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第八話 汚れた感情
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ミンはエトスを出たあと、一人黙々と道を進んでいた。
(クーデニアの首都って、あとどれくらいで着くんだろう)
まだ見ぬ街に思いを馳せた。
(確か、イリスさんは東南の方向に十日って言ってたけど、この道で合ってるよね?)
「おい」
唐突にかけられた声に顔を上げるミン。見ると、周囲を馬に乗った六人の男たちが囲んでいた。しまった、とミンは思った。
(どう見ても一般人じゃないよね……)
男たちの人相と格好は野盗のそれだった。
「おい、聞いてんのか?」
声をかけた男がにじり寄った。
「何でしょうか?」
「お。女か。金目の物を置いていけ。それから」
男は下卑た笑みを浮かべた。
「お前自身もな!」
男たちは剣を抜いた。
ミンは逃げようとするが、完全に周りを囲まれている。
「無駄なことはするなよ。じゃないとその首、誤って跳ねちまう」
(無理やり突破するしかない!)
ミンはユクの腹を蹴った。勢いよく飛び出したユクは、男たちの隙間をめがけて突進する。
が、ミンの考えは甘かった。
「てめぇ!」
男の剣がミンを掠め、避けようとしたミンはそのままバランスを崩して落馬した。
「痛っ」
慌てて起き上がろうとしたが、馬を飛び下りた男が覆い被さった。
手足をばたつかせるミン。
「こら、暴れるな!」
なおも抵抗するミンに業を煮やした男が剣を振りかぶった。
ゴン。
剣のフラーで打たれる鈍い音と共に、ミンの意識が薄れていった。
ガタン……。
ゴトン……。
体に伝わる振動でミンは目が覚めた。
(ここは……)
立ち上がろうとして、そのまま前に倒れた。
(手と足が……)
手足がヒモで縛られていた。
(そうか、私……)
自分が野盗に襲われたことを思い出す。
(痛……)
意識を失う直前に打たれた頭がズキズキする。
(馬車の中……?)
小刻みに伝わる振動で自分が荷馬車に揺られているのだと気づく。
(夜……かな?)
荷馬車の中は真っ暗で、外からの光も漏れていない。
這ってみようかと考えたところで、体に前方への力がかかった。馬車が止まったのだろう。
話し声が聞こえた。
「今日はここまでだ」
「じゃあ、飯の用意しますぜ」
「ああ」
荷台の幕が開かれ、男が入ってくる。
「お、嬢ちゃん起きてたのか」
男はガサゴソと食料を探す。
「しかし、嬢ちゃんいいもん持ってたじゃねぇか。ありゃあ、どこで手に入れたんだ?」
(いいもの?)
「ブローチだよブローチ。ありゃあ高値で売れるぜ? あと剣もな」
「……」
「けっ、だんまりかよ。まあいいさ、ブローチもお前も、すぐに売っちまうからな。お前さんも珍しい容姿だから高く売れそうだって頭が言ってたぜ」
(売られる……)
人売りというものがあるということは知っていたが、自分がその対象になっているということに今一つしっくりとこない。
男が荷台を降りると、しばらくして大騒ぎが始まった。酒でも飲んでいるのだろう。
ガサッ。
誰かが荷台に入ってくる音が聞こえた。
「お、いたいた」
月明かりがその人物を照らし、先ほどとは違う男だと分かった。
「ひひっ」
男は下卑た笑いと共に近づいてくる。
「売っちまう前に味見くらいさせてくれよ」
男ががミンの顎を持ち上げた。
(酒臭い……)
男はそのままミンの衣服に手をかけながら、体をまさぐり始めた。
(いやだ)
ミンは言いようのない不快感を覚えた。
男の酒臭い舌がミンの頬をなめ上げる。
「いいね、その目。興奮するぜ」
自らの衣服を脱ぎ始める男。
(いやだ!)
再び伸びてきた男の手から逃れるように体をそらす。
「おい、暴れるんじゃねぇ!」
ボコッ。
(痛い……)
剣で殴られた箇所をもう一度殴られた。
ドスッ。
「痛っ……!」
今度は腹を殴られた。
(お願い、やめて……)
「そのまま大人しくしてろよ……」
男は片方の手でミンの腕を押さえ、また体を触り始めた。
(いやだ)
その手はだんだんと下へと降りていく。
(いやだ、いやだいやだいやだ!)
