枝垂れ桜Ⅱ

あくび

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志帆は先程まで地獄の様な体調の悪さだったのに 起き上がって歩ける様になっている事にびっくりした。
『もう薬は飲んじゃダメだよ』
言われた言葉を反復した。

汚れている布団を震える身体で引っ張って縁側まで持って来たが、かかえる事は出来なさそうなので縁側で干しておく事にした。
着物は外の井戸で水につけた。

さっきの男が明日も来ると言っていたので、明日になったらもっと動ける様になるだろう...と思い、また布団に戻った。

暫くすると誰かがこっちに向かっているのが見えた。
何だろうと思ってジーッと見つめると、それは飛んで庭に入って来たかと思うと家の中にドカドカと入って来た。

「空也...」
「志帆、お前、コレが無くて辛かったんじゃないのか?」

そう言いながら丸薬を見せた。
志帆は身体が鳥肌が立つのが解かった。
薬を飲んでもないのに身体が喜んでいる。
空也は志帆の口の中に丸薬を入れた。そして志帆はそれをまたあっさり飲んでしまった。

全身が歓喜で震える。
目がチカチカして全てがクリアになった。
目の前に居る空也が1番望んでた人に思えて、やっと元の自分に戻れた気がしてホッとした。

「お前、まず風呂に入って来い」
と言われたが、志帆は風呂の沸かし方が解らなかった。
産土では、人間は丁重にもてなされる為に風呂も食事も作った事が無かった。
「お風呂はどうやって沸かせばいいの?」
と聞くと「そんな事も知らねーのか」と言って空也が立ち上がった。

空也が外に出て行き、また置いていかれた志帆は泣き叫んだ。
またあの苦しみが来るかもしれないのだ...。
『どうしようどうしよう』
と思っていると空也が帰ってきたのでホッとした。

空也は「風呂が沸くまで」と言って志帆に口付けを始めた。
空也も早く付き入れたくて堪らなくなっていたのだ。性急に志帆の大事な部分をまさぐると逸物を出して志帆に突き刺す。
2人は雨戸の開け放された 外から丸見えの家の中で交わり始めた。

志帆は空也が入って来ただけでビクビクっと痙攣してイッてしまう。
不規則に閉まる志帆の中を楽しみながら空也は突き上げた。何度も何度も。
そして、自分の限界が来たら志帆の中で思い切り果てた。

グッタリする志帆を抱えて風呂に入る。
風呂は2人が交わっている最中に輝が沸かしてくれていた。
発情期でもないのに交わっている2人を見て輝はびっくりした。
そして、これが薬の力だと思うと恐ろしくなった。

2人は風呂の中でも布団の中でも交わる。
「志帆、志帆、これが俺の力だ!解るか!」
そう言いながら突き上げる空也に
「んっ...ぅんっ...すごい...空也っ....あぁぁ...気持ちがいい...」
と志帆が答える。
「俺がこの世を変える。俺が全ての世の中に変えるっ!!」
そう言いながら空也は何度目か解らない果てを志帆の中に解き放った。


空也は志帆を連れてその家を出た。
屋敷に戻る途中で鉄太の居る屋敷に寄ると「鉄!」と呼びながら入って行く。
家の中には様々な男女が居て、賭博場になっていた。

酒を飲んで居る者、喧嘩をしている者、博打をしている者...。
志帆はそんな光景を呆気に取られて見ていた。
「どうした?兄貴」
そう言って出て来たのは空也よりも大きな身体をした男だった。

「鉄、俺は決めたぞ!火炎でこの世界を制覇する!火炎の力をこの世の中に見せてやると決めた!」
「はぁ~...やっとか。やっとその気になったか...おせーよ兄貴は」
そう言いながら「お前達あっちに行け!!」とその場に居る鬼達を追い払った。

「良し!!兄貴そうとなったら早い方が良い。こっちには同士が山ほどいるんだ。各領内の同士にも連絡をつける。兄貴!楽園を、新しい世界を作ろうぜ!!」
鉄太が空也の肩をポンポンっと叩いた。

「あぁ...この世は火炎が1番だって見せつけてやる...。そして俺の力を見せつけてやる!」
「ここじゃ場所が足りねーな。本家屋敷に戻るぞ!おらっ!お前達も立ち上がれ!!」
鉄太がそう言うと、鬼の集団がゆらりっと立ち上がった。

そして、火炎領主の本宅に向かった。
鉄太は庭で狼煙を上げる。
空也も志帆を連れて本宅に戻った。


空也が自宅に戻ると家老の小五郎が慌てて飛び出して来た。
「空也様、何事で御座いますか?」
「戦じゃ。先ずは火炎の中を整える。準備せよ」
そう言い放った空也は奥の部屋に志帆を連れて行った。そして「此処にいろ」と言うと、志帆に「辛くなったら飲んでいい。飲みすぎるなよ」と言い残して丸薬が入っている袋を持たせた。
志帆は頷き それを握りしめた。

各所で狼煙が上がり、続々と鬼達が集まって来る。
食料、女、酒、薬、色々な物が屋敷に運び込まれた。
本宅だけでは勿論収まり切れないので鉄太の屋敷も、周りの屋敷も開放される。
空也は満足していた。
自分の一声でこんなにも鬼達が集まって来る。

後は自分の力を見せつけるだけだ!!

