気にしねーからなぁ。家でもガミガミ言われてるし、いちいち怒られたこと覚えてられねって」
間延びした静の声に、元は肩を落とす。
「2人とも、強くて良いなぁ」
元の溜息交じりの呟きに、中と静が顔を見合わせる。
「元が最強。だから、大丈夫。気にしない」
言われた元は、意味が分からず目をぱちくりさせる。
「お前、自覚ねーの?これだからボンボンは…」
静の言葉に、元が珍しくムッとする。
「ぼく、ボンボンじゃないから。そういう馬鹿にした言い方、やめてよね」
元は反抗するが、静は気にしていない。
「そうじゃなくて、お前はまず怒られるようなこと自分からしねーだろ?兄ちゃん姉ちゃんカッコいいし、何でウチと中を羨ましがる必要があるんだって話」
あっけらかんと言う静。
静は、思ったことをそのまま口にする。中も小さく同意を示したことで、からかわれているんじゃないと分かり、元はホッとする。
「茜ちゃん、いつも言ってるよ。椿くんはとっても優しくて、素敵だって。静ちゃんが羨ましいって」
急に身内の話を振られ、静は急に動揺する。
「はぁー?ステキ?聞いたことねーし、ないない。あの椿に、ステキ要素はいっこもない。茜ちゃん、ぜってー気を遣ってんだって」
静の兄と元の姉が同級生なこともあり、2人の家庭には共有する情報がいくつかある。
「照れてるの?」
勢いよく否定した静に対し、中が笑いながら問いかける。
「何で照れる必要があるんだし?お前マジで意味わかんねー」
「や、兄を褒められて、嬉しくて?」
「うっせーな!」
「図星?」
「図星って何?」
静と中の会話の応酬に、のんびりした元が加わる。
「んと、その通りってこと」
「へー、中は物知りだね。ぼくの知らないこと、よく知っているもんね」
「うん、その話じゃないけど。…まいっか」
「じゃあさ、静も茜ちゃんが椿くんを褒めて嬉しかったんだね」
「何で蒸し返すかな。元はよ」
静が悪態を付く。元はそれでもマイペースだ。
「だから、そういう言い方良くないよ静。でも、ぼくも椿くん優しいから好き」
「だから、好き嫌いの話じゃねーから。元ん家と違って、アイツは年上ってガラじゃねーし。外じゃどうだか知らんけど、家の中じゃとんでもねーっつー話。一兄(いちにい)なら分かるんだけど、ウチには意地悪しか言わねーし。っつーか、椿の話はもう終わり。ま、あんなんでも、クソ親父よりは、はるかにマシなんだろうけど」
「そんなこと…」
静が勢いで発した言葉に、元は困る。2人の空気が止まり、気まずい空間が生まれる。中はそれを見て口を開く。
「大した記憶もないくせに、そういう言い方はおかしい」
中に言われ、静は「まずい」と思ったが、焦ったように口を開く。
「だって、楓を残して家を出ていくなんて、よっぽどのロクデナシだぜ?」
もうずぐ3歳になる、静の妹を思い出し、中は思わず笑ってしまった。顔は静かにそっくりだが、性格がだいぶ違う。
その楓が生まれた直後、静の父親はいなくなった。静はそのことに触れると、決まって父親を憎んでいる言い方をする。そうでもしないと、自分が弱くなると思い込んでいるから。
「そんなの、大人の事情なんだから。言っても仕方ない」
中の言葉に、静も渋々頷いた。
「…まーな」
静が何も言わないことを確認すると、中は一呼吸置き「あーあ」と少し大きな声を出す。
「キョウダイ欲しかったなー」
棒読みのセリフに、空気も話題も変わったことを察し2人とも自然に入っていた力を抜いた。静と元が顔を見合わせる。
「ま、家の中で飽きなくて済むけどな」
「そうだね、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいて、確かに良かったけど…」
元は、首の下にそっと手を伸ばし、寂しそうに笑う。
「お母さんもいればなあ、って…」
中は「うん」と答えるが、静は首を振る。
「それこそ、仕方ねーじゃん。もう、いなくなっちゃったんだから」
元はやっぱり寂しそうに笑った。
元の母親は、元が5歳を迎える前に亡くなった。
元々、体が強くなかったらしく、元を生んでからは更に体力をなくした。そして、元が3歳になる頃には、入退院を繰り返していた。
そういう意味では、元は紛れもなく母親似だ。
「良い思い出いっぱいあるんだろ?ウチと違って」
「後の言葉必要?」
「中、うるっさい」
こんな時でも、静は突っ込みを忘れない。元は潤んだ目で「うん」と頷く。
「母ちゃん、好きなんだろ?」
「うん」
「じゃ、悲しいけど泣くなよ。お前がめそめそしてると、母ちゃん、心配してゆっくり休めねーだろ?」
「…うん」
「静って、本当、静母にそっくり。やっぱ将来は戦うんだろうな、色んなものと」
中の言葉に、元は涙目のまま声を出して笑った。
