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「真実.....?」
香澄は首をひねる。
「そう。本当の事を知ってる人の方が少ないからね」
アンソニーが言った。
「あのっ!」
「どうした?」
「質問があるんです...」
何故か尻つぼみになりながら言うとアンソニーから「ふっ」と言う笑い声が聞こえて来た。
「先ず、私は、リドルさんに復活の事で知りたい事を聞きに行こうと誘われたんです。でも、リドルさんは私を『連れて来た』って言いました。最初から私をココに連れて来る予定だったのですか?」
アンソニーが一瞬リドルを睨んだ気がしたが、それは気にしないようにした。アンソニーはちょっと考えて
「君の思った通りだよ。僕は最初から君をココに連れて来るように言ったんだ。リドル 君は何て声をかけたの?」
「香澄さんに本当の事を言って連れて来る事も考えたのですが、話の流れで...すみません...」
リドルが頭を下げながら言った。
「それから、なんでラジルドの事を知ってるんですか?天界の方達はラジルドの件を知らない風でした。なのになんでアンソニーさんが...」
「ラジルド君の件を知っているのは北と東が知っていて動いている。その内みんな知るだろうけどそれじゃ遅いんだ。別に隠している訳では無いんだが、漏れて南と西までが動き出すと何かとややこしい事が多くなる。だから黙ってる。ついでに言うと、君を北に置いておきたいのは東から守りたい為もあるんだ」
守りたい?...と香澄は思った。
「東は何かあるんですか?」
「これは後で話すよ。話がややこしくなるし...」
「解りました。話して下さるんなら」
「天界人って魔法が使えないんだ」
香澄は考えた。そういえば天界人が魔法を使っている所を見た事がなかった。
「天界人って言うのは魔法を使えない、ただ修行が終わって本当にいるべき場所に帰ってきただけの存在...。そんなのって天界人って言えると思う?」
アンソニーが語るには...
神の1番近くで使えている天界人が何の力も持っていなかったのを不満に思った天界人が 魔界に降りた。そして、魔界人と天界人との間の子孫を作ろうと思った事が黒羽族の始まりだったらしい。でもそれはあえなく失敗に終わる。
魔界人になるには魔界人と結婚をしなければ魔界人として認められない。そして魔界に降りた天界人は魔界の気に当てられて長生きが出来なかった。
「でもね、朗報もあるんだ。」
そう言ってアンソニーは不敵に笑う。
「魔界に降りた天界人が魔界人との間に作った子供はみんな大きな力と背中に黒い羽があったんだ。そして魔界人として長い時も生きられた。今度こそ魔界人と天界人との間に...と思っていた矢先に」
「内戦ですか...」
「そう。黒羽族は力が大きかった。自然の力を操れるんだ」
「自然...?」
「それは知らなかったんだね。地震、雷、雨、雪、雹、なんでも作り出せる」
「凄い...」
「だから疎まれていた所もある。ましてや天界人の子孫。どんな魔人と掛け合わせても産まれてくるのは黒羽族、初めはちょっとした魔界人同士のいざこざだったのかもしれないけど、このままだと全ての魔界人全部が黒羽族になってしまう...と密かにあった不安が爆発して矛先が黒羽族に向いてしまったのかもしれないね」
「そんな...」
「それから、天界人と天界人の間では子供が出来ない」
びっくり仰天の事実に「は?」と言って空いた口が塞がらなかった。確かに子供の姿を見た事がなかった。
「天界人には魔法が使えない。そして子供も作れない。だから、トーテンブル様は考えたんだ。天界と魔界の融合。自由に魔界と天界を行き来出来る新しい種族を作って新しい時代を作ろうと...」
「はぁ....」
「その為には君の力が必要なんだ。僕達は君とラジルド君の恋を応援する」
「それで...東って言うのは...」
「東はね、その考えに反対している。天界に発展は必要ないと考えているんだ。魔界は魔界。魔界の事に天界は関与しない。天界に魔界人も入れない。閉鎖的な考えだね」
「なるほど...」
「君の存在も疎ましく思っていて排除しようと企んでいるし、ラジルド君も排除しようとしている」
香澄は「え?」と言ったまま固まってしまった。
「びっくりするだろう?そんな事はあってはならない。東は危ないんだ。だから保護する意味で北から出て欲しくないって言ったんだよ。解る?」
香澄はコクコクと首振り人形みたいに何度も首を振った。
「解ってくれて嬉しいよ。じゃあ、またこの話はおいおい詰めていくとして...リドル、部屋に案内してあげて。色んな情報で頭を整理する時間も必要だよね」
そう言ってウインクする姿を見て、またコクコクと首振り人形になる香澄だった。
部屋に案内された後、リドルが香澄の部屋から持っていた私物を持って来てくれた。
そして、香澄の復活が遅れているのは東の影響が大きいのだと教えてくれた。
「魔界の影響が大きい香澄さんを復活させるのに戸惑っている人達がいるんです」
「復活出来ないって事?」
「はい、異例でもう一度人間界に戻して天界に連れて来る話も出ているみたいですよ」
「.......」
「今日はゆっくり休んで下さい。明日もまた来ますから」
リドルはそう言って部屋を出て行った。
今、ラジルドに会いたかった。色々話して相談したかった。
『このまま復活出来なければ人間界に戻ることになるかもしれない。人間界に行けばラジルドの事はすっかり忘れてしまう。天界に来るには10歳までの子供のうちに連れてこられるから...10歳までにラジルドの事を思い出すとか無理だろう...。ってか全く自信ない。
じゃあ、復活したらどうなるの?天界人になってしまえば長く魔界では生きられないって言ってた。北の人達は復活させてラジルドに合わせたがってるけど、そうしたらラジルドと一緒に入れる時間なんてたかがしれてる。
天界人にならなかったら?
ずっと幽体のままで生きていく事は出来ないんだよね...。
もう自分に選択肢ってないじゃん。
ラジルドはこの事を知っていたのかな?人間界に早く転生させたがっていた。エッチがしたかったからだけじゃないのかもしれない...。(エッチがしたいからだけの理由で転生させたがるのもどうかと思うが...)ラジルドは知っていたから色々考えていたのかもしれない。2人がずっと一緒にいる為に。
多分、カイトの言っていたバランスが崩れる事も解ってやっていたんだろうと思う。ラジルドはどう考えたんだろう...』
考えが知りたかった。
香澄は自分が如何にラジルドに頼りきって生きていたか痛感していた。そしてラジルドがどれだけ考えてくれていたのかと思うと涙が出そうになった。
考えようにも材料がない...。相談できる人もいない。その時、ふとカイトの顔が浮かんだが頭を振って消した。相談したって天界人の彼の答えは決まってる気がしたからだ。
選択肢がないんなら復活してラジルドの側に行きたい。
長く生きられないんなら2人でいる時間を大切にすれば良いだけの話じゃないか...。側に行って謝りたい。疑った事も信じなかった事も黙って天界に来てしまった事もずっと側にいれない事も...。きっと笑って許してくれる。
香澄はこれからどうなって行くのか不安でため息を着いた。
香澄は首をひねる。
「そう。本当の事を知ってる人の方が少ないからね」
アンソニーが言った。
「あのっ!」
「どうした?」
「質問があるんです...」
何故か尻つぼみになりながら言うとアンソニーから「ふっ」と言う笑い声が聞こえて来た。
「先ず、私は、リドルさんに復活の事で知りたい事を聞きに行こうと誘われたんです。でも、リドルさんは私を『連れて来た』って言いました。最初から私をココに連れて来る予定だったのですか?」
アンソニーが一瞬リドルを睨んだ気がしたが、それは気にしないようにした。アンソニーはちょっと考えて
「君の思った通りだよ。僕は最初から君をココに連れて来るように言ったんだ。リドル 君は何て声をかけたの?」
「香澄さんに本当の事を言って連れて来る事も考えたのですが、話の流れで...すみません...」
リドルが頭を下げながら言った。
「それから、なんでラジルドの事を知ってるんですか?天界の方達はラジルドの件を知らない風でした。なのになんでアンソニーさんが...」
「ラジルド君の件を知っているのは北と東が知っていて動いている。その内みんな知るだろうけどそれじゃ遅いんだ。別に隠している訳では無いんだが、漏れて南と西までが動き出すと何かとややこしい事が多くなる。だから黙ってる。ついでに言うと、君を北に置いておきたいのは東から守りたい為もあるんだ」
守りたい?...と香澄は思った。
「東は何かあるんですか?」
「これは後で話すよ。話がややこしくなるし...」
「解りました。話して下さるんなら」
「天界人って魔法が使えないんだ」
香澄は考えた。そういえば天界人が魔法を使っている所を見た事がなかった。
「天界人って言うのは魔法を使えない、ただ修行が終わって本当にいるべき場所に帰ってきただけの存在...。そんなのって天界人って言えると思う?」
アンソニーが語るには...
