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頭上で息を飲む音が聞こえたが、朝霧は顔を上げる勇気はなかった。
「好きだから、どうしても諦められなくて」
それ以上、朝霧は言葉を続けることができなかった。
「本当に遅いよ」
夏川は朝霧の手を再び払った。
朝霧はやっぱりダメかと絶望から目をぎゅっと閉じた。
そんな朝霧の手首を夏川が掴み、引き上げる。
「遅すぎる。どれだけ、俺を待たせんだよ」
気がついたら朝霧は夏川に抱きしめられていた。
「もうあんたは、俺なんかいらないんじゃないかと思った」
朝霧の骨がきしむくらい強く、夏川はその体を抱きしめた。
朝霧もしがみつくみたいに、夏川の背中をかき抱いた。
「いらないわけない。俺はリョウ以外、欲しくない」
夏川は朝霧の額にキスをすると、また強く抱きしめた。
そして夏川は大きく息を吐いた。
「良かった。あんたがまた俺の腕の中に戻ってきてくれて」
朝霧の頬を安堵の涙がつたう。
息を殺して見守っていた周りの客たちから、拍手と歓声がわく。
朝霧を抱いていた腕を解くと、夏川はその肩を抱いた。
「マスター。店の中で騒がしくしてごめん」
夏川の謝罪をマスターは笑顔で頷いて、受け入れた。
「ちょっと」
むっとしている若い男には一瞥もくれないで、夏川は朝霧を促して店から出て行った。
タクシーに乗り、夏川のマンションに着く頃、ようやく朝霧の涙も止まってきた。
2人で仲良く手を繋いで、エレベーターに向かう。
夏川は我慢できないとばかりに、エレベーターの中でも何度も朝霧も唇を求めた。
部屋に入ると、夏川は玄関で朝霧を押し倒した。
「ちょ、ちょっと待って」
「何? 」
夏川が行為を中断されたせいで不機嫌そうに問う。
「ちゃんと話しをしたい」
真剣な表情で言う朝霧を前に、夏川も一旦気持ちを落ち着けるように息を吐いた。
「コーヒー淹れるね」
夏川の言葉に、朝霧は微笑んで頷いた。
「好きだから、どうしても諦められなくて」
それ以上、朝霧は言葉を続けることができなかった。
「本当に遅いよ」
夏川は朝霧の手を再び払った。
朝霧はやっぱりダメかと絶望から目をぎゅっと閉じた。
そんな朝霧の手首を夏川が掴み、引き上げる。
「遅すぎる。どれだけ、俺を待たせんだよ」
気がついたら朝霧は夏川に抱きしめられていた。
「もうあんたは、俺なんかいらないんじゃないかと思った」
朝霧の骨がきしむくらい強く、夏川はその体を抱きしめた。
朝霧もしがみつくみたいに、夏川の背中をかき抱いた。
「いらないわけない。俺はリョウ以外、欲しくない」
夏川は朝霧の額にキスをすると、また強く抱きしめた。
そして夏川は大きく息を吐いた。
「良かった。あんたがまた俺の腕の中に戻ってきてくれて」
朝霧の頬を安堵の涙がつたう。
息を殺して見守っていた周りの客たちから、拍手と歓声がわく。
朝霧を抱いていた腕を解くと、夏川はその肩を抱いた。
「マスター。店の中で騒がしくしてごめん」
夏川の謝罪をマスターは笑顔で頷いて、受け入れた。
「ちょっと」
むっとしている若い男には一瞥もくれないで、夏川は朝霧を促して店から出て行った。
タクシーに乗り、夏川のマンションに着く頃、ようやく朝霧の涙も止まってきた。
2人で仲良く手を繋いで、エレベーターに向かう。
夏川は我慢できないとばかりに、エレベーターの中でも何度も朝霧も唇を求めた。
部屋に入ると、夏川は玄関で朝霧を押し倒した。
「ちょ、ちょっと待って」
「何? 」
夏川が行為を中断されたせいで不機嫌そうに問う。
「ちゃんと話しをしたい」
真剣な表情で言う朝霧を前に、夏川も一旦気持ちを落ち着けるように息を吐いた。
「コーヒー淹れるね」
夏川の言葉に、朝霧は微笑んで頷いた。
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