静の母は、とても賑やかだ。保育園時代は毎朝「戦ってくるから」と言って静を預けていた。子ども心に、何か大変なことをしに行っているんだ、と3人とも思っていた。実際は看護師で、激務だから「戦い」と言われても納得ができるが、その当時の中と元にとって、静の母はヒーローのようなものだった。勿論、静も母を尊敬しているし、それは今も変わらない。
「お前はよ?空気読めっつーの」
「何の空気?」
「この空気!」
元が声に出して笑っているのを見ると、静もホッとしたように中に突っかかる。
羽木 元は「どうしたの?」が口癖の、平和主義ののんびり屋だ。ただ、生まれつき体が弱く、すぐに熱を出す面倒な体質を持っていた。本人はどうにかして元気になりたいようだが、今のところ月2ペースで発熱している。頑張りすぎてしまうことが要因のようだが、健康への兆しはいまひとつ見えていない。
谷 静は「お前」が口癖のやんちゃ女子だ。この中で唯一の紅一点だが、2人よりもよっぽど男らしい。性格もそうだが、口も態度も乱暴なのが特徴的。結果として回りに迷惑をかけるが、本人にその意識はなく後先考えないままの生活が続いている。
誰が中心になるとか、リーダーになるとかは決まっていない。3人が3人とも違う性格で、違う考え方をしているから。
保育園でも「他の子とは、ちょっと違う?」そんな3人が自然と集まった。だから、3人とも好きに行動し、自分の思うように過ごしている日々。
「なー?今日の羽賀セン、やけに機嫌悪かったよな?」
静がふと、思い出したように口にする。
中は、帰宅前の出来事を思い出す。日直だった元に付き添って、一緒に宿題のプリントを取りに職員室に行くと、そこには大きな声を出す担任がいた。
羽賀先生は、中のお母さんたちよりも大分年上の、きりっとした女の先生だ。
中に言わせると「今時珍しい、昭和な人間」で上級生からも怖がられている、厳しい性格をしていた。
「帰る前、3年生がクラスの机に落書きをしたみたいで、羽賀が注意していた」
厳しい性格をしていても、理不尽なことを言わない大人。それが中の羽賀先生に対する印象だった。
「え?何で羽賀セン?なべちゃんは?3年の担任じゃん」
うろ覚えで様子を思い出し、中が返答する。
「うーん、渡辺もいたけど、泣いてた。かな?」
「は?何で泣くんだよ。仕事しろよ、大人だろ」
中のおぼろげな言葉に、静が盛大な溜息を付く。元が「あのね」と口を出す。
「渡辺先生が、叱っても効き目がなくて、3年生が笑っていたから泣いたんだと思うよ?前にも、掃除の時間中に話を聞いてもらえなくて、泣いていたことがあったから。それで羽賀先生が途中で代わっていたと思う」
「はぁー?で、羽賀センが怒ったと…」
「うん。何でこんなことをしたのか、理由を言ってみなさいって、羽賀先生すごい大きな声を出していたもん」
元は思い出したのか、自分の耳を塞ぐ仕草をする。
「羽賀セン、声でけーからな」
勢いあるし、と静は笑みを浮かべる。
「ま、渡辺じゃ頼りないし…」
中は頷きながら、小さく肩を竦める。
その呟きに、静が吹き出す。
「中には、誰だって頼りないだろ?」
「や、そんなことはない」
静の言葉に、中は興味なさそうに手を振る。
「そんなことあるって。それに、羽賀先生って中には優しいと思うよ?ぼく」
「注意はされても、怒られる質じゃないもんで」
元の言葉にも、曖昧な返事をする中。
「何だよお前、ヘリクツ言うなよ。そういうの言い訳って言うんだろ?羽賀センが前に言ってた」
静は教師にあだ名を付ける。年の離れた兄達の影響だろうが、大人が相手でも物怖じしない。
元は教師に「先生」を付けて、大人にもきちんと気を遣って行動する。それは元の家庭環境にもよるだろうが、それが元の「ふつう」だった。
中は教師を名字で呼び、自分の考えに忠実に、相手が誰でもペースは変わらない。
3人で話す分には問題ないが、学校で話していたらすぐに怒られそうな内容だ。それが分かっているから、3人はいつも寄り道をする。思ったこと、感じたことをお互いに話すため
「そういう静だって、羽賀に可愛がられていると思う」
「そうだよ、ぼくも中に賛成」
「まーな、手に負えないって良く言われる」
「や、それとは違う」
否定したものの、得意げな静に、中は「まいっか」と言葉を切る。
「怒られても、静は平気だもんね?すごいよね?」
元の言葉に、静は首を傾げる。
「平気っつーか、気にしねーからなぁ。家でもガミガミ言われてるし、いちいち怒られたこと覚えてられねって」
間延びした静の声に、元は肩を落とす。
「2人とも、強くて良いなぁ」
元の溜息交じりの呟きに、中と静が顔を見合わせる。
「元が最強。だから、大丈夫。気にしない」
言われた元は、意味が分からず目をぱちくりさせる。
「お前、自覚ねーの?これだからボンボンは…」
静の言葉に、元が珍しくムッとする。
「ぼく、ボンボンじゃないから。そういう馬鹿にした言い方、やめてよね」
元は反抗するが、静は気にしていない。
