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夏川の男らしい寝顔を見つめ、朝霧はふいに泣きだしそうになった。
明日ルーシーと会って、また子供の話をされたら、リョウはなんて答えるのだろうか。
やはり男より女の方がいいと、思ったりはしないだろうか。
不安が朝霧の胸を締めつけた。
朝霧は夏川の鎖骨に額をつけると、声を殺して泣いた。
翌朝、いつも通り夏川お手製の朝食を食べ、朝霧は夏川の車の助手席に乗った。
朝霧が家の前で降りると、「また来週」と夏川は笑って言う。
走り去るBMWを見つめながら、夏川とはこれで最後になるかもしれないと考えた朝霧は絶望のあまり、その場で長いことしゃがみこんでしまった。
翌週は色々最悪だった。
朝霧はいつも以上に眠れず、仕事であり得ないミスをやらかし、渡会にまでそのカバーをお願いすることになった。
おかげで朝霧は渡会に今度、ご飯を奢る約束までした。
自分のミスのせいで、朝霧は連日、帰宅が深夜となってしまったが、仕事をしていた方が気が紛れるから良かった。
帰宅したところで、朝霧はほとんど眠れないまま朝を迎えるようになっていた。
木曜日。
そんな朝霧に夏川からメールが届いた。
「今週は仕事が忙しくて、『やどり木』に行けないかもしれない」
その文章を見て、朝霧は落胆から、ぎゅっと目を閉じた。
そうすれば直前に見たメールの文章が消えてしまうかとでもいうように。
しかしもちろんそんなことはなく、朝霧はそのメールを何度も読み返した。
「これが答えってことなんだろうな」
ルーシーと会って、夏川は説得されたのだろう。
男なんてやめておけと。
そうして夏川もその説得に応じて、こうやって朝霧と距離を置こうとしている。
帰宅中の電車は深夜だから空いていて、朝霧は誰の目も気にせずに大きなため息をついた。
いっそのこと、もう連絡してくるなとこちらから切ってやろうか。
そう思いながら、朝霧は手の中のスマホを強く握りしめた。
しかしそんなことはできるはずもなかった。
夏川が朝霧をはっきりと振るまで。
もう二度と個人的には会わないと言うまで、朝霧からはその繋がりを絶てそうになかった。
しかしもし夏川が本当にそう言ってきたら、朝霧は自分がどうなってしまうのか。それもまた分からなかった。
明日ルーシーと会って、また子供の話をされたら、リョウはなんて答えるのだろうか。
やはり男より女の方がいいと、思ったりはしないだろうか。
不安が朝霧の胸を締めつけた。
朝霧は夏川の鎖骨に額をつけると、声を殺して泣いた。
翌朝、いつも通り夏川お手製の朝食を食べ、朝霧は夏川の車の助手席に乗った。
朝霧が家の前で降りると、「また来週」と夏川は笑って言う。
走り去るBMWを見つめながら、夏川とはこれで最後になるかもしれないと考えた朝霧は絶望のあまり、その場で長いことしゃがみこんでしまった。
翌週は色々最悪だった。
朝霧はいつも以上に眠れず、仕事であり得ないミスをやらかし、渡会にまでそのカバーをお願いすることになった。
おかげで朝霧は渡会に今度、ご飯を奢る約束までした。
自分のミスのせいで、朝霧は連日、帰宅が深夜となってしまったが、仕事をしていた方が気が紛れるから良かった。
帰宅したところで、朝霧はほとんど眠れないまま朝を迎えるようになっていた。
木曜日。
そんな朝霧に夏川からメールが届いた。
「今週は仕事が忙しくて、『やどり木』に行けないかもしれない」
その文章を見て、朝霧は落胆から、ぎゅっと目を閉じた。
そうすれば直前に見たメールの文章が消えてしまうかとでもいうように。
しかしもちろんそんなことはなく、朝霧はそのメールを何度も読み返した。
「これが答えってことなんだろうな」
ルーシーと会って、夏川は説得されたのだろう。
男なんてやめておけと。
そうして夏川もその説得に応じて、こうやって朝霧と距離を置こうとしている。
帰宅中の電車は深夜だから空いていて、朝霧は誰の目も気にせずに大きなため息をついた。
いっそのこと、もう連絡してくるなとこちらから切ってやろうか。
そう思いながら、朝霧は手の中のスマホを強く握りしめた。
しかしそんなことはできるはずもなかった。
夏川が朝霧をはっきりと振るまで。
もう二度と個人的には会わないと言うまで、朝霧からはその繋がりを絶てそうになかった。
しかしもし夏川が本当にそう言ってきたら、朝霧は自分がどうなってしまうのか。それもまた分からなかった。
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