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21.本当は分かってる【side獅童】
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「唯ちゃん久々だねえ」
「…」
「オール無視!?あのね、唯ちゃんのおかげで現代文の赤点回避できたよ!本当にありがとお!」
「良かったね」
「唯ちゃんにはたくさん借り作っちゃったからさあ、お詫びにカフェでごはんでもどうかなあー?僕はいつでも空いてるんだけどね!」
「アタシは永遠に忙しいから」
「分かりやすい嘘!!」
「…喋っていいか」
「あ、湊ごめんねえ」
大地が相変わらず阿佐ヶ谷を口説いて玉砕しているところを静止する。
二人には再び俺の家に集まってもらった。
「夏菜のことなんだが…」
「そんなことだろうと思った」
阿佐ヶ谷が相槌を打つ。
コイツは本当に馬が合わない奴だが、夏菜のことだけは全力で協力してくれる。
まあ、いい奴ではある。
「阿佐ヶ谷、そっちは相変わらずか」
「…うん。獅童の話題が出ることすら嫌がるな。もっぱらラギ関連の話題ばかりだ」
「夏菜ちゃんラギ好きなんだあ」
ニコニコと笑っている大地を俺と阿佐ヶ谷が一斉に見て、すぐに目を合わせる。
そうだ、こいつ夏菜の正体知らないんだった。
…夏菜が自分のことを大地に話すかどうかは本人に一任しておいて、俺は話を進める。
「夏菜、最近周りを異様に気にしてないか」
「夏菜が?うーん、周りを気にするのはいつものことだからな」
阿佐ヶ谷に思い当たる節はないらしい。
「実は昨日の放課後たまたま夏菜に会った」
「おー!良かったねえ!」
「夏菜が周りを気にするのは癖かもしれねえ。だけど、それにしても昨日は凄まじいビビり方をしてた。まるで誰かに監視されてないか気にするようなそんな素振りだった」
阿佐ヶ谷の目つきが鋭くなり、大地から笑顔が消えていく。
「監視…?誰に…?」
「それは分からねえ。まあ、教室内で周りの目を気にしてたってことは、おそらく校内の人間だろうな」
「…許さない」
阿佐ヶ谷の瞳が鋭くなっていく。
「憶測でしかないが、とにかく夏菜は誰かに監視されてる。その方向で話を進めていくなら、阿佐ヶ谷には夏菜の様子を見ておいてほしい」
「…そうだな」
「夏菜がどのあたりで特に挙動不審になってるかが分かれば、そこから犯人の特定ができる。あと大地」
「はぁい」
「お前は特に出番なしだ」
「ひどい!」
「まあ、追々大地も必要になってくるだろうからそれまで待っててくれ」
大方の話が纏まって、部屋の中には静寂が訪れた。
俺は少し口を開いて、再び閉じる。
大地が俺の異変に気付いたのか顔を覗きこんできた。
「…湊、どうしたの?」
穏やかな声色は、らしくもなく緊張していた俺の心を解していく。
二人から視線を逸らしながらポツリと呟いた。
「…俺のせい、だから」
二人が目を見開いてこちらを見つめていることが容易に想像できる。
俺だってらしくないことを言ってるのは分かってる。
俺は俺のために夏菜を助けるとほざいていたが、本当は違う。
おそらくだがアイツは俺の人間関係に巻き込まれただけだ。
そのために二人にも協力してもらわなきゃならない。
重い空気の中、大地の声が淀んだ空気を浄化するかのような声で話し出した。
「湊、成長したねえ」
「せ、成長ってなんだよ」
「だって、前まで超絶俺様だったじゃん。悪いことしてもぜーったいに謝らないし、みんなもそんな湊のこと甘やかすしぃ。夏菜ちゃんのおかげかもねぇ」
「あ?うっせぇな潰すぞ」
「アッ死んじゃうっ」
大地を締め上げていると、突然阿佐ヶ谷が立ち上がる。
「アタシは帰る。…アンタが蒔いた種なんだから絶対なんとかして。これ以上夏菜を悲しませないで」
「ああ」
阿佐ヶ谷の一言に頷く。
「まってぇ僕も一緒に帰るからぁ」
「…」
「唯ちゃんが殺人鬼みたいな目してるぅ!!」
スタスタと去っていく阿佐ヶ谷の後ろを大地が急いで追う。