今まで感じたことのない気持ちの悪さと、恐怖。
逃げようにも、震えて力が入らない。
(やめて……こんな……)
ミンの心に沸々と沸き上がる感情。
(こんな……)
その感情の名をミンは知らなかった。
(こんな人、消えてしまえばいいのに)
それは、「憎悪」という感情だった。ミンはその名を知らなかったが、自分が汚れていくということだけは分かった。
(私はこんなにも汚かったんだ)
自らの浅ましさに吐き気がした。
(……………………)
力が、抜けていく。
ミンは憎悪ののちに、全てを諦めた。
が、
「何やってんだ、てめえ!」
怒鳴り声が聞こえた。
荷台にもう一人男が入ってきたのだ。
「お、お頭!」
「商品に傷つけるなって言っただろ!」
「あ、味見くらいさせてくれよ!」
シャン。
お頭と呼ばれた男が腰に下げた剣を抜いた。
「ま、待ってくれ! 頼むから!」
「問答無用だ、罰を受けろ」
剣が、男の指を撥ねた。
「あああああああああっ!!」
ピッ。
男の血がミンの頬に飛び散った。野盗の頭はそのまま男を引きずって、荷台から出ていった。
頬に残る生暖かい感触に、ミンは何の感情も抱かなかった。ただ一つ、「売られる」ということの意味を知った。
「フード付きの外套を羽織った十四歳の女の子を見ませんでしたか?」
「ここに来る客は多いからねぇ。他に特徴は? 何でその子を探してるんだい?」
イリスはかまをかけた。おそらく、この少年少女たちはミンのことを言っているのだろう。だが、事情が事情だけに素性も分からない彼らに教えることはできない。
「大切な仲間なんです。名前はミンといいます」
始めにイクシャと名乗った彼はあっさり名前を出してきた。だけど、それだけで信用する気にはなれない。
「他には?」
「おそらくですけど、五歳くらいの女の子が一緒なんじゃないかと」
「ほう? その子はどんな子だい?」
「うーん、そうですね。確かこんな感じの子ですね」
「へぇ、こんな……」
イリスは彼が指さすものを見た。そして、頭を抱えた。
「ルン……奥で待っていろって言っただろ……」
青い目に銀の髪を持つルンがひょっこりと顔を出していた。
「お兄ちゃんたち、ミンお姉ちゃんと一緒にいた人たちだよね?」
どうやら、面識があったらしい。
「そうだけど、何で知っているんだい? 僕はともかく、みんなは他の人たちに紛れていたと思うんだけど」
だが、親しい仲ではないらしい。イリスは会話を見守ることにした。
「うん? あそこにいた人は全員覚えてるよ」
イクシャは目を見開いた。
「あそこにいた人って、周りで見ていた人全部かい?」
「うん」
「そりゃ、すごいね……でも、何で僕たちがミンと一緒にいたって分かるんだい?」
「だって、心配そうに見てたのお兄ちゃんたちだけだから」
ルンは当然のようにそう言ってのけた。
「あれだけの人混みの中でそこまで見えて、しかもそれを覚えていたってことか……」
イクシャたちと共に、イリスも驚いていた。記憶力がいいとは思っていたが、彼らが目を丸くするくらいには飛び抜けた能力らしい。
(これはまた、すごい子を預かってしまったみたいだねぇ……)
「さっきは疑うようなまねをして悪かったね。目の色のことをむやみに出さなかったから、あんたらがミンの仲間だってことは分かった。でも、事情を話してくれるかい?」
「なるほどねぇ。あの子は芯が強そうだから不思議じゃないけど。ここを出ていくって言ったときも聞く耳を持たなかったし」
「もうここにはいないってことですか?」
「ああ、あの子は首都に向かったよ」
「一人でですか?」
「ああ、この子を私に預けてね」
「そうですか……。分かりました。教えていただいてありがとうございます。では、私たちは先を急ぎますので――」
「つれてって」
「え?」
イクシャはルンを見た。
「お姉ちゃんのところへつれてって」
「それはちょっと……」
「ルン、無茶を言ってはいけないよ」
「いや! お姉ちゃん、ルンにだまって行っちゃったの! お姉ちゃんに会いたい!」
ルンは駄々をこねる。しかし、ウイカはその気持ちがよく分かった。
(また、ミンは黙って出ていったんだ)
「駄々をこねるんじゃないよ」
「やだ! お姉ちゃん、きっとさみしい思いしてるもん!」
イリスは少し驚いた。ただ会いたいだけだと思っていたら、どうやら、それだけではないらしい。
(この子はミンのことを思って……)
「やれやれ、聞く耳持たないのはここにもいたねぇ……」
(クーデニアの首都って、あとどれくらいで着くんだろう)
まだ見ぬ街に思いを馳せた。
(確か、イリスさんは東南の方向に十日って言ってたけど、この道で合ってるよね?)
