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災害まで3日
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「そうそう。うまいうまい。後はフタをして待つ。」
「やったー!千佳に自慢するぞ!」
いつもより早く起きた俺は、翼の家にいってお弁当作りを手伝った。
「それじゃ。後でなー」
「え?帰るの?お弁当は?」
学生服にエプロンという、料理実習か?って恰好をした俺に翼が首を傾げて聞いてくる。
「今から作るぞ?」
「え?余ってるんだし、ここのおかず詰めれば良くない?時間がかかるだろうし」
翼がいなければ、もっと早くできるから大丈夫・・とは言えないか。
それに・・
「そうだな。その方が楽か」
特に考えず、翼と同じようにお弁当に作る。
「んじゃ。鞄取ってくる」
「はーい。私も準備しよう」
一旦、家に戻り鞄を持って翼の家に行く。
「準備に時間がかかるかな?俺が待ってるって新鮮だな。」
いつも翼の方が早く玄関前で待ってたからなぁ
「お待たせー」
「いや、今来たところ」
言ってみたかったセリフで答える。
「それは彼女とのデート時に取っておいた方が良いよ?」
「いや、セリフは減らんだろう?」
「それもそうか。さっき聞きそびれたけど筋肉痛は治ったの?」
「ふっ。これが若さだ。」
少し痛いけど、問題ない。
「ふーん。じゃ。行こうか」
「そうだな。」
料理の話、危険な事はするなよを含めて話ながら学校へと登校した。
「おはよー千佳ー今日は、完璧なお弁当よ!お昼に見せてあげるんだから!」
「そ、そう?大丈夫?物体Xになってない?」
「おはー。何気にいつも早いよな?」
「おはよう。家が離れてるから、早めに出ないと何かあったら遅刻するから」
「なるほど」
「で?あのゲームどこまで進んだ?」
「ふっふっ。よくぞ聞いてくれた!」
伊藤とゲームの攻略話をしていると担任が教室に入ってきた。
「席に座れー。今日は、連絡事項が1つある。来週の月曜日だが避難訓練を行う。」
おー。行けたんだな。学校以外はどうなんだろう?
「最近起きたパール国の地震を受けて、町全体で避難訓練を行う事となり学校、病院等も参加するから。
小学生の引率、介護施設と連携して、我が校からも数名が手伝う事になる。
このクラスは、阿部が小学生の引率。山本が介護施設で車いすを押して行ってもらう。」
結構、規模が大きいな。パール国ってどこだ?ニュース見てないな。
「阿部君が行くの?」
「空手部から数名で、指名されたんだ。避難誘導だけだから大丈夫だよ」
「って、山本はどうした?」
連絡事項を告げた担任が山本の席を見るが、誰も座っていない。休みか?
ガラガラガラ
「せ、セーフ?」
「アウトだ。遅刻だ」
あーあー。連絡事項がなければ、担任が職員室に戻ってる間に入れたのにな。運のない。
「えっと、ですね。電車が遅れまして」
「・・・お前、バス通学だよな?」
「ふ、踏切で、バスが止まったん」
「はぁ。お前の乗るバス、踏切通らないだろう?俺も同じバスなんだよ」
「寝坊しました・・」
「まったく、席に着け」
下手な言い訳をしなければいいのに・・
「以上だ、何か質問あるか?」
「何時頃からですか?」
「町内放送を使うので、聞こえてきたらだな。大体15時前後だ。阿部と山本は放送を聞いた後、小学校と施設に行ってくれ。」
俺の世界では15時33分、333災害って言われてたけど。その時間前後なら大丈夫か。
「詳しくは月曜日にまた連絡する。」
担任が教室を出ていく。
「凄いね。町全体でやるとか、思い切ったね」
「震災に備えてますって、アピールだと思うよ。テレビ局も入るって聞いたから」
確かに、そう伝えたけど。凄いな先生の父親。
「部下の横領事件が原因じゃない?イメージ戦略?」
「確かに、次の選挙が厳しいってニュースで言ってたな」
「大人の事情ってやつだろ。次の授業は移動だろ。ほら行くぞ。」
クラスメートたちが移動して減った教室から急いで出る。
自転車の免許。高校で取るのか・・・
授業受ければ貰えるのは良いけど・・・
補助輪なしで自転車に乗って褒められるとは思わなかった・・・
チート?微妙過ぎるんだが・・・
安全運転教習と標識の試験、車と同じ標識下に自転車って書いてある。意味は一緒だったので楽だった。
「正義・・おまえ、こっそり練習と勉強したのか?」
「自転車練習場に通ったの?凄くない?」
「えっと、まあ。その。なんだ。楽勝?」
あっさりと自転車免許を取ってしまった。難しくなかったし。
ただし、高くて買えないから免許持ってるだけだな。
一番安い中古で20万とか・・車かよ!っと。しかも中古・・・
自転車に乗ってる人見ないと思った!