「そうじゃなくて、お前はまず怒られるようなこと自分からしねーだろ?兄ちゃん姉ちゃんカッコいいし、何でウチと中を羨ましがる必要があるんだって話」
あっけらかんと言う静。
静は、思ったことをそのまま口にする。中も小さく同意を示したことで、からかわれているんじゃないと分かり、元はホッとする。
「茜ちゃん、いつも言ってるよ。椿くんはとっても優しくて、素敵だって。静ちゃんが羨ましいって」
急に身内の話を振られ、静は急に動揺する。
「はぁー?ステキ?聞いたことねーし、ないない。あの椿に、ステキ要素はいっこもない。茜ちゃん、ぜってー気を遣ってんだって」
静の兄と元の姉が同級生なこともあり、2人の家庭には共有する情報がいくつかある。
「照れてるの?」
勢いよく否定した静に対し、中が笑いながら問いかける。
「何で照れる必要があるんだし?お前マジで意味わかんねー」
「や、兄を褒められて、嬉しくて?」
「うっせーな!」
「図星?」
「図星って何?」
静と中の会話の応酬に、のんびりした元が加わる。
「んと、その通りってこと」
「へー、中は物知りだね。ぼくの知らないこと、よく知っているもんね」
「うん、その話じゃないけど。…まいっか」
「じゃあさ、静も茜ちゃんが椿くんを褒めて嬉しかったんだね」
「何で蒸し返すかな。元はよ」
静が悪態を付く。元はそれでもマイペースだ。
「だから、そういう言い方良くないよ静。でも、ぼくも椿くん優しいから好き」
「だから、好き嫌いの話じゃねーから。元ん家と違って、アイツは年上ってガラじゃねーし。外じゃどうだか知らんけど、家の中じゃとんでもねーっつー話。一兄(いちにい)なら分かるんだけど、ウチには意地悪しか言わねーし。っつーか、椿の話はもう終わり。ま、あんなんでも、クソ親父よりは、はるかにマシなんだろうけど」
「そんなこと…」
静が勢いで発した言葉に、元は困る。2人の空気が止まり、気まずい空間が生まれる。中はそれを見て口を開く。
「大した記憶もないくせに、そういう言い方はおかしい」
中に言われ、静は「まずい」と思ったが、焦ったように口を開く。
「だって、楓を残して家を出ていくなんて、よっぽどのロクデナシだぜ?」
もうずぐ3歳になる、静の妹を思い出し、中は思わず笑ってしまった。顔は静かにそっくりだが、性格がだいぶ違う。
その楓が生まれた直後、静の父親はいなくなった。静はそのことに触れると、決まって父親を憎んでいる言い方をする。そうでもしないと、自分が弱くなると思い込んでいるから。
「そんなの、大人の事情なんだから。言っても仕方ない」
中の言葉に、静も渋々頷いた。
「…まーな」
静が何も言わないことを確認すると、中は一呼吸置き「あーあ」と少し大きな声を出す。
「キョウダイ欲しかったなー」
棒読みのセリフに、空気も話題も変わったことを察し2人とも自然に入っていた力を抜いた。静と元が顔を見合わせる。
「ま、家の中で飽きなくて済むけどな」
「そうだね、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいて、確かに良かったけど…」
元は、首の下にそっと手を伸ばし、寂しそうに笑う。
「お母さんもいればなあ、って…」
中は「うん」と答えるが、静は首を振る。
「それこそ、仕方ねーじゃん。もう、いなくなっちゃったんだから」
元はやっぱり寂しそうに笑った。
元の母親は、元が5歳を迎える前に亡くなった。
元々、体が強くなかったらしく、元を生んでからは更に体力をなくした。そして、元が3歳になる頃には、入退院を繰り返していた。
そういう意味では、元は紛れもなく母親似だ。
「良い思い出いっぱいあるんだろ?ウチと違って」
「後の言葉必要?」
「中、うるっさい」
こんな時でも、静は突っ込みを忘れない。元は潤んだ目で「うん」と頷く。
「母ちゃん、好きなんだろ?」
「うん」
「じゃ、悲しいけど泣くなよ。お前がめそめそしてると、母ちゃん、心配してゆっくり休めねーだろ?」
「…うん」
「静って、本当、静母にそっくり。やっぱ将来は戦うんだろうな、色んなものと」
中の言葉に、元は涙目のまま声を出して笑った。
静の母は、とても賑やかだ。保育園時代は毎朝「戦ってくるから」と言って静を預けていた。子ども心に、何か大変なことをしに行っているんだ、と3人とも思っていた。実際は看護師で、激務だから「戦い」と言われても納得ができるが、その当時の中と元にとって、静の母はヒーローのようなものだった。勿論、静も母を尊敬しているし、それは今も変わらない。
「お前はよ?空気読めっつーの」
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「この空気!」
元が声に出して笑っているのを見ると、静もホッとしたように中に突っかかる。
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