チートは必要でした

エイリス

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災害まで4日

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「ぬ、ぬおおおお。い、痛い」
次の日、当然のように筋肉で泣く俺だった。

運動不足もあるな。これは・・・

親のリクエストで、何とか自分の分と両親のお弁当は出来たが・・

全身が、腕が、足が・・・

そして、今日の授業で体育の文字が・・・や、休もうかな?
単位が取れれば、よ、良かろう?

残念ながら翼が迎えにくるので、休む事は出来なかった・・・

「おーはーよーおーーおーー」
「ど、どうしたの?疲れてますって顔に書いてあるけど」
全身の痛みに耐えながら家を出て挨拶すると、翼が俺の格好を見て質問してくる。

「ちょ、ちょっとな。久しぶりに筋肉を使ったんだ」
「え?マッチョに目覚めたの?似合わないから止めな?」
筋肉はちょっと憧れるけれども!

「プロテインか・・」
「え?本当に止めな?どうしたの?お姉さんが相談に乗るよ?」
俺の言葉に翼が狼狽える。

「誕生日が3日しか違わないだろう・・」
「ふっふーん。それでもお姉さんよ」
つまり3日分の年上、俺よりも早く老け・・

ギロッ
「ん?」

笑顔が怖い・・・

「い、行こうぜ・・」
明後日の方に視線を向けて歩き・・・

「ぎ、ぎゃああああああ」
「あ、本当に筋肉痛なんだ?」
こ、この女、背中を押したぞ!悪魔か!

「さ、急ごう!」
「待て、押すな!・・いや、手を引けと言った分けじゃ。ぎゃああああ」
こいつは悪魔だ。

「くぅ。悪魔め!」
「ん?え?もっと引っ張って欲しいの?」
「お願いします。おやめください。」
こいつなら絶対やる・・・

「ところで、本当になんで筋肉痛?」
「ああ、ちょっと重い物を運んだんだ。」
手を離され解放された俺は、なるべく痛くないように歩きながら答える。

「そんな程度で?どうなの若人?」
「帰宅部舐めるなよ!」
「体育の授業だってあるでしょうに」
「そりゃ、手を抜いて・・」
授業で疲れるとか、ないわー

「やっぱり手を抜いてるーー」
「良いだろう。別に。」
中学の時は、運動部だったんだけどな。
まあ、才能のあるやつには敵わないって事を知ったんだよ。
顧問には努力で才能なんって超えられるって言われたが
才能は大事だよ。
俺が努力して出来るようになった事が、説明を受けて直ぐに出来ちまうんだぜ。

「ふーん。部活してた方が、カッコ良かったよ?」
「へいへい。」
一度も見に来た事ないだろ?お前?

翼からの言葉を受け流しながら、学校へ向かって歩いた。

「おはよ」
「あれ?何かあった?」
「え?ないない。何もないよー。あ、それより聞いてー」


「うっす」
「何?その動き?」
翼と他のクラスメイトの会話を横目に、由紀に挨拶する。

「いや。筋肉痛で・・」
「え?も、もしかしてバイトで?」
「いやいや。あの程度でならないって、ちょっと水とか運んだんだ。」
「水?ボランティアに行ったの?」
「行くと思うか?」
俺が?ボランティア?ないない。

「そ、そうだよね。」
「防災グッツをな。地震が多いだろ?」
「え?今さら?」
確かに、結構前から地震はあったからな。

「ちょっと。防災に目覚めたんだ」
「なにそれ、変な宗教とか入ったんじゃないよね?」
そういえば、そんな事件があったなぁ。
確か大規模な地殻変動だって宗教団体を作って、不良品の防災グッツを売り捌いた事件。

水道水を入れた水。
石が詰まってた救急セット。
普通のアルミホイルが毛布だったか?
その中身で、なんで大丈夫だと思ったのか。

あっさりとバレて、主要幹部が逮捕されたらしいけど。なぜか宗教団体は残ったんだよなぁ。

「テレビの影響だよ、ニュースで見て買っただけだって」
「そうなんだ。家も買っておくかな。
地震で地面が割れて、落ちて異世界転移とかないかなぁー神様に出会ってとか」
「ないない、酔って川に飛び込んで死んでしまってとかないから」
あははははは

「いや、未成年だから。飲めないって」
「え?正義、お酒飲んだの?」
「飲んでないから!っておはよ」
「おはよう。阿部君はや・・早くないのか。佐々木君が遅かったんだね」
そうだな。筋肉痛で少しゆっくりだったな。

その後、担任が教室入ってきて授業を受けた。
お昼のお弁当は、今回死守した。
まあ、昨日は珍しがられたのが原因だからな。

翼が対抗してお弁当を作ったらしいが、黒い物体Xを産み出したらしい。
普通にパンを買いに行っていた。


放課後。

「正義ー。今日って暇?暇だよね?帰宅部」
「な、なんだ?何か用か?」
クラスメイトが教室を出ていくなか、翼が俺に話かけてきた。
暇確定か・・・

「ちょっとね。お願いがあるのよ」
「な、なにを?」
「料理を教えて!!」
そんなに悔しかったのかよ!

「ん?絵里さんに教えて貰えば良いんじゃないか?別に、いいけど」
「お母さんとお父さん出張中なのよ。良かった。帰ったら家に来てね」
「そっか、了解。」

・・・・・待て待て待て、両親いない?え?良いの?

「ふっふっふっふっ。絶対に美味しい卵焼きを作って驚かせてやる!
せ、先輩にお弁当の差し入れとか・・きゃ」
あーはいはい。そうですね。男として見られてないですね・・・


甘酸っぱい雰囲気になる分けもなく、翼の家のキッチンで
「まて!何を入れようとしてる!おい!」
「え?これ入れれば甘く」

「あほか!チョコを卵に入れるな!まて、それはなんだ!」
「これで栄養も充実?」

「栄養ドリンクを入れる意味がわからん!」
戦場だ。こいつ料理した事なかったっけ?って

「待て待て待て待て!!!油を入れ過ぎだー」
「きゃ。火、火が!み、水、水!」

「落ち着け!水は駄目だ!馬鹿!」
濡れたタオルを被せて火を消す。

「おおー凄い!消防士!」
「か、勝手に行動するな。いいか。何かする前に俺に聞け!」


「で、できた・・・」
「うーん。もう少し甘くても良かったかも?」
力尽きている俺を気にせず、翼は出来上がった卵を食べて不満そう。

「お、おまえ、一人で絶対に料理するなよ?」
「え?お母さんと同じ事言ってる!!ひどい」
酷いのはお前の料理の腕だ。いや、謎の創作意欲のほうだな・・・

「えー。明日はお弁当にしようと思ったに・・あ、正義。泊っていく?」
「行くかぁぁぁぁぁ」

「んーー。まあ、目玉焼きくらいなら・・」
「明日の朝、来てやるから。それまで待ってろ!」

力尽きた俺は、家に戻り。
ニヤニヤした両親の視線を無視して、夕食、風呂に入って直ぐに眠ってしまった。
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