次回の授業からは、後ろで支える等の補助をする事になった・・・
そして、お馴染みの付いていけない授業を受けた・・
これは大学とか行けないんじゃないか?
「じゃっじゃーーん。お弁当よ!凄いでしょう!」
翼がお弁当を見せて、クラスメイトに自慢する。
「ねぇ。翼。それ、佐々木君と同じに見えるんだけど・・」
「そうよ!正義と一緒に作ったんだから!」
美鈴さんの質問に、胸を張って答える翼。
「ああ。佐々木君。ご苦労様・・・」
美鈴さんが、憐みの視線を送ってくる。うん。大変だったぜ。
「普通なら恋人かよってツッコミだけど、どう考えても便利アイテムと思ってるように見える。」
「多分思ってるね。料理ロボットと作ったって聞こえる・・」
伊藤、阿部、言うな・・・そんな気はするけど・・・
「美味しい!わたし、料理の天才!次の試合の時に差し入れ持って行こうかな!」
渡辺先輩が倒れると思うぞ?
「俺は手伝わないぞ?」
「えーーー」
何が悲しゅうて、男のために料理作らねばならんのだ・・
「ち、千佳」
「わ、わたしも手伝わないわよ。それと食べ物の差し入れは禁止になってるから無理よ?」
涙目で美鈴さんに泣きつくも、料理の腕前を知ってるためか、後ろめたさか。
断って無理な理由を告げる。
「むう。残念・・・・ん。おいしい。」
不機嫌な顔も、お弁当を食べて笑顔に変わる。現金なやつだな。
「助けてー正義ー。はい。どこでも〇ア」
「あ!それそれ。そんな感じだね」
伊藤・・やめれ、泣くぞ!
放課後・・
「土日って暇?今週は全然ログインしてないけど、何か別の始めた?」
「いや。特に予定は考えてないけど。ゲームは休息中」
「あの剣が出なくて凹んだ系?」
「まあ、そんな感じだ」
実際は、サービス終了で無くなるの知って、続ける気が無くなったんだが。
「予定がないなら、バイトしない?姉さんが、頼めるならお願いしてって」
ふむ。防災グッツは買ったが、お金はあった方が良いか。
他に思いつく事もないし。
「大丈夫だ。何時が良い?」
「本当?助かる。12時からで、休日だから混むんだよ。ちなみに制服もあるよ?」
「俺をそっちに巻き込むな!」
「ちぃ」
舌打ちしやがった!仲間を増やそうとしたな!だが、俺には似合わな・・・
いや、着るつもりは一切ないからな!
「なら明日行く」
「なに?どこか行くのか?」
「あれ?部活は?」
伊藤に告げて帰ろうとしたところ、阿部が教室に戻ってきた。
「忘れ物だよ。それより二人で何処かに行くの?」
「バイトの手伝い・・伊藤が行ってるところにな」
「へー。僕も行こうか?力ならあるよ?」
「ひ、1人いれば大丈夫だから、た、大会が近いんでしょう?大丈夫だから」
必死に、伊藤が断る。
あー。女装を知られる人間を減らしたいよな。わかるわかる。
「そう?わかった。じゃ。また来週~」
「部活がんば!」
「部活がんばって」
机の横にあった鞄を持って、出ていくのを2人で見送った。
「帰るか?」
「あ、急いで帰らないと怒られる。明日よろしく・・よろしくねw」
なんで、最後のセリフを女声で言った!おい・伊藤・・・走って行っちまった。
「はぁ。帰るか・・」
「あ、あの・・」
ん?教室の出口で女子生徒が、俺に話かけてくる。
「えっと」
やばい、名前が出てこない、いや知らないぞ。誰だ?
