枝垂れ桜Ⅱ

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夜、もうすぐ美咲を寝せつけないといけないと言う時間に夜勤めの者が仁を呼びに来た。

「仁様!大至急でございます。城に来るようにとの連絡です」
「何があった?」
「火炎で騒動が起きている模様です」
「すぐに行く」

キョトンとこちらを見ている美咲に「ジジとババの所に行こう」と言うと美咲は満面の笑顔で頷いた。

「美咲、荷物持っておいで。とと様も準備する」

そう言うとタタタタと走って行ったかと思うと大きい荷物を一生懸命引きずって来た。
部屋じゅうの戸締りを確認した後、東雲に乗り城に急ぐ。
美咲がいるので飛ばせないが 仁の身体に美咲を縛り付けて出来るだけ急いだ。

こんなに揺れて不安定な中でも城に着いた時、美咲は眠っていた。
使用人に美咲を預け、中に急ぐ。

客人を通す客間に顔を出すとそこには火炎の家老が座っていた。
仁が部屋に入って来たと同時に頭を深々と下げる火炎の家老に

「火炎で騒動ですか?」

と聞くと家老が1つ頷いた。

「慎之介様が、私に風来に行く様に言いました。話は通っていると...」
「仁、本当か?」

仁の父である風来の長が聞いた。

「はい。先日、火炎に行って慎之介と話して来ました...で、火炎で騒動とは?」
「空也様が、戦だと火炎の鬼達を集め始めました」
「何?」
「今、慎之介様が止めに行っておられます」
「解かった。龍神に連絡を!」

仁が一言そう言うと天井裏から男が降りてきた。

「先ずは詳しい事情が必要だな...」
「火炎の事情を調べて来い。必要であれば慎之介に接触を許す。それと各領主に直ぐに動ける様に待機しておく様にと連絡しろ!」

仁がそう言うと、頭を下げた男は暗闇に消えて行った。

********************************

慎之介は空也に1発殴られた後 外に放り出されていた。
その慎之介を吾郎達が回収した。
連れて行かれたのは雫谷川の慎之介の自宅だったが、集まっている鬼は50人にも満たなかった。

「各所で動ける男、若い女、食料品が全て取り上げられているらしい...」
「あぁ...反空也派も何人もあっちに行っている」
「これだけの人数で何が出来るのか...」
「じゃあ、お前もあっちに行って、薬、博打、女に溺れるか?」
「いや....」

雫谷川にも不安が広がっている。

「心配するな。慎之介様が各地に救援を求められている。各領内から救援が来るまで此処で頑張るんだ!」

吾郎が叱咤激励を飛ばすが、空也に慎之介が1発で飛ばされた経緯を皆が知ったからこちらの雰囲気はますます暗くなっている。

そんな時、慎之介が皆が居る部屋に入って来た。
ギュウギュウとすし詰め状態になっている鬼達は一同皆が慎之介を注目した。

「皆!不安な気持ちは解る。ただ俺が思うのは、空也に本当に全領地を敵に回して戦う気があるのかって事だ。本当にやる気があるのだったらあの時俺を殺していたんじゃないかと思う。だから 俺はこのまま暫く様子が見たい。
今はまだ、向こうの士気が高いと思う。だが、士気が下がった時が攻め時だ。
それに合わせて、各領土にも後ろ盾になって貰おうと思っている」

聞いていた皆は黙っていた。


確かに、慎之介の読みは当たっていた。
空也の元に集まった鬼達は殆どが堕落した生活を今までしていて、今回の騒動も遊びの一環として捉えている者が多かった。
集めた食料があるので食うのには困らない、朝から晩まで博打をやって、薬に浸かって、女を犯す。

空也も皆が集まった夜から志帆と部屋に篭っていた。

「俺の一声で皆が集まった」

その事実に空也は酔っていた。自分の言う事に反対する者も、逆らう者も誰もいない。
口煩く説教する年寄りもいない。
空也は自由だった。
そして空也の言う事が全てのこの環境に酔っていた。

「志帆...俺の力を見たか...これがっ...俺の...力だ!」
そう言いながら志帆の中で暴れる空也。
「凄いっ...凄いっ...あぁぁ...もっともっと...」

2人はこの3日間寝る間も食べる間も惜しんで交わっている。
部屋を出れば、廊下でも男女が交わり、朝から酒を飲んで 屋敷の中は見るに耐えない状況になっていた。


その間に、雫谷川の家を出て風来の久我邸を拠点にした慎之介達は着実に統制の取れた動きを見せていた。
此処は前から慎之介のお気に入りでもあったが、風来の地に入って来ての戦となれば、介入し安いと仁が考えたからだ。
そしてこの地は竹林の中に家があり、火炎の者達がなかなか中に入りずらかったのだ。

その間に他の4領地は風来との同盟を組む。
これは産土の考えであった。これを機に一気に空也を排除した方が鬼族の為だと言うのが彼の考えであったが...多少は志帆を奪われた恨みも入っている。

龍神は移動手段の為に、空間を行き来する事の出来る龍を置いていってくれた。これがあれば 連絡に時間が掛からない。

そして水府は、昔から何かと水府に食ってかかってくる空也が気に食わなかったのもあり、1番 協力的だった。
久我邸の大きな池に水府との道を作り、竹林のその周りに更に水の薄い膜を貼った。
これは、火炎の使う火から久我邸を守る物である。
火が飛んできたとしても、水で容易に消えてしまう。
もしも、久我邸が落ちる事があっても、皆が池に逃げ込めば水府に逃げられる...と言う作戦であった。

これには 士気の下がっていた慎之介派の鬼達も一気に士気が上がった。
慎之介の株はグングン鰻登りで上がり、皆がやる気で満ち溢れていた。


この慎之介の動きに空也も鉄太も気が付かない訳がない。

「兄貴...慎之介の野郎どうするよ?」
「あぁ?ふんっ...ほっとけ」
「良いのかよ?」
「何が出来るってんだ。火炎にゃもう帰れねーぞ、他の領地で旗挙げたって...他の奴らの言いなりにしか出来ねぇー...あぁ...志帆、おら、あっち向けっ」
「.....」
「志帆、鉄の咥えてやれっ...」

志帆が言われた通りに鉄太の股間をまさぐる。

「鉄、心配すんな」

そう言いながら腰の動きを加速する

「あぁぁぁ....」
「ちゃんと、鉄のを咥えろっ」
「んーーーーーー!!!」
「.......出るっ」

空也は志帆の中で盛大に吐き出した。








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