*********************************

吾郎は慎之介の自宅に来ていた。
今後、どうして行くかを綿密に話し合う為だった。

『新しい火炎』になって行くには色んな決め事を決めなければいけないが、なんせ火炎の民は気が荒い。2人は膝を突き合わせて悩んでいた。

そんな時、
扉を勢い良く叩いたかと思うと誰かが入って来た。
2人は「はっ」と振り向いたが、そこには家老の小五郎が立っていた。

「大変でございます!!」
「どうした!小五郎!」
「空也様が、戦だと言って人を集め始めました!」
「何???」

慎之介は立ち上がった。

「鉄太様も一緒で御座います!今、色々な物が各地で奪われ集められています...」
「本宅に居るのか?」
「はい」

慎之介は少し考えた後

「俺は本宅に行く。吾郎は反空也派を何処かに集めろ」
「はい!」
「小五郎はこのまま風来に走れ。仁には話がつけてある」
「はい!」
「行くぞっ」

そう言って慎之介は飛び出して行ってしまった。
その後を吾郎も一緒に行く。
家老の小五郎は慎之介と吾郎が一緒にいた事に少しホッとした後、戸締りをしてから風来に向けて飛んだ。


慎之介は本宅の門をくぐると異様な光景に目が見開いた。
火炎の鬼達が所狭しと溢れかえっている。
「空也は何処だ!」
と叫んで家の中に入るとゆうに100人は入れるかという広い座敷の上座に空也が座っていた。

「空也!これは...」
「慎之介、来たか。これで兄弟が揃ったな」
「何をする気だ?」
「俺が世界を変える!火炎の時代を作る!」

空也はそう言うと立ち上がった。

「俺の前に立ち塞がるものは死を与えてやる!」

空也がそう言い切ると、部屋の中から「ワァー!!」っと歓声が上がった。

「ちょっ!ちょっと待てっ!!」

慎之介のその声に空也がこっちを見る。

「そんな事をしなくても、空也は長じゃないのか?皆が空也の力は認めてるんじゃないのか?」
「はっ、慎之介、今や火炎は他の領族に蔑ろにされているんだぞ!そんな事は許さない!火炎の時代を取り戻す!火炎がこの世界を牛耳る!」
「誰が火炎を蔑ろにしたと言うんだ!空也、お前どうしたんだ!」
「風来も、水府も、龍神も、産土も気に食わねー!火炎が法律で火炎が物事は決める!他の領地のいい様にはさせねー!」
「オォォォー!!」

また歓声が上がる。

「どうするって言うんだ...?」
「何?慎之介?お前、おじけずいてんじゃねーの?」

鉄太が後ろから入って来た。

「鉄...」
「お前みたいな子供は良いから引っ込んでなっ!兄貴がやっとやる気になったんだからよー、お前はどっか行ってろっ!」
「お前の入れ知恵か...」

慎之介は鉄太を睨みつけた。

「おー怖い怖い。新しい時代を作りたいってんだから、兄弟として協力するのは当たり前だろう?お前さぁ~、コソコソコソコソしてるけど、何やってんの?まさか、お前が兄貴の代わりに火炎の長にでもなれると思ってんの?」
「何ぃ.....?」

空也がこっちを睨む。

「止めに来ってんならお前も敵だな」
「おい....俺達兄弟だぞ...」
「火炎は親も兄妹も関係ねーんじゃ無かったか?」
「......」
「俺は鈴音をずっと抱いてきたぞ」
「......」
「表に出ろ」

空也が外に出る。
慎之介は青ざめた。空也に力で適うのか...。

「空也、俺を殺っても他の奴らが黙ってないぞ...」
「他の奴らって?」
「風来、水府、龍神、産土...」
「慎之介...それは今の俺には禁句だっ!!!」

ドコォォォォーーーーーっっ!
慎之介が吹き飛ばされる。

「いいか、慎之介、お前は弟だ。1回だけ見逃してやる。俺に付くのか殺されるのか選べ!」
「ぅぅぅ.....」

慎之介は強烈な一撃を食らって起き上がれなかった。
周りの鬼達が大笑いをしている。

骨がやられたかもしれないな...
こんな時なのに由花の顔が浮かんだ。















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