「わ、私は、3ー1の佐藤 栞って言います。」
別クラスか、クラスも一緒になった事ない気がする。
「こ、これ」
そういって、ハートマークの付いた手紙を渡してくる。
え?ラ、ラブレターってやつですか?ですか?!
「阿部君に渡して欲しいんです!」
知ってた、うん。知ってた。時々あるんだ。知ってた。
「そういうのは、自分で渡した方が・・」
「お、お願いしますねーーー」
ああ、おい。つい。受け取ってしまった・・・モテ男め!
仕方がない・・・
阿部の入っている部活。空手部の部室に向かって移動する。
「えっと。どこにいるかなぁ。お!いたいた」
体育館にいた阿部を見つけ、手を振って呼ぶ。
「あれ?正義?どうしたの?」
「おう。これ」
きゃああああああああああああああああああああ
はわぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ
手紙を阿部に渡すと、黄色い悲鳴が上がる。
「ご、ごめん。僕はノーマルで」
「知ってるだろ!手紙預かったから渡しに来ただけだ!」
周りの女子に聞こえるように声を大きくして叫ぶ。
「断れば良いのに。はいはい。受け取ったよ」
きゃああああああああ
俺の声が聞こえてなかった女子が黄色い悲鳴を上げる。
「ほ、本が捗るわ」
「新しい、創作が・・はやく帰らないと」
「漫研に資料提供してくる!」
聞こえない。俺は何も聞いてないぞ!
「じゃ。わ、渡したからな!」
これは渡さないと、女の子のラブレター読んだって噂が立って白い目で見られるんだよ。
中学の時に、渡し忘れて酷いイメージダウンを受けたんだよ。
未開封で鞄に残ってたから直ぐに渡したけどさ。それはそれで非難されたんだよ。
受け取らないが一番なんだけどな。
「あれ?正義君だったかな?」
「うえ。渡辺先輩。」
「部活に入ったのかい?運動神経が良いって聞いたよ」
それは、前の世界の俺ならな。
バスケのゴールが50cm高くなってるとか、コートが広くなってるとかなければな!
「ほら」
ばしっ
渡辺先輩が持ってたボールを投げられ、受け取ると渡辺先輩がゴールを指さし構える。
こっちは制服だっての!
トンッ
「ふっ」
ボールを持って、そのままゴールに投げる。
「なっ!」
驚きの声を上げて、渡辺先輩が後ろに視線を移す。
トシュ
とんとんとん
お?意外と、この世界でもいけるな。
ここからだと前の世界基準だとコートの真ん中辺りの距離か。
「はっはっはっはっ。ここから入るのか。凄いな。うちの部活に入って欲しいね。」
「すみません。帰宅部が性に合ってるので、失礼します。」
笑顔で振り返った渡辺先輩の言葉に返事を返し、頭を下げて体育館から逃げ出す。
やべぇ。つい本気でやっちまった。
渡辺先輩がいるバスケ部とか冗談じゃない。
翼に何を言われるか、わかったもんじゃないぜ。
案の定、通信アプリで・・・で?
『正義って、バスケ出来たんだ?
知らなかった。
渡辺先輩が褒めてたよー』
おや、意外に好感触?
『たまたまだよ』
『そうなの?あれは狙ってたって、
フォームも奇麗だって言ってたけど』
『気のせいだよ』
『ふーん。バスケ部入るの?』
『ゲームができなくなるから入らない』
『だよねw
先輩に伝えとくねw』
うーん。
前の世界だと、渡辺先輩の活躍を潰すとは許すまじって
言われたんだが。
性格も違うのかね?
