偽姫ー身代わりの嫁入りー

水戸けい

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「これからは、新王を支え、国を守ってもらいたい」

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 歓声を上げて身を寄せるフェリスの体を抱きしめたアレスティが、静かに、と背後のリューイを目で指して注意する。あわてて口を押えたフェリスが、幸せそうにアレスティに唇を寄せた。

「リューイの王位継承の準備で、すぐに式を上げることは出来ないが、俺が継承権を放棄して補佐に回ると宣言すれば、何の心配も気兼ねも無く、アンタは俺の妻だと胸を張って過ごせるようになる」

「アレスティ、ああ――本当に、私……」

 感激に言葉が続かないフェリスを、アレスティが愛おしそうに抱きしめて頬を寄せささやく。

「愛してる……フェリス」

「――私もよ、アレスティ」

 会うはずのなかった二人が、結ばれることとなった。


 

 厳かな雰囲気の中で、戴冠式が行われた。

 王座から国王が立ち上がり、王座の下に膝をついて控えているリューイの前へと進む。緊張の面持ちのリューイの頭に、自らの王冠を取った国王がそれをかぶせ、国王が王座へとリューイを促して、ゆっくりと王座への階段を進んでいく。それを、主だった貴族が見つめていた。

 壇上に上がったリューイが、ゆっくりと王座に座った瞬間

「新国王、万歳!」

 声が上がり、この瞬間からリューイが国王となった。その横に、前国王がよりそい、アレスティが控える。

「これからは、新王を支え、国を守ってもらいたい」

 先王の言葉に、皆がこうべを垂れた。

「それと、もう一つ。ここにいるもう一人の王位継承者であったアレスティは、王位継承権を放棄し、新王の補佐として努めることになる。この者が今、王位継承権を失ったことを、よくよくわきまえて下らぬことを思わぬよう、心せよ」

 平穏な国だとしても、自らの利の為に娘を嫁がせアレスティを推したて、リューイを廃位へ追いやろうとする者が出ないとも限らない。それを牽制するための宣言に、再び皆が頭を下げた。

 壇上にいる先王と新王リューイ、そしてアレスティの姿を入り口そばで見つめているフェリスは、ほうっと息を吐き出して、住む世界の違う人々を見つめていた。

「もしかしたら、オマエはあそこに立っていたのかもしれなかったのにな」
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