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「なんで、俺がアンタを見下すんだよ」
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「きゃあ」
フェリスごとよろめいたアレスティが、彼女を引きはがす。
「アレスが俺に憐れまれていると思っていたというのなら、その為に俺との距離があると感じていたというのなら、俺だって同じだよ。俺はずっと、君に見下されていると感じていたんだから」
「なんで、俺がアンタを見下すんだよ」
「小さなころから王子として育てられた俺よりも、ずっと短い時間で作法も教養も身に付けて、城を抜け出しては色々な人と交流をして、慕われて……。俺は、君を鳥のようだと思っていた。俺にもアレスのような翼があればと、思っていた。でも、どんなに願っても俺は君のようには振る舞えない」
「当たり前だ。俺は母親が死ぬまで、ずっと平民として暮らしていたんだ。そんな奴と同じように、アンタが振る舞えるわけがねぇだろう」
「それが……、そういう態度が、見下されていると感じるんだ」
「なんで、そうなるんだよ」
「メイドにものを頼まずに、なんでも自分でやってしまうし」
「それは、俺の母親の身分が低いから、あいつらが言う事を聞かなかったりするからだろう」
「違うよ! アレスは悪い噂ばかりを気にして、疑心暗鬼になっているだけだ。最初のころは、そんなことを言う人もいたことを知っているけれど、今はもうそんな人はいないよ」
「温室育ちのアンタに、そんな話が届くわけがねぇだろう。知らないだけだ」
「ほら、そういう言い方が見下していると言うんだ!」
「違うって言ってんだろ。俺は、昔から何も態度を変えちゃいねぇ。アンタが卑屈になってるだけだろうが」
「俺だって、変えていないよ! 君の母親のことで、気兼ねはしている。悪いとも思っている。でも、本当の兄弟になれたことが嬉しくて。でも、そんなことを言うのは不謹慎で……。だから余計に、引け目を感じてアレスの言うとおり卑屈になっているのかもしれない。でも、憐れむ気持ちなんて、持っていないよ!」
リューイの手がアレスティに伸びて、肩を掴む。彼の胸に額を当てて、絞り出すように言った。
「大好きなアレスと本当の兄弟だって知った時、嬉しくて、仕方なかったんだ。――君の母親を奪ったのに。喜んでいる俺は、悪魔なんじゃないかと思った。何度も何度も、本当の兄弟だったらいいのにと思っていたから、君の母親が死ぬことになって、兄弟になれたんじゃないのかって、怖くなったこともある。知らないうちに、願いが悪魔に届いてしまったんじゃないかって……」
フェリスごとよろめいたアレスティが、彼女を引きはがす。
「アレスが俺に憐れまれていると思っていたというのなら、その為に俺との距離があると感じていたというのなら、俺だって同じだよ。俺はずっと、君に見下されていると感じていたんだから」
「なんで、俺がアンタを見下すんだよ」
「小さなころから王子として育てられた俺よりも、ずっと短い時間で作法も教養も身に付けて、城を抜け出しては色々な人と交流をして、慕われて……。俺は、君を鳥のようだと思っていた。俺にもアレスのような翼があればと、思っていた。でも、どんなに願っても俺は君のようには振る舞えない」
「当たり前だ。俺は母親が死ぬまで、ずっと平民として暮らしていたんだ。そんな奴と同じように、アンタが振る舞えるわけがねぇだろう」
「それが……、そういう態度が、見下されていると感じるんだ」
「なんで、そうなるんだよ」
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「違うよ! アレスは悪い噂ばかりを気にして、疑心暗鬼になっているだけだ。最初のころは、そんなことを言う人もいたことを知っているけれど、今はもうそんな人はいないよ」
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「ほら、そういう言い方が見下していると言うんだ!」
「違うって言ってんだろ。俺は、昔から何も態度を変えちゃいねぇ。アンタが卑屈になってるだけだろうが」
「俺だって、変えていないよ! 君の母親のことで、気兼ねはしている。悪いとも思っている。でも、本当の兄弟になれたことが嬉しくて。でも、そんなことを言うのは不謹慎で……。だから余計に、引け目を感じてアレスの言うとおり卑屈になっているのかもしれない。でも、憐れむ気持ちなんて、持っていないよ!」
リューイの手がアレスティに伸びて、肩を掴む。彼の胸に額を当てて、絞り出すように言った。
「大好きなアレスと本当の兄弟だって知った時、嬉しくて、仕方なかったんだ。――君の母親を奪ったのに。喜んでいる俺は、悪魔なんじゃないかと思った。何度も何度も、本当の兄弟だったらいいのにと思っていたから、君の母親が死ぬことになって、兄弟になれたんじゃないのかって、怖くなったこともある。知らないうちに、願いが悪魔に届いてしまったんじゃないかって……」
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