「おい」
唐突にかけられた声に顔を上げるミン。見ると、周囲を馬に乗った六人の男たちが囲んでいた。しまった、とミンは思った。
(どう見ても一般人じゃないよね……)
男たちの人相と格好は野盗のそれだった。
「おい、聞いてんのか?」
声をかけた男がにじり寄った。
「何でしょうか?」
「お。女か。金目の物を置いていけ。それから」
男は下卑た笑みを浮かべた。
「お前自身もな!」
男たちは剣を抜いた。
ミンは逃げようとするが、完全に周りを囲まれている。
「無駄なことはするなよ。じゃないとその首、誤って跳ねちまう」
(無理やり突破するしかない!)
ミンはユクの腹を蹴った。勢いよく飛び出したユクは、男たちの隙間をめがけて突進する。
が、ミンの考えは甘かった。
「てめぇ!」
男の剣がミンを掠め、避けようとしたミンはそのままバランスを崩して落馬した。
「痛っ」
慌てて起き上がろうとしたが、馬を飛び下りた男が覆い被さった。
手足をばたつかせるミン。
「こら、暴れるな!」
なおも抵抗するミンに業を煮やした男が剣を振りかぶった。
ゴン。
剣のフラーで打たれる鈍い音と共に、ミンの意識が薄れていった。
ガタン……。
ゴトン……。
体に伝わる振動でミンは目が覚めた。
(ここは……)
立ち上がろうとして、そのまま前に倒れた。
(手と足が……)
手足がヒモで縛られていた。
(そうか、私……)
自分が野盗に襲われたことを思い出す。
(痛……)
意識を失う直前に打たれた頭がズキズキする。
(馬車の中……?)
小刻みに伝わる振動で自分が荷馬車に揺られているのだと気づく。
(夜……かな?)
荷馬車の中は真っ暗で、外からの光も漏れていない。
這ってみようかと考えたところで、体に前方への力がかかった。馬車が止まったのだろう。
話し声が聞こえた。
「今日はここまでだ」
「じゃあ、飯の用意しますぜ」
「ああ」
荷台の幕が開かれ、男が入ってくる。
「お、嬢ちゃん起きてたのか」
男はガサゴソと食料を探す。
「しかし、嬢ちゃんいいもん持ってたじゃねぇか。ありゃあ、どこで手に入れたんだ?」
(いいもの?)
「ブローチだよブローチ。ありゃあ高値で売れるぜ? あと剣もな」
「……」
「けっ、だんまりかよ。まあいいさ、ブローチもお前も、すぐに売っちまうからな。お前さんも珍しい容姿だから高く売れそうだって頭が言ってたぜ」
(売られる……)
人売りというものがあるということは知っていたが、自分がその対象になっているということに今一つしっくりとこない。
男が荷台を降りると、しばらくして大騒ぎが始まった。酒でも飲んでいるのだろう。
ガサッ。
誰かが荷台に入ってくる音が聞こえた。
「お、いたいた」
月明かりがその人物を照らし、先ほどとは違う男だと分かった。
「ひひっ」
男は下卑た笑いと共に近づいてくる。
「売っちまう前に味見くらいさせてくれよ」
男ががミンの顎を持ち上げた。
(酒臭い……)
男はそのままミンの衣服に手をかけながら、体をまさぐり始めた。
(いやだ)
ミンは言いようのない不快感を覚えた。
男の酒臭い舌がミンの頬をなめ上げる。
「いいね、その目。興奮するぜ」
自らの衣服を脱ぎ始める男。
(いやだ!)
再び伸びてきた男の手から逃れるように体をそらす。
「おい、暴れるんじゃねぇ!」
ボコッ。
(痛い……)
剣で殴られた箇所をもう一度殴られた。
ドスッ。
「痛っ……!」
今度は腹を殴られた。
(お願い、やめて……)
「そのまま大人しくしてろよ……」
男は片方の手でミンの腕を押さえ、また体を触り始めた。
(いやだ)
その手はだんだんと下へと降りていく。
(いやだ、いやだいやだいやだ!)