なんかドッと疲れたし帰るか・・
この後は、特に特筆する事はなく。夕飯作って(俺が担当になった・・なぜ?)
夕飯食べて、風呂入って寝た。
「やったー!千佳に自慢するぞ!」
いつもより早く起きた俺は、翼の家にいってお弁当作りを手伝った。
「それじゃ。後でなー」
「え?帰るの?お弁当は?」
学生服にエプロンという、料理実習か?って恰好をした俺に翼が首を傾げて聞いてくる。
「今から作るぞ?」
「え?余ってるんだし、ここのおかず詰めれば良くない?時間がかかるだろうし」
翼がいなければ、もっと早くできるから大丈夫・・とは言えないか。
それに・・
「そうだな。その方が楽か」
特に考えず、翼と同じようにお弁当に作る。
「んじゃ。鞄取ってくる」
「はーい。私も準備しよう」
一旦、家に戻り鞄を持って翼の家に行く。
「準備に時間がかかるかな?俺が待ってるって新鮮だな。」
いつも翼の方が早く玄関前で待ってたからなぁ
「お待たせー」
「いや、今来たところ」
言ってみたかったセリフで答える。
「それは彼女とのデート時に取っておいた方が良いよ?」
「いや、セリフは減らんだろう?」
「それもそうか。さっき聞きそびれたけど筋肉痛は治ったの?」
「ふっ。これが若さだ。」
少し痛いけど、問題ない。
「ふーん。じゃ。行こうか」
「そうだな。」
料理の話、危険な事はするなよを含めて話ながら学校へと登校した。
「おはよー千佳ー今日は、完璧なお弁当よ!お昼に見せてあげるんだから!」
「そ、そう?大丈夫?物体Xになってない?」
「おはー。何気にいつも早いよな?」
「おはよう。家が離れてるから、早めに出ないと何かあったら遅刻するから」
「なるほど」
「で?あのゲームどこまで進んだ?」
「ふっふっ。よくぞ聞いてくれた!」
伊藤とゲームの攻略話をしていると担任が教室に入ってきた。
「席に座れー。今日は、連絡事項が1つある。来週の月曜日だが避難訓練を行う。」
おー。行けたんだな。学校以外はどうなんだろう?
「最近起きたパール国の地震を受けて、町全体で避難訓練を行う事となり学校、病院等も参加するから。
小学生の引率、介護施設と連携して、我が校からも数名が手伝う事になる。
このクラスは、阿部が小学生の引率。山本が介護施設で車いすを押して行ってもらう。」
結構、規模が大きいな。パール国ってどこだ?ニュース見てないな。
「阿部君が行くの?」
「空手部から数名で、指名されたんだ。避難誘導だけだから大丈夫だよ」
「って、山本はどうした?」
連絡事項を告げた担任が山本の席を見るが、誰も座っていない。休みか?
ガラガラガラ
「せ、セーフ?」
「アウトだ。遅刻だ」
あーあー。連絡事項がなければ、担任が職員室に戻ってる間に入れたのにな。運のない。
「えっと、ですね。電車が遅れまして」
「・・・お前、バス通学だよな?」
「ふ、踏切で、バスが止まったん」
「はぁ。お前の乗るバス、踏切通らないだろう?俺も同じバスなんだよ」
「寝坊しました・・」
「まったく、席に着け」
下手な言い訳をしなければいいのに・・
「以上だ、何か質問あるか?」
「何時頃からですか?」
「町内放送を使うので、聞こえてきたらだな。大体15時前後だ。阿部と山本は放送を聞いた後、小学校と施設に行ってくれ。」
俺の世界では15時33分、333災害って言われてたけど。その時間前後なら大丈夫か。
「詳しくは月曜日にまた連絡する。」
担任が教室を出ていく。
「凄いね。町全体でやるとか、思い切ったね」
「震災に備えてますって、アピールだと思うよ。テレビ局も入るって聞いたから」
確かに、そう伝えたけど。凄いな先生の父親。
「部下の横領事件が原因じゃない?イメージ戦略?」
「確かに、次の選挙が厳しいってニュースで言ってたな」
「大人の事情ってやつだろ。次の授業は移動だろ。ほら行くぞ。」
クラスメートたちが移動して減った教室から急いで出る。
自転車の免許。高校で取るのか・・・
授業受ければ貰えるのは良いけど・・・
補助輪なしで自転車に乗って褒められるとは思わなかった・・・
チート?微妙過ぎるんだが・・・
安全運転教習と標識の試験、車と同じ標識下に自転車って書いてある。意味は一緒だったので楽だった。
「正義・・おまえ、こっそり練習と勉強したのか?」
「自転車練習場に通ったの?凄くない?」
「えっと、まあ。その。なんだ。楽勝?」
あっさりと自転車免許を取ってしまった。難しくなかったし。
ただし、高くて買えないから免許持ってるだけだな。
一番安い中古で20万とか・・車かよ!っと。しかも中古・・・
自転車に乗ってる人見ないと思った!
