3 / 66
3
しおりを挟む
小学校高学年の時、自分が男しか好きになれないと自覚した。
それも好きになるのはみんな筋肉質、黒髪、漢くさい容姿と自分と正反対の男ばかりだった。
最初は単純に男としての憧れなのかと思ったが、オリンピックの柔道の試合を見ているだけで、股間が固くなるのに気づいて、完全に自分はそうなのだと思った。
小さな頃から母親代わりの次子さんには自らの性癖を話そうと何度も思ったが、実行はできなかった。
もし万が一、親父にばれたら終わる。
父親はテレビにオネエと言われるタイプが映っているだけで、「気持ちが悪い。吐き気がする」と言い、テレビを消してしまう。
同性を好きになるなど病気だ。治療しても治らないなら、隔離しなければ、などと平気で口に出す。
もし自分の一人息子がゲイだと分かったら、どんなことになるか。
まず自分が取締役を務めている会社を俺には譲らないというだろう。父は地元の建設関係の会社の社長で、社員15名ほどを雇っていた。
俺は社長になんかなれなくても別に困らない。
もとから内気な性格の俺が父の部下である荒っぽい人間に囲まれて、社長なんてできるとも思えなかった。
テストの点数が悪かったりすると親父は「お前が駄目なら従妹の和希に跡を継がせる」と、俺に言う。
どうぞお好きなようにと返したいが、殴られるのが嫌で俺はいつもだんまりを決め込む。
まあ、黙っていても殴られるときは殴られるのだが。
俺がゲイだと知ったら、親父は家の恥だと俺を殺すかもしれない。
酔った父親に殴られたのは一度や二度では効かない。
一度仕草が女々しいとゴルフクラブで殴られた時は、次子さんが止めに入らなければ間違いなく俺は死んでいただろう。
そんなことを考え、ぞっとした俺はテレビを消し、目を閉じた。
大丈夫。
大学を卒業したらすぐにこの家を出ればいいんだ。
それまでの辛抱だ。
ふいに息苦しさを覚え、俺は深い息を吐いた。
もし俺が幼い頃に病気で亡くなったという母が生きていたら、何か変わることはあったのだろうか。
それも好きになるのはみんな筋肉質、黒髪、漢くさい容姿と自分と正反対の男ばかりだった。
最初は単純に男としての憧れなのかと思ったが、オリンピックの柔道の試合を見ているだけで、股間が固くなるのに気づいて、完全に自分はそうなのだと思った。
小さな頃から母親代わりの次子さんには自らの性癖を話そうと何度も思ったが、実行はできなかった。
もし万が一、親父にばれたら終わる。
父親はテレビにオネエと言われるタイプが映っているだけで、「気持ちが悪い。吐き気がする」と言い、テレビを消してしまう。
同性を好きになるなど病気だ。治療しても治らないなら、隔離しなければ、などと平気で口に出す。
もし自分の一人息子がゲイだと分かったら、どんなことになるか。
まず自分が取締役を務めている会社を俺には譲らないというだろう。父は地元の建設関係の会社の社長で、社員15名ほどを雇っていた。
俺は社長になんかなれなくても別に困らない。
もとから内気な性格の俺が父の部下である荒っぽい人間に囲まれて、社長なんてできるとも思えなかった。
テストの点数が悪かったりすると親父は「お前が駄目なら従妹の和希に跡を継がせる」と、俺に言う。
どうぞお好きなようにと返したいが、殴られるのが嫌で俺はいつもだんまりを決め込む。
まあ、黙っていても殴られるときは殴られるのだが。
俺がゲイだと知ったら、親父は家の恥だと俺を殺すかもしれない。
酔った父親に殴られたのは一度や二度では効かない。
一度仕草が女々しいとゴルフクラブで殴られた時は、次子さんが止めに入らなければ間違いなく俺は死んでいただろう。
そんなことを考え、ぞっとした俺はテレビを消し、目を閉じた。
大丈夫。
大学を卒業したらすぐにこの家を出ればいいんだ。
それまでの辛抱だ。
ふいに息苦しさを覚え、俺は深い息を吐いた。
もし俺が幼い頃に病気で亡くなったという母が生きていたら、何か変わることはあったのだろうか。
6
あなたにおすすめの小説
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
キミがいる
hosimure
BL
ボクは学校でイジメを受けていた。
何が原因でイジメられていたかなんて分からない。
けれどずっと続いているイジメ。
だけどボクには親友の彼がいた。
明るく、優しい彼がいたからこそ、ボクは学校へ行けた。
彼のことを心から信じていたけれど…。
かわいそうな看守は囚人を犯さなければならない。
紫藤なゆ
BL
好色な王は忠実な臣下エメラードに命じる。敗戦者スクを上手に犯して見せるように。
苦悩する騎士エメラードと、命があればそれでいいスクは、看守と囚人として毎日を過ごす。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる