Soul

あくび

文字の大きさ
19 / 21

19

しおりを挟む
月日は流れて夏澄は13歳になった。
香澄の時代に魔界に落ちてきた時と同じ年齢になった。その頃から夏澄は奇妙な夢を見る様になっていた。
夏澄の周りを子供の天使たちがグルリと囲み拍手をしている。
夏澄が手に抱いているのは黒い羽の天使.....。

毎日同じ夢を見るのでアミアンセに相談してみる。
アミアンセは大きな水晶を覗き込んで
「悪い夢ではないのだけど...気になるわね。夢魔は関与して無いし....予知夢にしては気味が悪いわね」
天使の存在は魔界では気味が悪いのか...夏澄はちょっと考えて
「なんだか身体が凄く疲れるの。寝不足のせいなのかな?ママ、良く眠れるお薬作って」
「そうね。お薬を飲んで今日は早く休んだ方がいいわ」
アミアンセはかすみの身体に合った睡眠導入の薬を作ってくれた。
夏澄はそれを飲んで早く休んだ。


夏澄が眠ってから3日が経った。
揺すっても何をしても起きない夏澄にアミアンセは責任を感じ泣きっぱなしだった。
「アミアンセの責任じゃないって、今 色々調べてるから大丈夫」
ラジルドがそう言ってアミアンセを元気付ける。

ラジルドは夏澄が睡眠導入剤を飲んだと言う日にアミアンセから夏澄の見る夢の話を聞いて 直ぐに職場にとんぼ帰りをしていた。
目の前には魔鏡。相手は勿論シャルラだ。
「解った~北の動きを調べてみる~」
そうシャルラは言ってくれたのだが...。

「特に~北に変わった動き?は無いよ~これで~北に何か不穏な動きがあったら~魔界行きが~決定だからな~。そんな危ない橋は~渡らないと思うけど~。夏澄ちゃん心配だね~」
「お前いい加減 その間延びした喋り方やめろって...」
「え~これが良いのに~」
「.......」
「今ね~、ちょっと調べてるから~待ってて~古い文献見つけたんだけど~文字の解析がね~相当古い文献だわ ありゃ。」
「急げよシャルラ」
「だから~、何でラジルドちゃんは~そんなに上からーーー、解った解ったって!睨むなよ怖ーーー、おーい もしも~し おーい...。居ないし...」
シャルラは暗くなった魔鏡の前で独りごちる。
「うーん...。香澄ちゃん人間界に戻したのは無理があったって事なのかなぁ~」



一方 夏澄はずっと夢を見ていた。
夢の中では 白髪の髭を蓄えたおじさんと話をしていた。
気持ちの良い風が吹き 夏澄の頬をくすぐる。小さな天使たちが夏澄の周りをクルクル回ったり 時折髪の毛を引っ張ったりしていたずらをしていた。
夏澄はその光景を何処かで見た記憶があった。...が思い出せない。
夢の中で夏澄はカトゥエルと呼ばれていた。
それを『懐かしい』と思う自分がいる事に自分でびっくりする。
『何で復活を拒んだ?』
「...拒んだ?」
『カトゥは記憶が無い事に何で疑問を感じない?』
「疑問...」
『自分が何者であるのか...皆が知りたい事じゃないのか?』
「自分が何者かなんて...」
『ココに来れば思い出すと思ったんだが...思ったより根深いの』
「何が?」
『思い出すのが怖いか?でも見つけたんだろう?』
「....見つけたって何を?」
『心の拠り所...かな?』
そう言って白髪のおじさんは笑う。夏澄は考える。拠り所って何の事なのか...。
「おじさんは誰?」
『おじさんか....そうだな、おじさんは神と呼ばれているな』
「え?神様?」
『ハハハ...そうだな。カトゥ お前もそろそろ色々な事を許して良いんじゃないのか?』
「許す?」
『そう、逃げていたって事は解決しない。人は間違える生き物だ そして一人じゃ生きては行けないな。人間だって天人だって魔人だって神だって...』
「神も?」
『そうだな。間違える。だから側に誰か居ないとダメなんだ』
「神様は寂しい?」
『カトゥが幸せなら寂しくないよ』
「私は幸せだよ。魔界はいい人ばかりだし」
おじさんは笑ったまま答えてくれなかった。
『さぁ、行きなさい。ココは時間の流れが遅い...』
おじさんがそう言うと目の前が白けて来て靄がかかった様な感じになって来た。
「.......」
何か言葉を発したが自分が何を言ったのか解らなかった。


夏澄は静かに目を開けた。
目を開けて周りを見渡すと泣きながら「良かった」って言っているアミアンセの姿と自分の手を握っているラジルド、アミアンセを抱きしめるパーシックの姿が見えた。
ただ、身体が凄くだるかった。
「夏澄、気分はどうだ?」
ラジルドが聞く。
「私、どれ位眠ってたの?」
「3日眠っていたよ。お腹は空いてないか?何か飲むか?」
「お水を貰って良いかな?」
夏澄はラジルドに助けられながら起き上がる。起き上がるのも一苦労だった。
「夏澄、気分が悪いか?」
「うん。だるいの...。ラジルド、私ねーーー」
ラジルドが夏澄を痛い位に抱きしめた。
「夏澄。夏澄。思い出した?前世の記憶戻った?」
耳元でラジルドが言う。夏澄は黙って頷いた。アミアンセとパーシックが「ほんとに?」ってびっくりしている。
夏澄はアミアンセがくれたグラスに口をつけて水分補給をする。
「香澄が戻って来た!」
ラジルドは嬉しそうに夏澄の頬に頭にキスをしている。
「ラジルド....」
「どうした?夏澄」
「話があるの。二人で。今後どうして行くのか話さないといけない」
パーシックとアミアンセは一旦二人で顔を見合わせてから夏澄の方を向いて頷くと 部屋から静かに出て行った。夏澄は少し不安そうな二人を目で見送るとラジルドの方を向く。
「ラジルド 私ね、多分このままだと後少ししか生きられないと思う」
「!!!」ラジルドが息を飲んだ。
「何で?夏澄は人間界にから戻って来たじゃないか。人間なのに何で!」
「何処から話せば良いのか解らないけど...私は人間じゃない。人間になれなかった天使。人間になって出来たことは 一時記憶を消しただけだった...。」
夏澄がハラハラ涙を流した。
「.....夏澄...どういう事?解るように説明ーーー」
「私の名前はカトゥエル。天界に戻らないと私はこのままでは消滅してしまう」
「は?」
その後 夏澄が「ちょっと横になっても良いかな?」と言ったのでラジルドは静かに夏澄をベットに寝かせた。
夏澄は「話が長くなるけど...」と前置きして「上手く話せるかな...」と言いながら話を始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...