次回の授業からは、後ろで支える等の補助をする事になった・・・
そして、お馴染みの付いていけない授業を受けた・・
これは大学とか行けないんじゃないか?
「じゃっじゃーーん。お弁当よ!凄いでしょう!」
翼がお弁当を見せて、クラスメイトに自慢する。
「ねぇ。翼。それ、佐々木君と同じに見えるんだけど・・」
「そうよ!正義と一緒に作ったんだから!」
美鈴さんの質問に、胸を張って答える翼。
「ああ。佐々木君。ご苦労様・・・」
美鈴さんが、憐みの視線を送ってくる。うん。大変だったぜ。
「普通なら恋人かよってツッコミだけど、どう考えても便利アイテムと思ってるように見える。」
「多分思ってるね。料理ロボットと作ったって聞こえる・・」
伊藤、阿部、言うな・・・そんな気はするけど・・・
「美味しい!わたし、料理の天才!次の試合の時に差し入れ持って行こうかな!」
渡辺先輩が倒れると思うぞ?
「俺は手伝わないぞ?」
「えーーー」
何が悲しゅうて、男のために料理作らねばならんのだ・・
「ち、千佳」
「わ、わたしも手伝わないわよ。それと食べ物の差し入れは禁止になってるから無理よ?」
涙目で美鈴さんに泣きつくも、料理の腕前を知ってるためか、後ろめたさか。
断って無理な理由を告げる。
「むう。残念・・・・ん。おいしい。」
不機嫌な顔も、お弁当を食べて笑顔に変わる。現金なやつだな。
「助けてー正義ー。はい。どこでも〇ア」
「あ!それそれ。そんな感じだね」
伊藤・・やめれ、泣くぞ!
放課後・・
「土日って暇?今週は全然ログインしてないけど、何か別の始めた?」
「いや。特に予定は考えてないけど。ゲームは休息中」
「あの剣が出なくて凹んだ系?」
「まあ、そんな感じだ」
実際は、サービス終了で無くなるの知って、続ける気が無くなったんだが。
「予定がないなら、バイトしない?姉さんが、頼めるならお願いしてって」
ふむ。防災グッツは買ったが、お金はあった方が良いか。
他に思いつく事もないし。
「大丈夫だ。何時が良い?」
「本当?助かる。12時からで、休日だから混むんだよ。ちなみに制服もあるよ?」
「俺をそっちに巻き込むな!」
「ちぃ」
舌打ちしやがった!仲間を増やそうとしたな!だが、俺には似合わな・・・
いや、着るつもりは一切ないからな!
「なら明日行く」
「なに?どこか行くのか?」
「あれ?部活は?」
伊藤に告げて帰ろうとしたところ、阿部が教室に戻ってきた。
「忘れ物だよ。それより二人で何処かに行くの?」
「バイトの手伝い・・伊藤が行ってるところにな」
「へー。僕も行こうか?力ならあるよ?」
「ひ、1人いれば大丈夫だから、た、大会が近いんでしょう?大丈夫だから」
必死に、伊藤が断る。
あー。女装を知られる人間を減らしたいよな。わかるわかる。
「そう?わかった。じゃ。また来週~」
「部活がんば!」
「部活がんばって」
机の横にあった鞄を持って、出ていくのを2人で見送った。
「帰るか?」
「あ、急いで帰らないと怒られる。明日よろしく・・よろしくねw」
なんで、最後のセリフを女声で言った!おい・伊藤・・・走って行っちまった。
「はぁ。帰るか・・」
「あ、あの・・」
ん?教室の出口で女子生徒が、俺に話かけてくる。
「えっと」
やばい、名前が出てこない、いや知らないぞ。誰だ?
「わ、私は、3ー1の佐藤 栞って言います。」
別クラスか、クラスも一緒になった事ない気がする。
「こ、これ」
そういって、ハートマークの付いた手紙を渡してくる。
え?ラ、ラブレターってやつですか?ですか?!
「阿部君に渡して欲しいんです!」
知ってた、うん。知ってた。時々あるんだ。知ってた。
「そういうのは、自分で渡した方が・・」
「お、お願いしますねーーー」
ああ、おい。つい。受け取ってしまった・・・モテ男め!
仕方がない・・・
阿部の入っている部活。空手部の部室に向かって移動する。
「えっと。どこにいるかなぁ。お!いたいた」
体育館にいた阿部を見つけ、手を振って呼ぶ。
「あれ?正義?どうしたの?」
「おう。これ」
きゃああああああああああああああああああああ
はわぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ
手紙を阿部に渡すと、黄色い悲鳴が上がる。
「ご、ごめん。僕はノーマルで」
「知ってるだろ!手紙預かったから渡しに来ただけだ!」
周りの女子に聞こえるように声を大きくして叫ぶ。
「断れば良いのに。はいはい。受け取ったよ」
きゃああああああああ
俺の声が聞こえてなかった女子が黄色い悲鳴を上げる。
「ほ、本が捗るわ」
「新しい、創作が・・はやく帰らないと」
「漫研に資料提供してくる!」
聞こえない。俺は何も聞いてないぞ!
「じゃ。わ、渡したからな!」
これは渡さないと、女の子のラブレター読んだって噂が立って白い目で見られるんだよ。
中学の時に、渡し忘れて酷いイメージダウンを受けたんだよ。
未開封で鞄に残ってたから直ぐに渡したけどさ。それはそれで非難されたんだよ。
受け取らないが一番なんだけどな。
「あれ?正義君だったかな?」
「うえ。渡辺先輩。」
「部活に入ったのかい?運動神経が良いって聞いたよ」
それは、前の世界の俺ならな。
バスケのゴールが50cm高くなってるとか、コートが広くなってるとかなければな!
「ほら」
ばしっ
渡辺先輩が持ってたボールを投げられ、受け取ると渡辺先輩がゴールを指さし構える。
こっちは制服だっての!
トンッ
「ふっ」
ボールを持って、そのままゴールに投げる。
「なっ!」
驚きの声を上げて、渡辺先輩が後ろに視線を移す。
トシュ
とんとんとん
お?意外と、この世界でもいけるな。
ここからだと前の世界基準だとコートの真ん中辺りの距離か。
「はっはっはっはっ。ここから入るのか。凄いな。うちの部活に入って欲しいね。」
「すみません。帰宅部が性に合ってるので、失礼します。」
笑顔で振り返った渡辺先輩の言葉に返事を返し、頭を下げて体育館から逃げ出す。
やべぇ。つい本気でやっちまった。
渡辺先輩がいるバスケ部とか冗談じゃない。
翼に何を言われるか、わかったもんじゃないぜ。
案の定、通信アプリで・・・で?
『正義って、バスケ出来たんだ?
知らなかった。
渡辺先輩が褒めてたよー』
おや、意外に好感触?
『たまたまだよ』
『そうなの?あれは狙ってたって、
フォームも奇麗だって言ってたけど』
『気のせいだよ』
『ふーん。バスケ部入るの?』
『ゲームができなくなるから入らない』
『だよねw
先輩に伝えとくねw』
うーん。
前の世界だと、渡辺先輩の活躍を潰すとは許すまじって
言われたんだが。
性格も違うのかね?
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