枝垂れ桜Ⅱ

あくび

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仁は話が終わると「今なら夜には風来に帰れるから」と直ぐに出発して帰って行った。
仁が帰った後に慎之介は支度をしていた。


実は空也に対する反発は火炎内ではかなりある。
火炎の治安が乱れている事が1番の理由なのだが、子供に恵まれていないのも理由の一つであった。
慎之介は三男で1番下なのだが、次男の鉄太はかなりの遊び人なのもあって、火炎の家臣一同 慎之介に火炎を治めて貰いたいとの申し出が度々合っていた。

「このままでは火炎はダメになります」
「.....」
「どうぞ旗揚げして私達と共に戦って頂きたい!」
「内戦なんて事になったら 甚大な被害が出るぞ」

慎之介が冷静に答える。

「このまま!このままでもいつかは甚大な被害が出ます!薬で頭がおかしくなり、空也様の気に入った者達がのさばって、作物を作る者が居なくなって、物を売る者も居なくなって、今の火炎は強盗に傷害ばかりじゃないですか!」

慎之介は何も言えなかった。結局は解っていながら放置している自分も同じ穴のムジナなのだ...。

「慎之介様しかいません。慎之介だけが頼みの綱なのです!」
「お前達の話は解かった。俺にも考える時間をくれないか...」
「慎之介様、どうか、どうぞ私達の、火炎の為にお願いします」

そう言って吾郎は頭を深く下げて出て行った。


慎之介は吾郎の元に向かうべく支度が終わると家を出た。


慎之介は吾郎の家に行く前に、空也が攫って来たと言う産土の人間が居るだろう...と思い当たる家に寄ってみた。
案の定その人はそこに居て、ガタガタ震える身体と格闘していた。
身体中が痛いのか身の置き場が無い様子で、あっちを向いたりこっちを向いたりしている。
歩けず汚物で汚れた身体を両手で抱きしめて ひたすら震えながら耐えていた。

空也はいない。

産土から連れて来たと言う女は薬が切れて凄く辛そうだった。
鬼と人間では身体の作りが違う。
多分、強い薬を短時間で何回も飲まされたのだろう。
快楽に飲み込まれた代償がこれだ...。

「はぁ~、こりゃひでぇ~」
そう言いながら慎之介は志帆に近付いた。
「空也?」
「残念。空也じゃないよ」
慎之介は締切られた悪臭すらする部屋の雨戸を開け放し空気の入れ替えをした。
その後に「水飲む?」と聞くと志帆は力なく頷いた。

「ねぇ、貴方薬持ってないの?」
志帆が震える声で尋ねた。
「もう少し辛抱したら薬が抜けるから、それまで頑張って」
慎之介は首を振りながらそう言った。志帆の顔が絶望感でいっぱいだった。


慎之介は持参していた粉を水で溶かすと
「これ飲んで」
そう言って志帆の口に近づける。志帆はもの凄く苦い薬を飲まされ、思わずむせた。
「ゴホっ...ゴホっ。何これ!」
「楽になるから頑張って飲んで」
志帆は言われるがままに飲んだ。楽になるのだったら、毒だろうが何だろうが何だって飲みたい気分だったから。

「長く薬を飲んでいたの?」
志帆は力なく首を横に振った。
1日に摂取した量は覚えてないが、飲んだのはここ4日位だ。

「じゃあ直ぐに抜けるよ。明日も明後日も来るから、頑張って」
志帆は男の着物の袖を掴み「行かないで」と訴える。
「行かないと、空也が来たら殺されちゃう。もう絶対、空也から貰った薬を飲んじゃダメだ」
志帆は頷かなかった。自信が無かった。

「薬が抜けたら、産土に帰ろうか?」
笑顔で言う慎之介を見て志帆は目を開いた。
『何で知ってるの???』と志帆は思う。

慎之介は薬を志帆に飲ませた後、手際良く布団と着物を着替えさせると
「だから、もう薬は飲んじゃダメだ」
と言った。

『産土に居れば良かった。
鷹亮の言う事をちゃんと聞いていれば良かった』
意識が朦朧としながらもそんな事を考えていた。そして、
『空也は何故来ないのか...』
そればかり考えていた。

だから、志帆の目からは涙が流れた。

「じゃあ、用事があるから行くからね」

慎之介はそう言うと立ち上がって出て行った。
志帆は幾分気分が良くはなったが まだ震えている手足をさすって、現れない空也に腹立たしい思いをしながら目をつぶった。

『産土に帰ろうか...』
慎之介が言った言葉を繰り返し繰り返し考えていた。
『産土に帰りたい...』
火炎に来てまだ2日しか経っていないのに産土がひどく懐かしく思えた。


慎之介は吾郎の家に行くと先ずは身体中に着いた匂いと汚れにびっくりされて、このままだと申し訳ないからと家に帰ると告げた。
吾郎が「後でこちらから伺います」という言葉に頷いて、そのまま家路に着いた。

********************************

空也は色町の一室にいた。
丸薬を飲むと発情期でもないのに身体が熱くなって女が欲しくなる。
今も女が萎えることのない空也の逸物を慰めていた。
口に入らな程の大きな空也のそれを一生懸命舐める女も薬に浸かっていた。

『なんで?空也は火炎の長なんでしょう?』
志帆の何気ない言葉が空也の心をえぐる。
薬が切れて苦しがってるかもしれない...とも思ったが、俺と一緒の苦しみを味わえとも思っていた。

空也は逸物を慰めている女の頭を掴むと「もういい」と言って女の中にそれを収めた。
ギチギチと入って行ったにも関わらず、女は涎を垂らしながら喜んでいた。
無茶苦茶に突き上げる。
女は嬌声を上げて喜んでいる。
空也は女の口の中に丸薬を放り込むと自分も飲んだ。

何でも出来る気がした。不死身の身体を手に入れた様だった。
発情期でもないのに女を喜ばす事が出来る。その事に喜びを感じて一層硬くなった物を出し入れする。
女が痙攣し出すと逸物を引き抜いて、まだまだ満足していない身体をどうしようかと考えた。

『なんで?空也は火炎の長なんでしょう?』
そうだ!あの女に俺の凄さを解らせなければいけない...。空也はそう考えると志帆の待つ家に向かった。

俺が火炎で1番だという事を...。
火炎がこの世界で1番だと言う事を...。


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