俺は一人になった部屋でスマホに目を落とし、来るはずのない連絡を確認して再びスマホを閉じた。
「…」
「オール無視!?あのね、唯ちゃんのおかげで現代文の赤点回避できたよ!本当にありがとお!」
「良かったね」
「唯ちゃんにはたくさん借り作っちゃったからさあ、お詫びにカフェでごはんでもどうかなあー?僕はいつでも空いてるんだけどね!」
「アタシは永遠に忙しいから」
「分かりやすい嘘!!」
「…喋っていいか」
「あ、湊ごめんねえ」
大地が相変わらず阿佐ヶ谷を口説いて玉砕しているところを静止する。
二人には再び俺の家に集まってもらった。
「夏菜のことなんだが…」
「そんなことだろうと思った」
阿佐ヶ谷が相槌を打つ。
コイツは本当に馬が合わない奴だが、夏菜のことだけは全力で協力してくれる。
まあ、いい奴ではある。
「阿佐ヶ谷、そっちは相変わらずか」
「…うん。獅童の話題が出ることすら嫌がるな。もっぱらラギ関連の話題ばかりだ」
「夏菜ちゃんラギ好きなんだあ」
ニコニコと笑っている大地を俺と阿佐ヶ谷が一斉に見て、すぐに目を合わせる。
そうだ、こいつ夏菜の正体知らないんだった。
…夏菜が自分のことを大地に話すかどうかは本人に一任しておいて、俺は話を進める。
「夏菜、最近周りを異様に気にしてないか」
「夏菜が?うーん、周りを気にするのはいつものことだからな」
阿佐ヶ谷に思い当たる節はないらしい。
「実は昨日の放課後たまたま夏菜に会った」
「おー!良かったねえ!」
「夏菜が周りを気にするのは癖かもしれねえ。だけど、それにしても昨日は凄まじいビビり方をしてた。まるで誰かに監視されてないか気にするようなそんな素振りだった」
阿佐ヶ谷の目つきが鋭くなり、大地から笑顔が消えていく。
「監視…?誰に…?」
「それは分からねえ。まあ、教室内で周りの目を気にしてたってことは、おそらく校内の人間だろうな」
「…許さない」
阿佐ヶ谷の瞳が鋭くなっていく。
「憶測でしかないが、とにかく夏菜は誰かに監視されてる。その方向で話を進めていくなら、阿佐ヶ谷には夏菜の様子を見ておいてほしい」
「…そうだな」
「夏菜がどのあたりで特に挙動不審になってるかが分かれば、そこから犯人の特定ができる。あと大地」
「はぁい」
「お前は特に出番なしだ」
「ひどい!」
「まあ、追々大地も必要になってくるだろうからそれまで待っててくれ」
大方の話が纏まって、部屋の中には静寂が訪れた。
俺は少し口を開いて、再び閉じる。
大地が俺の異変に気付いたのか顔を覗きこんできた。
「…湊、どうしたの?」
穏やかな声色は、らしくもなく緊張していた俺の心を解していく。
二人から視線を逸らしながらポツリと呟いた。
「…俺のせい、だから」
二人が目を見開いてこちらを見つめていることが容易に想像できる。
俺だってらしくないことを言ってるのは分かってる。
俺は俺のために夏菜を助けるとほざいていたが、本当は違う。
おそらくだがアイツは俺の人間関係に巻き込まれただけだ。
そのために二人にも協力してもらわなきゃならない。
重い空気の中、大地の声が淀んだ空気を浄化するかのような声で話し出した。
「湊、成長したねえ」
「せ、成長ってなんだよ」
「だって、前まで超絶俺様だったじゃん。悪いことしてもぜーったいに謝らないし、みんなもそんな湊のこと甘やかすしぃ。夏菜ちゃんのおかげかもねぇ」
「あ?うっせぇな潰すぞ」
「アッ死んじゃうっ」
大地を締め上げていると、突然阿佐ヶ谷が立ち上がる。
「アタシは帰る。…アンタが蒔いた種なんだから絶対なんとかして。これ以上夏菜を悲しませないで」
「ああ」
阿佐ヶ谷の一言に頷く。
「まってぇ僕も一緒に帰るからぁ」
「…」
「唯ちゃんが殺人鬼みたいな目してるぅ!!」
スタスタと去っていく阿佐ヶ谷の後ろを大地が急いで追う。
俺は一人になった部屋でスマホに目を落とし、来るはずのない連絡を確認して再びスマホを閉じた。
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