今まで感じたことのない気持ちの悪さと、恐怖。
逃げようにも、震えて力が入らない。
(やめて……こんな……)
ミンの心に沸々と沸き上がる感情。
(こんな……)
その感情の名をミンは知らなかった。
(こんな人、消えてしまえばいいのに)
それは、「憎悪」という感情だった。ミンはその名を知らなかったが、自分が汚れていくということだけは分かった。
(私はこんなにも汚かったんだ)
自らの浅ましさに吐き気がした。
(……………………)
力が、抜けていく。
ミンは憎悪ののちに、全てを諦めた。
が、
「何やってんだ、てめえ!」
怒鳴り声が聞こえた。
荷台にもう一人男が入ってきたのだ。
「お、お頭!」
「商品に傷つけるなって言っただろ!」
「あ、味見くらいさせてくれよ!」
シャン。
お頭と呼ばれた男が腰に下げた剣を抜いた。
「ま、待ってくれ! 頼むから!」
「問答無用だ、罰を受けろ」
剣が、男の指を撥ねた。
「あああああああああっ!!」
ピッ。
男の血がミンの頬に飛び散った。野盗の頭はそのまま男を引きずって、荷台から出ていった。
頬に残る生暖かい感触に、ミンは何の感情も抱かなかった。ただ一つ、「売られる」ということの意味を知った。
「フード付きの外套を羽織った十四歳の女の子を見ませんでしたか?」
「ここに来る客は多いからねぇ。他に特徴は? 何でその子を探してるんだい?」
イリスはかまをかけた。おそらく、この少年少女たちはミンのことを言っているのだろう。だが、事情が事情だけに素性も分からない彼らに教えることはできない。
「大切な仲間なんです。名前はミンといいます」
始めにイクシャと名乗った彼はあっさり名前を出してきた。だけど、それだけで信用する気にはなれない。
「他には?」
「おそらくですけど、五歳くらいの女の子が一緒なんじゃないかと」
「ほう? その子はどんな子だい?」
「うーん、そうですね。確かこんな感じの子ですね」
「へぇ、こんな……」
イリスは彼が指さすものを見た。そして、頭を抱えた。
「ルン……奥で待っていろって言っただろ……」
青い目に銀の髪を持つルンがひょっこりと顔を出していた。
「お兄ちゃんたち、ミンお姉ちゃんと一緒にいた人たちだよね?」
どうやら、面識があったらしい。
「そうだけど、何で知っているんだい? 僕はともかく、みんなは他の人たちに紛れていたと思うんだけど」
だが、親しい仲ではないらしい。イリスは会話を見守ることにした。
「うん? あそこにいた人は全員覚えてるよ」
イクシャは目を見開いた。
「あそこにいた人って、周りで見ていた人全部かい?」
「うん」
「そりゃ、すごいね……でも、何で僕たちがミンと一緒にいたって分かるんだい?」
「だって、心配そうに見てたのお兄ちゃんたちだけだから」
ルンは当然のようにそう言ってのけた。
「あれだけの人混みの中でそこまで見えて、しかもそれを覚えていたってことか……」
イクシャたちと共に、イリスも驚いていた。記憶力がいいとは思っていたが、彼らが目を丸くするくらいには飛び抜けた能力らしい。
(これはまた、すごい子を預かってしまったみたいだねぇ……)
「さっきは疑うようなまねをして悪かったね。目の色のことをむやみに出さなかったから、あんたらがミンの仲間だってことは分かった。でも、事情を話してくれるかい?」
「なるほどねぇ。あの子は芯が強そうだから不思議じゃないけど。ここを出ていくって言ったときも聞く耳を持たなかったし」
「もうここにはいないってことですか?」
「ああ、あの子は首都に向かったよ」
「一人でですか?」
「ああ、この子を私に預けてね」
「そうですか……。分かりました。教えていただいてありがとうございます。では、私たちは先を急ぎますので――」
「つれてって」
「え?」
イクシャはルンを見た。
「お姉ちゃんのところへつれてって」
「それはちょっと……」
「ルン、無茶を言ってはいけないよ」
「いや! お姉ちゃん、ルンにだまって行っちゃったの! お姉ちゃんに会いたい!」
ルンは駄々をこねる。しかし、ウイカはその気持ちがよく分かった。
(また、ミンは黙って出ていったんだ)
「駄々をこねるんじゃないよ」
「やだ! お姉ちゃん、きっとさみしい思いしてるもん!」
イリスは少し驚いた。ただ会いたいだけだと思っていたら、どうやら、それだけではないらしい。
(この子はミンのことを思って……)
「やれやれ、聞く耳持たないのはここにもいたねぇ……」
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