哀しい愛

まめ太郎

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 俺は小糸の言葉に息を飲んだ。
「それって俺の勘違いだよな?」
 小糸の言葉に俺は頷こうとして、途中で止めた。臆病な俺はこんな機会でもなければ一生気持ちを伝えられないと思った。
 俺はギクシャクとしかしはっきりと首を振った。
「俺のこと好きって意味?」
 今度はゆっくりと頷いた。
「ちゃんと言ってよ」
 決心して、小糸をまっすぐ見つめた。小糸の瞳には相変わらず、何の感情も浮かんでいなかった。
 そのことでくじけそうになったが、ここまできて後には引けない。

「好きなんだ。小糸のことが」
 俺がそう言うと、小糸は目を見開きようやく表情らしきものが現れた。
「ごめん」
 俯いてそう続けた。
「何で謝るの?」
「だって普通気持ち悪いだろ。男に告白されるなんて」
「そうだね。普通はそう思うとこだろうね」
 肯定され、俺は目をぎゅっと閉じた。
 今すぐ消えてしまいたいという思いで、胸が潰れそうになる。
「でもどうやら俺、普通じゃないみたい。鈴賀に好きって言われて、今すげえ嬉しいから」
 その言葉に俺は閉じていた目を開けた。
 小糸は俺のスマホを持っている手と反対側の手を持ち上げると、その掌に口づけた。

「付き合おうか?俺達」
 あまりの驚きに、もう片方の俺の腕がだらりと床に伸びる。
 力を失った手からスマホが零れ落ち、大きな音を立てて床に落ちた。
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