神の1番近くで使えている天界人が何の力も持っていなかったのを不満に思った天界人が 魔界に降りた。そして、魔界人と天界人との間の子孫を作ろうと思った事が黒羽族の始まりだったらしい。でもそれはあえなく失敗に終わる。
魔界人になるには魔界人と結婚をしなければ魔界人として認められない。そして魔界に降りた天界人は魔界の気に当てられて長生きが出来なかった。
「でもね、朗報もあるんだ。」
そう言ってアンソニーは不敵に笑う。
「魔界に降りた天界人が魔界人との間に作った子供はみんな大きな力と背中に黒い羽があったんだ。そして魔界人として長い時も生きられた。今度こそ魔界人と天界人との間に...と思っていた矢先に」
「内戦ですか...」
「そう。黒羽族は力が大きかった。自然の力を操れるんだ」
「自然...?」
「それは知らなかったんだね。地震、雷、雨、雪、雹、なんでも作り出せる」
「凄い...」
「だから疎まれていた所もある。ましてや天界人の子孫。どんな魔人と掛け合わせても産まれてくるのは黒羽族、初めはちょっとした魔界人同士のいざこざだったのかもしれないけど、このままだと全ての魔界人全部が黒羽族になってしまう...と密かにあった不安が爆発して矛先が黒羽族に向いてしまったのかもしれないね」
「そんな...」
「それから、天界人と天界人の間では子供が出来ない」
びっくり仰天の事実に「は?」と言って空いた口が塞がらなかった。確かに子供の姿を見た事がなかった。
「天界人には魔法が使えない。そして子供も作れない。だから、トーテンブル様は考えたんだ。天界と魔界の融合。自由に魔界と天界を行き来出来る新しい種族を作って新しい時代を作ろうと...」
「はぁ....」
「その為には君の力が必要なんだ。僕達は君とラジルド君の恋を応援する」
「それで...東って言うのは...」
「東はね、その考えに反対している。天界に発展は必要ないと考えているんだ。魔界は魔界。魔界の事に天界は関与しない。天界に魔界人も入れない。閉鎖的な考えだね」
「なるほど...」
「君の存在も疎ましく思っていて排除しようと企んでいるし、ラジルド君も排除しようとしている」
香澄は「え?」と言ったまま固まってしまった。
「びっくりするだろう?そんな事はあってはならない。東は危ないんだ。だから保護する意味で北から出て欲しくないって言ったんだよ。解る?」
香澄はコクコクと首振り人形みたいに何度も首を振った。
「解ってくれて嬉しいよ。じゃあ、またこの話はおいおい詰めていくとして...リドル、部屋に案内してあげて。色んな情報で頭を整理する時間も必要だよね」
そう言ってウインクする姿を見て、またコクコクと首振り人形になる香澄だった。
部屋に案内された後、リドルが香澄の部屋から持っていた私物を持って来てくれた。
そして、香澄の復活が遅れているのは東の影響が大きいのだと教えてくれた。
「魔界の影響が大きい香澄さんを復活させるのに戸惑っている人達がいるんです」
「復活出来ないって事?」
「はい、異例でもう一度人間界に戻して天界に連れて来る話も出ているみたいですよ」
「.......」
「今日はゆっくり休んで下さい。明日もまた来ますから」
リドルはそう言って部屋を出て行った。
今、ラジルドに会いたかった。色々話して相談したかった。
『このまま復活出来なければ人間界に戻ることになるかもしれない。人間界に行けばラジルドの事はすっかり忘れてしまう。天界に来るには10歳までの子供のうちに連れてこられるから...10歳までにラジルドの事を思い出すとか無理だろう...。ってか全く自信ない。
じゃあ、復活したらどうなるの?天界人になってしまえば長く魔界では生きられないって言ってた。北の人達は復活させてラジルドに合わせたがってるけど、そうしたらラジルドと一緒に入れる時間なんてたかがしれてる。
天界人にならなかったら?
ずっと幽体のままで生きていく事は出来ないんだよね...。
もう自分に選択肢ってないじゃん。
ラジルドはこの事を知っていたのかな?人間界に早く転生させたがっていた。エッチがしたかったからだけじゃないのかもしれない...。(エッチがしたいからだけの理由で転生させたがるのもどうかと思うが...)ラジルドは知っていたから色々考えていたのかもしれない。2人がずっと一緒にいる為に。
多分、カイトの言っていたバランスが崩れる事も解ってやっていたんだろうと思う。ラジルドはどう考えたんだろう...』
考えが知りたかった。
香澄は自分が如何にラジルドに頼りきって生きていたか痛感していた。そしてラジルドがどれだけ考えてくれていたのかと思うと涙が出そうになった。
考えようにも材料がない...。相談できる人もいない。その時、ふとカイトの顔が浮かんだが頭を振って消した。相談したって天界人の彼の答えは決まってる気がしたからだ。
選択肢がないんなら復活してラジルドの側に行きたい。
長く生きられないんなら2人でいる時間を大切にすれば良いだけの話じゃないか...。側に行って謝りたい。疑った事も信じなかった事も黙って天界に来てしまった事もずっと側にいれない事も...。きっと笑って許してくれる。
香澄はこれからどうなって行くのか不安でため息を着いた。
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